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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
榎本さんの演説シーンを経て、ディスカッションは第二ラウンド(爆)に突入します。



戻ってきた幹部達……疲れ切っている人、固唾を呑んで見守っている人、不安そうな人、口惜しそうな人、いろいろな顔が見えます。軍服も、和服あり、洋装あり、いかにも混成部隊ですね。



「注目!」「そのまま、そのまま」「総裁から、お話があるっ!」……ゆったりと構える榎本さん、感情が声に出る感じ(笑)の大鳥さん、なかなかいい対比です。



「長い間、ご苦労だった。戦は本日で終わりだ。今まで、よく戦ってくれた」……まず「座ってくれ」と一言言ってから。「そのまま、そのまま」もそうですが、互選で選ばれた総裁ということで、榎本さんは生まれながらのお殿様と違うスタイルで気さくなリーダーの雰囲気を出してますね。これも、三谷さんの小技が効いていると言っていいのかな。そして、「心から礼を言うぞ」と労う。



異を唱える幹部たち……「ここまで来て、本当に降伏するんですか!」「我々はまだ戦えます! なんで、薩長の奴らに降伏しなきゃいけないんですか!」「土方さん!」「総裁、最後まで戦いましょう!」これらの言葉を聞く、榎本さん・大鳥さん・土方さん、それぞれの表情の違いもまた見どころですね。そして、榎本総裁にすがりつく幹部たち。動揺する榎本さん、うなだれてがっくりと力落として座り込む大鳥さん、ふたりの様子を観察して何かを考える様子の土方さん。



五稜郭の廊下を歩く榎本さん、背後から声を掛ける土方さん……「何も思わないのか、あの声を聞いて」と土方さんが声をかける。一瞬ためらって「……すでに降伏は決まったこと」と榎本さんが応じる。畳みかけるように「降伏はするな」と土方さん。



背中を見せて、少しだけ間を置いてにっこりと「びっくりするようなことを言うね。それじゃ今までの話は一体何だったんだ」……にこやかに返す、でも背を向けていた時にどんな表情をしていたかを視聴者に想像させてしまう、間の取り方だと思います。



榎本さんに歩み寄って、土方さん「ようやく気付いたよ。俺は死に場所のことしか考えてなかった。そしてあんたの頭の中には降伏のことしかなかった。俺たちは大事なことを忘れていたようだ」……土方さんが自分の殻を破る瞬間、とでも言ったらいいのでしょうか。このドラマの中で閉塞感を打ち破る場面でもあります。



「何をだね」「あきらめない、ってことだ」……その言葉を聞いて動揺する榎本さん。



「あんたは確かに馬鹿だ。馬鹿な『ろまんち』だ……だが俺はもうひとりの馬鹿な『ろまんち』を日本一の侍にするために人生を費やした。どうやら、その『ろまんち』とやらに付き合うのが性に合っているらしい。俺は、あんたの夢に賭けることにする」……BGMは「誠の志」。そして土方節、全開。考えてみれば本編では、こんな風に言葉で自分の思い入れを語る土方さんって、余り見られませんでしたね。「かっちゃん」には語らなくてもわかってもらえてたから。



「夢は醒めたと言ったはずだ」「いや違う。夜が明けるのはまだまだ先だ。榎本さん、いいか、これは死ぬための戦いではない。これから俺たちは、生きるために戦うんだ」……言葉を尽くして説得するというよりも、自分の内側から出てくる思いの強さでもって人の心を動かすということを、土方さんは初めて実践しているのかも知れません。



何事かを決意して、振り返る榎本さん……「一言言っておく。『ろまんち』ではない、『ろまんちすと』だ。変なところで切らないで欲しい」「知ったことか」照れ屋な男たちなんで、榎本さんも「お前の思いに心を動かされた」なんて言わない。でも、わかりますよね(笑)。



「ここは俺に任せてくれないか」「中身次第だな」……気持ちはわかった、しかし全軍を預かる将としては気持ちだけで全軍の将兵の命をお前に賭けるわけにはいかん、という感じかな、ここの榎本さんは。



「まずはどうする」「まずは、軍議だ」……土方さん、「あきらめない」ということを形に示したらどうするか、ということを考え始める。



「土方君。君にひとつ謝らなければならないことがある」「何だ」「どうやら私の見立ては間違っていたようだ」「何だ?」「君こそ、筋金入りの『ろまんち』だ」……榎本さんの言葉を聞いて、片頬をほころばせる土方さん。このドラマの中で私が好きな場面のベスト5には入るかも。



作戦会議室で「勝ちたい……勝ちたい……」と呟く大鳥さん……見なくてもわかるんですが、こういう台詞があった方がわかりやすいかな(笑)。



「香車」を取り落とす大鳥さん……スタパを見学した人の感想でこの場面があったと聞いていた時に、どきっとしました。だって、「香車」って、前に進むことしか出来ない駒でしょ……取り落とし方によっては、主戦派の土方さんを見捨てるという設定なのかなとハラハラしてました。でも、偶然に取り落とした感じで、この場面を放送で見た時には安堵しました。この駒を拾うために身をかがめている間に榎本さんと土方さんが部屋に来て、出るに出られなくなったという設定にも笑えたし。でも、ドラマを見続けて、やっぱり大鳥さんの手から飛び出ていった「香車」は土方さんだったんだなぁと思えるのが、また切なくて……(涙)。



「葡萄酒でも飲むかい」「今は結構。戦に勝ったら存分に飲ませてもらう」「もしよかったら、サンドウィッチでも」「話しかけないでもらえるか」「失敬」……何かと、土方さんを構いたくなる榎本さん、気持ちはわかる(笑)。そして「失敬」の言い方、くすっと微笑ませてくれる。



「君は京にいた時も、こうやって策を練っていたのかい?」「ああ」「池田屋で、大勢の不定浪士を捕縛した時も?」「あの時は俺と山南さんで考えていた」「誰だ?」「江戸にいた頃からの仲間さ。俺が全体の策を立て、そいつが細かい陣割をする。それが新選組のやりかただった」「では今は私がその山南さんの代わりを務めるとしよう」「……無理だ」榎本さん、ため息。「いいんだよ、あんたはあんたで」……この場面、山南さんが亡くなって以降の土方さんの孤独さを感じさせます。前半で相馬君が山南さんのことをもちだした時にぴしっと「山南総長は、武士の中の武士だ」と言い切ったことといい、やはり、山南さんの切腹が土方さんの人生の中でどんなに大きな喪失感をもたらしたかを伺わせますね(だからこそ、あのグダ泣きがあったわけで……)。山南さんの不在をここまで引きずる土方さん、ひとりひとりの死を無駄にしないと以前語ったミタニンを思い出して「やられた〜」と思った瞬間。しかしその一方で、「いいんだよ、あんたはあんたで」と言う土方さんに、ある意味、余裕というか包容力のようなものが感じられます。



ふっと笑う土方さん、「何がおかしい」と突っ込む榎本さんに「いちいちうるさいな!」と切り返す……ある意味、土方さんの地が出てると感じました。それだけ、榎本さんに自分をさらけ出せるようになったか、と。



「……さんざん見慣れた地図なのに、おかしなものだ」「どういう意味だ」「……俺は今まで、死ぬための策しか考えてこなかった。今は、生きるためにこれを見てる。同じ地図でも、まるで違うものに見えてくる……」……こういう、ぽろっと漏らす気持ち、人が人の心を動かす時に大事なことですよね。



