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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
 かねて宣言したように、藤堂平助くんを分析したい。主に、伊東先生との関係を中心に……動機は、ごく個人的に、自分史に重なる場面があったということで^_^;。



 平助くんを中心に、伊東先生との関係、近藤さんとの関係を遡って検証したい。まず、その前に、平助くんと近藤さんの関係、平助くんと伊東先生の関係を中心に、平助くんの心の軌跡が伺える場面を切り取って(白牡丹の茶々を挟みながら^_^;)再現する。

 ……その検証だけでも、五部作ぐらいになりそうで、怖い(爆)。



1. 第5話「婚礼の日に」〜初々しいお遣い〜



 平助くん初登場の回。近藤さんの婚礼の場に、深川の北辰一刀流・伊東道場の道場主「伊東先生」の使いとしてお祝いを述べる。



「主の使いとしてやって参りました……えー、この度はまことにおめでとうございます。我が師は昨日よりの風邪が重くなり、残念ながら本日は伺えません。あ、くれぐれよろしくと、申しておりました。あの、些少ではございますが、お受け取りください。どうぞ」

 ここで「伊東先生」とカッコつきで書いたのは、この時史実の道場主は伊東大蔵(甲子太郎)先生の先代、伊東精一郎先生なのだが、大河設定ではハッキリしていない……と思ったら、第8話で平助君自身が解説している大蔵先生の経歴から、風邪を口実に出席を見合わせたのは、先代の精一郎先生だとわかる。

 ちなみに、藤堂平助を演じる中村勘太郎さんは大蔵先生について「伊東は平助の恩人です。平助は幼いころに両親を亡くしているので、伊東に拾われたという気持ちが強いんです」と述べており、中村さん解釈では大蔵先生に恩があるということらしい……平助くんを拾ってきた大蔵くん、精一郎先生に「捨てて来なさいっ」と叱られても「ちゃんと世話します、躾けもきっちりします、毎日散歩に連れて出します。だから飼わせて下さい」と粘ったとか……(違〜うっ^_^;)。



 師匠の名代として派遣されて、初々しくもお遣い役を果たす平助くん。

「礼儀正しい青年だ」という山南さんに「ししょーは無礼じゃねぇかよっ」とツッコミを入れる土方さん、グッジョブ(^^)。←平助くんを中心に、といっても所詮は土方贔屓^_^;。



 この日の平助くんは、師匠の欠席を断りに来ただけなので、新郎である近藤さんには対面していない。



2. 第7話「祝四代目襲名」〜試衛館に移りたい?〜



 平助くんは近藤さん四代目襲名の記念に催された野試合にお祝いで見学に駆けつけ、総司くんの引き合わせで近藤さんに初対面。さらに、成り行きで野試合に参戦。

 これが、天然理心流・試衛館の門人たちの実戦強さと自由闊達さに平助くんが惹かれるきっかけとなった。



 野試合の後の、総司くんとの会話から。

「私も試衛館に入りたかったなぁ。沖田さんが羨ましいです」

 視聴者が「平助くんが試衛館に憧れるのは、今の道場に何か不満でも?」と気になる一言……それが明らかになるのは、次の第8話。



3. 第8話「どうなる日本」〜「名前を覚えててくれない」vs「沖田総司。忘れようか」〜



 冒頭、大河ドラマ『新選組!』ファンで多摩編から見ている人には印象深く記憶に残っているであろう、納豆談義の場面。和気藹々とした試衛館の朝食の場に、平助くんが現れる。

「藤堂さんじゃないですか!」

 気づいた近藤さんに声をかけられて、感激する平助くん。



 場が変わって、平助くんが総司くんとふたりになる場面。

「この前の話、どう思います? 私はかなり真剣なんです」

「うちに入るって話?」

「はい。今朝、近藤先生とお話しして、余計気持ちが固まりました。やっぱりあの人は凄い」

「どうしてそう思ったの?」

「私の、名前を覚えててくれてた! たった一回会っただけなのに!」

 すごーく感激して言っている平助くんが可愛い……一方、試衛館で内弟子として暮らしてきた総司くんは、周斎先生と勇先生しか知らないので、平助くんの感激がわからない。

「そんなこと?」

「あ……うちの先生は、いまだに私の名前、覚えてくれてませんから」

「何て呼ばれてるの?」

「そこの、とか、きみー、とか、あ、右から二番目、とか」

 前回の「沖田さんが羨ましいです」は、若い総司くんを塾頭として取り立てているとか、食客をのびのびと活躍させているとか、実力重視だとか、天然理心流の自由闊達な雰囲気と、相手の人となりを尊重してくれる勇先生の人間性に憧れての発言らしいことが、ここでわかる。

