新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
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これは中村獅童にとっての当たり役になるだけでなく、歌舞伎の裾野を大きく広げるコンテンツとして発展させていくことができる大きなコンテンツだと思う。絵本や映画で原作に親しみを持っている子供、歌舞伎は敷居が高いと思っているネット民、など。
そして、海外公演もこの普遍的なメッセージとシンプルなコンテンツ、獅童さん初めとする役者の表現力と情熱はとてもいいと思う。ディズニーの「ライオンキング」の主人公は父の敵を討ってジャングルの王になるのだけど、「あらしのよるに」のがぶは「友達だけど美味しそう」という食物連鎖の本能とたったひとりの友との友情に葛藤しながら、父の敵討ちはしたけど長にはならず、禁断の友人とともに生きることを選ぶ。狼なのに草食系ながぶは、とても日本的なキャラクターかも知れないけど、民族や人種、宗教、性別、性的嗜好に分断された多民族環境でセンセーショナルなファンタジーとして受ける可能性がある。私が歌舞伎の海外公演をプロデュースできる立場だったら、これはまずヨーロッパ公演でやりたい。そして、南北アメリカだけでなく、中近東やアフリカでもアジアでも展開してみたい。
【伝統芸能】<歌舞伎>異色作 嵐起こす獅童 12月歌舞伎座「あらしのよるに」
十二月の東京・歌舞伎座で、絵本を原作にした新作歌舞伎「あらしのよるに」が上演される。昨秋、京都・南座の初演で大成功を収め、その再演となる。企画を主導した中村獅童は「新しいお客さまを開拓していくのが一つの僕の使命。持っているものを、すべてぶつけることができたら」と、さらなる挑戦に力を入れる。 (前田朋子)
「あらしのよるに」は、子どもや外国人にも分かりやすいシンプルな展開ながら、深みと普遍性を持つ物語。NHK・Eテレの子ども向け番組「てれび絵本」で取り上げられた際は獅童が語りを務めたほか、劇場アニメ版でも今回演じる狼(おおかみ)「がぶ」の声を担当し、思い入れもひとしお。
「NHKは僕が(義経千本桜の)『四(し)の切(きり)』で狐(きつね)を演じているのを見て起用をひらめいたみたい」と明かし、今回の歌舞伎化には「逆にファンタジーでアナログな精神が歌舞伎になる」と感じたという。歌舞伎化は、二〇一三年に亡くなった母・陽子さん=享年(73)=と目指した長年の夢でもあった。
異色作ゆえに「本当に不安だった。どうなるか分からなかった」と初演を振り返る。だが、学校行事で観劇した学生たちが泣き、笑い、声援を飛ばし…とストレートに反応するのを見て自信がついた。「授業だからつまんなかったら寝ちゃうだろうし。それが若い人やお子さんたちも退屈せずに見てくれたのが非常にうれしかった」
初心者に分かりやすく工夫する一方で、古典調の演出を強く意識。名作からの引用を随所に施し、歌舞伎上級者にも楽しめる仕掛けにもこだわった。
狼が山羊(やぎ)の「めい」と友情をはぐくむ物語は、相いれないもの同士の融和という読み方もできる。「もしかしたら人種問題につながるかもしれないし、男女でも、理想と欲望のはざまで戦う自分でもいい。いろいろな角度で捉えることのできる深い物語だからこそ、子どもにも大人にも愛される」と魅力を語る。
がぶやめいが互いを必要とするように、獅童にとって「なくてはならないもの」が歌舞伎。未来の歌舞伎に何が必要か、自分に求められるのは何かを常に考えている。「皆さんに名前を知っていただこうと、三十代のときに必死でやってきた歌舞伎以外の仕事で受けた刺激を、歌舞伎の形にしていくのが僕の生き方」。四十四歳の今、その積み重ねが次々に花開いている。
二~二十六日。外国人や歌舞伎になじみのない観客も意識し、一部あたりの上演時間が短い三部制公演。第一部(午前十一時開演)「あらしのよるに」はめいに尾上松也、ほかに市川中車らが出演。第二部(午後三時)は「吹雪峠(ふぶきとうげ)」「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 寺子屋(てらこや)」で、中村勘九郎、七之助ら。第三部(午後六時半)は坂東玉三郎らの舞踊「二人椀久(ににんわんきゅう)」「京鹿子娘五人道成寺(きょうかのこむすめごにんどうじょうじ)」。チケットホン松竹=(電)0570・000・489。
◆狼と山羊の友情
