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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
面白かったNHK大河ドラマランキング



 「2位は『新撰組!』。脚本を三谷幸喜さんが担当し、SMAPの香取慎吾さんを主役に起用。その他のキャストも山本耕史さんや藤原竜也さんなど、若い人に人気がある俳優を起用することで、若い女性からの支持を集めたようです」。



 近年の作品では視聴率が高かった『利家とまつ』『秀吉』を上回っての第2位は、なかなかのものだと思います。



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 『THE有頂天ホテル』関連記事ですが『新選組!』にも関係があるので、一緒にご紹介します。



「有頂天ホテル」 三谷幸喜の快哉 (ゲンダイネット)



 ゲンダイネット、三谷作品でも『THE有頂天ホテル』は最初から割と好意的な記事を書いているようです。



 『THE有頂天ホテル』に好意的な記事も嬉しいのですが、さらにちょっと嬉しかったのは『新選組!』放映中はバッシングばかりだったゲンダイネットの記事に「これまで三谷はドラマ『古畑任三郎』『王様のレストラン』(以上フジテレビ)や大河ドラマ『新選組!』(NHK)といったヒット作の脚本を担当してきた。年明けには『古畑任三郎 ファイナル』の3作品が3夜連続で放送され、いずれも20%を超える高視聴率をマークした。NHKでは大河ドラマ史上初の続編『新選組!! 土方歳三 最期の一日』も放送された」という文章が掲載されたことですね。『新選組!』をヒット作のひとつに挙げているところが(笑)。



 『新選組!』ファンとしてはささやかな快哉を上げたい気分ですね(^^)v。
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【楽天市場】DVD-Direct 新撰組!!土方歳三の最期の一日(初回生産分のみ限定仕様)



『新撰組!!』じゃなくて『新選組!!』です……orz



それはともかく、DVD-Directは完全版DVD発売の時にも早くから予約取っていたところなので、信憑性は高いと思います。



DVDは4月21日発売、特典としてメイキングと京都トークショー収録(函館と会津は入りませんでしたが、まぁなかなかのセンスかな……)。



初回生産分のみ限定仕様、予約締め切りは3月14日。



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 発売元のジェネオンでも情報アップされてます。



【ジェネオン】『新選組!! 土方歳三最期の一日』



 ジャケットがむっちゃカッコいい〜(^^)。
 風邪らしく急に熱が出てきたので自宅療養中です。少し元気が出てきたので、ちょこっと更新します。



 『ほぼ日』の座談会、来ましたね(^^)。キーワードは「あっぱれ茂木」(爆)。この座談会もエンディングなんだなぁとしみじみ思いながら、一言一言を楽しく読みました。



 そして、べっかむ3さんのイラストが素晴らしい。「スリー・ロマンチーズ」って「チーズ」に引っかけたのかしら?(笑) 三人それぞれの特徴をつかんでいるイラストが秀逸です。で、ジオラマが牧場になってるとこが、ファンサービスですね。どんな牧場をつくろうかと軍議している「スリー・ロマンチーズ」、やっぱり土方さんと大鳥さんがいがみ合って榎本さんがニヤニヤしてるんだろうなぁ……そんな三人も見てみたかったですよねぇ(泣笑)。
 新たな趣向で書く前に、「このキャストで見たかった、あのシーンこのシーン」について、想像力を逞しくしてみました。



 89分と聞いた時に諦めたのですが、繰り言と承知しつつファンは「あれも見たかった、これも見たかった」と思い描いてしまうものですねぇ……。



1.会津で幕臣望月光蔵に枕を投げつける土方さん(爆)



 真っ先にこの場面を挙げてしまうんですよね……(滝汗)。



 『組!』ワールドでは、宇都宮城が陥ちた日、すでに近藤勇の処刑の日であることを知っていた土方さんなのですが、『組!!』に至るまでのブランクを埋める場面として考えられるのは、近藤さんの処刑を目撃した相馬君が会津で足の怪我のため療養している土方さんに近藤さんの処刑を報告し、改めて盟友がこの世からいなくなったことを感じて動揺する土方さん。



 そこに、運悪く出向いてきた幕臣・望月光蔵さん。文官志向の望月さんと根っからの現場指揮官の土方さんは相性が悪い上に、近藤勇処刑の模様を相馬君から伝えられて動揺が収まらない土方さんは、近藤さんが亡くなった日に宇都宮城を陥とされてしまったことを望月さんから糾弾されて切れる……さて、枕を投げつけて何と叫ぶでしょうね。



 やはり「あんたに何がわかるというのだー!!」でしょうか……(汗)。



2. 仙台で榎本さんに奥羽越列藩同盟の指揮官に推薦される土方さん……しかし諸藩との会談が決裂して席を蹴る土方さん、後に続く榎本さん



 会談前の打ち合わせで、少しだけど榎本さんに近藤さんを重ねてみる土方さん。



 そして、同盟に加盟する諸藩の重役が列する席で、榎本さんが「あんた、この職を引き受けなさい」と土方さんに言う。



 「大役ではありますが、お引き受けしたい。ついては、諸藩をまとめる軍の指揮を引き受けるからには、軍律を一つにして厳しくしなければならないと思う。一藩士の生殺与奪の権も含めて任せてもらえると思うが、それでいいか」と見得を切る土方さん。



 ビビる諸藩の重役たち。「……駄目だ、こりゃ」と毒づいて、席を蹴って立つ土方さん。その後に続く榎本さん。



3. 蝦夷地・江差で希望の星であった開陽丸が嵐で沈む場面に遭遇する土方さんと榎本さん



 『組!!』キャラクターのふたりだと、江差に伝えられる、土方さんが松の根元に拳を叩きつけて泣くという伝承はそのまま使えるとは思えませんね。



 務めて平静を保とうとする榎本さん、この戦はもう負けだと見切った上で死に場所を模索する土方さん、という図が『組!!』世界につながりやすいでしょうか。



 そして、希望の星である開陽丸が沈んだのを嘆く役は、大鳥さんに振ろう(爆)。史実では、大鳥さんは江差にいなかったと思いますが(連爆)。



4. 宮古湾海戦の土方さん



 三谷さん脚本だったら、どんな宮古湾海戦になったかなぁ……。



 乾坤一擲の奇襲に失敗して「くそぉ〜っ!!」と悔しがる土方さん、冷静に事態を把握して覚悟を決める土方さん、どちらもアリでしょうが……三谷脚本で山本土方だったら、前者かなぁ。死に場所を求めている一方で、局面局面では必死に勝ちを求めるのが山本土方さんらしいので。



