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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
 なかなか面白い対談です。

歴史を動かす暴力 ガンダムで女性が強い理由
堀田 本郷さんの著作を読んで、僕は「すごい得をしたな」と思っています。従来の日本の中世史観というと、朝廷を中心にして武門や宗教勢力が相互補完的に統治勢力を形成していたという「権門体制論」が有力。

 それに対するものとしては東国に武家政権が成立し、西国と東国に相互不干渉的な二つの国家があったとする「東国国家論」がありました。

 しかし本郷さんの研究では、朝廷の勢力に属するのでもなく、かといって不干渉を貫くのでもなく、武士勢力に「まずはなによりもまず彼らは暴力機構の保持者であった」という光を当て、その武士たちが朝廷との対峙、交流を経て、やがて統治に目覚めていくという姿を描かれます。

 その歴史観には2つの魅力を感じるんです。ひとつは、「権門体制論」や「東国国家論」は、歴史上のある瞬間の断面を描いた姿としては大いに説得力があると思うのですが、本郷さんの著作では、武士が統治に目覚めていく、ダイナミックな歴史の流れを感じます。

本郷 ありがとうございます。だけど僕が書いてきたことはぜんぜん定説ではないんです。京都の研究者たちからは総スカンを喰らってますから。ホント、人気ないですね。

堀田 東国出身の学者と西国では歴史観、特に朝廷観がまったく違うそうですね。西の研究者からすると、「なにを東夷が言っとるか」という感じなのでしょうか(笑)。


 歴史学者の中でも東国と西国の違いってあるのね(笑)。

 本郷さんの「まずはなによりもまず彼らは暴力機構の保持者であった」という武士像にも興味津々。著作を読んでみようかな。

 最強の肉食系男子――武士にとっての「自由」とは (1/2)
本郷 逆説的な言い方だけれども、武力や暴力に従事している人間が、性的な部分のみ道徳的だと考える方が不自然なんですよ。それに勢力を維持するためにも子どもは多い方がいいわけで、産めよ殖やせよ、だったわけです。

堀田 豊臣秀吉が憧れていたというお市は浅井長政と結婚した。その子どものうち長女が淀で豊臣方。今度の大河ドラマにもなる江が徳川方に別れて、こちらが豊臣没落後も生き残った。母系から見ると両実力者に分散して浅井の血脈が保たれていったわけで、肉食男は権力は持っていても戦争で死ぬ。でも女はなんだかだで生き残る強さがあった、とは言えませんか。

本郷 それは結果論ではないかな。ヨーロッパの騎士道と日本の武士道との相違点にもなるんですが、はっきり言って、日本には戦乱の中で女子どもを助ける文化がなかったと思います。そう、武士道と騎士道の違いって、女性に対するロマンの有無だと思います。


 平安時代末期~江戸時代初期の武士と、徳川政権が確立して支配階級・知識階級として安定した時代の武士って、価値観がまるで違いますよね。

 この辺りを詳しく検証していた『武士道の逆襲』菅野 覚明(講談社現代新書)が面白かったです。

最強の肉食系男子――武士にとっての「自由」とは (2/2)
本郷 「自由」という概念が“freedam”の邦訳として日本にもたらされたのは明治時代に入ってから。以来「自由」は尊いものとして捉えられてきておりますが、実は江戸時代までの日本人には、「勝手気まま」という言葉を悪いイメージで捉えてきたという歴史があります。日本人の素地からすると、「自由」は非常に厳しいものなんです。

 すべてのものを自由に……と考えると、それは近世をすっ飛ばして中世時代に戻ってしまう。これは国際政治学者の田中明彦さんがおっしゃっていましたが、グローバリズムが進んで、国境が希薄になったこの現代は、新しい中世になっていく、という言い方すらあります。そして中世をネガティブに捉えると、それは完璧なる弱肉強食の世界になる。

