立川談春独演会＠横浜にぎわい座 四月公演

　『慶安太平記』の「善達の旅立ち」「吉田宿の焼き打ち」、『猫定』の二本立て……たっぷり。しかも、『猫定』のマクラ、短めの談春師にしてはてんこ盛り大サービスでわんわん笑わせてもらった。

　詳しくは、また。

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　談春師、桜の話題もそこそこに切り上げ、『慶安太平記』を。師匠の談志家元と「善達の旅立ち」「吉田の焼き打ち」を親子リレーしている(歌舞伎座での親子会でもかける予定だったけど、家元が体調不良でかけられず、談春さんが急遽『芝浜』をかけた……と聴いている)だけに、思い入れのあるネタではないかと思う。この後に『猫定』を控えているのに、ずいぶんと大ネタだなぁと感心しながら聴いていた。

　アウトローの活躍ぶり(徳川の世の転覆を謀って御用金目当てに役人を大量殺害し、逃亡のために仕掛け花火で火事をおこす……今の時代だったら相当なテロリストだな^_^;)をとても楽しそうに描く談春師。

　さらに、普段は実直そうな宿屋の番頭が、主人が窮地に陥りそうとみるや手のひらを返してブラックになる場面(お調べの拷問がどんなに凄いかぱぁぱぁ語るとか、あんたが死んだら自分が宿屋の婿養子に入って女将さんと宿をもり立ててやるからと宣言するとか)に笑ってしまった。

　火事に巻き込まれそうになる吉田橋のたもとのあばらやに住む老夫婦、特に婆ちゃんがかわいい。

　ちらっと出てくる「知恵伊豆」松平伊豆守信綱公は、颯爽と切れ者の大名っぷり。

　由井正雪が出てきて「ここからが凄いんです」と予告して終わるという(笑)。いやー楽しかった。

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　そして、中入り後、談春師にしては長いマクラ。

　林真理子さんとの対談が『週刊朝日』に掲載されるのだけど、林さんに「あなたの色気は女性の子宮を動かす」と印象的な言葉で持ち上げられたとか。でも林さんは言葉や人の名前を覚えない人だった(NHKの朝ドラマを「てれとてちん」とか)とか。娘さんが学校落語を聴いて面白かったというから、親子ふたりで初めて聴きに行った落語が談志談春親子会＠歌舞伎座で、家元のきわどいジョークに当てられて中入りで帰ることにした、前の席がぽっかり空いてしまうのは演者に申し訳ないのでロビーでチケットを譲ろうとした相手が松井今朝子さんだった（もちろん、チケットは持っているからと断られた）とか。

　雑誌対談つながりで新潮社の『波』での吉川潮さんの対談企画の話題に。そういえばこんな雑誌にも取り上げられたと紹介したのが、10代女性がターゲットの『Zipper』という雑誌のおジッパーというコーナーで、今が旬のおじさんを毎回取り上げているのだそうだ。

（ここから先はまた後ほど！）

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　4月11日追記。マクラは、タイガーウッズってすごいよねという話に。スキャンダルの上に競技から半年ほど遠ざかっていたのに、マスターズでばりばり。で、家元にタイガーウッズを期待してませんか？　4月13日に紀伊國屋寄席でいきなり凄い舞台とか。ネットオークションで11万の値段がついたと知ったら、ぷいっと上がるのを止めるかも知れないよ……でも、「二人会」になっちゃったら11万円払った人はどう思うんだろう、みたいな話。ところで家元はタイガーウッズでなくてアーノルドパーマーです、という比喩はゴルフに縁のない自分にはわからんかった(汗)。

　談春さんにしては長いマクラ、さらに続く。キウイさん真打ち昇格に関するコメント、結構ありました。談春さん曰く、家元は二ツ目に昇進することを認めた三日後に弟子を破門するようなことがあるから、家元が真打ちを認めたら翌日にでも披露興行した方がいいんじゃないか、とか。『万年真打ち』は面白かった、といいつつも、キウイさんをいじるいじる(苦笑)。

　もひとつ、七代目圓生の争奪戦についても。川柳川柳師匠が「談春でもいいんじゃないか」と自分を「第三の男」に指名したというネタ。「三遊亭立川圓生と名乗ったりして……で、志らくが対抗して三遊亭立川金馬とか」。

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　談春さんにしてはてんこ盛りなマクラの後に、たっぷり「猫定」。猫好きだけどホラー苦手な自分は聴いてなかった演目。

　命を救ってくれた飼い主に、黒猫が恩返しに飼い主の敵を殺すというホラーっぽい話ではあるけど、さほど怖い演出ではなかった(死体が棺桶の蓋を開けて立ち上がるという場面はあるが、笑わせる部分もある……つくづく今月の月番は災難だ)。

　この噺に出てくる猫定の女房は『鰍沢』の月ノ輪お熊以上の悪女だ。こういう悪女をやらせたら、談春さんはそれこそ女性の子宮を動かす(苦笑)色っぽさ。

　拾ってきた黒猫クマに丁半博打を指南する猫定親分をやってる時の談春さんの活き活きとした様子も、印象的。

　大ネタたっぷり、堪能。次回の「お若伊之助」他一席も聴きに行く予定です、楽しみにしてます！