今さらだが、第31話 処罰候補者リストの謎

　第32話を深掘りする前に、今さらながら第31話に白牡丹が考えてもよくわからない謎を見つけてしまった。



　永倉新八ら建白書事件の関係者に対する処罰について考え、やがて決断する土方さんの部屋に置かれていた、処罰候補者の名前を書いたリストについてだ。



「原田左之助

島田魁

尾関雅次郎

葛山武八郎」



　建白書事件に関わった6人のうち、土方さんが間者として送り込んだ斎藤さんの名前がないのは、理解できる。



　だが、そこに、「主犯」格の永倉新八さんの名前がないのだ。ということは、新八っつぁんには「誰かひとりに責めを負ってもらう」ための切腹を申しつける意思はない、ということだろう。



　建白書事件の直前、新たな組織編成の件で土方さんと真正面からぶつかったのは永倉さんだと土方さんは当然ながら覚えているだろう。そして、間者として潜り込ませた斎藤さんの報告からも、誰が建白書の主導権を握って知っているはずだ。



　近代の軍隊の処罰規定では、「反乱」の首謀者は極刑となる。



　新選組は近代の軍隊ではないが、こういった場合、主犯に対して最も重い処分をするのが普通だろう。



　ドラマの土方さん、最初から見せしめ・一罰百戒の意味で誰かひとりを処分する必要があると考えていただろうが、それが主犯の永倉さんに向かわないのは、なぜだろう。



　白牡丹、自信がないながら、仮説を提示してみる……ただ、後で、その仮説が正しいかどうか自信がない理由として、ひとつの疑問も提示する。ブログの読者から、この仮説についてご意見を賜りたいと思う。



　土方さんが永倉さんを処罰の対象者から外したのは、試衛館の食客として壬生浪士組の創設から関わっている試衛館組+斎藤一さんの合計9人のひとりで、実戦部隊をまとめる副長助勤のひとり、かつ池田屋事件で近藤さんに並ぶ功労のあった剣士、という点を配慮したのではないか。今回の処分は、永倉さん自身に今後自重してもらうことが目的で、永倉さん自身を処罰してしまったら、厳しい処分をめぐって新選組の内部で不満が増幅する可能性がある。しかも、永倉さんには、たった4人とはいえ(建白書を書くという手段には、山南さんの助言があったにせよ)自分の意見に賛同する者を集めることができるリーダーシップを持っていて、信望もある。意見は真正面からぶつかったが、新選組を大きくするためには欠かせない人材だと、土方さんは考えたのかも知れない。



　ただ、同じように古参の仲間で、同じく副長助勤のひとりである原田左之助がリストに入っている点を、どう解釈していいものか。あえて上で「池田屋事件の功労者」と「リーダーシップ」「信望」という点を挙げたのは、土方さんの頭の中で新八っつぁんに対する評価と左之助に対する評価が分かれる理由を考えてみたわけだが……表には言いにくいけど、左之助も「芹澤一派暗殺の功労者」という点がある。「リーダーシップ」とか「信望」という点では、新八っつぁんと左之助は明らかに差があるけど(ただし、アホだけど戦闘能力の高さは折り紙付き)。



　白牡丹、もしあのリストに「原田左之助」の名前がなかったら、古参幹部には手をつけないという方針なのかなと理解したが(身びいきだと批判される方もいるだろうが)、左之助の名前があることに悩んでいる。



　葛山武八郎を最後に選んだのは、切腹処分にした時の新選組全体への痛手が一番少ないと考えたのだろうということと、建白書の下書きを書いているという明白な関与に処罰の理由を説明しやすいということが根拠なのだろうと思うのだが……土方さん、原田さんまでリストに挙げたのはなぜか、教えて欲しい(汗)。