9月8日の幕末ニュース

　台風一過で暑い一日でした。台風の影響を受けた地域にお住まいの皆様には、お見舞い申し上げます。

兵庫
芝川又右衛門邸：阪神大震災で被災後、解体　愛知「明治村」に移築、公開へ　／兵庫

　阪神大震災で被災した明治末期の木造邸宅「芝川又右衛門邸」が、西宮市から愛知県犬山市の博物館「明治村」に移築され、２２日から公開される。明治末から戦前まで阪神間で隆盛したモダン文化を代表する建築物の一つで、震災から１２年を経て新天地で再生する。【川口裕之】
　芝川家は幕末からの大阪の豪商。邸宅を所有していた芝川又彦さん（８６）の祖父が１９１１年に建設した。木造２階建て、延べ床面積２６６平方メートル。「関西近代建築の父」と呼ばれた建築家、武田五一（１８７２～１９３８年）の設計で、洋風を基調としつつも数寄屋造りの手法を応用、１階は暖炉もあるホールやベランダを備え、２階は和室となっている。

山口
ギター：音色がつなぐ歴史ロマン　功山寺の廃材使い製作、堤さんが初披露　／山口

　古刹（こさつ）が奏でる音色で聴衆を魅了――。楽器メーカーのヤマハ（静岡県浜松市）が維新の舞台として知られる功山寺（下関市長府川端町）の改修廃材を利用して１本のギターを製作した。歴史が詰まった楽器の音を下関市出身のミュージシャン、堤晋一さん（２９）がこの夏、自ら主催する音楽祭で披露した。
(中略)
　堤さんは高杉晋作ファンの父に晋一と名付けられた。「晋作ゆかりの木がないか」。堤さんと須田編集長が行き着いたのは、晋作が倒幕を目指し挙兵した「回天義挙」の地、功山寺だった。ちょうど総門の改修を終えたところで、廃材は江戸時代から使われていた松。郊外の山中で処分寸前のところを引き取った。

香雪園：復元に弾み　藤田伝三郎の生家跡に立つアンテナ塔、ＮＨＫが撤去方針　／山口

　萩城下町の一角にある実業家、故・藤田伝三郎（１８４１～１９１２年）の生家跡への「香雪園」復元問題で、ＮＨＫ山口放送局（山口市）はネックになっていたラジオ用アンテナ塔（高さ約５０メートル）を撤去する方針を固めた。７日、住民グループに伝えた。没後１００年の２０１２年前までの完成を目指しているが、関係者は「実現に向け、これで一気に弾みがつく」と喜んでいる。【長谷川隆】
　生家跡（約４０００平方メートル）は高杉晋作の生家や菊屋横丁そばで、藤田家が１９１１年、市に寄贈。藤田の茶道での号にちなみ香雪園と呼ばれ、藤棚として整備された。藤の花の名所として市民の憩いの場として長らく親しまれた。４６年、ＮＨＫは無償で借り受け、ラジオ用アンテナ塔を設置。地中にアースを張り巡らす必要があり、藤棚は撤去されたという。

ブックレビュー
【海坂藩物語　「蝉しぐれ」から】（１）庄内の屋敷そのままに

「海坂藩」を舞台にした藤沢周平の代表作「蝉しぐれ」は、下級武士の牧文四郎が成長していく姿を描いた作品である。物語は文四郎が住む組屋敷の描写から始まる。書き出しの文にある、ほかに見られない「特色」というのは、裏を小川が流れていること。その小川で隣の幼なじみ、ふくが指を蛇にかまれ、文四郎が血を吸い出してやるシーンで、いきなり物語の核心が提示される。
(中略)
　組屋敷のオープンセットと庄内映画村の事務所は、松ケ岡地区にある。明治維新後、庄内藩の藩士たちが刀を鍬（くわ）に換え、開墾したところだ。宇生さんは「ここの人たちはいわば、海坂藩の登場人物たちの末裔（まつえい）ということもできる。映画村が成長することで、いずれは松ケ岡の活性資金のようなものが作れれば」と打ち明ける。