「桶狭間戦法」を榎本さんに授ける土方さん……榎本さんには「大きく出たな」と言われましたが、寡兵が大軍を破る基本は押さえていると感じます。ただ、近代的な戦では、敵将の首を取ることがどれだけ致命的な打撃を与えられるかと言えば……うーん、戦術論はわからないので、そこは論評できません。ただ、第37回「薩長同盟締結!」に出てきた、あの黒田了介を敵将にイメージすると……ちょっと、この作戦の壮大さとのギャップが(汗)。宇梶さん演じる西郷どんぐらいに存在感があったら、もうちょっとこの作戦の斬新さと壮大さに共感できたかも(イグアスの滝汗)。あ、余計な一言かも知れませんが、黒田了介は、史実においては、江川塾で大鳥圭介の生徒だったんですよね(苦笑)。また、天然の城壁である箱館山の防御が薄かったことは、これはフィクションを含むドラマとしても変えようがない部分なので、仕方ないですね……(ほろ)。



「気を持たせるな!」といらつく榎本さん、マフラーを小道具にして戦術を語る土方さん……こういう場面があるからこそ、ドラマは面白いですね。そして、実は綻びがあった(縫い合わせたのは、小姓の市村鉄之助君だったでしょうか、それとも土方さん自身が針持って、ちくちくやってたんでしょうか? 笑)マフラーを笄で割いて、ドラマチックに戦術案を披露する土方さん。鮮やかな笄の使い方が、素敵です@山本さん。



「これがあんたの好きなサンドウィッチだ」……小道具のサンドウィッチ、こういう意味もあったか。



「悪いが俺はこっちに来て、まだ陸《おか》の上では負けてないんでね」……さらっと言ってのけてますが、これは宮古湾海戦のことも含めて言ってますね。もともと幕府がアメリカから購入する手はずだった最新艦の「ストーンウォール号」が新政府軍に入手されて不利になった旧幕府軍が打った、乾坤一擲の戦術はストーンウォール号を奪取するという作戦。作戦は失敗して、土方さんも参加していた回天号はじめ、退却するしかなかったんですが……片岡さん演じる榎本、山本さん演じる土方で見たかった場面のまたひとつ。さらっと流されて、ちょっと残念。
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 本当は切りたくなかったんですが、字数制限で入れられなかった(涙)、ディスカッションの続きです。



「榎本さん。俺にはどうしてもわからない」「どうぞ」「あんたという人間だよ」「そりゃそうだろ。私だってまだ自分という人間がわかっちゃいない。お前さんにわかるはずがない」……土方さん、「俺」と本音モードで語り始めましたね(笑)。そして「私だってまだ自分という人間がわかっちゃいない」と言う榎本さん、オランダ語もぺらぺらで、オランダで法律を学ぶ傍ら、開陽丸の建造に立ち会い、航海術も身につけた多才の人です。本質的には物理学・化学に造詣の深いエンジニアだと白牡丹は思っていますが、裾野の広さは天下一品です。



「初めてあんたから蝦夷地に行くと聞かされた時、あれは確か仙台だった」……史実では、仙台で榎本さんと土方さんが出会った頃、会津藩が西軍に攻め込まれて奥羽越列藩同盟も瓦解に瀕していましたね。榎本さんは土方さんを列藩同盟の将に推薦し、藩を越えた同盟を結ぶからには兵士の生殺与奪の権限は藩主でなく将にあることを踏まえて受け容れるかと諸藩の代表に迫った土方さん。藩士の生殺与奪の権限は藩主にあると拒否した藩の代表に対して、席を蹴って決裂した土方さん……この片岡愛之助・山本耕史キャストで見たかった場面のひとつが、ここにも。



榎本さんが打ち明けた「新しい国」構想について「無茶な話だ」「だから俺は乗った」と述懐する土方さん……あぁぁ、もぉ、実はここで「ろまんち」炸裂(爆)。



本心では新しい国構想なんて無理だと思っていただろう、「でもそれでよかったんだ」と土方さん……「俺たちの思いはただひとつ。薩長に一泡ふかせることだ」――あぁ、流山で近藤さんが「俺たちは自分の腕ひとつを頼りに京に上り、薩長に一泡ふかせてやった。俺は満足だ」と言ったことを思い出す……(ほろ)。



「俺ははっきり言って、あんたに失望した」「そりゃすまなかったね」「一時でも榎本武揚に近藤勇を重ねた自分が恥ずかしい」……今になって降伏を考える榎本さんに失望したと本音で言う土方さん。そして「一時でも榎本武揚に近藤勇を重ねた自分」って、かなーり、「ろまんち」の血が再び騒いだんですね土方さん(爆)。



「近藤さんは信念の人だった……正しいと思った道を、あの人はひたすら歩き続けた。真面目さが首を絞めたこともあったが、人はそのまっすぐな生き方に惚れてについていった……悪いが、あんたとは違う」「当たり前だ。私は榎本武揚だ」……土方さんが近藤さんに対する思いのたけをぶちまけるのに対して、「当たり前だ。私は榎本武揚だ」と返す榎本さんも、矜持が高い。そして、山本土方さんを圧倒する勢い(あくまでも脚本の想定内だと思いますが)でこの場を演じてくれた片岡愛之助さんに感謝。



「ただ土方、君はひとつだけ思い違いをしているようだ……あの時私は本気だった。君は無理だと思っていたようだが私は本気で国をつくろうと思っていた……蝦夷地に新しい国を」……榎本節、炸裂。



そうこうしている内にも、新政府軍はどこかの山をよじ登っているわけですが(汗)。



五稜郭の望楼に土方さんを誘う榎本さん。「君は、案外リアリストなのかも知れないね」「りありすと?」「君のように、夢に溺れず現実をしっかり見つめる人のことだ……確かに戦場においては的確な状況の判断が何よりも大切だ。夢を追っている場合ではないな。しかし私は違う」「あんたは何だ」「間抜けなロマンチストさね」……この「間抜けなロマンチストさね」がとても素敵でした。べらんめぇ口調としては今ひとつ弱いんだけど、だからこそ、「新しい国」の夢が破れたと感じている榎本さんの、自分を冷静に見つめる皮肉な視点がよく表われています。



「新しい国をつくるといいながら、薩長のしていることは何だ。徳川の力を奪い取り、山分けしているだけじゃねぇか。だが私は違う。何もないところから新しい国づくりを始めたかった」……榎本さんが旧幕府軍を率いて決起した思いを、土方さんに打ち明ける場面。ヨーロッパに留学して時代の最先端を見てきたからこそ、薩長とは違うやり方でこの国を変えたかったんですよね。



「見たまえ、この豊かな広々とした土地を」……五稜郭の望楼から臨む、箱館山を背にした箱館の街。今の「100万ドル」の夜景と比べたら寂しい感じがしますが、灯りの乏しいこの時代、そんなものかも知れません。でも、「臥牛山」こと箱館山を背後にした箱館の夜景、たまらなく好きで、函館を訪れること既に9回の白牡丹です……(^^ゞ。



「私はこの地を踏んだ時、ここなら新しい国を生み出せるに違いないと思った」……史実の榎本さんは19才の時に当時の箱館奉行堀織部正の小姓として、箱館に渡って踏査しているんですよね。だからこそ、箱館の地に陣を構えたんだろうと思いますが、すでに破れたと思いつつ「新しい国」の夢に目を輝かせる榎本さん「薩長に張り合ってこの地に新しい国をつくる」、片岡さんグッジョブです。



「……あんたが言う通り、俺は今まで死に場所を探していた。その横であんたは今の今まで、本気で薩長に勝つつもりでいたのか」……榎本さんの本音トークだからこそ、土方さんも本音トーク。



「もちろんだ」「あんた、馬鹿だ」……馬鹿だと言いながら、そういう「ろまんち」に心を動かされる土方さんではないのかな?