「うちの先生は、近所の犬だって名前で呼ぶけどね」

「私は、犬以下か……」

 しょんぼりな平助くん。

「うちは願ってもないけど……」

 と、応じる総司くん。ぱあっと顔を明るくする平助くん。

「そっちの先生が何と言うかだな」

 平助くん、伊東先生がどう対応するか心配げな顔に。

 ……伊東大蔵先生が平助くんを名前で呼ばないのが、覚えていないわけではないことを、視聴者はドラマ後半で知ることになる(苦笑)。



 後見として立ち会うと請け合ってくれた新八っつぁんと総司くんと共に、平助くん、伊東道場へ。伊東大蔵先生の経歴について「去年、道場を継がれました」と平助くん自身が言っているので、大河ドラマ設定でも、第5話「婚礼の日に」で風邪を口実に出席を断ったのは先代の伊東精一郎先生ということになる。

 伊東先生、加納さんと共に登場。

「話すまでもない」

「先生……」

「道場を去るのはあなたの勝手だ。しかし、よその道場に移るのを認めるわけにはいかぬ。流派が違うとなれば言語道断である」

 まずは「あなた」と丁寧に呼びかける大蔵先生、全体に文語調。

「そこを何とか」

「きみは確か、北辰一刀流の目録を得ていたはずだね。にも関わらず、別の流派を一から学ぼうと言うのか」

 平助くんが諦めずに嘆願するので呼びかけ語がグレードダウン(爆)、次は「きみ」。しかし、目録持ちだということはちゃんと記憶している伊東先生、平助くんのことをまったく覚えていないわけではないのだ。

「どうか、お願いします」

「この件に関しては、これまで」

 道場主の対面に関わる移籍話、しかもマイナーな他流派への移籍話なので、大蔵先生はにべもない。「この件に関しては、これまで」……伊東語録に入る、名台詞のひとつだ(^^)。

 新八っつぁんのとりなしで、平助くんの移籍を巡って加納さんと総司くんが試合うことになる……この場面の「つまらんことを言うのう」も伊東語録入り(笑)。
 稽古場で加納さんを打ち負かす総司くん。食い入るように試合を見ていた伊東先生、微かに表情を動かす。ちょっと動揺するが、おくびにも出さない。総司くんをじっと見つめる。

「よろしい。その男を差し上げましょう」

 平助くん、とうとう「その男」^_^;。見切りをつけてしまうと、途端にそういう呼び方になってしまう、ドライな伊東先生。

「ありがとうございます」

「ただし。代わりにきみをいただく」

 ぎょっとして、総司くんを見やる平助くん。

「私ですか!?

「それでは話が違う」と、初めて……おそらく、初めてだと思うが、師匠に抗弁する平助くん。

 その抗弁に耳を傾けることもなく、伊東先生にスカウトされた総司くんを、ぐっと身を乗り出して見つめる伊東先生。

「うちの加納を打ち負かした腕前、天晴れである。今後は私の手となり足となって働いてみないか」

「ご冗談でしょ……」

 立ち上がり、先生、演説。

「ここは、ただの町道場ではありません。いずれはこの伊東大蔵、門人を引き連れて京に上り、尊皇攘夷のために一身を投げ打つつもりです。その日のために、きみのような若者を捜していたのだ」

 総司くんには丁寧語なんだな^_^;。でも、世の中のことにちょっとでも関心のある若者なら飛びつく「尊皇攘夷」思想だろうが、相手は山南さんに「ご存知ないですねー」と返すような総司くん。「いずれは上京」「尊皇攘夷に一身を投げ打つ」「きみのような若者を捜していた」という豪華三点セットの口説き文句は空振りだった(爆)。伊東先生、そういう人もいるということを覚えておいた方がいいですよ(苦笑)。