5. 二股峠の土方さん



 89分でなくて120分近いドラマだったら、三谷さんもプロローグに二股峠の土方さん率いる隊の奮戦ぶりと、その後で酒を振る舞うシーンを10分くらい描くのではないかと思います。硝煙で顔を真っ黒にしている兵士たちが快戦にからっと笑う場面とか、軍事顧問として参加したフランス人士官と土方さんがカタコトで心を通じ合わせる場面とか、見てみたかったなぁ……(フランス人士官の役がヒュースケンに激似という設定で川平慈英さんだったりしたら、苦笑しちゃいますが^_^;……さらに握手を土方さんに求めたりしたりして……)。
 回想シーンの試衛館組+斎藤一&殿についての感想です。



 永倉・原田については別撮りだったそうですが、それと知るまでは余り違和感がない合成画面でした。うまいなぁと思うのは、近藤「先生」を師と仰ぐ試衛館門人と試衛館門人として溶け込もうとする人々、近藤勇には心服しているけどあくまでも同志であって「食客」である人々という距離感が空間の中にあることですね……その距離感が第31回「永倉新八、反乱」で表面化するわけですから、別撮りは単に俳優さんたちのスケジュールの問題ではなく、演出的な意図があったのかなぁと解釈しました。



沖田総司(藤原竜也)



 三谷さんが、『組!』ドラマを通じて試衛館組で一番振幅が大きいと言う体験を経て、最終回では絶対的な孤独の中にいるところまで演じきった藤原さん。それらを全部ゼロクリアーして、まだ何も経験していないキラキラした前髪の総司君に戻るって、役者さんって大変だなぁ、凄いなぁと月並みながら思いました。



藤堂平助(中村勘三郎)



 「私は獅子も強いと聞きましたが」と発言してるんだけど、総司君に「見たことないからなぁ」と結局スルーされてしまう(虎だってみたことないと思うんだけど……)ところが平助君らしい(爆)。それから、土方さんに近藤先生への伝言役を頼まれるパシリ扱い(汗)なところも、平助君ですね。



井上源三郎(小林隆)



 素手で熊に勝てる源さんって……(と、同じ感想の繰り返し)。



 でも、日光なら相手はツキノワグマですよね……蝦夷地のヒグマと源さんが闘ったらどうかなぁ(汗)。



山南敬助(堺雅人)



 「それはどうだろう。鵺は人の心がつくった想像の生き物じゃないのかなぁ。本当にいるとは思えない」と何気なく土方さんの意見を否定してしまって土方さんにムッとされる山南さん、やっぱり山南さんだ……。



 そして「道場主とはそういうものです」と世間の常識で仕切るのも、山南さんらしいです。試衛館組、唯一の常識人……(汗)。



永倉新八(山口智充)



 今回は胸筋をぷるぷるしないんですね……って、そんな感想じゃまずいか(汗)。



 「なにゆえ」と、少し古風な問いかけが「俺流」に剣の道を追及する永倉さんらしいです。



原田左之助(山本太郎)



 加藤清正は虎より強いし、「加藤清正は生き物じゃないのかよ」という正論が誰にも聞いてもらえない、これも左之助らしいといえば左之助らしいですね(苦笑)。



 手に虎がくっついているのか、という土方さんへの質問も左之助らしい発想(笑)。



斎藤一(オダギリジョー)



 「託した」「承知」という会話に尽きます……そして「この旗が俺を拾ってくれた。俺がいる限り、新選組は終わらない!」と勝沼で叫んだ場面に記憶がフラッシュバックします。



 史実での斎藤一は会津藩と行動を共にし、むしろ会津藩士になりきろうとしていたのではないかと思えるのですが、『組!』の斎藤一は誠の旗を心に掲げて後半生を生きたと思いたいです。



松平容保(筒井道隆)



 殿がその場にいらっしゃってくれただけで、和みます……。そして、「余のことは気にかけるな。勝つことだけを考えろ」と土方さんの背中を押してくれて、ありがとうございます。





 近藤勇(香取慎吾)については新撮りがないし、その場面についての感想はすでに述べているので、割愛します……(爆)。



 武蔵野楼の女将(南野陽子)についても、だいたい書いてますね。土方さんが立ち去る時に振り返る場面の表情と、榎本さんが降伏を幹部達に告げる場面での横顔は素敵でした。



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 ここまで感想シリーズを続けて、一段落です。



 この先、まとめ感想を書こうかと一時は思っていたのですが、シリーズもので続きを考えています。第31回〜第33回で山南さん・土方さんの心理分析をした時とちょっと趣向は違いますが、自分の専門分野に引きつけて『組!!』を語ろうかなと。『組!!』を教材にして、リーダーシップとかコンフリクト(対立、対人葛藤)の管理について解説する、講義録のようなものを考えています。うまく書けるかどうかはわかりませんが、週末にかけて取りかかろうと思います。



 あと、史実を絡めてちょっと書きたいことがあるのですが、調べものが発生しますので、こちらは後回し……。



 また、他ブログさんでの感想を読むことを自分に解禁しようと思っています。まったく読んでなかったわけではないのですが、ここまで書くために少し自制してましたので。
 キャスト&キャラクター感想、続きです。三日置いて、もう一度鑑賞し直して(通算で10回は越えていると思います^_^;)、書いています。今回は、永井様と新選組隊士たち@箱館編です。



永井尚志(佐藤B作)



 印象的な脇役は沢山いましたが、やはり、この方をまず挙げなければならないでしょう。この続編における数々の名言、心に残ります(「ごめんなさいでいいじゃないか」とか「さてと、降伏してくるか」とか、他にもいろいろ)。永井様には、「託す」「託される」関係を確実に目撃し助言できるお立場で、このまま桂や西郷が築く世の中を見届けて欲しいと思いました。



