新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
今月は昼の部『きらら浮世伝』を狙うか、夜の部『阿古屋』『文七元結』を狙うか、迷った。
歌舞伎美人 猿若祭二月大歌舞伎
玉さま阿古屋と勘九郎七之助初役文七夫婦が、わずかに蔦重を上回った。幸い友人が良席を取ってくれて、花道近くのとちり席。花道七三の一番いい姿をほとんど真正面で見られる角度。
一、壇浦兜軍記 阿古屋
もう玉さまの阿古屋は2015年に梅枝(現・時蔵)と児太郎に譲って見られないものと思った。3人の競演を見たのは2015年12月。
十二月大歌舞伎 夜の部 梅枝・児太郎・玉三郎の阿古屋
もう覚えていないと言っていいのだが、玉さまが圧巻であったこと、梅枝と児太郎が初役にしては頑張っていたこと(そして玉さまの岩永が異様なまでの存在感で圧倒的だったこと)は記憶にある。
もう二度と見られないかも知れないと思っていた玉さまの阿古屋。金銀の簪がキラキラ光って神々しく見えた。そして琴、三味線、胡弓を名妓らしく巧みに奏でながら、景清を想う気持ちを曲に表現する。生で見られるのはこれが最後かも知れないと思うと一挙手一投足が完璧に美しい。
そして、菊之助(三月に菊五郎を襲名するから菊之助としては最後)の秩父庄司重忠(畠山重忠がモデルだそうで、生締めの端整な若い立役が似合う、文武両道に秀でて音楽にも優れた眉目秀麗な裁判官)が微動だにせず一音たりとも聴き逃さず一挙手も見逃すまいとする姿の美しさ。種之助さんが滑稽で醜悪な悪役を人形振りで演じるのは勿体ないけど、ユーモアのある仕草が(玉さまと違って)くすっと笑える感じなのでバランスがよかった。
一、絵島生島
これは初めて。大奥総取締の絵島が投獄される絵島事件は多少知ってるので、大正年間につくられた舞踊劇の絵島生島の趣向は多少わかる。三宅島に流される生島新五郎を菊之助丈、絵島(の幻)と三宅島の海女を七之助丈が二役で踊り分け。菊之助さんは踊りも演技も上手だし、何より菊五郎さんと富士純子さんの遺伝子を受け継いだ丹精なお顔とすらりとした姿が美しく、島流しにあってやつれて狂う生島新五郎の哀れさがハマリ役。七之助さんも踊り巧者なので安心して見ていられた。
一、人情噺文七元結
そして終幕が人情劇というのは滅多にないことだけど、誰も悪人が出てこない、これが最後に来ることで気持ちがほこほこして帰れるのがいい。
二十年来の生落語ファンとしても三遊亭圓朝作の『文七元結』は古典落語屈指の大ネタ。天保生まれで明治維新(江戸っ子は「ご瓦解」と言うらしい)を経験した圓朝は、薩長が幅を利かせる東京に江戸の気風(「きふう」より「きっぷ」と読みたい)に響く落語を創作した。酒と博打に溺れて左官業を半ば放り出している長兵衛を諫めて家計を建て直し、夫婦仲を取り戻して欲しいと自ら吉原に身を売る娘のおかげで借金できた五十両を、通りすがりの見ず知らずの若造が身を投げんとするのを押しとどめ、自分にではなく娘が悪い病にかからぬように拝んでくれと言って投げつけるように五十両を与える長兵衛の描写は生半可な落語家にはできず、真打ちならではという代物。個人的には談春さんの佐野槌の女将の諭しに説得力があって大好き。なので、歌舞伎として見るなら中村屋で見たかった。
十七代中村勘三郎→十八代中村勘三郎→当代中村勘九郎と三代にわたって受け継がれている中村屋の芸。さすが兄弟、息の合った長兵衛とお兼の貧乏夫婦。勘九郎さんは、酒と博打に身を持ち崩してはいるけど、憎めない長兵衛そのもの。七之助さんは貧乏神おびんちゃんに続き、コメディエンヌとしての才能をバキバキに発揮(でんぐり返ってた〜!)。勘太郎くん(声変わりしてたけど)のけなげなお久。鶴松の生真面目だけど囲碁に見境がなくなる手代文七、コミカルな部分も含めて芸達者なところを見せた。そして時蔵改め萬寿さんの貫禄ある角海老女将のお駒の、情けありつつも忘八の女房らしい采配を含めた長兵衛への説教。最後は芝翫さんや松緑さんも加わっての大団円で、ああよかったね〜と語り合いながら帰る家路の楽しさよ。
