新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
2018年に浅草の平成中村座で『実盛物語』を見ていたので、今月の昼の部は8年ぶりの勘九郎さん実盛を目がけて行った。

中村屋ファンクラブ経由でチケット取ってくれる友人と同行し、4列目の上手側だったので、舞台中央での芝居がとてもよく見えた。オペラグラス持っていったけど今回は不要だった。

歌舞伎美人 正月大歌舞伎

前回の感想は下記。
十八世中村勘三郎七回忌追善 平成中村座十一月歌舞伎 千穐楽 昼の部・夜の部

一、當午歳歌舞伎賑

いわゆる曽我物。曽我五郎と小林朝比奈の正札附根元草摺、萬歳、木挽の闇爭という三幕構成。仇討ちものがめでたい正月芝居となるロジックがいまだによくわからないが、曽我五郎・十郎、小林朝比奈、大磯の虎、片貝姫、秩父庄司重忠(史実の畠山重忠だな……生締め)、梶原平次景高(いわゆる赤っ面)、大藤内成景、工藤左衛門祐経といった各キャラクターがだんまりで入り乱れて踊るのを見て楽しむ。

二、蜘蛛絲梓弦

けんけん、尾上右近さん八役早替わり。女童から蜘蛛の精まで、途中には宙乗りもあり。4列目だったので近くまで蜘蛛の糸が飛ぶ臨場感も楽しめた。八役、しかも、途中であやかしの本性が見顕れる展開もあるので演技力を問われるし、踊りも浄瑠璃もこなさなければならない。さすが栄寿太夫だけあって危なげなく魅せてくれた。

三、実盛物語

けんけんの八役だけでも見応えがあったところに、お出ましの勘九郎さん実盛。平家に臣従しながら源氏に心を寄せている、しかしながら小万を斬らねばならなかった、知勇兼備で情もある実盛を勘九郎さんが見事に演じた。年の頃としても実盛が40代という設定なので、お役に年齢が追いついた……というところかな。さらに年を重ねた勘九郎さん実盛をまた見たい。
☆★☆★

1/16追記。
(評・舞台)歌舞伎座「寿 初春大歌舞伎」 勘九郎の「実盛物語」、親勝り
 有料記事なので冒頭しか読めないが、見だしの「親勝り」だけで泣ける。
「実盛物語」の中村勘九郎の実盛は時代物の骨格の強みで親勝り。数十年後の再会を約す「顔見覚えて恨みを晴らせよ」で、膝(ひざ)をついて子役の目の高さになるのは今様の工夫。老いの表現も細かく、重層的な時間が交錯する。やや父譲りの甘い口跡もあり、「和」と「実」のバランスには伸びしろがある。瀬尾に尾上松緑、小万に中村七之助を得て舞台が大きくなった。嵐橘三郎(きつさぶろう)、中村梅花の九郎助夫婦もいい。
NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華夢噺〜』

 脚本の森下佳子さん曰く「畳の上で死んだ本屋のおっちゃん」の話……いやいや、戦乱のない時代ですが、政界の巨魁との戦いあり、「写楽」プロジェクトあり、波瀾万丈ドキドキわくわくを楽しんだ一年です。『仁-JIN-』男女逆転版『大奥』でがっつり「森下脚本に外れなし」という信頼感を抱いておりましたが、期待以上に面白かった。

 自分的にはNHK大河ドラマは『組!』が不動の一番だと思ってきたけど、ドラマのテイストに対する好みとしては『べらぼう〜蔦重栄華夢噺〜』の方が上かも知れない。特定の人物とかに思い入れはないけど、クリエイターたちの群像劇としても面白かったし、定信くんの黄表紙オタクっぷりがファン心理そのものを描いていたので自分にズキュンとしたし。

 畳の上で亡くなった最終回は、恩が恩を産んでいく末にお釈迦様の入滅みたくなって「屁!」大合唱で、これまた、べらぼうな幕切れで、よかった。

☆★☆★

12/24追記。
『べらぼう』NHKプラスで歴代最多視聴 総合視聴人数は期間平均1491・5万人

 放送中に「視聴率がワースト2」とか言ってましたが、熱烈なファンは多いとおもっていました。今どき、テレビの前で家族揃って視聴するスタイルではないのです。響く人には響いている。