 『組!!』の中では旧幕府の高官の中で唯一、箱館の旧幕府軍に加わった人物ということで、陣羽織の和装が目立ってましたね。セリフ回しも少し時代がかっている感じが、アクセントになりました。土方さんが「永井様」と敬称付きで呼びかけ、礼儀正しく跪いていたことも印象的です。土方さんが心を許しているのも、永井様のお人柄というか人徳ゆえでしょうね。身分の高さにもかかわらず鷹揚な雰囲気と気さくさ(本編の「新選組に戻るってか」ってのは名台詞のひとつですかね^_^;)も魅力的でした。



島田魁(照英)



 続編の新選組隊士を挙げる時は、まずこの人になりますね。



 考えてみたら、『新選組!!』の第31回「永倉新八、反乱」で近藤・土方体制に反対した島田さんと尾関さんが、箱館の土方さんに付き従っているんですね……。新選組が好き、近藤先生が好き、他に行くところはないし……というだけでは、箱館の土方さんには付いて来ていなかったかも知れない。島田さん、河合さん切腹の時にはやるせなさに泣いてましたもんねえ。



 そんな島田さんが土方さんに箱館まで付いてきたのは、土方さんが丸くなったということが大きいと思います(もちろん、島田さんなりの「義」があったとは思いますが)。「隊士たちは皆土方さんに惚れている」と島田さんは言いますが、島田さん自身が土方さんに惚れているんですよね。一緒に七重浜の敵陣に食糧を奪いに行く時に、遅れてやってきた土方さんにぶつぶつと文句を言う島田がかわいい(笑)。



 だからこそ、弁天台場の守りを新選組に託して五稜郭に向かうと知った時には、子供のように駄々をこねて、がんぜなく泣く。土方さんの死を知った時には「嘘だ、土方さんは死なねえんだ」と動揺する。この島田さんなら、土方さんの戒名を書き付けた紙を懐に入れて、死んだ人たちのために冥福を祈る史実の島田さんにつながるなぁと思う次第。



尾関雅次郎(熊面鯉)



 本編では「誠」旗ができて旗持ちを任された時と「永倉新八、反乱」の時以外に目立ったエピソードのない尾関さんですが、今回は古参隊士のひとりとして、島田さんとは違った意味で土方さんの思いを受け継ごうとする尾関さんが描かれて良かったです。



 島田さんには「古株だが少し頼りない」と言われた尾関さんですが、実直で、自分の任務にはちゃんと身体を張っています。称名寺の戦闘で銃弾を物ともせずに旗を守る場面、永井様が「さてと、降伏してくるか」と呟いた直後に「うおーっっ!!」と旗を掲げる場面(ここは特に感泣ポイントでした!)がかっこよかったですね。



相馬主計(小橋賢児)



 この続編で新たに出てきた隊士のひとりであり、弁天台場降伏時には新選組最後の隊長を引き受けることになる若きリーダーとして、賢く冷静で爽やかな役柄でした。山南さんについて土方さんと会話した時は、もちろん山南さんのことについて詳しくなかったわけで。



 称名寺での殺陣のかっこよさ、弁天台場で土方さんの死を知って永井様に「間違いないんですね」と冷静に確かめ、砲撃に突っ込もうとする島田さんを引き留める場面、持ち味が出ていたと思います。



蟻通勘吾(山崎樹範)



 島田さんの「あれ、お前たち、そんな前からいたっけ?」のツッコミに「……すいません、目立たなくて」の答えが絶妙。



 人となりは余り描かれませんでしたが、称名寺での壮絶な戦死が印象的。ここを生き延びれば降伏隊士たちに入っていたはずなのに、という隊士を四人の中にひとりつくっておくところが、三谷さんの脚本の妙ですね。



山野八十八(鳥羽潤)



 蟻通さんより目立たなかった山野さん。ひょっとしたら、カットされた場面に蟻通さんや山野さんがキャラ立ちする場面もあったかも知れませんね……。



 でも、弁天台場で血糊を顔につけて、土方さんの死を知った時の呆然とした表情は、目立たないながらもいい表情でした。



市村鉄之助(池松壮亮)



 池松君が演じた鉄之助君、素晴らしかったです。数え16才の少年隊士としてのけなげさ、土方さんを心から尊敬する思い、一生懸命さ、戦場で命を懸ける決意とその裏腹な不安さ、そうしたものがよく表現されていました。飲めない酒を無理に飲もうとする場面と、土方さんの会話で「他に私のいるところはありません」と言うところ、さらに島田さん・尾関さんに捕まって怯えている場面が印象に残りました。



 そして、ラスト、谷川を超え、平原をひたすら走る鉄之助君には、土方さんの思いをつなぐ人たちのひとりとして、多摩の人たちの元に辿り着くという希望を、多くの人々が感じたと思います……私は、このラストに、土方さんの最期というドラマにも関わらず、深い悲しみよりも希望の方が勝りました。



回想シーンの試衛館組+斎藤一&殿はまた別稿にして感想書きをさらに引き延ばします……^_^;。書いている間はブログの他の方の感想を読んでいないため、ちょっと葛藤を感じているのですが、もう少し頑張ります。



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 つい「永井玄蕃」と書いてしまいました(^^ゞ。「永井玄蕃頭尚志」が幕府高官時代の永井様なもんで……でも『組!』『組!!』では一貫して「永井尚志」が役名でしたので「永井尚志」に訂正しました。



 まだ本格的に他ブログさんの感想を読みに行っていないのですが、windowheadさんの記事「『新選組!!』−『降伏もアリだと思ってるんだよ』と永井さまは言った。」が永井様に関して読み応えのある記事を書いていましたので、ご紹介します。
絶妙のキャストだった『新選組!!』今回は役柄とキャストについて軽く書いてみたい。



土方歳三(山本耕史)



 箱館の土方さんを演じるにはまだ少し若いかなーと思っていたのだが、大河からちょうど一年、役の上でも近藤勇の死から一年後の土方歳三を違和感なく演じてくれた。



 新選組を率いるだけでなく箱館の旧幕府軍の幹部という立場で、宇都宮から会津、そして箱館へと転戦してきた叩き上げの指揮官としての雰囲気もよく出ていた(酒を隊士たちに振る舞う演説のシーンとか、「島田!」と怒鳴りつける場面とか、「勝負だ」と宣言する場面とか、かっちゃんの半身のダンダラを鉢巻にする場面とか、「いざ!」と出撃する場面とか)。回想シーンでの試衛館時代のトシとの年齢差、出ていたなぁ……。