「そういうの、よくわからないですから。それに、人の名前を覚えられない人の下で働く気はありませんし」

 可愛い顔してずけずけと言う総司くんに、ぎょっとする平助くん……自分が総司くんにそうこぼしていたことが師匠にバレバレ^_^;。

「沖田総司。忘れようか」

 さらに追い討ち、自分の名は呼ばないのに総司くんの名はフルネームで覚えていることに、呆然とする平助くん。この時点で、平助くんが名前で呼ばれないのは、伊東先生が記憶してないのではなく、平助くん名前で呼ぶのに値しないと評価していることが伝わってしまう。

「お前、好きなところに行ってよし」

 ますます愕然とする平助くん……呼び名も「お前」にグレードダウンしてるし〜(^^ゞ。

 「それでは筋が通りません」と抗議する新八さんに再び、伊東先生、「この話はこれまで」と交渉の余地を残さない。

 しかし、加納さんが「いささか往生際が悪うございますぞ」と取りなし、「形の上では我が道場から貸し出すということにさせていただきましょう」と、伊東先生は道場主として体面を保つ形で平助くんの移籍に同意する。

 移籍が認められて嬉しい平助くんだけど、伊東先生が自分をどう見ているかを、総司くんへの対応との比較で知ってしまったわけだ……。

 ちなみにこの場面、伊東先生を演じる谷原章介さんは、総司くんを代わりにと所望した心境について、「でもそれは本当に沖田を欲しがっているというよりも、自分が何かを差し出すのだから、そちらはどうするつもりなのか? ということを問うているんですね。同時に、自分を納得させ、道場主としての体面を保つためにも彼にはその一言が必要だったわけです」(『Top Stage』2004年11月号)。



☆★☆★



 さて、ここまでのエピソードを中心に、ドラマ『新選組!』における伊東道場の雰囲気、伊東大蔵先生と平助くんの関係について、さらに踏み込んで考察してみたい。





 北辰一刀流といえば神田お玉が池の千葉道場が有名だが、雄藩が有望な藩士の子弟を剣と勉学のために留学させた道場で、時勢についての議論も盛んだった。その流れを汲む深川の伊東道場も「川向こう(江戸からは大川=隅田川を隔てた深川側をそう呼ぶ)」では指折りの道場で、常時、五、六十名の門弟がいたところ。ドラマ『新選組!』でも伊東先生が「ここは、ただの町道場ではありません」と言っており、その後に続く言葉からも、時勢や尊皇攘夷思想について語られる場であったろうと推測される。

 ただ、これは新選組入隊後の伊東先生が門人たちに語りかける場面を見ての推測だが、門人たちが闊達に持論を丁々発止と語り合うというよりは、国学をよくする伊東先生が時勢を見て得た見解を門人たちに講義する感じではないかと思う。門人たちは、おそらく席次も明確で、席次の順に礼儀正しく坐って、伊東先生の講義を拝聴し、伊東先生の見解について不明なところは質問することはできても、伊東先生の見解に疑問を挟んだりすることはなかったのではないか……伊東先生の学問の深さに敬意を抱いているから。

 平助くん、若くてペーペーの位置にあり、剣も学問もいまいち(学問については、推測だが^_^;)な青年には、ちょっと肩が凝る雰囲気だったのではないかな……先生には、名前呼んでもらえてないし。



 ただ、平助くんは、伊東先生の性格が嫌い(爆)とか、付いていけないとか、そういう理由で伊東道場から試衛館に移ったのではない、ということはストーリーから自明ではあるのだけど、押さえておきたいポイントだ。

 第18話で「私にはこの人のためなら死んでもいいと思う人がふたりいて」と語る平助くんを見ていると、文武共に優れた伊東先生を尊敬しているし、やっぱり伊東道場に拾われたことに深い恩義を感じていると思う。

 総司くんのような天才と接するにつれてますます自分が凡人だということを悟らざるを得ない平助くんにとって、伊東先生は文武ともに優れ、尊敬の対象ではあっても、その内面を知ることなど思いも寄らない相手なのですないかな……同様に、伊東先生もまた、平助くんの心の内を気に懸けることはまずない。この辺りについては、第40話にきちんと描かれていたので、第40話の感想を書いてから分析したい。
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