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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
十二月大歌舞伎第三部を中村屋友の会に入っている友人の手配で3人で観た。最前列で観る歌舞伎は初めて。

舞鶴雪月花

勘九郎さんの三役演じ分け(桜の精、父親松虫、雪達磨)た踊りと長三郎さんの子松虫の可愛らしさも、いい舞台だった。

天守物語

「舞台装置の粗とか役者さんの化粧や着付けの粗とか見えちゃったりしたら冷めちゃうんじゃないか」とか「天守物語の舞台は俯瞰で見た方が映えるんじゃないか」とか不安もあったが……さすがは歌舞伎座、完璧に妖魔の住まう異世界をつくりものっぽくせず、間近に見ても粗がひとつもない。それどころか、遮るものが何ひとつなく、舞台の世界に没入できた。溜息が出るほど美しい泉鏡花ワールドに身ひとつで飛び込んだような体験だった。

富田勲のシンセサイザーはちょっと音が大きすぎるように思ったけど、暗闇に浮かぶ満月、三日月の後に幕が開けて、鶴松さんが間近に糸繰りで糸を垂らしている。鶴松さん芝のぶさんがお女中たちの中でもとりわけ若く美しいが他の方々も奥女中らしい品があり、女童たちも愛らしく、かつ生身でない女の洗練された所作が眼を引いた。

あぁそして玉三郎さんの富姫の美しさときたら。年齢を感じさせない若々しさ、人ならぬものの妖しさ。所作や言葉の美しさに見取れてしまう。赤姫の拵えで登場した七之助さん亀姫と並ぶと、この世のものとも思われぬ美女姉妹の親密さが眩しい。

やがて登場する姫川図書之助。團子ちゃん、清々しくて凛々しくてぴったり。富姫に恋し、人間界に裏切られて富姫と共に永遠に生きることを選ぶ図書之助を美しく清々しく演じきってくれた。玉三郎さんがぜひにと指名した相手役を堂々とこの若さで演じきる團子さん。拍手拍手。

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『髪結新三』を勘九郎が初役で演ると聞いて、歌舞伎友に声かけ、友の伝手経由で花道横のいい席で観ることができた。しかも「とちり」列で花道すぐ横、芝居空間に呑み込まれるような体験だった。

『梅雨小袖昔八丈 髪結新三』
2015年10月に見ている。新三は尾上松緑、忠七は時蔵、勝奴は亀寿、源七は團蔵、家主長兵衛が左團次、お熊は梅枝、加賀屋藤兵衛がサービスで仁左衛門、魚売りもサービスで菊五郎(芸術祭参加作品で昼の部は一條大蔵と文七元結が並んでいる)の舞台だった。さらっとしか日記に残していなので、演目は好きだけど配役はあまり記憶に残らなかったのだと思う。
映像で録画しておいた十七代勘三郎の勘九郎改め勘三郎襲名公演が私の予習作品。何しろ、新三は勘三郎、忠七と長兵衛が三津五郎の二役、勝奴は染五郎(今の幸四郎)、源七は富十郎、お熊は菊之助と勘三郎襲名公演なだけに豪華だ。鶴松が丁稚で「おいら役者になるんだ」と言っていて、今回はお熊で出て来るし、勝奴だった染五郎は実年齢よりちょっと老け役の源七で勘九郎を引き立てる側に回っている。
今回の配役は勘九郎が新三、七之助が忠七、勝奴に巳之助(十代目三津五郎の息子)、源七に幸四郎、長兵衛に彌十郎、お熊に鶴松、白子屋後家お常に扇雀、丁稚に長三郎、加賀屋藤兵衛に中車、車力善八に亀蔵と粒よりだった。
で、勘九郎の初役である新三。声音や台詞運びや仕草に勘三郎(十七代は見ていないので十八代つまりお父さん)を彷彿とさせる場面があるけど、勘三郎の新三よりもワルな新三だ。それは目を黒く縁取って目尻を吊り上げている化粧の強さで強調されている。そして、お熊を解放する場面で、懐手で柱にもたれかかり、お熊を見やる目付きのエロさエッチさによく表現されている。前科者で腕に二本の入れ墨があり、深川の裏長屋でくすぶっている廻り髪結いにしては、有名料亭の手ぬぐいを貼り合わせた粋な浴衣を引っかけたりしているところに、後ろ暗い収入源が他にあることが示唆されていたり(そして浴衣のデザインは多分、勘三郎さんのものと瓜二つ)、初鰹を一本買う(今の日本円で7万円くらいだそうだ。祝儀込みで渡したのは10万円くらいなので、高級ワインボトルをぽんと注文するぐらいの感覚なのかな)とか、髪結い風情にしては金回りがよい。忠七を騙してお熊を拐かし、白子屋から百両を取ろうとするワル。ついでに一晩、お熊を手込めにしていたから、ワルの色気むんむん。親分で知られた源七を追い返す勢いのある鼻息の荒さ、しかし家主の長兵衛にはやり込められて、三十両をせしめるつもりが半分の十五両しか受け取れず、滞納家賃に二両取られてしまう。勝奴に二両分け前をやって、手元に残ったのは十一両。
ぽんぽんと弾むやりとりは彌十郎さんと勘九郎さんの息がよく合っていたから(「うるせえのはうちの親父だよ」「わしはそれが好きだった」とか、金を並べて確認して渡す場面でわざと一枚飛ばして勘定するとことか)河竹黙阿弥の七五調に加えて江戸の下町の町民らしいやりとりがよかった。七之助の忠七もなよなよしてるだけでなく芯の強さがあって、身よりがなくても白子屋に手代として勤められる堅実な店員なのを伺わせるところがあった。巳之吉の勝奴は抜け目なさがニンにあっててよかった。
あえて言うなら幸四郎の源七がなぁ。。もう少し鬘で白髪足すとかできると思うけど、声質は変えられないからねぇ。。特に閻魔堂で新三と斬り合う場面では顔が正面を向いてなかったので、声が客席に通らなかった。ちょっとねぇ。
でも勘九郎さんが今後持ち役として再演する時に「初演もよかった」と自慢できる出来。

