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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
 ……初回放送をほとんど「グダ顔(by堺さん)」で泣きながら視聴。明里さんと山南さんの場面はどれも涙を誘ったが、特に、出窓で山南さんに最後の別れをした後、山崎さんに背を向けながら顔をくしゃくしゃにして泣いた姿に、同じ顔で泣いた……。

 そして、放送終了後も、打ち寄せる波のように、哀しみが込み上げて来た。波が収まると、鉛を呑み込んだような鈍い重みが胸に残った。

 悲しみを紛らわせるために、トマトスープを煮込み始めた。下ごしらえにしばし手先を煩わせることができる以上に、本能が、食べ物の煮える匂いやコトコト音や湯気によって与えられる癒し感を求めているらしい。

 堺さんは『ザ テレビジョン』8月27日号のインタビューの中で「この話は、その友の死以上でも以下でもない、ひとりの男の等身大の死なんです」と語った。ドラマという虚構の世界で俳優が演じる虚構の死にも関わらず、なぜこんなにも、胸に迫ってくるのだろう……。



 二度目の視聴は、トマトスープで腹を満たしてから。せめて腹を満たしておけば、多少は感傷に揺られなくて済む。

 あえて共感しないように、感想と分析を書くために冷静に視聴しながら、ひたすら手を動かして感想と分析を叩き出す……でも、録画したDVDを編集するために手を止めて画面を見てしまうと、もういけない。早く感想を書き上げて、泣いてしまいたい……。



 三度目は録画再生。とにかく、感想を書き上げよう……どうにか、粗打ち完了。



 四度目が、午後8時からの本放送。どわ、ここで初めて「もう、この笑顔には会えない」番宣スポットを見てしまった……動揺。

 ああ、本当に悲しい時ほど、人はなかなか泣けないもんだ……。



 五度目には、土方さんの「グダ顔」に、同じ顔で泣いた……声を上げて。



 今回は、感想を書くのがすでに辛い。申し訳ないが、いつものように細かく場面や台詞を抜き出すことはできないだろう。ただ、第30話放映以降、ずっと山南さんと土方さんの葛藤を分析してきた白牡丹としては、今回登場する「ミッシングリンク」を解釈しておくことは忘れていない……あの場面、何しろ口数少ない斎藤さんの解説(苦笑)だけに、あれだけだと説明不足だと思うし。

 そして、今回は顔文字なしで書こうと思う。深い悲しみは、顔文字には表せない。ただし、「(汗)」「(涙)」などは使いますが(苦笑)。



☆★☆★



 大津近辺。明里さんが「先生、ほら、菜の花」と、摘んだ水仙を差し出す。「それは水仙です」と菜の花との違いを教える山南さん。この季節に菜の花は咲かないと教える山南さん……これが、後の方で、効いてくるんだな……。

「行きましょう。少し急いだ方がいい」

 草津に着けば東海道と中山道の分かれ道で、草津からどちらかの道に行けば、それだけ追跡をかわしやすくなる。この時の山南さんは、本当に逃げ切る意思を持っていたのだろうか……先を急ぐと言いながらも、明里さんが「お腹空いた」と言えば、水茶屋で休憩して時間を使ってしまう。

 たぶん、脱走するとは決意したものの、自分が心の底で何を求めていたのかは、まだ掴めていないまま、後ろ髪を引かれる思いだったのだろう。



 追っ手の総司君は、馬に乗りながらも、のろのろと進んでいる。自分を追っ手に選んだ近藤さん(と、それに賛同した土方さん)が何を望んでいるのか、よくわかっているから。

「総司。俺がなぜお前を行かせるか、その意味をよく考えてみろ。新選組局長である以上、逃げた隊士を見逃すわけにはいかん。しかし見つからないものはしょうがない」

 この時以降の今回の近藤さん、本当の意味で局長になったと思う。葛山さん切腹の場面では、独断専行した土方さんを殴り、なじることができた。しかし、今回は、土方さんと同じ立場で、辛い一日に責任をもって当たった。