 20年前の『組!』でも視聴率が低かったけど全話DVD化を初めて実現しましたしね。



またシネマ歌舞伎『阿弖流為《アテルイ》』が来たので、いそいそと観に行ってしまった。家にBlu-rayがあっても、没入感が全然違う。
 亀蔵さんの追悼も兼ねて。

シネマ歌舞伎『阿弖流為《アテルイ》』

 ストーリーも名場面も頭にある程度入っているとは言え、怒濤のストーリー展開、スピード感あふれるアクションと殺陣など、何度見ても凄い。染五郎も勘九郎も七之助もキレッキレ。片岡亀蔵さんの蛮甲とくまこ、彌十郎さんの稀継、萬次郎さんの御霊御前、新悟さんの阿毛斗など、脇も充実してる。


お久しぶりです。最近、コメントに外国語のスパムが大量につくので困っております。見つけ次第、ブロックと削除をしているのですが……。

久々に史跡のニュース。
【新選組】土方歳三や山南敬助の息づかい残る「旧前川邸」一般公開に向けた挑戦(画像多数)

 当時の建物を保存したり手入れされることにどれだけのご苦労があるのでしょう。また、公開に伴うご苦労も多々あることを思うと、ただただ頭が下がるばかりです。

土方歳三資料館
 こちら改装して再開されて、まだお伺いしていないのですが、新たにプロジェクトを立ちあげられています。
土方歳三 つなぐプロジェクト
2004年の熱狂を思い出す。

NHK『新選組!』特設サイト
 三谷幸喜さんのインタビューも掲載。

大河『新選組!』初配信決定! “近藤勇”香取慎吾を支えた隊士キャスト、今見ると豪華すぎる

『新選組!』20年経っても「歴代最高の配役」と色褪せぬ評価 「ハマり役だった」と絶賛

 最近はこんな番組も放送されました。再現ドラマの俳優さんたちが絶妙に「似てるけど似ていない」感じ。
<新選組>「歴史探偵」で“エピソード・ゼロ” 多摩の農民たちが、なぜ時代を動かした? 誕生までの足跡徹底調査

むしろテロを起こそうとしたのは長州の方なのに…幕末→明治維新で評価が180度変わった「新選組」の理不尽
 史実としての新選組の評価もこういう記事が普通に出るようになりました。

 新選組ものとしてはマンガで完結した『ちるらん新選組』、ヤンキーテイストの土方歳三が拳と刀で浪士たちと渡り合う感じですが山田裕樹さん主演でドラマ化。実写とかCGでどこまで原作テイストを再現できるかですが。
ちるらん 新撰組鎮魂歌

新選組を題材としたオリジナルTVアニメーション『風を継ぐもの』発表! ティザーPV&ビジュアル解禁|監督・河村友宏氏×脚本・成井豊氏×音楽・岸田繁氏
大学時代の友人たちのつてで入場無料ハガキをもらったので、白金台へ足を延ばした。

荏原 畠山美術館 当館について

まだまだ見せます、 新生 荏原 畠山美術館―中国観賞陶器、青銅器から新収集作品まで

元は寺島宗則の邸宅だったそう。コレクターは地元の大企業、荏原製作所の経営者だったそう。モダンアートのような庭園と快適な建物、贅沢な一時。

池田山の一角で近くには清正公こと肥後藩の下屋敷もあったわけで、この辺りは文字通りのお屋敷町。
友人にチケットを譲っていただいた。平日の昼間に有楽町朝日ホールで集客できる談春師、おそるべし。