『紅翫』
中村芝翫の家に伝わる舞踊劇。今回は当代芝翫さんの長男、橋之助さんが紅翫。20代半ば過ぎかな、踊り分けも含めてキレイに踊っていたけど、エンターテインメントとして客席を喜ばせるものとしての完成度はなかった。巳之吉、染五郎、児太郎(太った?顔が丸々として老けた印象が)など若手に加え、勘太郎くんの越後獅子(13才と役と実年齢が合ってて可愛かったし、踊りも隙がなかった)。

歌舞伎への誘い 梅雨小袖昔八丈
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渡辺保の歌舞伎劇評 2024年8月 勘九郎初役の新三
長谷部浩 【劇評346】勘九郎の『髪結新三』。果敢な挑戦。

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勘九郎さんで見たい演目。
『桜姫東文章』ぜひ釣鐘権助と清玄の二役を勘九郎さんで、桜姫は七之助さんで。
『摂州合邦辻』悪役の演じ分けを勘九郎さんで。
『女殺油地獄』いまだったら扇雀さんの女将で、勘九郎さん与兵衛で。その後七之助さん与兵衛でも見たい。
『夏祭浪花鑑』勘九郎さんの団七、七之助さんのお辰を見たい。勘三郎さん所縁の平成中村座で観たい。
……と挙げてみると、勘九郎さんには勘三郎さん+仁左衛門さんの当たり役をこなして欲しいという願望になる。勘三郎さんよりくっきりした悪役で行けるから。
中村屋ファンの友人から1階席のチケットを譲ってもらって観劇。歌舞伎町に行くのはすごく気後れしたが、東宝タワーから東急歌舞伎町タワーに伝い歩く感じで何とか迷わずに到着。ちょっと早めに着いたので西武新宿駅下のカフェで少し時間を潰した。

15時15分に開場し16時に開演。

一、正札附根本草摺

曽我五郎と小林朝比奈の妹舞鶴との舞踊。虎之介と鶴松、20代のコンビ。これからどんどん伸びてゆくんだろうな。

一、流星

勘太郎の牽牛、長三郎の織姫、愛らしくて初々しいカップル。勘太郎くんは13才で随分背丈も伸びた。勘九郎の流星が、雷夫婦の喧嘩を注進。雷の夫、雷の女房、雷の子供、雷のばあさんと四役をユーモラスに踊り分け。重力を感じさせない軽やかさ、見惚れるなぁ。