「お褒めの言葉と受け取っておくよ……しかし夢は醒めた。醒めたからには、私は潔く白旗を揚げる。これからは私の夢に力を貸してくれた人々を救うことが、私の仕事だ」……かっこ良すぎるぞ、榎本さん@らぶりん。



「実を言うとね、私は戦が終わったら、この地で牛を飼うことにしていたんだ」「うし?」……土方さんの「うし?」というアクセント、本編で勝海舟に「北に行ってもらえないかな」「きた?」と聞き返したアクセントに似ていて、嬉しかった。



「牛の乳を飲んだことがあるかね」「ない。飲みたくもない」「西洋人にとっては、それは大きな滋養の源だ。そしてその牛の乳からはバターやチーズがつくられる」「ちーず?」「さっき食べたサンドウィッチの中に挟まっていたものだ。うまかったろう?」「……ああ」……微妙に、しかし少しずつ心を通わせる男たちって、なんて魅力的なんでしょうね(爆)。「牛の乳だったのか」「うまかったろ」「……ああ」と、意外に素直な土方さんもツボです(笑)。



蝦夷地を開拓し、農業や牧畜で豊かにし、薩長のつくる国よりも「素晴らしいものにしてみせる」と、すでに破れたと思っている夢を語る榎本さん……でも、目は輝いているんですよね。



望楼に「総裁。探したぞ」と上ってくる大鳥さん。「おぅ」と応える土方さんにむっとする(笑)……演技の細かさに脱帽します、吹越さん。



戻ってきた幹部たちが先のことを考えて不安に思っているので一言話をして欲しいと依頼する大鳥さん。快く応じつつ「君も付き合ってくれ」と土方さんを誘う榎本さん。さて、この場面の榎本さんは、土方さんに何を見せたかったのかなぁ……。



 一気にディスカッションシーンの最後まで行きたかったのですが、長くなってきたので、再び、ここで切ります。
 真打ち榎本さん登場場面から。榎本さんに敬意を表して(爆)赤ワインにチーズ(しかも、サンドイッチに挟んだのはハード系だろうと、ハード系を用意しました^_^;)で視聴してます。土方vs榎本の緊迫したディスカッション、佳境です。



榎本「どうぞ私の部屋へ」大鳥「しかし」榎「構わん」大「それでは私も」榎「大鳥は外してくれ」大「えっ!?」……いいなぁ、この遣り取り、この間の取り方(笑)。



「グラスをふたつ用意してくれ。それから何かつまみを。サンドウィッチがいいな」……「サンドイッチ」じゃなくて「サンドウィッチ」とちゃんと発音されるところに、洋行帰りの榎本さんらしい雰囲気が出てました。そう言えば、武蔵野楼でも榎本さんのテーブルの前にはサンドウィッチが置かれてましたね、幹部たちの方は和食の膳でしたが。



「総裁がお呼びなので、行ってくるわ」……思いっきり大鳥さんに嫌味ったらしく言う土方さん、山本さんグッジョブ。



入れ札ネタで大鳥さんに絡む土方さん……思わず『新選組日誌(下)』で確かめてしまいました。267ページ、明治元年12月28日の解説の中に「『薩藩海軍史』に収録された沢太郎左衛門の記録」として、役職毎の選挙結果が出ています。総裁の選挙結果は「榎本釜次郎155点」「松平太郎14点」「永井玄蕃4点」「大鳥圭介1点」となっており、三谷さん細かい史実ネタを出してくるなぁと感心したものです。ただし、土方さんが「お前、自分で入れたろ、自分に」というのはあくまで三谷さんフィクションで、誰が誰に投票したかは記録されていません。ちなみに陸軍奉行の選挙結果は「大鳥圭介89点」「松平太郎11点」「土方歳三8点」「松岡四郎次郎6点」「伊庭八郎1点」「町田肇1点」です。史実の大鳥圭介ファンでもある白牡丹には、土方さんがあえてこの場面でこの話を持ち出したことについては大鳥さんと同じく「今ここで言うことじゃないだろー」という気がしました……土方さんのいぢわるっ(くすん)。あ、土方さんが大鳥さんのモミアゲを指で弄んだ演技については、「あのモシャモシャ、確かに触ってみたくなるかも(苦笑)」と思いましたけど。



「君と大鳥は愉快だねぇ、顔を合わせればいつでもいがみ合っている」「総裁には申し訳ないがあの男は」「まぁ、そう言うな」……土方さんが何を言おうとしたか? まぁ褒めるはずがないわな(汗)。



ちなみにこの当時、榎本武揚は満で数えて33才、土方歳三は34才。実年齢では榎本の方が若いんですよね。でも片岡愛之助さん演じる榎本の風格と洒落っ気、私には榎本役者のデフォルトになってしまいました。



「大鳥は、君がいつも自分には思いもよらない戦をして、そして勝ちを収めているんでやっかんでるんだよ。あれも根っからの戦好きなんでね」……榎本さん、大鳥さんをフォローしているというか、解説してるというか(汗)。「勝ち方に決まりなんてない」とつれない土方さんですが(笑)。



「ま、君と大鳥がいてくれたおかげで、我が軍は今までやってこられた。はっきり言って、日本では最強の軍隊だよ」「最強の軍隊?」「私は本気でそう思っている。後はテンキさえ味方してくれたら、こんなことにはならなかった」……ここは「天機」じゃなくて「天気」でしょうね。開陽丸が荒天で江差で沈んだことが旧幕府軍にとって痛手だったということを言いたいのでしょう。さらっと流されましたが、開陽丸は榎本さんがオランダ留学時に建設を一から見守った当時の日本では最先端の軍艦で、榎本さんには思い入れも深かったでしょうし、旧幕府軍にとっても箱館の海の守りを固める切り札だったわけで、それを失って旧幕府軍の劣勢が決定的になりましたね……あぁ、このキャストで見たかった、あの場面この場面のひとつだなぁ、江差の開陽丸沈没も(ナンバーワンは、もちろん二股口で奮戦する土方さんですが)。まぁでも、開陽丸沈没を共に見て悄然とする榎本さんと土方さんが描かれてしまったら、このドラマで榎本さんに談判しに五稜郭に乗り込む土方さんの構図がわかりにくくなってしまうかも知れません……(残念)。



グラスに淹れた赤ワインを差し出す榎本さん、「けっこうです」と固持する土方さん……「西洋の酒はやらない」「酒はひとりで飲むものだと思っていますから」というのが、いかにも『新選組!』以来の土方さんらしい(ひとりでこっそり祇園で遊んでたりしてたし……いや、あれは、お忍びで綺麗どころを相手に酒を飲んでいたような気もするが^_^;)。



「では、これを」と、サンドウィッチを差し出す榎本さん……サンドウィッチ伯爵がサンドウィッチを発明した曰くについて、ひとくさり。片岡さん、山本さん@マジシャンから「西洋かるた」ことトランプの扱い方を教えてもらっていたそうですが、その場面はカットされちゃったんでしょうか(苦笑)。



「日本には握り飯がある。俺にはそっちの方がよほど食べやすい」……食べ物の好みという以前に、榎本さんに対する不満があって、榎本さんが勧める酒や食べ物を受けたくないというところでしょうね。意固地なんだから土方さんは(笑)。



机の上の革張りの洋書二冊……うち一冊は、榎本さんが黒田さんに進呈した『海律全書』なのかなーと想像してみたり。



「君は実に面白い男だな、土方君」「どこが」「西洋の文化にかなり偏見を持っているようだが」「俺は西洋が嫌いなんじゃない。西洋かぶれが嫌いなだけだ」……土方さん、言う言う(笑)。



「しかし今君は、どんな格好をしている。新選組の中で誰よりも早く髷を落とし、着物を捨てたと聞いているが」「洋風にしたのはそっちの方が便利だからだ」……榎本さんが土方さんに以前から関心を持っていたことを示す遣り取りですね。



「俺は無駄が嫌いなだけだ」「だからそれが西洋流の考え方だと私は言っているんだがね。つまり私と君は似た者同士というわけだ」「……冗談じゃない」……共通点を見つけようとする榎本さん、突っぱねる土方さん、なかなか面白い遣り取りです。そして「私らは似ているのさ」と畳みかける榎本さんに「その鼻の下に生えているものは何だ」「その西洋かぶれのとんがった髭を手入れするのに、どれだけの手間を毎日かけている」「無駄のない西洋流が聞いて呆れるぜ」と切り返す土方さん、毒舌が冴えています。人前に出るのが苦手だとか言っていた昔の頃が、嘘のようですね。