歌舞伎美人 猿若祭二月大歌舞伎
玉さま阿古屋と勘九郎七之助初役文七夫婦が、わずかに蔦重を上回った。幸い友人が良席を取ってくれて、花道近くのとちり席。花道七三の一番いい姿をほとんど真正面で見られる角度。
一、壇浦兜軍記 阿古屋
もう玉さまの阿古屋は2015年に梅枝(現・時蔵)と児太郎に譲って見られないものと思った。3人の競演を見たのは2015年12月。
十二月大歌舞伎 夜の部 梅枝・児太郎・玉三郎の阿古屋
もう覚えていないと言っていいのだが、玉さまが圧巻であったこと、梅枝と児太郎が初役にしては頑張っていたこと(そして玉さまの岩永が異様なまでの存在感で圧倒的だったこと)は記憶にある。
もう二度と見られないかも知れないと思っていた玉さまの阿古屋。金銀の簪がキラキラ光って神々しく見えた。そして琴、三味線、胡弓を名妓らしく巧みに奏でながら、景清を想う気持ちを曲に表現する。生で見られるのはこれが最後かも知れないと思うと一挙手一投足が完璧に美しい。
そして、菊之助(三月に菊五郎を襲名するから菊之助としては最後)の秩父庄司重忠(畠山重忠がモデルだそうで、生締めの端整な若い立役が似合う、文武両道に秀でて音楽にも優れた眉目秀麗な裁判官)が微動だにせず一音たりとも聴き逃さず一挙手も見逃すまいとする姿の美しさ。種之助さんが滑稽で醜悪な悪役を人形振りで演じるのは勿体ないけど、ユーモアのある仕草が(玉さまと違って)くすっと笑える感じなのでバランスがよかった。
一、絵島生島
これは初めて。大奥総取締の絵島が投獄される絵島事件は多少知ってるので、大正年間につくられた舞踊劇の絵島生島の趣向は多少わかる。三宅島に流される生島新五郎を菊之助丈、絵島(の幻)と三宅島の海女を七之助丈が二役で踊り分け。菊之助さんは踊りも演技も上手だし、何より菊五郎さんと富士純子さんの遺伝子を受け継いだ丹精なお顔とすらりとした姿が美しく、島流しにあってやつれて狂う生島新五郎の哀れさがハマリ役。七之助さんも踊り巧者なので安心して見ていられた。
一、人情噺文七元結
そして終幕が人情劇というのは滅多にないことだけど、誰も悪人が出てこない、これが最後に来ることで気持ちがほこほこして帰れるのがいい。
二十年来の生落語ファンとしても三遊亭圓朝作の『文七元結』は古典落語屈指の大ネタ。天保生まれで明治維新(江戸っ子は「ご瓦解」と言うらしい)を経験した圓朝は、薩長が幅を利かせる東京に江戸の気風(「きふう」より「きっぷ」と読みたい)に響く落語を創作した。酒と博打に溺れて左官業を半ば放り出している長兵衛を諫めて家計を建て直し、夫婦仲を取り戻して欲しいと自ら吉原に身を売る娘のおかげで借金できた五十両を、通りすがりの見ず知らずの若造が身を投げんとするのを押しとどめ、自分にではなく娘が悪い病にかからぬように拝んでくれと言って投げつけるように五十両を与える長兵衛の描写は生半可な落語家にはできず、真打ちならではという代物。個人的には談春さんの佐野槌の女将の諭しに説得力があって大好き。なので、歌舞伎として見るなら中村屋で見たかった。
十七代中村勘三郎→十八代中村勘三郎→当代中村勘九郎と三代にわたって受け継がれている中村屋の芸。さすが兄弟、息の合った長兵衛とお兼の貧乏夫婦。勘九郎さんは、酒と博打に身を持ち崩してはいるけど、憎めない長兵衛そのもの。七之助さんは貧乏神おびんちゃんに続き、コメディエンヌとしての才能をバキバキに発揮(でんぐり返ってた〜!)。勘太郎くん(声変わりしてたけど)のけなげなお久。鶴松の生真面目だけど囲碁に見境がなくなる手代文七、コミカルな部分も含めて芸達者なところを見せた。そして時蔵改め萬寿さんの貫禄ある角海老女将のお駒の、情けありつつも忘八の女房らしい采配を含めた長兵衛への説教。最後は芝翫さんや松緑さんも加わっての大団円で、ああよかったね〜と語り合いながら帰る家路の楽しさよ。
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