一、ろくろ首

与太郎噺の中では艶笑気味。コンプライアンスとかいろいろ、私自身も敏感になっている中で、愛すべき与太郎を表現できる談春さん、さすが。

一、妲妃のお百

これは初めて聴いたネタかも。悪女が、たまたま知り合った母娘を騙し、娘は吉原に売り、母は知り合いを言いくるめて殺させる、談春さんの話芸をもってしても陰惨な噺。

『妲妃のお百~お峰殺し』あらすじ

終盤は怪談仕立てで「さてもおそろしき執念よな」で占められるんだけど、後味は悪い。

なので一旦高座をライトアップしてサービストークしてくれて、写真撮影OKタイムも設けてくれて、春師にしてはサービスなんだけど。現代においての怪談噺の難しさ。

☆★☆★

8/5追記。
妖艶な美貌で次々に男をたぶらかした女 「日本一の毒婦」と噂された「妲己のお百」とは?

昨日の昼の部に続き、仁左衛門の由良之助、勘九郎の勘平(勘九郎さんは昼の部で判官切腹、夜の部で勘平腹切り……)、七之助のおかる、松也の平右衞門、亀蔵の九太夫、隼人の定九郎、左近の力弥など素晴らしいバランスの配役。

ニザ様の由良さまはやはり素敵。遊び慣れた風でいて、亡き主君の仇討ちを内密に推進するリーダーの器量をあらわしている。機密情報を盗み見たおかるを請け出して始末する非情な決断もしつつ、足軽の平右衞門が妹おかるを殺してでも仇討ちに加わりたい一途さやおかるを不憫に思う情も持ち合わせている。そして討ち入りにおける大将たる気品と風格。

勘九郎の勘平は美男で主君のおぼえめでたき側近でありながら、おかるとの逢瀬によって主君の不祥事に居合わせず、山崎街道の狩人に身をやつすという転落ぶり。さらに、定九郎に襲われて命を落とした舅の財布五十両を手に入れたことから舅殺しの嫌疑をかけられ、姑に責められ、おかるが自ら身を売ってつくった大金の出所を以前の朋輩から疑われ、進退窮まって腹に刀を突き立てる。命運尽きたところで舅の死は勘平の銃によるものではなく夜盗の刀によるものと判明し、舅殺しは定九郎の仕業なので定九郎を殺した勘平は舅の仇を取った殊勲とされ、仇討ちの連判状に血判を押して絶命。ところどころ声が勘三郎さんそっくりで、親子二代の魂が勘平に乗り移っている印象が。運命に翻弄されて進退窮まる勘平が適役すぎる。

そして、七之助さんはおかるが似合いすぎ。落人の踊りも素敵なのだけど、五段目の自ら売られていく世話女房から七段目では由良さまにじゃらつく艶やかな遊女、そして平右衛門の妹として純朴で無邪気なキャッキャウフフな笑顔、父そして夫の死に打ちひしがれて兄のために命を投げ出す悲愴な
姿と振り幅の大きな役柄が素晴らしく似合っていた。玉さまでも見ているのだけど、玉さまだと隙がなさ過ぎて無邪気さあどけなさは……と思っていたので七さまはドンピシャ。

松也さんの平右衛門もよかった。大仰過ぎるほどの無骨さ、足軽中間の身軽さや気遣い、亡き主君に報いたい一途さ、妹おかるへの情愛と実家に起こった悲劇を伝えねばならない兄としての責任感などが、よく出ていた。引き揚げの場面では木槌を抱えて意気揚々と花道を歩く姿(その後は切腹だが武士身分ではないので俗名で葬られる)が印象的。

定九郎はやはり色悪でなくては。一度見たのはたぶん松緑、闇に光るギョロ目が印象的だった。でも初代仲蔵の形としてはすらりとした美男だからこその凄みが欲しい。その点では隼人さん文句なし。撃たれた後の口から血を吐いてもがく場面が物足りなかったけど。