「形から入るのも大事だということだ」「あんたは西洋の形ばかり真似ている。俺は理にかなったことだけを受け容れる。俺とあんたでは、申し訳ないがまるで違う」……この遣り取りを聞いていて、洋装を進んで受け容れた土方さんが髪をなでつけながら「俺は形から入るんだ」と言っていたシーンを思い浮かべたファンは多いだろうなぁ(笑)。



「降伏を取り下げてもらいたい」と申し入れる土方さんに対して「できない相談だ」と突っぱねる榎本さん……覚悟のほどは間もなくわかりますが、内心では仲間の助命嘆願のために切腹を覚悟していて、悠々と土方さんに応じるところに榎本さんの風格を感じますね。そして「ならば仕方がない」と白刃を突きつける土方さんに対して「斬りたきゃ斬るがいいさ」と悠然と開き直る榎本さん、かっこいい。



「その時は、その場で腹を切る」「そう来たか」……自分を斬ってどうする、と質問する榎本さんに、自分が全軍の指揮を執ると答える土方さん。しかし自分を斬ったところで兵士達に取り押さえられるのが落ちだと榎本さんが返すと、切腹すると答える。「そう来たか」と答える榎本さん、あぁた、ディスカッションを楽しんでますね(冷や汗)。それだから、この榎本さんなんだけど。



「申し訳ないが、私も無駄が大っ嫌いでね。さっきの言葉を取り下げることとしよう。私を斬るのはよしなさい。そんな馬鹿な真似は止めて、すぐにこの刀をしまいたまえ」……関西出身の片岡愛之助さんなんで、べらんめぇ口調はしんどいだろうと思ってました。ちゃきちゃきの江戸っ子ではないですが「飛行機」を「しこうき」としか言えない父親を持つ白牡丹には少し「ちゃきちゃき」感が足りませんが、白刃を突きつけられても動じない風情、十分に榎本さんの肝の据わり方を表現してくれました。



「俺に百人の兵を預けてくれ。必ず形勢をひっくり返してみせる」……うー、大阪城で「私に五百人の兵をお貸し下さい」と永井様に食い下がる近藤さんがダブって見えるだよ(ほろ)。



「それは無理だ」「なぜだ」「なぜだか教えてやろうか……それはな、お前さんには端から勝つ気がまるでねぇからね」「そんなことはない」「口では強気なことを言っているが、この戦、すでに勝敗が決まっているということを一番よく知っているのは、誰よりも勝ち方を知っている土方さんだ」……白刃を突きつけられても動じない、榎本さんあっぱれでございます。



「あんた、死にたいんだろ。一日も早く、戦でさ」……このドラマの榎本さんの決め台詞のひとつですねぇ。そして、ずっと冷静だったのに「そんな物騒な奴に俺の兵を預けられるか!」というところで激した榎本さん、自分についてきた将兵たちを死なせたくないがために降伏を申し入れる決断をしたという心情が迸って《ほとばしって》います。「言っておくが俺も命が惜しいわけじゃねえ。あんたに斬られなくても、明日の今頃は腹を斬っている」と、告白してしまいましたね……。



自分の切腹と引き替えに降伏する腹をさらした榎本さん、覚悟のほどに動揺する土方さん……「兵は要らん。だったら俺ひとり斬り込ませてくれ」と跪く《ひざまづく》土方さん。「一日でも戦で死にたい」のがバレバレですが(汗)、榎本さんが自分の命を賭けていることを本音で語ればこそ、人の好き嫌いが激しくて、しかも意固地な(苦笑)土方さんも本音で返せるのでしょう。「私は決めたんだよ土方君。私以外の誰も、もう死なせやしないって」と決意の固い榎本さんに対して「だったら俺はどうすればいい!」と激しく動揺する土方さん……振り返ってみれば、『新選組!』での土方さんは、こんな表情を見せたことがありませんでしたね。榎本さんに本音をさらけ出しかけている土方さん、魅力的です。



「どうするかね……そうだなー……とりあえず一杯やんなよ。知らねぇもんを一度は試しておかねぇと、了見を狭くするよ」……決して「べらんめぇ」調とは言い難いのですが、榎本さんの度量の大きさを表現する台詞です。片岡さん、グッジョブ。



宵闇に紛れて海岸に侵攻する新政府軍……寒川か、山背泊か。史実を知っているので「ああ、ついに来たか……」と思ってしまいましたが、そうでなかったら、スリル満点で見ていたかも知れません。



「日本の酒と葡萄酒の一番の違いがわかるかね」「……」「それは造り方だ。米は放っておいても酒にはならないが、葡萄は葡萄酒になる。葡萄には、それ自体発酵させる成分が含まれているわけでね、その意味ではこの酒は実に理にかなった産物というわけだ。ヨーロッパの人間が考えそうなことだ」……その後、獄中で石鹸やロウソクの製法、鶏やアヒルの人工孵化、鉱山の知識などをつづる科学者でありエンジニアでもある榎本さんらしい解説です。



葡萄酒を口に含む土方さんに、榎本さん「悪かねぇだろ?」「悪くはない。良くもないが」……土方さんらしい評ですね(笑)。「良くもないが」と付け加えてますが、「悪くはない」という方に比重のある評だと白牡丹はお見受けしました。



「やがてはこの地でつくられた我々の葡萄酒が、世界で飲まれるようになるかも知れん」……十勝ワインとか、余市ワインとか。



サンドウィッチを口にする土方さん……全粒粉のパンに、チーズとハムかな?



……ここで字数制限1,000字を越えてしまいましたんで、とりあえず切ります。
 榎本さんが部屋から出てくる場面まで。



回想シーン@会津……番宣ですっかりお馴染みになってしまった「ここでは駄目だ! もっと上だ!」。会津の近藤勇の墓を訪れた山本耕史さんが感じたことを台詞に入れてくれた三谷さんに感謝。



斎藤一の背負ったつづら……史実では行方不明になっているアレが、収められているはず。『新選組!』最終回で容保様の命を受けた斎藤一が会津に戻ってきているというのはミッション完了に他ならないし。容保様から拝領した虎徹も一緒にくくられているし、この直後に土方さんが「ここには近藤も眠っています」と言うし。



穴掘りの人……うちひとりが、最終回「愛しき友よ」で近藤勇の無精髭を剃った床屋さん役の人だったのが嬉しいです。



虎徹と浅葱羽織の半身……斎藤一は虎徹を、土方さんは浅葱羽織の半身を墓前に捧げる(たぶん、後で埋めたんでしょうね……人目についたらまずい代物ですから)。土方さんがなぜ羽織をふたつに割いたかは、ドラマ終盤で明らかになりましたね。



「貫天院殿純忠誠義大居士。あの男のことを考えていたら、この字しか思い浮かばなかった」……この一言で、容保様が近藤勇をどう捉えていたかということと、容保様が戒名をつけたことがわかるという、うまい台詞。



土方さんに、「会津を離れろ。北に行って榎本武揚と合流し、徳川の兵を結集して大戦《おおいくさ》を仕掛けるのだ」と申し渡す容保様。そして土方さんの代わりに「副長。ならば俺が残る」と申し出る斎藤一……史実は脇に置いておいて、『新選組!』ワールドにおいて土方さんが会津を離れた経緯、斎藤一が会津に残った経緯をうまく描いてます。「予のことは気にかけるな。勝つことだけを考えろ」と励ます容保様がいじらしい。



斎藤一「殿と局長は俺が守る。あんたは心おきなく戦ってくれ」……不動堂村の屯所を引き払った時にも斎藤一は土方さんの傍にいて、土方さんが破り捨てかけた昔の編成図を「取っておけ。新選組はあんたがつくったんだ。取っておけ」という場面がありましたね。ここでも「託した」「承知」という短い言葉で、ふたりの気持ちを十分に伝え合っているのが印象的。そして「最後の恩返しだな」という土方さん、義を重んじる斎藤一への餞《はなむけ》の言葉にふさわしいですね……。



