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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
 さて、小休止の後は「コンフリクトのマネジメント」についてです。コンフリクトが発生すること自体は止められませんが、コンフリクトに賢く対処することによってコンフリクトから生じる感情のもつれを最小限度にしたり、コンフリクトを建設的に解決することによって組織全体にとってプラスに転じさせたりすることも場合によってはできます。それが「マネジメント」の意味です。



コンフリクト対処の5パターン



 土方さんを中心にコンフリクトのケースを見ていく前に、基本的な対処の5パターンについて解説します。



(1) 回避



 これは、コンフリクトの存在に目をつぶる、あるいは我慢するという対処方法です。

 「それは対処方法にならないのではないか」とツッコミが入りそうですが、私たちは日常的にこの方法を使っています。たとえば満員電車の中で近くの人のイヤフォンから漏れるシャカシャカ音が煩わしいと思っても、注意する人は少ないと思います。耳障りだけど自分の健康が損なわれるほど迷惑でもない限り、「どうせ電車を降りるまでの辛抱だから」と我慢してしまう人が多いのではないでしょうか。

 そのように被害が大きくない場合、一過性の問題だと思われる場合、あるいは重大で緊急な他の問題に先に対処しなければならない場合、人は小さなコンフリクトを無視したり我慢したりして切り抜けます。あるいは、先送りします。「回避」が有効な場合もあるわけです。

 一方で、先送りばかりしていても向かないケースもあります。先送りすることによって悪化させるリスクもありますし。



(2) 譲歩



 これは、相手の言い分や利益を優先させることによって解決を図るという方法です。

 コンフリクトの相手にもよりますが、相手を立てなければならない時、相手の気持ちや意見や利益を優先させることが長期的に自分にとっても有利になる時には有効です。

 ただ、いつもいつも相手の言い分を聞き入れるわけにはいきませんよね。自己犠牲が続くと、自分の気持ちもネガティブになってきますし。これも、短期的には有効ですが、長期的に使える対処法ではないでしょう。



(3) 攻撃・対決



 譲歩の反対で、自分の言い分や利益を主張し相手に呑ませる対処方法です。

 緊急の課題、自分側の主張が正しい場合、自分側の方が優位にあって相手に譲歩させることができる場合には、それもアリでしょうね。

 ただ、このパターンばかり続けていると、相手に確実に嫌われます(苦笑)。また、こちらの言い分を押し通すことによって、長期的には組織全体にとって必ずしも最善の解決方法にはなっていない可能性もあります。



(4) 妥協



 相手の主張と自分の主張の折衷案で折り合うという対処方法です。

 お互いに5割得て5割損するというわけで、感情的には双方にそこそこの納得感が得られます。

 ただ、真っ向から利害や意見が対立する場合には、お互いの利益や意見を5割ずつというのは難しいケースも多々あるでしょう。それに、「双方痛み分け」が根本的な問題解決にならないケースもありますね。



(5) 協力



 互いの視点を全部出し合って、お互いにとって建設的な解決方法を探るという解決方法です。

 根本的かつ長期的な問題の解決にはベストの解決方法ですが、時間がかかりますので緊急の課題には向いていないかも知れません。また、様々な関係者の意向を反映させようとして「妥協」になってしまうリスクも含まれています。

 ただ、協力し合うことによって、双方が自己の利益を追求している内には考えつかなかった建設的・創造的な解決方法が生まれてくる可能性があります。



コンフリクトの解決方法



 一般化は難しいですが、あえて一般化します。



・回避

・一方の意見・利益を通す(攻撃・譲歩)

・妥協・痛み分け

・問題解決(対決あるいは協力による)

・玉虫色の決着

・資源の拡大

・権威機関の命令

・人間を変える

・組織の組み替え

・共通の敵の認識

・上位目標の設定



 最初の4点は「コンフリクト対処の5パターン」で解説した通りです。



 次の「玉虫色の解決」は一時的な気休めで、双方の顔を一旦立てるにはいいですが、問題の先送りです。「資源の拡大」は、たとえば予算の配分を巡るケースで考えられる解決策のひとつですが、いつも可能という訳ではないでしょう。「権威機関の命令」は、たとえば訴訟や調停に持ち込むケースです。「人間を変える」は、担当者を別の人に交替させるケース、あるいは当事者の行動や態度を改めさせるというケースが考えられます……人間の行動や態度を改めさせるというのは、決して簡単なことではないですが。「組織の組み替え」というのは、たとえば現場と管理部門で意見の対立が激しい時に同じ部門に編成し直したりすることですが……経験的には、組織の組み替えは別の対立構造を産んだりすることもあり、副作用もあると思います。「共通の敵の認識」は、同じ組織内で対立している時に「そもそも我々は○○社(競合他社)を抜くことが目標ではないのか」と視線を外に向けるケースがそれに当たります。そういうケースなら有効かも知れませんが、社内の別の部署とか特定の人を共通の敵として認識するケースだったりすると、どうなんでしょうね(苦笑)。まぁ使い方に注意したいものです。



 「上位目標の設定」については、もう少し詳しく説明します。ちょっと抽象論が続いて眠くなった人も出てくる頃かと思いますので(苦笑)、『新選組!! 土方歳三最期の一日』から例を取って説明しますね。



【五稜郭・榎本と土方の会話

土方「あんたは、じわじわと開拓を進め、力を蓄えて、最後には独立を目指すと、俺に打ち明けてくれた。薩長に張り合って、日本にもう一つ新しい国を造ろうとあんたは言った……無茶な話だ。だから俺は乗った」

榎本「あんたが乗ってくれたお陰でね、その後、兵士の士気が一段と上がったよ」

土方「しかし、あんただって、腹の底では、それが夢でしかないことはわかっていたはずだ。本当に新しい国を造ろうなんて思っちゃいなかった……でもそれで良かったんだ。俺たちの思いは、ただ一つ。薩長に一泡吹かせること。このまますんなり薩長の新しい世の中になるのが許せなかった。だからこそ、俺は榎本武揚に賭けた」

榎本「……」】



 この場面の土方さんは、「薩長に一泡吹かせること」を大きな目標と捉え、「新しい国を造る」という企ては薩長に対抗するための手段、あるいは榎本さんの方便と捉えています。つまり、「薩長に一泡吹かせること」が「新しい国を造ること」の上位目標にあるという捉え方をしているということです。



 コンフリクトの解消において「上位目標の設定」を使う時は、たとえば「薩長に一泡吹かせること」が上位目標であることでふたりの意見が一致した場合、その手段についてお互いの意見を見直し、折り合えるところを探すわけです。まぁ、この話では、榎本さんの本心は必ずしも「薩長に一泡吹かせること」が上位目標にあるわけではないので、「たとえば」という仮定で出したのですが。



 この「上位目標の設定」という言葉、後の場面で土方さんが榎本さんを説得する場面でも例を挙げて説明しますので、覚えておいてくださいね。コンフリクトを建設的に解消する方法として有効なやり方であることを、解説したいと思っています。



 さて、長くなってきましたので、もう一回、小休止を取りましょう。休憩が終わったら、土方さんを中心に、続編における「コンフリクトのマネジメント」の実例を見ながら分析したいと思います。



☆★☆★



『新選組!!』で学ぶ組織心理学 コンフリクトのマネジメント

 その1

 その2

 その3

 その4

 その5 本稿

 その6

 その7

 その8

 その9

 その10

 その11

 その12

 その13

 その14
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