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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
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 『新選組!』第31回、昨日は録画再生も含めて4回も見てしまった。三谷さん、お見事としか言いようがない。史実では建白書事件の処分をめぐって土方さんと山南さんが対立したという記録は残っていないが、このドラマにおける土方さん・山南さんの個性や価値観を踏まえながら対立を描き、山南さん脱走事件に繋げるという展開は説得力とリアリティがある。
 複数のブログで「土方さん嫌な奴〜」という感想が上がっているのも、ドラマのこの時点においては、三谷さん脚本と山本耕史さんの演技の狙い通りといえるだろう(苦笑)。
 白牡丹はどうしても土方さん贔屓の目で展開を見てしまうのだが、先週に引き続き今週も土方さんと山南さんの対立を通じて何が読み取れるか、自分なりの分析を示したい……新選組の創作もので出色の山南敬助像を描いている三谷さんと堺さんにも敬意を表しつつ。

1. 「謀反だ」と見る土方さんの視点

 建白書事件の首謀者たちにどういう処罰を下すのか苦悩する土方さんについては別項を立てて書くつもりだが、まずは「謀反だ」と認識する土方さんの立ち位置について考えたい。

 その前に、この時期の新選組がどんな位置づけであったか、簡単に記しておきたい。京都守護職である会津藩主・松平容保候お預かりの浪士集団(手当はもらっているが、家臣ではない)で、平時は幕府の警察機構と協力しながら京・大坂において不逞浪士などの取り締まりをおこなっている治安警察(池田屋事件など)、戦時においては会津藩の指揮下に入って軍の一部を構成する(八月十八日の政変・禁門の変)有志の団体、というのが白牡丹の理解である。そして、この時期の新選組は、朝敵となった長州藩を幕府が攻撃する可能性を視野に入れて隊士を増やし、戦闘集団としての組織を整えようとしているところだった。
 大河ドラマ『新選組!』において、土方さんが「近藤さんについていこうとする同志の集団」から「日本一」の戦闘集団に変身させるために打とうとしている手段に古参の同志たちに反発されてキレたことは「組織編成と報酬 土方さんはなぜキレたのか」に書いた。
 今回、土方さんの言動で白牡丹が着目するのは、建白書事件について「あいつらがやったことは謀反だ」という発言だ。

 新選組を現代のベンチャー企業や学校のクラブ活動になぞらえて理解しようとされる視聴者は、それはそれで自分のわかりやすい状況で新選組を理解しようとする行為だと思うので白牡丹はそれを悪いとは言わない。
 けど、軍隊をはじめとする戦闘集団は、その目的を効率的に達成するために、平時の組織とは違う理屈で動かざるを得ない。
 たとえば、敵前逃亡は、最悪の場合は死刑になるほどの重罪になる。このブログで生々しい現代の政治の話題はしたくないが、米軍兵士の身分で敵国に亡命したジェンキンスさんの扱いを巡って米国が人道的な理由で政治的な配慮をもって決着するという方向を出すまで強硬な姿勢を取ったのは、敵前逃亡を容認してしまっては軍隊として機能しなくなるからである。
 同じように、近現代の軍隊組織においても、軍法会議で処罰の対象になる行動に反乱(組織・制度を破壊するために武器を使用すること)や上官に対する反抗・命令への不服従がある。上官の命令に従わなかったり、まして命令系統を破壊するために反乱したりすることは、軍隊においては致命的なのだ。
 ちなみに白牡丹は、軍隊や治安警察が、その性格上「上官の指示命令は絶対」となることは必然だと考えるだけに、へたれなくせに自分の考えを捨てなければいけない組織に組み込まれるのは絶対嫌なので「絶対に徴兵されたくない」と思っている(苦笑)。