<あらしのよるに> 1994年に絵本作家きむらゆういちさんとあべ弘士さんが発表。嵐の日、暗闇の小屋で一夜を過ごした狼のがぶと山羊のめいが意気投合。互いの姿も見えぬまま「あらしのよるに」を合言葉に翌日の再会を約束するが…。「友達なのにおいしそう」と葛藤するがぶと、がぶを信用し切れないめいが友情をはぐくむ物語は大きな反響を呼び数々の絵本賞を受賞。続編や特別編も出版され、映画やゲームでも展開されている。
【鑑賞眼】「あらしのよるに」番外の面白さ 歌舞伎座「十二月大歌舞伎」
年末では珍しい3部制。新作と古典、各部に特色ある演目を配置、歌舞伎の多彩な魅力を満喫させた。
第1部の新作歌舞伎「あらしのよるに」が番外の面白さだ。平成7年、第42回産経児童出版文化賞JR賞などを受賞した、きむらゆういちの絵本。舞台化、アニメ化(映画、テレビ)が先行しているが、昨秋、今井豊茂脚本、藤間勘十郎演出・振り付けで京都・南座で初演された。
狼のがぶ(中村獅童)と山羊(やぎ)のめい(尾上(おのえ)松也)が嵐を避け、避難した小屋で互いに素性を知らずに心を通じ合い、翌日、再会を約す。声だけの手掛かりしかない2頭の合言葉が「あらしのよるに」。食う側と食われる側。黒系の狼、白系の山羊とビジュアル面でもシンボル化され、義太夫と下座音楽を効果的に使って進む。獅童の思い入れが沸騰している。気が弱い優しい狼を愛嬌(あいきょう)と台詞廻(せりふまわ)しにたっぷり託す。松也も現代的な活発なめいで、雄なのか雌なのか曖昧な甘さで効果を発揮。市川中車(ちゅうしゃ)(香川照之)が悪役狼、ぎろ。
(以下略)
12月、歌舞伎座で「狼」を演じる中村獅童──「伝統」を今に生かす
12月2日から、東京の歌舞伎座で、注目の歌舞伎が上演される。主演は中村獅童。演目は絵本を歌舞伎化した『あらしのよるに』である。歌舞伎に革新のエネルギーを吹き込みつづける獅童にフォーカスした。
写真・篠山紀信 スタイリング・長瀬哲郎(UM)
ヘアメイク・masato(marr) 文・山下シオン
新作歌舞伎『あらしのよるに』のオオカミ、がぶ役に扮した中村獅童。2015年9月、南座。
革新のエネルギー
中村獅童を知ったきっかけが、2002年に上映された映画『ピンポン』のドラゴン役だったと答える人は少なくないだろう。そのとき、獅童は30歳。映画俳優として注目された新進の歌舞伎役者も、今では歌舞伎界を牽引するキー・プレイヤーの一人である。
歌舞伎は、400年以上にもおよぶ歴史によって鍛え上げられた伝統を守りつつも、常に役者や戯作者が革新のエネルギーを生み出すことによって、時代とともに進化してきた。中村獅童はそんな「進化」のための「革新のエネルギー」の発生装置である。
中村獅童という名跡(みょうせき)は、獅童の祖父である三代目中村時蔵の俳名(はいみょう)で、獅童の父親が初代である。ところが初代は歌舞伎を辞めてしまったため、息子である当代が二代目中村獅童を名乗ることとなった。
父親が歌舞伎を廃業したことは、獅童が後ろ盾を失ったことを意味した。それでも獅童は、自らの意志で歌舞伎役者の道を選び、母の故・小川陽子さんとの二人三脚もいとわず、あらゆることに挑戦した。獅童という名跡を大きくしたいという思いが、その原動力となっていたのかもしれない。
しかし、その挑戦の道のりは、決して平坦なものではなかった。歌舞伎の舞台に立つようになっても、最後列の端っこに並んでいるだけの役しかないような下積みの時代がつづいたのである。そこで獅童はあらゆるオーディションを受け続け、ようやくのことでかちとったのが『ピンポン』の準主演ともいえるドラゴン役だった。
当時、『ピンポン』を観た故・18代目中村勘三郎から、「お前さんは歌舞伎を観たことのない人たちを振り向かせることができる役者なんだよ」といわれたのを、獅童は今もはっきりと覚えているという。この映画での強烈な好演によって、獅童の知名度は一気に上がり、歌舞伎でもいい役がつくようになる。そして、今では主役を演じる立役者の一人だ。
しかし、獅童は現在でもチャレンジをやめない。最近では絵本を歌舞伎化した『あらしのよるに』で主演を勤めるいっぽうで、バーチャルアイドルの初音ミクと共演しもした。
『あらしのよるに』
獅童が絵本『あらしのよるに』に出合ったのは2002年。NHK教育テレビで放映された番組で、ナレーションをしたうえ、全キャラクターの声優を務めた。番組プロデューサーは、『義経千本桜』の「四の切」で獅童が演じる狐忠信を観て出演依頼したという。その後2005年に、原作が映画化されたのだが、そのときにも、獅童はオオカミのガブ役で声優として出演している。
この作品の歌舞伎化は、獅童本人はもとより、母・陽子さんの切望でもあった。