 現実の世界では、こういう時に我関せずで、部下に責任を押しつける上司だっている(幸い、白牡丹は、そういう上司に当たらずに済んでいるが)。

 今回の収録について、香取さんが「僕はここのために1話からやってきたんだなと思った」と語っているけど、白牡丹は同じ意味で真の「局長近藤勇」になった回だと思う。



 水茶屋の明里さんと山南さん。本当は身請けしているんだから「おすず」さんでもいいはずだが、山南さんが最後まで「明里」と呼ぶのは祈りを込めて名付けたからだと思うので、この感想でも「明里さん」で通す。

 ふたつ残った団子の食べ方なんて他愛もないことだけど、初めて明里さんが山南さんに教えてあげられたこと。胸にじーんとしてしまった。山南さんは秀才だけど生活感が希薄で、こういう生活の知恵(というほどでもないかも知れないけど^_^;)とは縁遠いよな……でも、山南さんからお汁粉代なり知識なりを受け取る一方だった明里さんが、山南さんに与える側になったということに意味があると思う。

「なるほど」

 と、腕を組んで本当に感心している山南さんが可愛いと思った。



 そして、馬上の総司君を見つけた山南さんは、自分が何を求めていたか得心した笑みを浮かべ、自分から姿を現して、声をかける。

 多分、追っ手が総司君ひとり、しかもゆるゆると馬を進めているのを見て、山南さんは近藤さんや土方さんの意図を察知してしまったと思う。新選組の局長という立場では山南さんの脱走を容認することはできないけど、古くからの同志であり友である山南さんに対してかけた精一杯の温情に、山南さんは、屯所に帰る決意をする。

 自分の居場所がなくなったと感じて去った山南さんが戻るのは、新選組に再び自分の居るべき場所を見つけたからに他ならない。その場が、自分の命をもってしか得られない場所だというのが、見る者の眼にはやるせない。

 そして、「山南さん、何で声をかけるんだよぉ」と言いたげな総司君の表情も。



 大津の宿で一晩を過ごす山南さん、明里さん、総司君。

「強いていえば、疲れた」……山南さん、総司君にも自分の気持ちを素直に口にできるようになっているのは、すでに覚悟を決めたから。不器用……。

 このまま江戸に逃げてくれと頼む総司君に「駄目だ。それはできない」と拒む。

 明里さんが何も知らずに「お兄ちゃん、(風呂に)入ってきたら」と無邪気に声かけるのが可愛い。

 京都に戻らねばならなくなったと明里さんに告げる山南さん。丹波の親元に戻るように諭し、「妙に感謝されても困るので今まで黙っていたのですが、私はあなたを身請けしたのです」と、照れつつ、妙にかしこまって言う山南さんが愛らしい。

 そして、明里さんの手を握って「私はあなたに感謝してるのです。心の底から」と言う山南さんの、暖かい笑顔……人を慈しむ心だけでなく、それを得るためには自分の心を曝すことも必要だということを、山南さんは明里さんから学んだのではないかと思う。

「今度、いつ会える?」と無邪気な明里さんの問いかけに、はっきりと答えられない山南さんの表情が、これまた、やるせない。そしてまた、「きっと」と約束してしまう表情も。



 壬生。戻ってきた山南さんと近藤さんの対話。

「どうして戻ってきたのだ。我らの気持ちをなぜ察してくれない」

「申し訳ありませんでした」

 丁寧に頭を下げる山南さんに、無念の表情で「もうあなたもわかっていると思うが、こうなった以上、私はあなたに切腹を申しつけることになる」と告げる近藤さん。

 組織を統率する側は、私情を抑えても下さなければならない決断がある。「残念です」としか、言いようのない決断が。

 今日が、2年前に京都に到着した日だと静かに言う山南さん。

「私はあなたに出会い、あなたに懸けてきました。近藤勇のため、新選組のために、この身を捧げてきました……しかし、それはもう、自分の手の届かないところに行ってしまった……ここにはもう、私のいるべき場所はない」……自ら切腹という手段を取る以外には(涙)。