 そして、山南さんの死が土方さんにどれだけ影を落としていたのかが描かれて、本編の第31回〜第33回辺りを見ながら山南さんと土方さんの心理分析をひたすらやっていた白牡丹には嬉しくもあり、切なくもありました。



 榎本さんとのディスカッションシーン、圧巻でした。死に場所を求めて戦ってきた土方さんが、榎本さんという「馬鹿なろまんち」を発見して、逆に榎本さんに降伏を翻意させてしまう力強さを、やはり土方さんは持っているんだなぁという説得力があるのは、山本さん自身の内包するエネルギーのゆえでしょうか。



 過去に土方歳三を演じた役者さんの作品を何本も見てきましたが、箱館編も含めて一番好きな土方さんを演じてくれた山本耕史さんに心から感謝しています。演じきってくれてありがとうございます。



榎本武揚(片岡愛之助)



 土方さんと並んで続編の主役と言ってもいいぐらいの比重がありました。それを演じきる存在感と風格とを持ち合わせていたと思います。



 洒脱で気さくな江戸前の性格、ヨーロッパを見てきた屈指の知識人、薩長のやり方とは違う新しい国をつくる気概や情熱と自分の夢についてきた味方の将兵の命を惜しむ暖かさとを併せ持つ、複雑な人物を、この人に演じてもらって嬉しかったです。片岡さん主役で『五稜郭』を見たいと思うぐらい(笑)。



 土方さんの死を知って望楼に佇む場面の表情がよかったです。涙も嘆きもなく、でも、土方さんの遺した言葉の通りにこの地を開拓して何万頭もの牛を飼う決意が感じられました。



大鳥圭介(吹越満)



 どんな風に描かれるか、一番心配していたのが大鳥圭介ですよ(苦笑)。「土方歳三=旧幕府軍の常勝将軍、大鳥圭介=旧幕府軍の常敗将軍」なんて図式になっちゃったら嫌だ〜、とか、スタパでの収録情報が入って来た時には「旧幕府軍を降伏に持っていくために、奮戦する土方歳三を見捨てる大鳥圭介なんて描かれたらどうしよう……」と本気で心配したものです(汗)。このブログをご覧になっている方はご存知だと思いますが、私は大鳥圭介の生地である播州上郡にまで行ってくるほどの大鳥ファンでもありますから、ただのヘタレじゃ納得できないんですよ(「全身これ肝」と形容されるような、剛胆な人柄だったようですし)。



 主役の土方さん、主役に近いぐらいの榎本さんとのトリオでディスカッションドラマとなれば、くせのある役になるのは見えてましたが……いやー、武田観柳斎級にやかましいしウザいし、土方さんにとっては目の上のたんこぶでいがみ合っている相手なんだけど、でも実は……という設定が効いてましたね。



 「土方、礼を言う」と「守りの固めは俺の専門だ。後のことは心配するな。存分に戦ってこい」というセリフ、そして土方さんの死を知ってジオラマテーブルをひっくり返して慟哭する場面、ぐっと来ましたよ。そして、あちこちでの小芝居が楽しかったです、吹越さん。
 最後の追い込みです。



本陣でうろたえる榎本さん・大鳥さん……「箱館山。どうやら一晩かけて山を越えて来ているようだ」「信じられん。まるで鵯越えだ」ここは、大河ドラマ『新選組!』の次に放映された『義経』へのリスペクトでしょうか。しかし、桶狭間が鵯越えに負けるって……ちょっと口惜しかったりして(苦笑)。大鳥さん「箱館山の新選組は総崩れになり弁天台場まで退却した。箱館の町を取られたらもう戦は無理だ!無念だ!」と自分たちの計算外の敵軍の動きに、作戦の失敗を悟ります。「あと一歩だったのに」「信じられん……」ジオラマに突きつけられた笄を見て、榎本さんは「土方はっ。土方はどこにいる!」と、大鳥さんに問いかけます。



五稜郭に戻る土方さん……部下たちには、おそらく箱館市内に転身を命じただろうと思います。単騎、五稜郭に戻って作戦を立て直そうとしているのでしょうか。



五稜郭の前で出会う、土方さんと榎本さん……「土方!」「大鳥さんは」「箱館に援兵を送り続けている」「それでいい。箱館の町を奪われたらサンドウィッチになるのはこっちの方だ。後は任せた」そう言い置いて箱館の町に馬を進めようとする土方さん。「土方!行ってはならん!」と引き留める榎本さん。「後は我らと共に」「なぁに。これからだよ。計算が崩れた時こそ、俺の出番だ。昔の仲間を助けたら、その足で黒田の首をいただいてくる」……史実では、一応、箱館の弁天台場に援軍を差し向けたことになっています。たまたま、新政府軍の攻撃を受けて沈んだ味方艦の将兵が上陸するのを援護するために、七重浜方面に兵を進めた、ということになってます。でも、あくまでも敵将の首を狙いに行くという『新選組!』ワールドの強気な土方さん、これはこれでかっこいいですよね。



「死んではならんぞ」「もちろんだ」……ああああ〜っ、漢《おとこ》って奴らは、漢《おとこ》って奴らは、不器用なくせに、どうしてこんなにもかっこいいんだろう……(涙)。



馬を進めながら、振り返る土方さん……「榎本さん。あんたこそ死ぬんじゃねぇぞ。生き延びて、この地に夢の花を咲かせろ」「夢……?」「この大地を開拓するんだよ。そして何万頭もの牛を飼って、チーズをつくれ。そんなこと、あんたにしかできやしない」……この土方さんの晴れ晴れとした、そしてどこか生き生きとした表情(涙)。『新選組!』『新選組!!』と続いてきたこのシリーズのキーワードのひとつは「託す」だと思います。土方さんは、こうして榎本さんに、自分の思いを託し、戦場に向かうのだ……くすん。でも、榎本さんに振り返ってにこっと笑う土方さんには、達観したようでいて、どこか多摩の若い頃のトシの雰囲気も感じられたりして、いい表情してますね。名場面のひとつです。