『あらしのよるに』というお話は、狼(喰うもの)と山羊(喰われるもの)という和解の困難な、非対称的な集団同士の関係のなかで、一頭のオオカミ(ガブ)と一頭のヤギ(メイ)が、ある「あらしのよる」の出会いによって「ひみつのともだち」となったことを軸に展開する勇気と友情の物語である。それぞれが属する集団同士の関係の軋轢によってもたらされるさまざまな試練を受けながらも、ガブとメイはたがいの友情をどこまでも貫いていく。この作品は、人情物の演技に冴えをみせる獅童にふさわしい、と陽子さんは考えた。そして、すでに10年以上も前に、『あらしのよるに』を歌舞伎化して獅童にやらせてほしい、と制作会社に懇願していたという。この母の願いのことは、2015年に京都・南座で『あらしのよるに』の歌舞伎がはじめて上演されることになったとき、獅童に明かされたという。
さて、「四の切」の例にもあるように、動物を擬人化する演出手法は歌舞伎にはもともと存在する。原作の絵本の台詞については義太夫節や長唄によって置き換え、風や浪の音は大太鼓で表現したりして、歌舞伎の魅力を存分に生かした歌舞伎版の『あらしのよるに』が誕生した。果たして、会場となった南座には、小さな子どもだけでなく、高校生などをふくめ、ふだんとは様相の異なる観客の姿があった。12月以外の歌舞伎公演は厳しいとされる京都で、9月だったのにもかかわらず札止めとなったのである。
歌舞伎すげー
初音ミクと「超歌舞伎」で共演したのは2016年4月のこと。獅童は『義経千本桜』の忠信に扮し、映像の初音ミクに合わせて演じた。生身の人間ではない共演者と息を合わせるのは難しかったが、ふだん歌舞伎を目にすることのない初音ミク・ファンたちの反応に歌舞伎のエネルギーの強さを再認識した。奇抜な衣装と派手な化粧に驚いた観客が書き込んだ「歌舞伎すげー、歌舞伎超かっけー」という文字がニコニコ動画で次々と流れた。
獅童はこうして演技の幅をひろげ、奥行きもふかめながら、新しい、素晴らしい才能との出会いを蓄積してきた。そうして、歌舞伎界におけるその独特の存在感の強度を増している。亡き勘三郎がいみじくも言ったように、獅童は今もなお、「歌舞伎を観たことのない人たちを振り向かせることのできる役者」だ。歌舞伎という大衆演劇の伝統と革新を一身に体現することによって、歌舞伎を知らない人に歌舞伎に触れてもらう場をつくりつづけていくこと、このことこそが、おそらくは獅童の使命なのだろう。
中村獅童 歌舞伎俳優
1972年生まれ。東京都出身。1981年、歌舞伎座で初舞台を踏み、二代目中村獅童を名乗る。2002年、映画『ピンポン』のドラゴン役で注目を集め、映像や舞台で活躍。近年では映画『硫黄島からの手紙』『レッドクリフPARTⅠ&Ⅱ』『振り子』、NHK大河ドラマ『八重の桜』、舞台『青い瞳』などに出演。歌舞伎役者としても幅広い役に挑み2016年は『四谷怪談』の民谷伊右衛門役、『勧進帳』の富樫役などを勤める。屋号は萬屋(よろずや)。
『あらしのよるに』
十二月大歌舞伎
第一部 11:00開演
新作歌舞伎『あらしのよるに』
オオカミだけどおひとよしな、がぶ役には中村獅童。やぎのめい役は尾上松也。子どもから大人まですべての人が楽しめる新作歌舞伎。
第二部 15:00開演
『吹雪峠』『寺子屋』
第三部 18:30開演
『二人椀久』『京鹿子娘五人道成寺』
期間:12月2日(金)〜26日(月)千穐楽
場所:歌舞伎座
出演:坂東玉三郎 中村獅童
中村勘九郎 中村七之助
市川中車 尾上松也 ほか
観劇料:3000〜17000円
〈チケットホン松竹 Tel.0570-000-489
http://www1.ticket-web-shochiku.com/〉
中村獅童がニコ生で、超歌舞伎「今昔饗宴千本桜」&「あらしのよるに」を語る
中村獅童が、12月22日22:00よりニコニコ生放送にてオンエアされる「中村獅童と超歌舞伎『今昔饗宴千本桜』振り返り生実況」に登場する。ニコ生実況も弾幕張って(途中からは重くなって投稿できなくなりましたが)楽しかったです。
これは、現在、東京・歌舞伎座にて行われている「十二月大歌舞伎」の第1部「あらしのよるに」の上演を記念した番組。同作で主人公・がぶ役を演じ終えた獅童の楽屋から生中継を実施し、4月に上演された獅童と初音ミクの主演作「超歌舞伎『今昔饗宴千本桜』」を観ながら、解説や裏話を披露する“振り返り実況”を行う。さらに獅童が主演を務める「あらしのよるに」についても迫り、作品の魅力を伝えていく。
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