 場面は、土方さんが五稜郭に乗り込むところに移ります。



大鳥圭介のジオラマづくり……榎本さんが降伏を決めているにも関わらず、作業を続けているんですねぇ。大鳥圭介の本心がこんな場面にも現れています。



大鳥圭介vs土方歳三その1……「降伏するのが陸軍奉行の仕事か。負けてもいないのになぜ降伏する」と大鳥さんにつっかかる土方さん。「全滅を避けるためだ」と榎本さんの立場に立って答える大鳥さんですが、視線を一瞬泳がせる辺り、細かい演技がうまいなぁ吹越さんは。そして「状況は日に日に悪くなっている。それを見極め、采配をふるうのが軍を率いる我々の務めである。ただ攻めるだけの戦好きとは違うのだ」と発言する時にはまったく土方さんの顔を見ない。本心じゃないことを言っているんでしょうね。



大鳥圭介vs土方歳三その2……土方さん「その状況とやらを悪くしたのはどこのどいつだ!」と反発。ジオラマの駒を刀の柄で払いながら「俺たちが薩長軍を蹴散らしている時に、退却を命じたのは誰だ!」と怒る。二股口の戦いのことですね。土方さんに蹴散らされた駒を置き直す大鳥さん。「ありもしない敵の反撃に怯えたあんたはみすみす陣を明け渡してきた。それがあんたの言う采配か!」に「いいがかりだ!」と、土方さんの真正面に立ってにらみ返す大鳥さん。……初見では、「このドラマでは大鳥さんは『実戦ではヘタレ』扱いなのね」と、ちょっと萎んだなぁ(汗)。



大鳥圭介vs土方歳三その3……つかつかと前に進む土方さん。「前に出なくちゃ勝てやしねぇんだよ!」と、やや小柄な大鳥さんを圧倒。大鳥さん、体勢を持ち直して「では、戦好きの土方君にひとついいことを教えてやろう。降伏は申し入れるが、薩長の出方次第では私は再び奴らと戦うつもりでいる」この発言は、おそらく榎本さんの考えではなく、大鳥さん自身の考えでしょうね。籠城して半年持ちこたえれば冬になると自分の考えを述べる大鳥さん……うーん、「籠城を主張する大鳥圭介」は某作品にも出てきて、そこでも土方さんに一蹴されているんですよね、某作品へのオマージュかしらん(汗)。案の定、このドラマでも「甘い!」と土方さんに一蹴されてしまうわけで。



大鳥圭介vs土方歳三その4……「甘い!」「無礼であろう」「学者さん、もっと人の心を読めよ」そこから土方さんの反論。「すでに一度負けた奴らの一体誰が援軍に来てくれるというのか。それも海を渡って」「蝦夷地の民だってそうだ。薩長が我らを包囲しても変わらずに味方でいてくれる保証がどこにある」そんなことをいちいち考えたら何もできないと抗弁する大鳥さんに「最悪のことを考えるのが策ってもんじゃないのか」とだめ押し。ここで「様々な場合に備えるのが軍議ではないかーっっ!!」という山南さんシャウトを思い出した方もいらっしゃるでしょうね。「世の中机の上の計算通りにはならねぇってことだ」と、大鳥さんを見据えながら、刀の柄でジオラマを叩く土方さん。



大鳥圭介vs土方歳三その5……「参考までに聞かせてもらおうか」と土方さんの考えを訊く大鳥さん。「討って出るんだよ」という土方さんの返答にやや嘲笑めいた高笑いをする大鳥さん。少数の兵によるゲリラ戦法を仕掛けて敵軍の中に「この戦が永久に続くかも知れない」という恐怖を与えるんだと説明する土方さん。いかにも土方歳三が考えそうな、寡兵で大軍を破る、かつ近代的な発想を土方さんに言わせた三谷さん、グッジョブだと思います。「そんな策があるか。その先にあるのは全滅だ」と返答する大鳥さんですが、内心では心の中で自分にはない土方さんの発想に驚いているのではないかと白牡丹が思うような、複雑な表情をちらっと見せました。「全滅はさせない。俺が約束する」と言い切る土方さんに対して「もういいっ!」と話を打ち切ってしまう大鳥さん。これは、降伏を決めた榎本さんの副官的立場にあるために、これ以上聞かないという選択をしたのでしょう。



大鳥圭介vs土方歳三その6……「すべては決定したことである」と立場を押し通そうとする大鳥さん。「ひーじーかーたーくんっ」この言い方、好きだ(笑)。陸軍奉行並として上官の決定に従うようにと言い渡す大鳥さん。「総裁に会わせろ。お前では話にならん」と榎本さんの部屋に行こうとする土方さん。「お、お前とは何だ!」かっとする大鳥さん。冷静に「どけ」と言い放って大鳥さんを突き飛ばす土方さん。吹越さん、見事な倒れっぷり、ありがとうございますっ(笑)。



大鳥圭介vs土方歳三その7……榎本さんの部屋に向かう土方さん。「き〜さま〜」と叫び、追いすがる大鳥さん。「榎本さんと私の思いは同じだ」「では榎本を斬って、その後でお前も斬る」と睨む(ここ、山本さんと吹越さんの身長差をうまく使ってるなぁ)。大鳥さん、周りの兵士たちを呼ぶ……番宣で見た大鳥さん吹っ飛ばされる場面パート?(笑)がカットされていたのは惜しいなぁ(爆)。



 兵士達に囲まれた土方さん。そこへ、榎本さんの部屋の扉が開いて、真打ち榎本さん登場。
 土方さんが永井様から榎本降伏と聞いて馬で五稜郭に向かう場面まで。



「富士の白雪ゃノーエ♪」@称名寺……江川坦庵先生大好きな白牡丹を狂喜させた場面(爆)。江川太郎左衛門英龍(坦庵公)が幕府の許可を受けて創設した農兵隊が行進歌に採用した「農兵節」またの名を「ノーエ節」です。「富士の白雪ゃノーエ 富士の白雪ゃノーエ 富士のサイサイ白雪ゃ朝日でとける……」 箱館の旧幕府軍が史実的にこの歌を採用していたかどうかはわかりませんが、大鳥圭介は江川太郎左衛門英龍が創設した塾(通称「江川塾」)で講師をしていましたし、他にも坦庵公とつながりのあった人が旧幕府軍にはいましたから、「農兵節」が知られていてもおかしくはありません。吹越さん演じる大鳥圭介が歌っている場面をちょっと見たいと思ってしまった……(爆)。



飲めない酒を無理に飲もうとする鉄之助君……あぁもぉ、可愛くてしょうがない。池松君演じる鉄之助君が出てくるたびに、おばちゃん目を細めちゃうよ(爆)。『新選組!』で沖田総司君が使っていたのと同じ白鞘の刀を帯びて、鉢巻や襷も白を用いて沖田君と同じイメージカラー。池松君、総司君の子役を演じた子に雰囲気もちょっと似ていると思うし。



「新選組が好きか」「他に私のいるところはありません」「……そんな奴らばかりだ」……土方さんと鉄之助君の会話で好きなところ。鉄之助君には一緒に新選組に入隊した兄の辰之助いたんだけど、お兄さんは五兵衛新田駐屯時まで在隊し、その後脱走(明治5年2月に故郷の大垣で亡くなったらしい)。16才の少年が「他に私のいるところはありません」と言うのを聞かされるのは切ないなぁ。そして「……そんな奴らばかりだ」と言う土方さん、自分自身もそうだと感じているように聞こえました。



