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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
 NHK大河ドラマ『新選組!』の時代考証を手がけている専門家のひとり、大石学氏による新選組全史。



新選組―「最後の武士」の実像 中公新書 1773(amazon.co.jp)



新選組の誕生から終焉までの通史は、史料を厳選し、異説・異論のあるものはあえて両論併記の形で紹介している。全体を通して依拠する史料は割とバランスがよいように思う。



 個人的には、永倉新八の談話『新選組顛末記』に依拠する部分で、少し「?」のところが一カ所。序章で、鳥羽伏見の戦いに敗れた新選組が江戸に到着した時に隊士が「四十余名」となっていたところである。『新選組日誌コンパクト版 下』菊地明・伊東成郎・山村竜也は、横倉甚五郎日記を元に、帰還した隊士を117人と割り出している。永倉新八の言う「四十余名」は、順動丸に乗り込んだ隊士の数で、近藤勇・土方歳三など富士山丸に乗り込んだ隊士たち(その多くは負傷・病気の隊士たちと見られ、松本良順が預かる神田医学所に収容された近藤・沖田を除いては、殆どは島田魁の世話のもとに横浜の医学所に収容されたと推定される)を数に入れていないのではなかろうか。

 

 一方で、永倉『顛末記』と西村兼文『新撰組始末始末記』が取り上げている内山彦次郎暗殺の件についての記述を見ると、新選組犯行説に疑義を挟んでおり、『顛末記』を全面的に採用しているのではないとわかる。それ以外の事件や事象の扱いを見ると、史料の扱いに違和感があるのは「四十余名」のところだけである。



 また、新選組の幹部隊士を輩出した多摩を「首都=江戸」を政治的・軍事的・経済的に補完する地域と位置づけて新選組の精神的風土と結びつけ、また新選組を単純に「最後の武士」として描くのではなく幕末の幕府の近代化に沿って近代化・洋式化を進めていった組織として描いている点が、新しい。



 新選組ファンとしては手元に置きたい本の一冊である。



 このところ『新選組』松浦玲をはじめ、従来は新選組研究に関わってこなかった歴史学者が新選組に関する著書を出すようになり、新選組ファンとしては嬉しい限り。山崎烝日記など史料も次々に見つかっていることから、在野の研究家と共に、新選組の歴史的評価や従来知られていなかった史実の発掘を進めていただければなぁと期待する。
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