 だが、白牡丹個人の好き嫌いは別として、これは指摘せざるを得ない。近代の軍隊においても「反乱」は「首謀者は死刑」となる軍規違反だ。

 近代国家となる前の日本の例を探してみた。新選組の建白書事件より少し後になるが、長州藩で高杉晋作らが組織した、有志の軍事組織である奇兵隊に属する第二奇兵隊(南奇兵隊)に属する隊士たちの一部が、軍監を殺害して脱走し、幕府代官所を襲撃する事件があった。長州藩に鎮圧され、戦闘に生き残った関係者は、斬首という極刑を受けている。
 第二奇兵隊の脱走者たちがなぜそのような行動に訴えざるを得なかったのか、その処分が正当なものであったのかは、長州藩についいてはまだまだ勉強の足りない白牡丹なので、ここでは論陣を張ることは控えたい。ただ、同じように有志の戦闘集団であった奇兵隊においても、指揮命令系統に反抗した関係者は重罪に処されたという例として、挙げさせていただいた。

 新選組においての建白書事件は、武力をもっての指揮命令系統への反乱ではないのだが……自分たちの切腹か、局長の切腹かをもって迫る行為は、(少なくとも局長・副長にとっては)上官の命令不服従以上の敵対行為だった。建白書を書くように助言した側・それを受けて行動した側の認識は違ったかも知れないが、ドラマ『新選組!』設定の土方さんは、重大な違背行為であると認識し、「謀反だ」と言ったのである。
 土方贔屓が過ぎるかも知れないが、人徳でもって隊士を惹きつける局長を立てて守るために自分が泥をかぶると決め込んでしまっている土方さんにとっては、新選組を日本一の戦闘集団にしようと取り組んでいる矢先の反抗で、ぴりぴりせざるを得ない。

 そして、もうひとつ言ってしまうと、近藤・土方体制が確立したのは、その上位にあった芹沢鴨を暗殺するという「下克上」の手段であったということも、内部統制を確立したいという動機につながると思う。
 この時点の土方さんがはっきり認識していたかどうかはドラマからは読み取れないが、寄せ集めの浪士集団であるからには、指導者層のやり方に不満を持った隊士たちが武力を持って造反するというリスクは常にあった。だからこそ法度を明文化し、指揮命令系統をはっきりさせ、働きのあった者とそうでない者には褒賞金の差をつけるという、この時代にあっては合理的な方針を明確にしている土方さんなのだ。そのコインの裏側は、脱走する者や上部の方針に異論を唱える者には厳罰をもって処そうとする「鬼の副長」である。

 最終的に葛山武八郎の切腹で決着するという決断を下すまでの土方さんの苦悩については別項を起こそうと思っているが、建白書事件をめぐっての土方さんの対応には、まずこういう状況があるということを、指摘しておきたい。

2. 「造反有理」な山南さんの視点

 三谷脚本でうまいな〜と思うのは、土方さんに対立する山南さんの視点に「造反有理」を持ち込んだことだ。「造反有理」とは、東洋思想に詳しくない白牡丹なりに理解している限りでは「反乱を起こす側にも理屈がある」ということだ。

 山南さんは言う。「だったら起こらないようにすればいい。彼らの不満を見定め、それに対処するのが先です」
 つまり、有理な造反を引き起こす前に、指導者たちが善政を敷くべきだ、という理屈である。東洋思想に不勉強な白牡丹なのでこれ以上解説するとボロが出そう^_^;だが、その原理をたどれば儒教に行き着くのではないかと思う。
 学問をよくした山南さんは、もちろん儒教も学んでいるだろう。儒教においては、指導者は徳をもって善政をしなければならないという前提のもとに、上下・老若の規律を重んじるところがある。為政者側がその徳を忘れて悪政に走った時は「造反有理」であるというのが中国の革命思想の根本にあるようだ(それ以上は語れない、不勉強な白牡丹^_^;です)。
 
 土方さんと山南さんの対立場面についての分析は別項とするとして、「謀反」と断じる土方さんと「造反有理」を主張する山南さんの思想の違いについて、まだ未完成の試論の段階ながら、書けたとは思う。

 ……さて、ここから先のふたりの対立について分析するには、もう一回録画再生して、じっくりと言動や表情を見ておきたい。
 ということで、今夜はこれにてとりあえず失礼。
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