一本木関門に馬を進める土方さん……ロケで良かった(爆)。先に箱館の町に向けて進めた配下の兵たちよりも、さらに馬を走らせる土方さん。



一本木関門……退却してきた兵士たちと、馬を進めてきた土方さんが合流。「敵の奴ら、いつの間にか箱館山に!」「諦めるな、俺が来たからには負けはしない。新選組の皆は?」「……たぶん、今頃は」表情を少し曇らせる土方さん。一際大きな砲撃音に目をやると、箱館湾内の戦いで、一隻の船に砲弾が命中し、火柱を上げています。新政府軍の船、朝陽丸。長州藩の旗印が炎上しています。「見ろ!敵の船が沈んでゆく。あれは我が軍の勝利ののろしだ。今こそ敵陣に斬り込む時。俺といる限り死にはせん。土方歳三について来い!」と、味方を叱咤する土方さん。士気、大いに上がる。土方さんも、闘志満々です。



青空に響く銃声……青空をバックに、太陽というショットを見た瞬間に、覚悟しました。明治2年5月11日(旧暦)は快晴だったそうですが、その空に響く一発の銃声。その銃弾が、土方さんに命中しました(涙)。



土方歳三、最期の戦闘(涙)……命中の瞬間を味方の兵士が誰も見ていない、というのが、史実ファンには涙ものの演出です。史実では混戦の中の戦死だったようで、土方さんがどういう死を迎えたのかは諸説紛々です。しかし、ここはフィクションですから、一発の銃弾に斃れたというだけにはとどまらず、土方さんは最後の力を振り絞って奮戦。逃げ遅れた兵士をかばって敵兵を斬り倒し、「早く逃げろ!」と叱咤します(本編の最終回、宇都宮では退却しようという桑名藩兵に刀を突きつけたほどの戦の鬼だった土方さんが「早く逃げろ!」と味方をかばうのには感慨深いものがあります……涙)。そして、鬼神のごとく、敵兵をなぎ倒す土方さんに、時代劇のお約束セリフ「何者だ!」……そして、これもお約束、「新選組副長、土方歳三」とお名乗り……さらにお約束、怖れをなして後退する敵兵達。



絶命の瞬間……しかし、土方さんを貫いた弾丸は深く、そこで力尽きる土方さん。最期の言葉は「榎本さん、すまん……」でした。これは史実ファンにとっては、涙もの。土方さん絶命の場面は直接に目撃した人の証言が残っていないのですが、数ある諸説の中には「……すまん」と言い残したという証言がありますから。



お迎え……一旦目を閉じた土方さんが目を開けますが、これは、白牡丹的には、現世的には「榎本さん、すまん……」で絶命した土方さんが、彼岸に渡る中で見た夢だと解釈してます(汗)。にじり寄る人影、気が付けば近藤さんが迎えに来た。そして、近藤さん自身が現世で最期の瞬間に呟いた「とし……」という言葉を、土方さんにかけます。現世の何もかもを通り抜けて生き抜いた土方さんは、「かっちゃん……」と、晴れやかに、お迎えを受け容れます……最期の言葉は、現世的には「榎本さん、すまん」だけど土方さんの中では「かっちゃん……」なのが、予測はできましたが、やはり感動的です。演出的には、どうかなーと思う気持ちもないではありません。私だったら、香取さん演じる近藤さんのお迎えは、映像は出さず、声だけでもいいんじゃないかと思わなくもありません。でも、多摩のトシに戻ったような、晴れやかな土方さんの顔アップは、欠かせません……合掌。



土方さんの死を知る榎本さん・大鳥さん……「土方が……」「榎本さん!」……「終わった」と静かに呟き、覚悟を決める榎本さん。最後の希望を打ち砕かれて、やるせない思いをジオラマにぶつける大鳥さん。そして、最悪の展開になってしまい、新政府軍の砲撃に次々と斃れる兵士たち……土方さんが描いた乾坤一擲の策は、こうして潰え、旧幕府軍にとって戦は終わったのです……一縷の希望が潰えて慟哭する大鳥さんを演じた吹越さん、グッジョブです。そして、大鳥さんをいたわるように肩に手をかけ、ひとり望楼にたたずみ、涙は見せないけど一度は捨てた「新しい国」構想が潰えてしまった現実と立ち向かい、土方さんの志を継ぐべく涙を見せずに何事かを決意する榎本さんを演じる片岡さんもグッジョブです。しかし、主題曲の短調のワルツが、旧幕府軍の崩壊を暗示しています……ううう(涙)。



弁天台場……攻め込まれる弁天台場。島田さんが「諦めるな! 土方さんが助けに来てくれる! それまで踏ん張れ〜!」と、頑張ってます。そこに、銃火をおそれずにやって来る永井様に、尾関さんが同行してます。「永井様!」「島田!」「いかが、されました」「土方が……」言葉少なに、しかし的確に土方戦死を島田さんに伝える永井様。「土方さんが?」「敵陣の狙撃に合い、亡くなったそうです」と言葉を足す尾関さん。信じられないという表情で、尾関さんを見返す、島田さん、相馬さん、山野さん。「嘘だ……あの人は死んだりなんかしねぇ」とすぐには信じない島田さんと、「間違い、ないんですね」と冷静に事実を受け止めようとする相馬さん。「そんな訳ない! 土方さんは死んだりしねぇんだ!」と、敵兵に向かって飛び出そうとする島田さんを引き戻す相馬さん。