 ですが少なくとも中世、近世までは神さま仏さまがいたんです。すがる宗教があった。しかし現代には宗教もない。まあ生きにくいわけですよ。

堀田 田中さんは、本来、国家に対して使う「戦争」という言葉を、アメリカが非国家組織に使っていることを、新しい中世への兆候として指摘していらっしゃいましたね。ちょうど、ジオン公国没落後、非国家組織との戦争へと移行した宇宙世紀の歴史のように……って、なんでもガンダムにたとえるのは、悪い癖ですが。

 しかしはて、鎌倉仏教みたいに「南無阿弥陀仏を唱えれば悪人だって救われる」とか、そういうありがたい教えはないでしょうか。イケメンだって救われる、ましてやブサメンをや、という。


 日本と欧米の歴史の比較からいきなりガンダムに飛んでいってしまうって(爆)。

童貞謙信は「魔法使い」!? 草食男子と江戸の平和
本郷 戦国時代でも、なんでもあり状態の織田信長時代が過ぎると、徳川家康がそれを止めた。「狭いところでちまちまやりましょうよ、鎖国もしましょう」と。でも金髪美人だけはいいよ、と(笑)。

堀田 秀吉のなにがいけなかったのかというと、応仁の乱から続いてきた戦乱がやっと収まって、みんなやれやれと思っている矢先に、「今度は明国に攻めこむぞ」とひとりテンションを上げていたところですね。スーパー肉食系の戦国大名たちにまで「アンタまだ戦争すんのか!」って思われた(笑)。

本郷 豊臣政権がダメになったのは、基本的にそれが理由だと思います。強引すぎる拡大路線に、周りのみんなが疲れちゃった。征夷大将軍にならなかったからとか、幕府を作らなかったからだとか、そんな理由は瑣末(さまつ)なことです。

 ガッテンガッテン!

秀吉はツンデレ好き? 武士の“萌えどころ”
本郷 だから信長も家康も、すでに子どもを産んだことがある未亡人を妻にするんです。子どもを産む能力があることが担保されている女性というわけで、なんとも合理的ですよね。だけど秀吉みたいにルサンチマンを抱えた男は、お姫さまらしい女を選ぶ。

堀田 あの人の好みのタイプは、男として非常に分かりやすいですよね。今でいうところのツンデレ系お嬢様。

本郷 う~ん、ツンデレだったのかなあ(笑)。

堀田 淀君あたりはツンデレキャラ、晩年はヤンデレの気もありではないでしょうか。名門浅井と信長の血をひく、気位の高いお嬢さま。あっ、秀吉の正妻は口やかましいタイプの幼なじみキャラですが。

本郷 笑ってしまう話なんだけど、秀吉の妾の中には、なんと3人も信長関係者がいるんです。「オレは今、あの上様の~」とか、彼の萌えがしのばれますよね。


 さらに……ここで↓爆笑してしまった^_^;。

本郷 「なんと粗末な!」って、侍女の持つ箸でつままれた、なんて話もありますからねえ。

堀田 ひどすぎる(笑)。


「玉砕」の謎 一夫一婦制と国民皆兵の明治
堀田 そうなんですよね。肉食の戦国時代が終わって、やれやれと平和を満喫していたら、帝国主義の明治時代がきて、男たちは戦争に駆り出されてしまうようになった。

本郷 日本人が兵隊として戦地に赴いたのは、明治時代に入ってからですね。戦前に生まれなくてよかったなあ。

堀田 それまでお百姓さんが「公」に参加して兵隊になったのは、幕末の長州ぐらいでした話よね。それが明治維新になって徴兵されて、よく戦争に行けたもんだなと思います。

 司馬遼太郎さんは「坂の上の雲」で「国民国家に参加する興奮」と書かれていましたが、でもなんでそんなに興奮に火がついたのかがわからないんですよ。たぶん従来の「農村社会の日本」のイメージが、なにか真実をつかめていない、本当はもっと違う姿だったんじゃないかと思っています。

 このあたりが、バックナンバーを読んでみようと思ったところです。

 この対談がどう続くのか、わくわく。



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