一、福叶神恋噺

落語の『貧乏神』を題材にした新作。七之助さんのコメディエンヌぶりを堪能。勘九郎さんの役は勘三郎さんの『法界坊』を連想させる汚さとよぼよぼさが目立つ貧乏神だったけど、ちょっとしか出て来なかったのは残念(七之助や虎之介を引き立てる立ち回りなんだろうけど)。虎之介はちょっと匙加減を誤れば白けてしまう、ぐうたらだけど憎めない、可愛らしさのある役を好演。
友人の株主優待で最後列ながら1階席。テレビ収録か、カメラ機材が持ち込まれ、撮影スタッフが録画していた。

一、鴛鴦襖恋睦(おしのふすまこいのむつごと)
おしどり

四世市川左團次一年祭追善狂言
二、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)

河竹黙阿弥 作
三、極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)
「公平法問諍」

左團次さんの一年祭で男女蔵さんが頑張った「毛抜」はともかくも。

え、水野十郎左衛門宅の風呂場での場面ってあんな感じだったっけ? 過去、私は橋之助さん改め芝翫さんで2回見ているのだけど、こんな幕切れだったかな……えええっ、團菊祭なのに、テレビ収録入ってるのに、という疑問符が脳内を駆け回って終わった。
十八世中村勘三郎十三回忌追善猿若祭二月大歌舞伎

歌舞伎好きな近所の同窓3人で観劇。せっかくの中村勘三郎さん十三回忌追善で、籠釣瓶花街酔醒を勘九郎さん七之助さんが初役で次郎左右衛門と八ツ橋、しかも栄之丞を仁左衛門さんで。ということで、奮発して1階席、チケット松竹のノーマル会員だけど2日かけて3人連席、しかも花道に近いところ。

野崎村の鶴松さんお光が歌舞伎座で大役(勘三郎さんに第三の息子と言われて部屋子以上の扱いだったとは言え、一般家庭の出身)。初々しさも覚悟を決めてからの振る舞いも最後の泣きもよかった。児太郎さんお染、彌十郎さん久作、東蔵さんお常もよかったので、七之助さん久松がふたりの女に惚れられる美青年ぶりが光った。

『釣女』も滑稽さが楽しかった。獅童さん、芝翫さんが達者なので萬太郎さん梅枝さんのカップルが引き立った。醜女に笑わされるというのは同性としてどうなんかなという気持ちがないでもなかったけど、芝翫さんの振り切りっぷりで、この女性は美醜に関係なく自分の欲望に素直なんだーと思えて清々しいほどだった。

でも、何と言っても『籠釣瓶』。勘九郎さんはあばたの化粧少なめで、誠実で実直ながら地方で財を築いた遣り手の商人で、だからこそ八ツ橋のひどい愛想づかしに天国から地獄を味わって、終幕は目が据わって一刀のもとに切り捨てる場面とのコントラストが効いていた。そう、勘九郎はこういう役が映えるのよ。七之助は美しく、でも栄之丞に脅迫されると乗客の次郎左右衛門を無情に振るという非道を自覚しながら哀しくて、最後は斬られてあっけなくくずおれるところが美しく(でも歌右衛門や玉三郎ほどに最期の海老反りは長くなく)。歌舞伎をライブで見始めてからの中で、一番の名演だった。シネマ歌舞伎化を希望(翌日か翌々日に収録のカメラが入ったようなので、期待してる)。
久しぶりの更新。

昨日、志の輔らくごin下北沢 The Last 牡丹灯籠に行ってきました。2010年に志の輔さんをライブで聴きに行って落語にはまった私、本多劇場の牡丹灯籠も通算で10回目。去年まで3年間はコロナで落語通いを中断していましたが、本多劇場の牡丹灯籠も今年が最後と聞き、チケット激戦をくぐり抜け、何とか一枚入手しました。

台風7号が来る前でよかった……(安堵)。公演は20日までありますが、私にとっては最後の牡丹灯籠かも知れないので、集中して聴き入りました。公演3日目ですが、3回の中で最長とか(苦笑)。

お露新三郎のくだりの幽霊噺も怖いのですが、改めて久しぶりに聴くと、生身の人間の欲による悪事の方が怖いかも。お国と伴蔵、二大悪人の凄さといったら。

記念にいただいた団扇の裏には登場人物相関図のサービス付き。ただし、一箇所間違いがあると志の輔さんから聞いて、どこかなーと探すまでもなく、最初に目が行ってしまいました(笑)。