そして、永井様……「戦はもう終わった!命を粗末にするな!生きるんだ、生きて、土方の仕事をお前達が引き継げ!」と叱咤する永井様。「仕事……」と呟く相馬さんに、永井様、「生きて見届けるんだよ!新選組を受け容れなかった新しい世が、どんな世になるのか、あいつはお前達に託したんだ!」……「仕事……」と呟く相馬さんは、終戦時の新選組隊長の役割を引き受け、新島に流され、流刑を果たしてから東京に戻って謎の切腹を遂げた、と伝えられています。このドラマ的には、土方さんが託した思いを精一杯果たして自分の役目は終わったと感じての決着のつけ方だったかも知れません。山野さんと島田さんは生き延びて、天寿を全うします。山野さんは、鳥羽伏見の戦いで別れ別れになった娘と再会し、小学校の用務員として幸せな晩年を過ごしたと伝えられています。一方の島田さんは、土方さんの戒名を書いた紙を懐に、お経を刻んだ土瓶を毎日さすりながら、自分が関わった人々のために読経しつつ、西本願寺の警備を続けながら亡くなったと言います……薩長に降伏して、チャンスを得て新政府の重鎮となったその後の榎本さんが京都を訪れた時に、昔語りをしたいと呼び寄せようとしたことがりましたが、会いたいと思うなら向こうが出向くなら筋だろうと会見を断ったと伝えられています……それぞれの「戦後」です。



「永井様!」「ここだ!」「敵軍の使者が、永井様にお目通りをと」「……さてと、降伏してくるか」……それぞれの立場で、永井様の言葉を受け止める新選組隊士たち。しかし、降伏という重い話を「降伏してくるか」と軽く言う永井様、かっこいいですね。



気合いと共に、ぼろぼろの「誠」旗を掲げる尾関さん……初見では、ここの場面にぐっと来て、涙がこぼれました。しかもBGMは、ライライ♪(涙)



多摩を目指して走り続ける市村鉄之助君……史実を知っていると、土方さんが託したのは洋装の写真だということはわかってますが、ここにも「託す」が…敗れはしましたが、土方さんが託した思いは、鉄之助君を通じて、次は多摩の人々へ……そして、いつかは私たちへと、希望が持てるエンディングでしたねぇ(感涙)。



……しばし、感慨にふけった後は、ドラマ全体を見回しての分析、感想を書きたいと思っています。
やっと、89分間のドラマの69分までカバーしました。残り20分です。今夜も赤ワインをお供に頑張ってます。



「明日の戦で勝利すれば我々が薩長の大軍を追い返したという事実が残る。薩長の奴らも少しは考えるだろう。未開の土地の開拓ぐらいは許してやろうと。となれば、こっちのものだ。それを足がかりに新しい国づくりを始められる」……榎本さん、かなり楽天家ですね。まぁ、自称でも「間抜けなロマンチスト」、土方さん曰く「馬鹿なろまんち」ですから(^^)。そういうところがこの人の魅力的なところですね。



「その時は、晴れて我らが蝦夷の国の誕生だ」「その国では、近藤勇はもう罪人ではないんだな」「もちろんだ。この国の礎となったひとりの英雄として、未来永劫その名は刻まれる」……近藤勇の汚名を雪ぐことだけが戦い続けることの理由である土方さんにとって、榎本さんの答えは自分が「死に場所を求めて戦う」ことから「生き延びるために戦う」と気持ちを切り替えるために重要な動機づけになったと思います。こっくりと頷く土方さん。



握手のために手を差し出す榎本さん、「前から気になっていたんだ。その挨拶には一体何の意味がある」と尋ねる土方さん……本編を最初の頃から見てきた人には「ヒュースケン逃げろ」の回を思い出したのではないでしょうか。ヒュースケンが命の危機を救ってくれた近藤・土方・永倉に差し出した手の意味を、誰も気付かなかった。そして榎本さんが「土方君。これからはこれが我らの挨拶だ。我らの新しい国の」と答えると、快くとまではいかないけど(笑)、土方さんも榎本さんの手を握り返す。ヒュースケンの回のエピソードがここで繋がったことに快哉を上げたのは私だけではあるまい(笑)。ヒュースケンの回は本編でも「井の中の蛙」という諺に引っかけたエピソードや土方さんが洋装に興味を持つエピソードなど、三谷さんがお気に入りの回らしく伏線が沢山散りばめられてましたね。



榎本さんに目で促されて握手に加わる大鳥さん、大鳥さんの手に自分の左手を重ねる土方さん……大鳥さんに目で促されて、きょろきょろと目を動かすケースケがらぶりー(爆)。



幹部たちに指示する大鳥さん……「無茶をしてはならんっ。全滅戦より、必ず力を残して敵を引きつけながら陣地に戻るのだ。いいな!」ひゅうがおんさんのご指摘通り、全体の策を考える土方さんに対して、細かい陣割を伝える山南さんの役を大鳥さんがやっている格好になってます。その指示を聞きながら、目を閉じて気持ちを集中させる土方さん。その心中は描かれていませんが、かつての近藤さん・山南さんとの役割分担が榎本さん・大鳥さんというパートナーを得て再現され、近藤勇が罪人ではなく英雄となる「新しい国」のために戦うという気持ちの切替えを図っているのかも知れません。



侵攻を続け、山を登る新政府軍……アップで撮される葉っぱがクマザサだったらもっとよかったのにと、箱館山は自分の足で上ったことはないのですが二股の台場山を上った経験では思いました。



砲声を聞いて目を開き、ジオラマに向かっている榎本さん・大鳥さんに加わる土方さん……榎本「どっちの方向だ」大鳥「北だ。斥候を出せ」と、いよいよ新政府軍の総攻撃が始まります。



新選組屯所@称名寺……こちらでも砲声が聞こえてきます。「始まったな」と背後の尾関さんに呟く島田さん、腕組みをして迎え撃つ気持ちを示しています。



五稜郭に走り込む斥候「薩長軍が赤川台場に攻め込みました」……赤川という地名は今でも赤川町という名で残っています。旧幕府軍は、箱館山から東北方向に、五稜郭、四稜郭、赤川地区と、ほぼ直線上に防衛ラインを張っていたようですね。ジオラマの駒を動かす大鳥さん、ジオラマを見つめ、頷き合う榎本さんと土方さん。



新選組屯所@称名寺……隊士たちの動きが活発になっています。相馬さんが島田さんに「赤川台場が敵に奪われました!」と報告。「見ているだけでいいんですか? 我々も加勢に!」と勢い込む相馬さんに対して、落ち着き払って島田さん「ここで待てというのが土方さんの命令だ。奴らが攻め込むまで一歩もここを動いてはならん」と指示する島田さん。