左近の力弥もよかった。昨日の莟玉さんの力弥は初々しい小姓ぶりがよかったけど、左近の力弥は顔世御前からの密書を父に運ぶ姿に尋常ならぬ警戒ぶりがあった。

そして最後に菊五郎の服部逸郎。「あっぱれ」「武士とはかくありたいもの」とセリフは少ないものの一瞬で場を持っていった。前回拝見した時より声に力があった。

この豪華配役で見られることはもうないのだろうなと思う、素晴らしい二日間。チケット取ってくれた友人に大感謝。

仮名手本忠臣蔵は国立劇場で観た気がしたけど大序から四段目の記憶がない。たぶん二部興行で後半だけを観たのだろう。

大序・三段目
人形が配役を披露する口上は11時開演の前、10時50分から。それを知っていたのでチケットを取ってくれた友人も滑り込みセーフで人形の口上を観ることができた。大物の役者の配役になると「えへん、えへん」と勿体ぶるところが面白く。

浄瑠璃人形での舞台が最初だったので、幕が開いた最初は浄瑠璃人形のように頭を下げ、ややあって人形に血がかよって始まる。松緑演じる師直は憎々しく、パワハラとセクハラの塊。小禄の桃井若狭之助に論破されたのが面白くなく、また横恋慕している塩冶判官の妻の顔世午前に手ひどく振られて憤懣やるかたない。桃井の家臣である加古川本蔵がタイミングよく付け届け(今でいう賄賂だが江戸時代はお付き合いの潤滑油だった)をしたので、上野介の憤懣は塩冶判官だけに向く。世間を知らない鮒侍と罵られた判官は思いあまって吉良に斬りつけ、加古川に留められる。

松緑の上野介が憎らしい悪役ぶりで、まずは桃井若狭之助や塩冶判官への同情を買う役回りとしてはよいのだが、高家の品位みたいなところは少し物足りないかな。松也の若狭之助は直言してしまう若さと清廉さと短慮がいい感じ。判官は若狭之助より穏やかで、ふたりの対立を和らげる役回りもできるが、師直のあまりの侮辱に、一国一城の主としての責任感もぶち切れて刃を振りかざす。勘九郎さんはこういうメリハリのある役が似合う。

今回はカットされたけど、桃井若狭之助と加古川本蔵の「ひとつ間違ったら自分たちが吉良上野介を斬りに行ってたかも知れない」ストーリーがあることを感じさせる物語の厚み。

四段目

ひたすら勘九郎さん演じる塩冶判官の切腹に息を詰める回。「通さん場」なので飲食も控えて厳粛な切腹の場に見入る。

「由良之助はまだか」
心を許した家老の由良之助に遺志を託したい判官。勘九郎は、武士の作法を守って美しく切腹することで責任を負うが、息を引き取る直前に駆けつけた由良之助に自らの腹を捌いた九寸五分を託すことで仇を討てとのメッセージを伝える。

ニザさまの声が他のお役をする時より低く、それによって家老の器の大きさを伝えているようだ。七段目の由良之助を見た時よりも低い声で、動揺したりいきりたったりする藩士たちを従える。

落人

重苦しく、切腹から城明け渡しまでカバーした四段目から踊り中心の幕に。もともとは十一段に入ってなかったけど、『裏表忠臣蔵』という作品で好評だったので一緒に組み込まれたそうだ。

「色に迷ったばっかりに」……逢い引きのため、主君である判官の切腹の場面に立ち会うことができなかった早野勘平が、恋人である腰元のおかると一緒に鎌倉を出て、戸塚で朝を迎える一幕。隼人の寛平、七之助のおかる、美男美女で眼福。鷺坂伴内は巳之助。

黒井緑朗のひとりがたり 三月大歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』昼の部A(歌舞伎座)

中村勘九郎が”技”と“心”で描く『仮名手本忠臣蔵』塩冶判官と早野勘平
今月は昼の部『きらら浮世伝』を狙うか、夜の部『阿古屋』『文七元結』を狙うか、迷った。
歌舞伎美人 猿若祭二月大歌舞伎
 玉さま阿古屋と勘九郎七之助初役文七夫婦が、わずかに蔦重を上回った。幸い友人が良席を取ってくれて、花道近くのとちり席。花道七三の一番いい姿をほとんど真正面で見られる角度。