「一番強いのは、鵺だ」……この台詞が試衛館の回想シーンにつながることは予測できたけど、榎本さんとのディスカッションシーンにもつながるとは。



多摩に行けと命じる土方さん、拒む鉄之助君……「命令に背く者は斬る……誰かが伝えなきゃならねぇんだ。こんな大事な役目、お前の他に誰に頼める」頷く鉄之助君。「ここにお前のことも書いてある。彦五郎さんなら必ず面倒を見てくれるはずだ」そして、沖田総司の姉ミツを探し当てて渡して欲しいと、思い出のコルクも託す。この場面は、市村鉄之助君が出てくるとわかった時点で予測していたけど、やっぱりじーんと来ます。そして、取り出したコルクに「それは?」と鉄之助君が聞くと「教えられねぇなぁ」と答える土方さんの顔、多摩時代のトシを思い出させる表情がよかった。



鉄之助君を見送る土方さんの顔アップ……見る者を切なくさせる表情だなぁ……。



回想シーン@試衛館……新八っつぁんと左之助の稽古を見ながら片頬をちょっと吊り上げている若いトシの表情が嬉しい。



「一番強い生き物」談義……総司君が唐突に「ねぇねぇ、世の中で一番強い生き物って何かなぁ」と始める、試衛館の朝食風景。源さん、熊を素手で倒したのかよっ……(滝汗)。左之助の「加藤清正は生き物じゃないのかよ」という反論に誰も答えてくれない。総司君が山南さんに質問している間、トシの全身から「俺にも訊けよ」オーラが出ている(笑)。



なぜに鵺?……単なる直感なのですが、ここはトシの「ろまんち」な側面が出ているのではないかと思いました。実在の生き物として信じていたのではなく、人の想像力が生み出した怪物を最強だと言うトシは案外、「やはり一番怖ろしいのは人ではないでしょうか」という山南さんと、ちょっと似た感性を持っているのかも知れない。でも、人を怖れないという点で、山南さんとは少し違う。だから「そんな締め方でいいのか」と切り返したのかも、と。



「お前が言い出したんだろっ!」……このツッコミ、やっぱりトシだ〜(笑)。



見えないけど存在を感じる近藤先生……姿は見えないけど、誰もの目に映っている、道場主となった近藤先生。皆さんの目線で、ひとり寂しそうにご飯を食べる若先生の姿が目に浮かびます。



「みんな、いなくなっちまった……」……本当に、「始まりは八人」だったのに、土方さんの回りには、もう誰も残っていないんですよね……(ほろ)。そして、市村鉄之助君も行ってしまった……(ため息)。



置いていかれるランタン……土方さん、燃料が切れただけのランタンを、なぜに置いていくんですか(汗)。モノは大切に使ってくださいよ〜。それに、そういうものを置いていくと、新政府軍の斥候に軍の位置を把握されてしまうわけで、まずいんじゃないかと(滝汗……ただ、このランタンが残されたおかげで、後で新政府軍が侵攻してきた時に、位置関係がわかるという演出は、なかなかのものでした)。



襟首をつかまれて引き込まれる市村鉄之助君……どきっとしましたよ(苦笑)。まぁ味方の陣地内なんで、敵軍に捕まったわけではないのは確かですが。



「俺は五稜郭で土方さんと一緒に死ぬ」という島田さんと「私にはわかる。土方さんは我々に生き延びて欲しいんです」という尾関さん……えーと、尾関さん、土方さんは「死ぬ気で」箱館の街を守れと命じたわけで、生き延びて欲しいと思って箱館警備を命じたと、なぜ解釈したんでしょうか(汗)。まぁ、その後の土方・榎本軍議で、背後に箱館山という天然の要害がある弁天台場とすぐ近くの称名寺(この作品で新選組宿営地となっている)は容易に攻め込まれない最後の拠り所と土方さんが考えていた可能性は限りなく高いのですが(苦笑)。



「走れ。多摩まで走り抜け!」「はい!」……最初につかみかかるように迫ってくる島田に怯える鉄之助君がグッジョブ。確かに、あぁ迫られたら怖いわな(苦笑)。でも、「多摩まで走り抜け!」「はい!」という遣り取りは、じ〜んと来るものがあります。



戻ってくる永井様と出会う土方さん……初見では「永井様がこんなにいい役で続編に登場するとは」と思ったのですが、考えてみれば永井様は総攻撃の時には弁天台場の責任者という立場でしたから、武蔵野楼から弁天台場に戻る途中で弁天台場から向かう土方さんと出会う、というのは自然なシチュエーションですね。本編でも、何かと近藤先生を引き立ててくれる新選組の理解者でしたし。



「私はあの人が、どうも好きになれません」と永井様に打ち明ける土方さん……本編では直接言葉を交わしたことがなかったはずの土方さんですが、近藤先生を買っていろいろと登用してくれた永井様だからこそ空白の一年間に打ち解けたのね、と脳内補完(苦笑)。



「ただな土方、私はそれもアリだと思ってるんだよ」……永井様には名言が多いなぁ。



「俺が何のために今日まで行き続けてきたと思うんですか! すべては近藤さんの無念を晴らすため。あの人が死んで俺の人生も終わった、それでも俺が死ななかったのは近藤勇を罪人のままでしておくわけにはいかなかったからです! 今薩長に白旗を揚げたら俺は何と言って詫びたらいいんですか!」……依田学海の記録に残る「吾、近藤昌宜とともに死せざるは、一に故主の冤《ぬれぎぬ》をすすがんと欲せしむのみ、万一赦しに遭いては、何の面目ありて地下における昌宜に見えん《まみえん》や」が、うまーく組み込まれている。『組!』における土方さんの「故主」は、徳川家でも会津公でもなくて、「かっちゃんなのだな」と、しみじみ。



「ごめんなさいでいいじゃないか。それで怒るような近藤さんじゃないだろう」……この永井様の台詞、最強(爆)。
 榎本武揚が降伏の意思を幹部達に伝える場面までです。



「土方さんはずいぶんと丸くなったな」「鬼の副長と呼ばれた頃が嘘みたいですね」……「近藤先生が亡くなってから、あの人は変わった」「京にいた頃は無理矢理法度で縛ったとこもあったが、今はそんなもんも要らん。皆、心の底から土方さんを慕っているんだ」京都では永倉さんの「謀反」に加わった島田さんこそが、今では心の底から土方さんを慕っているんですよね。



「その奉行ってのだけは止めてくんないかな」「んー、背中がかゆくなンだよ」……この口調、いかにも山本土方らしくて好き(笑)。



「しかし何とお呼びすれば」「やっぱり、副長かな」……旧幕府軍全体を指揮する陸軍奉行並の立場にあっても、「副長」と呼ばれる方が嬉しい土方さん。



「京に上った頃は浪士組といってな。それから精忠浪士組になったり、壬生浪士組になったりしたな」「最後に新選組になった」……土方さん、新選組の歴史を語る。しかし初めて話を聞く側にはさっぱりわからない説明です、とツッコミを入れたい。ただ、『新選組!』をずっと見てきたものには、土方さんの口で「浪士組」「精忠浪士組」「壬生浪士組」と聞いただけで、芹沢鴨や新見錦などの顔がちゃんと浮かんできちゃうんだよ……八木家の門に看板がふたつ並んでいたこととか、思い出してしまうんだよ(ほろ)。



「江戸にいた頃なんかは近藤さんを入れて八人だった」「始まりは八人。近藤さんに俺に総司、永倉に左之助に平助に源さん。それから山南さん」……最後に「それから山南さん」と、大事に取っておいたように言うところに、山南さんへの思いが感じられる。



「山南さん? ああ、法度に背いて切腹させられた人ですよね」「山南総長は、武士の中の武士だ。あの人がいなきゃ今の新選組はなかった」……以前の土方さんだったら、事情を知らない相馬君の言い方に切れもせず、こんなに静かに山南さんのことを説明できただろうか、と思ってしまう。そこが島田さんの言う「丸くなった」という部分ですね。そして同時に、山南さんの切腹がいまだに土方さんの心の中に尾を引いているのが、何とも切ない。