再び斥候……斥候が負傷して倒れ込むところで、戦況の厳しさと、新政府軍の侵攻の速さ・激しさがわかるような演出です。「四稜郭と権現台場が陥ちた。敵はこちらに向かって侵攻を続けている」と榎本さん。「間もなく陥ちた陣の兵がこちらに向かってくる。すぐに本隊に組み込み、決戦に備えよう」と大鳥さん。一見すると攻め込まれていて形勢不利なのですが、榎本・大鳥・土方にとっては「想定内」。そして、守りのエキスパートを自称する大鳥さん、ここから本陣を固めるために陣頭指揮に移ります(地味ですが、ケースケなりの見せ場だと思います!)。



土方さん「これで心おきなく突っ込める……」……不敵に口元を緩めて一言。計算通りに本陣に大軍を引きつけ、各地に散らばっていた将兵たちも本陣に逃げ帰るふりをして結集しようとしている、そして本陣の守りには榎本・大鳥がいるという安心感が言わせる台詞ですね。それにしても大胆不敵であることには間違いないです。



本陣に戻ってきた将兵を労う大鳥さん……「ご苦労であった! しかし、本当の戦はこれからだ! 気を入れて行こう〜っ!!」どうですか、この生き生きっぷり(笑)。土方さんと性格は違うけど、ケースケも薩長を相手に戦いたかったんだなぁと皆さんに伝わりませんか? ……と、蛇足ながら問いかけてみたい白牡丹@土方さんファンだけどケースケも好きなのよ、です。「おう!」と味方が応じてくれて、ちょっと嬉しかったりして。



山中に大砲を運び込む新政府軍。着々と侵攻が続いています。



榎本さん「敵は桔梗野台場まで迫ってきている」、土方さん「奴らは総攻撃の勢いに乗り、もう五稜郭しか見えなくなっている」、大鳥さん「狙い目だな」……桔梗野は、赤川―四稜郭の防衛ラインより西に位置しています。七重浜方面から攻めてきた軍勢かな?



土方さん「これで黒田のいる本陣は切り離された。勝負だ」と、ジオラマに笄を突き立てる土方さん……あえて不利な状況をつくって、乾坤一擲の勝負に賭ける不敵さ、たくましさが山本さんの目力《めぢから》で表現されています。決戦に備えて自室に戻る土方さんを、榎本さん・大鳥さんが希望を託して目で見送ります。



自室で決戦に備える土方さん……長い夜が明け、夜明けが来ています。明治2年5月11日の朝の光が、土方さんの部屋に差し込んでいます。愛刀を刀受けに置き、かつて詠んだ句を書き散らした(一番右は「白牡丹」の句だとお見受けしました……が、第31回に出てきた備忘録と句が違うところもあるので、思い出して新たに書き留めた備忘録かも知れません。洋装の写真がしおり代わりに挟まれているのも、素敵な演出です)帳面を脇にのけ、文箱から「かっちゃん」の浅葱羽織の半身を取り出し、近藤さんに話しかける。「近藤さん、悪いがあんたのところに行くのはもう少し先になりそうだな」半身の浅葱羽織の向こうには、かつて象山先生から「鬼瓦」という渾名をつけられ、近藤さんが自室に飾っていた鬼瓦の置物も見える……しかしBGMは、「流山」で「加納君、お久しぶりです」と近藤さんが自分の身元を認める時に流れた女声の、どこか天国から聞こえてきそうな天使の歌声風(涙)。彼岸の向こうの近藤さんに、そっちに行くのはもう少し待って欲しいと語りかけるその日が、運命の日になるとは……(つ、辛い……)。しかし、浅葱羽織を鉢巻に仕立てて額に結ぶ山本土方の表情は圧巻です。



部下50人を率いて五稜郭を出る土方さん……「目指すは本陣、官賊薩摩、黒田了介の首ただひとつ!いざっ!」「おうっ!」いかにも桶狭間(この場面、三谷さんが友人の大石静さんが脚本を担当する『功名が辻』に送ったエールかとも思えなくもないですね)。でも行進はフランス軍式なのが箱館戦争らしいです。こんなに劣勢なのに、かっこいいんだよなぁ。



大軍を展開して攻めようとする新政府軍、馬で本陣を目指す土方隊。大砲を組み立てる新政府軍。



新選組屯所@称名寺……島田さんが「いいか、敵はまだ遠いが、いつ出陣命令が出てもいいように準備を怠るなよ!」と、檄を飛ばします。士気は高いようですが、大砲を擁する新政府軍に対して、武器は刀だったり槍だったり、装備の差が歴然としています。寺の二階に布陣する相馬さん、旧式っぽい大砲の弾薬(?)を運び込む蟻通さん。



そうしている間にも、平地では新政府軍が大軍を展開して侵攻しています。その隙を縫うように敵の本陣を目指す土方隊。一方で大砲に弾丸を装填する新政府軍……ロケがあって、空間に広がりを感じさせられてよかった(何しろ、本編では鳥羽伏見も勝沼も宇都宮もセットでしたからねぇ……倒木の使い回しとか、池というか堀というか川というかよくわからない水辺の使い回しとか(^^ゞ)。そして、黒熊《こぐま》をかぶる薩摩の指揮官が蹴飛ばすカンテラによって、前夜、土方さんと市村鉄之助君が語り合った箱館山まで敵が攻め込んでいるという位置関係が明らかになります。箱館山という天然の要害があるからと守りを薄くしていた箱館山まで、敵は侵攻しているのです……そして、新政府軍の大砲が照準を合わせるのは、箱館の街中です。高地に陣取って大砲で撃ち下ろすというのは、現代戦で言えば制空権を手にしたのと同じぐらい、新政府軍が有利に立ったということです。箱館山の下で、敵軍の配置を知らず、悠々と待ち受ける新選組が、ちょっと悲しいですね……。