「こうなる前に……あなたの思いに身を傾けることのなかった自分を、恥じ入るばかりです」

「その言葉が聞けただけでも、本望です」

 近藤さん、障子を開けて、山南さんに背を向けて坐る。今一度、逃げる機会をつくるのだが、山南さんは静かに障子を閉じる。その表情は、静かで穏やか。

 なぜ逃げぬ、と心痛深い近藤さん。

「近藤さん、私はあの日、試衛館の門を叩いたことを、少しも後悔はしていませんよ」

 ……山南さん、あなたは、土方さんにも負けないほど不器用です。



 幹部会議。謹慎で十分ではないかと激する永倉さんや「だけど山南さんだぜ」と情に訴える左之助に「ここで山南を助ければ、俺たちは情に流されたことになる」と頑張る土方さん。「新参者が口を挟むなと言われても」と、あえて寛大な処分を求める伊東先生も、突っぱねる。

 局長自身の言葉を聞きたいと頑張る永倉新八っつぁん。近藤さんの決意の固さに、新八っつぁんすらも、動揺する。



 助命嘆願をする松原さん、河合さん、尾関さん。みんな、山南さんに採用された隊士達。

 しかしなぁ、こういう時こそ、辛いのは局長副長なんだよ(ぼそ)。あーあ、土方さん、「うるせぇんだよてめぇら!一緒に腹切りてぇのか」と爆発。自分自身が辛いということもあるけど、おそらくは近藤さんが辛くなるのをかばうための怒声だと思う。

 そして、情に流されずに怒声を上げなければならない、鬼の副長という立場のやるせなさ。

 そして、土下座する彼らをいたわる源さん、自分の役所をよく心得ている……。



 近藤さん、山南さんから介錯は総司君にと頼まれる。



 あ、ストーリーブックに書かれていた、総司君が斎藤さんに介錯の仕方を習う場面がない……(汗)。



 そして、伊東先生とその門人が助命嘆願する場面もカットされている……(嘆息)。この場面がカットされて残念なのは、最後の方で近藤さんと土方さんに声をかける伊東先生の意図を、視聴者が悪く解釈する可能性が高いからだ。後述。



 八木源之丞さん・まささん夫婦までが土方さんに助命嘆願。

 源之丞さんが言う「仲間内の殺し合い」ではないのだ。だから「源之丞さん、それはあなたが言うことではない」と、無表情で、土方さんはつっぱねる。



 尾関さんには新選組が何をしたか記録に残すように言い置き、河合さんには金銭出納をきちんとするように言い置く……後に鳥羽伏見の戦いで新選組の活動に関する資料が処分されて残っていないことも、河合さんがその後どうなったかも思えば、この残し置く言葉は切ない。



 最後の日まで書き物を残す山南さん。島田魁さんを「土方さんが呼んでいる」と出任せ言って追いやって、山南さんに脱走を勧める永倉さんと原田さん。

 しかし、ふたりが開けた障子をぴしゃりと閉める山南さん。自分が、そして新八っつぁんと左之助までもが一緒に逃げたら、新選組は崩壊してしまうと知っているだけに、山南さんは踏みとどまる。

 そして、新選組と近藤さんを見届けて欲しいと伝える山南さん。山南さんが、こんなに雄弁に、熱を込めて人を説得することが今まであっただろうか……命の終わりを前にした人間が心底から発する思いほど、人を説得するものはない。

 それまでは「書物の知恵」でしかなかった山南さん、「主義主張でなく、人と人との繋がり」を通じて人を動かすことをたった二日で体得できた時には、もう残された時間はない……。



 土方さん、島田魁さんに石田散薬を勧める。酒と一緒に飲めって、魁さん下戸だって知っててか(汗)。

 うーん、この土方さんの取った方法は、白牡丹はいただけない。だって、もし、魁さんが酔った隙に山南さんが逃げたら、魁さんが切腹しなければならない。
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