「敵の酒、ってのがいいだろ」「これからもちょくちょく分捕りに行きますか」……このやりとりのテンポ、西本願寺移転の時の土方・島田の会話を思い出した……西本願寺のお坊さん達の前で伊東先生に立場をなくさせた会話ですが(苦笑)。ただ、土方さんが「ちょくちょく分捕りに行きますか」に返事をしなかったのは、新政府軍との決戦が近いことを感じているからでしょうね。



武蔵野楼で幹部たちが会合していると聞いて「真打ちは最後に出てくもんだ」……遅れて行って「待たせたな」って、言うつもりでしょうか(笑)。しかし島田にまで「大丈夫かな」と心配されているところが苦笑もの。



島田・尾関・山野・蟻通を呼び寄せる土方さん……「総攻撃は、明日だ」「なんかゾクゾクしますね」何しろ島田にかかっちゃ伏見奉行所での戦いも「田舎の夜祭りみたいだった」だもんなぁ(苦笑)。「あの時(池田屋)の仲間で今も残っているのは俺たち五人だけだ」「あれ、お前ら(山野・蟻通)、そんな前からいたか?」「すぃません、目立たなくて」蟻通の返事がかわいい。



四人に箱館の町を守り抜けと命じる土方さん、土方さんについていくと駄々をこねる島田「いーや、我慢できねぇ」「てめぇはガキか」「ガキで結構」……「赤子が母を慕うがごとく」と書かれる箱館の土方さんだけど、島田が赤子になるとは思わなんだ(汗)。でも、照英さん演じる島田だからこそ、いいんだよな〜。島田が相馬の名前を出すことで、後に相馬が最後の新選組「隊長」に選ばれるほどの人材として認められていることも示唆する場面。また、駄々をこねる島田とは対照的に、島田をたしなめて土方さんの命をしっかり聞き届ける尾関、どちらも土方さんを慕っての行動なんだよね。男泣きする島田に「心配すんな。まだまだ戦は終わらない。どうせまた一緒に戦う時が来る」と言って肩をポンと叩く土方さん……でも、その言葉は実現しないんだよぉ(涙)。



二階に庭園のある武蔵野楼……美術さん、グッジョブ! 女性たちを洋装(お運びさんは和装なのが、またアクセントになってるし)にしたのも、斬新だなぁ。今回は箱館の街や人が出てこないので、この場面で異国情緒を感じさせてくれたのが嬉しい。



「土方様がまだです」「ああっ!またあの男か」……大鳥圭介の口調に、土方さんをどう思っているかがよく感じられる。吹越さんグッジョブ〜(^^)。



昼に武蔵野楼のつけを精算していた土方さん、商家からの軍用金調達に反対した土方さん……さすが三谷さん、史実ファンにはこういう小ネタがとても嬉しい。史実かどうかはわからないけど、箱館での伝承の中には「総攻撃の前日に土方歳三は箱館の人々への借金をすべて清算していった」というのがあるし、商家からの軍用金に反対したというエピソードもある。



武蔵野楼の女将……南野さんの「ありがとうございます」の言い方がちょっと気になりました。馴染み客にたまっていたツケを払ってもらった女将にしては嬉し過ぎる様子で(汗)、もう少し抑えた言い方がよかったなぁ。土方さんの「世話になったな」のさりげなさがよかっただけに。何かを予感した様子で振り返った女将の表情はグッジョブだと思う。



永井様「それは違いますな、大鳥殿」……いやぁ、佐藤B作さんの永井様、いい味出してらっさる。箱館の旧幕府軍に加わった数少ない元幕府高官の風格があります。大鳥さんの「私の聞いていた話とは違いますな。商家を襲ってゆすりまがいのことをしていたらしいではないですか」に「それは芹沢鴨だ。新選組になる前の壬生浪士組の頃の話です。近藤たちは自ら法度を設け、武士にあるまじき行いを厳しく戒めておりました」と新選組を弁護。鴨さんの名前が出てくるだけで、切なくなるんですが(ほろ)。



懐中時計を出して榎本「始めるとするか、大鳥君」「本当にいいのか」「決めたことだ」……懐中時計が普通に出てくるところが、急速に近代化が進んでいる幕末維新の時代を感じさせますね(榎本さんはオランダ留学していたから、懐中時計を愛用していて当然だし)。そして、「本当にいいのか」と念を押す大鳥圭介に、総裁の副官的ポジションである大鳥の立場(作中では、ということですが。史実では副総裁に松平太郎さんがいた……松平太郎さんといえば日テレ年末時代劇『五稜郭』の藤岡弘が忘れられない……と、少々脱線)と、自分の本心との間で複雑な心境であることを伺わせる。



旧幕府軍幹部に降伏の意思を伝える榎本さん……新政府軍による総攻撃のある5月11日の前日に榎本が降伏を考えていたというのはもちろん三谷さんのフィクションですが、この場面の榎本さん、風格があるなぁ。
 まずは各場面で感じたこと、思い出したことなどをつれづれに書いてみます。その後で、各登場人物の描かれ方やストーリーを総括していく予定。何日かかるかわかりませんが、自分なりに『新選組!』『新選組!!』への思いを総括するつもりで書きたいと思っています……こんなペースですんで、連休中に完成するとは思えないんですが^_^;。



五稜郭……あぁ五稜郭、五稜郭。「最後の砦である」「最後のよりどころとなっていたのである」という国井さんのナレーションだけで、うるうるしそうになる。新五稜郭タワーが見えないので、撮影は一年ぐらい前でしょうか。新五稜郭タワーは今年の4月1日オープンです。



「月に叢雲」……『局長!』を連想したのは私だけ?(爆) それは別としても、土方さんには月が似合う。近藤勇という太陽の光を受けて白く輝く月。もっとも、拙ブログにコメントをお書き下さっている、ひゅうがおんさんの言葉を借りれば「(もっとも、この月、自転運動がやたら激しかったけど^^;)」と一言付くのだけど(爆)。



蛇にひっくり返る島田魁……ここは笑いどころなのかも知れませんが、私も蛇が大の苦手なもんで蛇が舌をシャーッっと出しただけで、島田魁さんと同じぐらい怖じ気づきました。……蝦夷地に生息する頭が三角の蛇というと、マムシでしょうかね……(怯)。



「待たせたな」……「いよっ、この千両役者!」と、声をかけたい『新選組!』での決め台詞をのたまう山本土方の登場シーン。自分がマムシに怯えて出した声のせいで気付いた新政府軍(または西軍)の兵士を斬りに行こうとした島田@新選組頭取の責任感もチェックしておきたいところです。でも、自分の目は、オールバックにした髪を撫でつける、かっこづけ陸軍奉行並に吸い寄せられてしまっていただよ……(苦笑)。そして、尾関が掲げるぼろぼろの「誠」旗のもとで、斬り込みをかける島田・相馬・土方のトライアングルがかっこいい。



ぼろぼろの「誠」旗に『新選組!!』……「疾風迅雷」をBGMに、ばんばんと文字が出てくるところがかっこいい。そして、バックの旗のぼろぼろぶりが、一年の経過と新選組が辿ってきた戦の厳しさを感じさせます……初めて「土スタ」で見た時にはうるうるしたなぁ。



主題曲……ごく個人的な好みですが、抜群にいいです。短調のワルツ、私が愛好するアルゼンチンタンゴのワルツにありそうなメロディライン(アルゼンチンタンゴのワルツはもう少しテンポが速いですが……世界的な流行になるのは、土方さんの時代より50年ほど時代が下がってからなので、アルゼンチンタンゴほ意識したものではないでしょうが)。舞台を国際都市・箱館に移しつつも終焉間近な「だっそう」こと幕府脱走軍の挽歌にふさわしい……服部さん、美しい曲でグッジョブです。