寄席でお馴染み「ガーコン」の川柳川柳師匠、三味線漫談「鬼平」の紫文さん、に続いて、鬼平の中の方である播磨屋さんまでもが。

中村吉右衛門さん死去 二代目の重責、芸に昇華

 重厚な芝居が多かった。播磨屋さんの芝居に外れなし、でした。合掌。。
人間国宝の落語家・柳家小三治さん死去 81歳 最後の高座は今月2日の「猫の皿」
 人間国宝の落語家・柳家小三治(本名:郡山剛藏)さんが、心不全のために10月7日に亡くなったことがわかった。10日、落語協会のホームページで発表された。81歳だった。最後の高座は、2日に府中の森芸術劇場での「猫の皿」となった。

【写真】迫力ある表情を見せる柳家小三治

 サイトでは「当協会顧問の柳家小三治(本名:郡山剛藏)が、令和3年10月7日(木)午後8時、永眠いたしました。(81歳)。故人の遺志により密葬にて執り行われました。お別れ会の予定はございません。謹んでご冥福をお祈りいたします」と伝えられた。

 柳家小三治事務所も書面で「最後の高座は10月2日、府中の森芸術劇場での『猫の皿』となりました。亡くなる当日まで次の高座を楽しみにしておりましたので、突然のことでした。この先予定されていた落語会を心待ちにしてくださっていたお客様には申し訳なく存じます。また長らくご贔屓いただきましたお客さま、関係者のみなさまには心よりお礼申し上げます」とつづった。

 訃報にあたって、落語協会の会長・柳亭市馬がコメントを寄せた。

■柳亭市馬追悼コメント
つい最近まで、元気に高座に上がっている、と聞いていたので、突然の訃報に接し只々、呆然とするだけです。落語史に、大きな区切りの線が引かれたのは、確かです。何事にも迎合することを嫌い、派手を好まず、極めて芸人らしからぬ、孤高の噺家でした。個人的には、師匠先代小さん亡き後、芸について口やかましい事を言ってくれるのは、小三治師匠だけだったので、いよいよ心細く、寂しくなりますが、「もうあんなに沢山、薬を飲まなくてもいいんだな。」と思うと、少しだけほっとします。小三治師匠、長い間、お疲れさまでした。本当にくたびれましたねぇ。どうかゆっくり、お休みください。有難うございました。

 最後に聴いたのは、2019年6月18日、品川区大井町のきゅりあんの柳家小三治独演会でした。今日は追悼の気持ちで『小言念仏』を聴いて過ごします。合掌。。。

新型コロナウィルス流行のため文化活動は自粛のアナウンスが出たばかりで歌舞伎は初日から10日まで興行中止。あぁ明治座の昼の部チケットが(;o;)。夜の部は最終週だが、これも今後の状況次第。
 風の谷のナウシカ、ディレイビューイングの後編も、予約キャンセル入れた。うっかりローソンのムビチケも二重に買ってしまっていたので、どちらも払い戻そう。仕切り直し。

 さて、二月大歌舞伎は十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善興行。昼の部は当代仁左衛門、孝太郎、千之助が中心で十三代目が得意とした『菅原伝授手習鑑』から。

賀茂堤

筆法伝授

道明寺

 ……仁座様、神々しい。。
公演情報 新作歌舞伎 風の谷のナウシカ
『風の谷のナウシカ』ディレイビューイングのお知らせ

 12月に新橋演舞場のチケットが取れなかったので、ディレイビューイングにいち早く。

 原作読んでないのだけど、登場人物像やストーリーはわかりやすい。ナウシカの世界観を歌舞伎の文脈に沿って展開している。台詞は現代語だけど、見栄、本水を使った立ち回り、渡り台詞、宙乗り、舞踊など歌舞伎の要素をきっちり入れている。その試行錯誤の過程を撮ったドキュメンタリーを見ていたので、限られた期間で舞台に落とし込んだスタッフやキャストの力量たるや。

 男性から見た理想像のヒロインであるナウシカより、戦う女クシャナ様に自分が惹かれるのは、デフォ。七之助丈が美麗で凛々しくて。
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