一、壇浦兜軍記 阿古屋
 もう玉さまの阿古屋は2015年に梅枝(現・時蔵)と児太郎に譲って見られないものと思った。3人の競演を見たのは2015年12月。
十二月大歌舞伎 夜の部 梅枝・児太郎・玉三郎の阿古屋
 もう覚えていないと言っていいのだが、玉さまが圧巻であったこと、梅枝と児太郎が初役にしては頑張っていたこと(そして玉さまの岩永が異様なまでの存在感で圧倒的だったこと)は記憶にある。
 もう二度と見られないかも知れないと思っていた玉さまの阿古屋。金銀の簪がキラキラ光って神々しく見えた。そして琴、三味線、胡弓を名妓らしく巧みに奏でながら、景清を想う気持ちを曲に表現する。生で見られるのはこれが最後かも知れないと思うと一挙手一投足が完璧に美しい。
 そして、菊之助(三月に菊五郎を襲名するから菊之助としては最後)の秩父庄司重忠(畠山重忠がモデルだそうで、生締めの端整な若い立役が似合う、文武両道に秀でて音楽にも優れた眉目秀麗な裁判官)が微動だにせず一音たりとも聴き逃さず一挙手も見逃すまいとする姿の美しさ。種之助さんが滑稽で醜悪な悪役を人形振りで演じるのは勿体ないけど、ユーモアのある仕草が(玉さまと違って)くすっと笑える感じなのでバランスがよかった。

一、絵島生島
 これは初めて。大奥総取締の絵島が投獄される絵島事件は多少知ってるので、大正年間につくられた舞踊劇の絵島生島の趣向は多少わかる。三宅島に流される生島新五郎を菊之助丈、絵島(の幻)と三宅島の海女を七之助丈が二役で踊り分け。菊之助さんは踊りも演技も上手だし、何より菊五郎さんと富士純子さんの遺伝子を受け継いだ丹精なお顔とすらりとした姿が美しく、島流しにあってやつれて狂う生島新五郎の哀れさがハマリ役。七之助さんも踊り巧者なので安心して見ていられた。

一、人情噺文七元結
 そして終幕が人情劇というのは滅多にないことだけど、誰も悪人が出てこない、これが最後に来ることで気持ちがほこほこして帰れるのがいい。
 二十年来の生落語ファンとしても三遊亭圓朝作の『文七元結』は古典落語屈指の大ネタ。天保生まれで明治維新(江戸っ子は「ご瓦解」と言うらしい)を経験した圓朝は、薩長が幅を利かせる東京に江戸の気風(「きふう」より「きっぷ」と読みたい)に響く落語を創作した。酒と博打に溺れて左官業を半ば放り出している長兵衛を諫めて家計を建て直し、夫婦仲を取り戻して欲しいと自ら吉原に身を売る娘のおかげで借金できた五十両を、通りすがりの見ず知らずの若造が身を投げんとするのを押しとどめ、自分にではなく娘が悪い病にかからぬように拝んでくれと言って投げつけるように五十両を与える長兵衛の描写は生半可な落語家にはできず、真打ちならではという代物。個人的には談春さんの佐野槌の女将の諭しに説得力があって大好き。なので、歌舞伎として見るなら中村屋で見たかった。
 十七代中村勘三郎→十八代中村勘三郎→当代中村勘九郎と三代にわたって受け継がれている中村屋の芸。さすが兄弟、息の合った長兵衛とお兼の貧乏夫婦。勘九郎さんは、酒と博打に身を持ち崩してはいるけど、憎めない長兵衛そのもの。七之助さんは貧乏神おびんちゃんに続き、コメディエンヌとしての才能をバキバキに発揮(でんぐり返ってた〜!)。勘太郎くん(声変わりしてたけど)のけなげなお久。鶴松の生真面目だけど囲碁に見境がなくなる手代文七、コミカルな部分も含めて芸達者なところを見せた。そして時蔵改め萬寿さんの貫禄ある角海老女将のお駒の、情けありつつも忘八の女房らしい采配を含めた長兵衛への説教。最後は芝翫さんや松緑さんも加わっての大団円で、ああよかったね〜と語り合いながら帰る家路の楽しさよ。
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