卵の白身で髭を整える榎本武揚……最初、卵を割ったショットを見た時に「スキヤキでも食べるのかなー?」と暢気な感想を抱いたことをお許し下さいm(_ _)m。せかす大鳥圭介に榎本が「私は徳川軍を率いる男だよ」「ヨーロッパの軍人たちがどれだけ華やかな出で立ちで戦地に赴いているか、君に見せてやりたいな」という二言で、この時代には数少ないヨーロッパを見てきた旧幕臣であることを雰囲気よく伝えたのはお見事。



扇子を取り落とす大鳥圭介……演技が細かい、吹越さん(笑)。



「では参ろう」「そのまま、そのまま」……矛盾しているかも知れないけど、気取りのない性格と徳川軍を率いる度量が榎本さんにあることが雰囲気によく現れている。



土方さんの「お話」……本当は二股口での戦闘での場面だけど、この台詞が山本土方さんの口から聞けるだけで、私は感激してしまうんだよな(^^ゞ。「お前たちは実によく戦っている。俺は心から褒めてやりたい。これからも、いいか。徳川にも骨のある奴がいることを、薩長の奴らに思い知らせてやれ(おーっ)。ささやかだが、お前たちに進物がある。たまには憂さも晴らしたいだろう。これから酒を馳走する。楽しんでくれ(酒だ、酒だー)……ただし言っとくが、大した酒じゃねえ。今さっき、敵からかっぱらってきたやつだ(一同笑)。好きなだけ飲めといいたいところだが、ここは戦場だ。あんまりへべれけになってもらっても困るから、ひとり一杯ずつとする(一同笑)……相馬」「では一同、各々器を持ってここに一列に並んでください」「ひとり一杯だぞ!素知らぬ顔して何度も並ぶんじゃねえぞ!」……このくだけた感じ、いいなぁ(;O;)、それを見つめる古参隊士の島田・尾関のやりとりも。
(注・この感想は、先行放送の録画を4度見て下書きし、総合放送を見てアップしたものです……アップが早いのは、そのため……)



 最初に断っておかねばならない。私は、史実の土方歳三は死に場所を求めていたと思ってはいない。与えられた場所で最後の最後まで命を懸けて時代と斬り結び続けたと思っている。だから、たとえ創作でも「死に場所を求めた」「死にたがり」歳三像は、あまり見たくない。



 だから、ドラマ制作中に山本耕史さんがインタビューで「死に場所を求めていた」という土方像を紹介した時に、ちょっとヒヤリとしたこともあった。最終的には、『新選組!』の近藤勇の死にも思いを絶ちきられない描き方をした三谷幸喜さんの筆なら、それだけの土方になるはずがないと信じて、ドラマを見た。



 『新選組!! 土方歳三最期の一日』は、史実から思い描いていた自分の土方歳三像とは少し違うと思いつつも、私には納得の行く土方だった。ドラマ中盤以降は「最後まで諦めない」という一点で私の思い描いていた土方像につながったからだ。だからこそ、死に場所を求めて戦っていた時には死ななかったのに、生きるために戦い始めた途端に死んだという展開が、皮肉でもあり、かえって切なさが増した。



 そして、山本耕史さん演じる土方歳三は、本編『新選組!』で斃れていった者たちの思いを引き継ぎ、盟友近藤勇の死からも一年戦い続け、榎本、大鳥、新選組生き残りの隊士たち、そして市村鉄之助に思いを託して、一本木関門であえなく(戦場でその銃弾が身を貫いた瞬間を味方の誰もが見ていなかったという意味では、やはり「あえなく」なのだ)死んだ。「榎本さん、すまん」と呟いて……。



 作中の永井様の言葉を借りれば「私はそれもアリだと思っているんだよ」という土方像だった。



 『新選組!』では試衛館の八人と斎藤一の合わせて九人を描いた群像劇だったからこそ、『新選組!!』では「みんな、いなくなっちまった」と呟く孤独な土方が際だつのだし、本編では近藤勇と土方歳三の友情が縦糸のひとつになっていたからこそ、続編では処刑された近藤の汚名を雪ぐ《すすぐ》ために戦い続ける一方で早く戦で死にたいと願う土方なのだ。



 そして、その土方に一瞬でも新たな夢を抱かせることができたのが榎本の「新しい国」だった。榎本と土方の「ろまんち」ディスカッション、本編の勝海舟と山岡鉄舟の「ろまんち」会話が好きだっただけに、続編でも繋がっていて、とても嬉しかった……榎本は「まぬけなロマンチスト」で、土方はリアリストだと思われているけど実は「筋金入りのろまんち」で、大鳥もリアリストに見せているけど実はすごい「ろまんち」。この設定、すでにインタビューでわかってはいたのだけど、三谷さんが何よりも史実好きで、その上で自分の『新選組!』世界を構築しているのが感じられた……ありがとうございます、史実の榎本・大鳥も結構好きな土方スキーなもんで、そういう彼らが見たかったのです。



 総集編を見てから続編を見ると、ああ〜、繋がっている繋がっている、と思うことしきり。本編からピックアップされたエピソードが、ちゃんと続編に生きているではないか。ほろ……続編との繋がりで言えば、勝海舟と山岡鉄舟の「ろまんち」会話が漏れているのが惜しいんだけど……まぁ、仕方ないです……。



 ありがとう、脚本を書いた三谷幸喜さん。ありがとう、演出の吉川邦夫さん。ありがとう、音楽の服部さん。ありがとう、丸三年かけて『新選組!』の土方を演じきった山本耕史さん。ありがとう、榎本武揚を演じた片岡愛之助さん、大鳥圭介を演じた吹越満さん、そして照英さん・熊面鯉さん・試衛館組+オダギリジョーさん、その他のキャストの皆さん、制作陣の皆さん、作品に関わったすべての皆さん……『新選組!! 土方歳三最期の一日』は、「流山」「愛しき友よ」に続く『新選組!』の第50回としても、続編としても、美しい作品だ……何度も見返すに足りる、珠玉の作品だと思う。



 以下、ストーリーに沿って詳しい感想を書いてみたい……何日かかけて、ゆっくりと。
 懐かしいです、総集編1。特に第1回と第2回の場面、ブログに特に感想は上げてませんでしたが、巷の評判とは違って、これからの『新選組!』の展開を予感させるネタが散りばめられていて、白牡丹はワクワクしたものでした。



 桂小五郎に蕎麦代をおごってもらうことが納得できなくて食い下がる若き日の近藤勇。いなそうとする桂小五郎。自分が蕎麦代を預かって代わりに蕎麦を食うという突拍子もない解決策を出す坂本龍馬。そして、がっぷり四つに相撲を取る勇と龍馬。それを勇の側で見つめる若き日の歳三。それぞれの今後の生き方を象徴するシーンでした。



 そして、黒船のシーン。日本の今後の行く末に不安を感じる桂。「乗ってみたいにゃあ」と楽観的に世界への憧れを語る龍馬。艪もない、底の抜けたぼろ舟(徳川幕府の象徴でしょうね)に乗り込んで黒船と対決しようとして挫折する勇と歳三。



 また、第2回の盗賊と対峙する場面でも、勇と歳三の性格がうまく出ていると思います。薬屋だからかっちゃんの介抱役だと言って加わりながら、腕を撃たれる勇(後に肩を撃たれて鳥羽伏見には参加できない勇の象徴?)に代わって木刀で戦おうとする歳三。その歳三が危機に陥ると、人を斬りたくないという信念を曲げても友の命を救おうとする勇(「流山」の近藤勇の象徴?)。



 為次郎兄さんの出てくる場面、ふでさんが勇につらく当たる場面も、懐かしい……。



 この辺りは、ブログで感想を上げてなかったので、ちょっと書いてみました。



 では、しばらく総集編に集中させていただきます。
快速!』サイトでは山本耕史さんが3日連続のご挨拶メッセージ。嬉しいですね。



「放送前の更新は、これで終わりかな?」と思いつつ、時々覗いてみることにします。
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