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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
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 ……長い小休止となってしまいました(汗)。また、お菓子やおつまみ、飲み物をご用意の上、お付き合いいただければ幸いです。



 旧幕府軍降伏の方針を覆そうと五稜郭に乗り込んで来た土方さんは、榎本さんと話し始めてむしろ守勢に回っている感がある第3ラウンドまででした。しかし、第4ラウンドからいよいよ、土方さんのコンフリクトマネジメント能力が発揮されます。



(7) 土方さんvs榎本さん(第四ラウンド)



 大鳥さんの依頼で、榎本さんは各地から戻ってきた指揮官の前でスピーチをします。

 指揮官たちは「ここまで来て、本当に降伏するんですか」「我々はまだまだ戦えます。なんで薩長の奴らに降伏しなくちゃいけないんですか」「総裁っ、最後まで戦いましょうっ」と口々に徹底抗戦の意欲を口にします。

 詰め寄られて言葉をなくす榎本さん……武蔵野楼で幹部達に降伏の意思を宣言した時には、誰も抗戦を口にしませんでした。しかし、最前線で命を懸けて戦っている指揮官たちは、先が見えている戦の中にあっても榎本さんが考えていた以上に薩長軍への闘志を燃やしていました。誰も死ぬことを怖れてはいませんでしたし、降伏することをよしとしていませんでした。

 望楼で土方さんに「これからは、私の夢に力を貸してくれた人々を、いかに救うかが私の仕事だ」と言っていた榎本さんですが、戦うことを諦めていない前線の指揮官たちの反応(言うまでもなく、五稜郭に真っ先に乗り込んで降伏に異を唱えた土方さんは、陸軍奉行並という地位で幹部たちの中にあっても、マインドやフィーリングは彼ら前線の指揮官たちに近いんですね)に動揺します。



 そして、榎本さんのスピーチに立ち会った土方さんは、指揮官たちの反応、榎本さんや大鳥さんの表情を観察しながら、何ごとかを考えています……おそらくは、榎本さんが土方さんに語った夢への熱い思いを反芻したり、「榎本さんと私の思いは同じだ」と降伏推進派であるはずの大鳥さんの口惜しそうな表情の裏にどんな思いがあるのかを考えたりしているのでしょうね。



 スピーチを終えて自室に戻る榎本さんに、土方さんが声をかけます。「何も思わないのか。あの声を聞いて」

 口惜しそうな表情をする榎本さん……土方さんに背を向けていますが。

榎本「……既に降伏は決まったことだ」

土方「降伏はするな」

 一瞬、固まる榎本さん。背中を向けているので、表情は計り知れませんが。

 振り返った榎本さんは、にこやかに笑っています。

榎本「びっくりするようなことを言うねえ。それじゃ、今までの話はいったい何だったんだ」

土方「ようやく気づいたよ。俺は死に場所のことしか考えてなかった。そしてあんたの頭の中には、降伏のことしかなかった。俺たちは大事なことを忘れていたようだ」

榎本「何をだね」

土方「諦めないってことだ」

 土方節、炸裂です^_^;。



 コンフリクトのマネジメント的には、その5で解説したところの、「上位目標の設定」ですね。降伏せずに戦い続けるか戦死するしかない土方さんの選択肢と、将兵たちの命を救うためには自分の命を引き換えにして降伏するしかないと思い定めている榎本さんの決意の間には、共通の利害や思いは何もありません。しかし、榎本さんが諦めた新しい国の夢に共感するところが見いだせた土方さんは、ふたりが折り合える上位目標として「諦めずに戦い続ける」という第三の道を示します。



土方「あんたは確かに馬鹿だ、馬鹿なロマンチだ。だが俺は、もうひとりの馬鹿なロマンチを日本一の侍にするために人生を費やした。どうやらそのロマンチとやらに付き合うのが性に合っているらしい。俺はあんたの夢に賭けることにする」

榎本「……夢は醒めたと言ったはずだ」

土方「いや違う。夜が明けるのは、まだまだ先だ。榎本さん」

榎本「……」

土方「いいか、これは死ぬための戦いではない。これから俺たちは、生きるために戦うんだ」

 さっきまで死に場所を求めていたことを認めていた土方さんが、生きる理由を見いだしたと同時に熱っぽく榎本さんを説得にかかりました。そして、人の心を動かすのは、理屈やデータではなくて、思いの強さなのだと感じさせる場面です。「いいか、これは死ぬための戦いではない。俺たちはこれから、生きるために戦うんだ」って一言なんか、まさに榎本さんを説得する決め台詞です。



 榎本さんは「あんたと私は似ているのさ」と、ふたりの共通点から折り合えるところを探りました。それを拒否した土方さんは、ふたりの異なる点を踏まえた上で、折り合えるところを探りました。この辺りのアプローチの違いが面白いですね。



 そして、榎本さん自身が諦めたと言っている夢に「俺はあんたの夢に賭けることにする」と宣言しちゃっているところが、土方さんらしいですね(苦笑)。「馬鹿なロマンチ」に惚れ込んでしまうと、その「馬鹿なロマンチ」の諦めすらも押し流してしまうぐらい、実は「筋金入りのロマンチ」さんなんですよね(^^)。



榎本「……一言言っておく。ロマンチではない。ロマンチストだ。変なところで切らないで欲しいな」

土方「知ったことか」

榎本「……(にっこり)」

土方「ここは、俺に任せてくれないか」

榎本「……中身次第だな」

土方「……(頷く)」

榎本「まずは、どうする」

土方「まずは……軍議だ」

 榎本さんと土方さんの心が通い合う場面です。「知ったことか」と毒舌な土方さんは、どこか近藤さんと一緒にいた京都の新選組の頃の土方さんを思い出させませんか。



 廊下を歩く榎本さんと土方さん。

榎本「土方君、君にひとつ謝らなければならないことがある」

土方「何だ」

榎本「私の見立てはどうやら間違っていたようだ」

土方「……」

榎本「あんたこそ、筋金入りのロマンチだ」

土方「……(にやり)」

 この場面で、にやりとする土方さんが、大好きです。



 第四ラウンドは土方さんが死に場所を求めていた自分を捨てて、榎本さんが諦めていた夢に賭けると宣言したことで急展開。男って、馬鹿なロマンチだからこそ素敵です……。



 ……というところで、またも小休止です^_^;。もうちょっと続きそうですので、もうしばらく気長にお付き合いくださいませ。



☆★☆★



『新選組!!』で学ぶ組織心理学 コンフリクトのマネジメント

 その1

 その2

 その3

 その4

 その5

 その6

 その7

 その8

 その9

 その10

 その11 本稿

 その12

 その13

 その14
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