箱館山からの奇襲……あえて敵将の顔を見せず、兵士たちの顔もクローズアップさせないショットが、うまいと思います。近代戦の特徴は、兵士ひとりひとりの力量を問わず、装備の差によって個人個人の差を補うことで成り立っていると思うからです。ちょっと脱線しますが、白牡丹にとって近代戦の始まりはナポレオン軍によるフランス軍のスペイン侵攻で、近世と近代の境目を目撃することになった画家・ゴヤが描いた『戦争の惨禍』シリーズ、プラド美術館所蔵の「1808年5月3日」という油絵が象徴的です。抵抗する市民たちの顔はひとりひとり個人であるのに対して、銃を突きつける兵士たちは顔が見えず、個人の属性を消した近代的な軍隊。ゴヤの傑作のひとつです。このシーンを見ていて、ふっと思い出しました。



奇襲を受ける新選組屯所@称名寺……箱館山からの砲撃を受けて、思っていたよりも近い砲撃に島田さんが「何だ?」といぶかります。二階の相馬さんが「山の上から敵兵が! 不意打ちです!」と報告。総攻撃を受けてもここは最後の砦と思っていた新選組たち守備兵たちは浮き足立ちます。山の上からばんばんと遠慮なく落ちてくる砲撃に、称名寺は揺らぎます。そして、寺の中に攻め込んでくる敵兵たち。白兵戦となります。必死で食い止めようとする山野・蟻通。銃弾がかすめても何とかもちこたえて「誠」旗を守ろうとする尾関。「逃げてはならん!」と隊を立て直そうとする島田。二階から飛び降りて薩摩の指揮官や兵士たちと斬り結ぶ相馬。しかし、多勢に無勢で、追い込まれる蟻通。加勢したくても格子が邪魔をして蟻通の近くに行けない島田は、蟻通が斬られる場面を目撃して、号泣します(ううう……土スタの番宣だったかでは、「耐え抜け〜!」だったか、島田が叫ぶ場面がありましたが、カットされた模様です)。



有川の本陣に辿り着く土方隊……手で馬を止めろと指図する山本土方さんがかっこいい。しかし、本陣が手薄なのを見てとって「行くぞ」と声をかけた瞬間、箱館山からの砲撃が目に映ります。
字数の関係で切っちゃいましたが、ディスカッション第二ラウンドの後半部分です。最高潮……どうにか、ここまで書けました。



「よく、思いついたねぇ」……土方さんの斬新な案を認める榎本さん。



「奴らは、薩摩だの、長州だのが混ざってできた、鵺だ。その化け物を、最後に人が倒す」……山南さんたちとの鵺談義が、ここでまた復活。なぜに鵺を土方さんが最強の生き物と考えたかは、まだ白牡丹にはわかっていないところもありますが、こうして山南さんの思いは土方さんに受け継がれているんだなぁと、しみじみ。



「何の話だ」「……忘れてくれ」……ふっと微笑む土方さん、素敵です(爆)。



「総裁」「何だ、改まって」「この戦、勝てる」……ここまで土方さんが具体的な戦法を示した上で、だめ押しの一言。「生きるための戦いだな」「ああ、生きるための」と交わし合う短い会話、「漢《おとこ》だねぇ」と惚れ惚れする一コマです。



不意に「ちょっと待ってくれ。君が出撃した後の全軍の指揮は誰が執る」と言い出す榎本さん。土方さん「あんたに任せる」「ここは私が執ってもいいんだが、ここは大鳥にやらせてみないか」……多分、土方さんにとっては、一旦榎本さんに任せたからには、どうでもいい事柄かも知れません。でも、ここで、榎本さんが「君と大鳥は愉快だねぇ、顔を合わせればいつでもいがみ合っている」」と評する大鳥さんを持ち出すところが指揮官の妙味ですねぇ。



「どうせあの人は俺の案には乗らない。ここは総裁自ら出ていくしかないだろう」「土方君はそう言っているが、あんたはどうなんだい」……「のこのこ」と机の下から這い出すケースケ、キタ━━━━(゚A゚)━━━━!!



「気付いていたのか」「足下にいたからね。気付くなと言う方が無理だ」……さて、この時点の土方さんは、大鳥さんが足下にいたことに気付いていたのでしょうか? 気付いてなかったら、一生の不覚ですな(^^ゞ。



「あんたが総裁にろくでもないことを吹き込んだら、斬り捨てるつもりだった……そして、これ以上もないというほどの、ろくでもない策を聞かせてもらったよ」……ミタニン流の、これ以上はないという賛辞ですねぇ。



土方さんに迫る大鳥さん。「よせ!」と止めようとする榎本さん。しかし、榎本さんの想像に反して、「土方、礼を言う」と深々と頭を下げる大鳥さん。いぶかしげに「何のことだ」と尋ねる土方さん。「……榎本総裁をもう一度戦う気にさせた」と、自分の思いのたけを一言に凝縮する大鳥さん……漢《おとこ》たちのドラマ、佳境に入りましたね、と、つい茶々を入れてと照れくさくなってしまうのですが、このドラマの見どころのひとつだと思います。ケースケが、初めて土方さんに本音を吐き出します。



「守りの固めは俺の専門だ。後は心配するな。存分に戦ってこい」……「ケースケ、かっこいいぞ!」と大向こうから声をかけたくなる場面。ドラマ前半では土方さんの目の上のたんこぶだった大鳥さんですが、実は本音のレベルでは思いは同じたったこと、そして「実戦ではヘタレ」感がなきにしもあらずなのですが(涙)、実はケースケもやるときゃやるんだぞと頼りがいを感じさせた場面。



「大鳥さん、さっきあんたの顔見て思ったよ」「何の話だ」「総裁が降伏すると言った時に、あんた、誰よりも口惜しそうな顔をしていた……計算だけの男には、できない顔だった」……大鳥さんみたいな相手には自分の胸襟をさらけだしそうにない土方さんが、自ら、心を開く場面。土方さん、成長してますね……(ほろ)。



「後は任せた」と大鳥さんに告げる土方さん。こくりと頷く大鳥さん。苦笑混じりに「おいおいちょっと待ってくれ。私抜きで心を通わせるのは待ってもらいたいな」と割って入る榎本さん……きゃー、女から見て、こういう漢《おとこ》同士の会話は、どこか照れくさいぜよ(*^。^*)。たぶん、男から見ても、この場面は照れくさいだろうと思いますが(苦笑)。



……そして、新政府軍の兵士達は、闇に紛れて、険しいルートを登攀中(滝汗)。
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