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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
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 本宅で看板だけで一向に進まない「まじめモード」の材料にもなろうかと、先週から元治元年当時の新選組の状況を整理しようとしている。



 芹沢鴨暗殺が新選組創成期の終わりとしたいところだが、芹沢鴨暗殺の翌年、元治元年(池田屋事件前)の新選組はいろいろな意味でガタガタしていた。ひとつには、新選組とは何をする団体なのかというアイデンティティというか、ミッション(使命)の中に当時の世相と矛盾する要素が入っていたからだと白牡丹は思う。組織は生き物であるから、思想ありきとは限らず、実態がミッションを決めることもある、それがこの時点の新選組であったろう。



 清河八郎が献策した浪士組に参加し、袂を分かった浪士組のミッションは「いつか尊皇攘夷の先鋒となるために、公武合体を進める将軍様をお守りする」だと思う。水戸の出身の鴨さんたちはもう少し尊皇の気持ちが強かった(語り残しでは、壬生で毎朝、御所の方に手を合わせて挨拶したとか)かも知れない。近藤さんたちは、政局の要になるのは幕府だという点で鴨さんたちよりは幕府寄りだったと思うが、朝廷を軽んずる気持ちはなかったと思う(だいぶ後になってからだが、中川宮から、一橋慶喜の家臣であった原市之進が暗殺された後、自分の警護に近藤勇を頼みたいとの発言があった)。



 ただ、尊皇攘夷思想の厄介なところは、開国に反対するという一点だけでは一致しているものの、反幕府(後に倒幕・討幕思想に行き着く)から佐幕までの幅があることだ。後に明治政府をつくった側の歴史観では無視されているが、この当時の新選組は尊皇攘夷で佐幕なのだ(外交方針に対しては、後に軸足が変わってくるが)。



 その背景には、幕府の外交(攘夷できないとわかっていながら攘夷を朝廷に約束した)政策を初めとする諸政策の不安定さや、前年の「八月十八日の政変」をきっかけとして誕生した公武合体派(会津藩・薩摩藩が中心)の雄藩による参与会議が元治元年3月には早くも解散したという事情もある。京都守護職という幕府の一機関の末端で正規の藩士ではない「お預かり」という立場の新選組は、幕府そして会津藩の枠組みから大きく外れることはできない。



 一方で、新選組の内部でも、水戸派を一掃したとは言っても、新選組は順調ではなかった。浪士組の当初のミッションは「尊皇攘夷」「将軍警護」だったかも知れないが、浪士組が京都で活動するための目標として「京の治安を守るための見廻り」を申し出たことによって、新選組は、思想では「尊皇攘夷」で変わらない反幕府の浪士たちの取り締まりをする立場になった。



 大河ドラマ『新選組!』で前回放映分で描かれた元治元年5月の頃は、近藤さんは新選組の解散を会津藩経由で幕府に伺っている。本来の目的である攘夷がはかばかしく進まず、このまま見廻りを続けることへの苛立ち(町奉行与力は重職だが、警察機構は幕府の中でも軽く見られており、この時期、幕府の同心格での正式採用を近藤さんは断っている)を表明している。また、大河ドラマ『新選組!』では描く余裕がないのだが、旗本の二男三男などで構成されている見廻組、予定通り人員が集まらず、新選組を吸収してやるから有り難く思えという打診もあったのだ……もちろん、丁重にお断りしたらしい。それでも、命を張って治安の乱れた京洛の市中見廻りをしているという使命の過酷さに対して、会津藩の評価はともかく、幕府からの評価はこの程度かという失望が新選組サイドにはあったろう。



 ドラマでは描かれていないが、この頃の新選組は隊士脱走が相次いだ。ドラマでは新見さん・芹沢さんを封じ込めるために法度を定めたことになっているが、史実ではこの時期に法度の存在が疑われるほどに、規律は保たれていなかったのである。



 こうした史実からの見方をちょっと抑えながら(史実は史実として、ドラマはドラマとして楽しむ白牡丹である^_^;)、大河ドラマ『新選組!』設定で、新選組の置かれた状況を見よう。



 まず、外部環境。会津藩からは信頼されているが、幕府は見廻組を設置して、新選組を警戒している。山南さんが「それは我らを怖れているからなんです」と自信をもって言っているが、近藤さんは思想的には同じ尊皇攘夷である浪士を取り締まる立場に決して満足していない。



 そして、内部環境。

 まず、古参の同氏である永倉新八っつぁん、新見さん切腹はともかくも、芹沢鴨さん暗殺・内山与力暗殺という非常手段に訴えたことを知らない新八っつぁんからの「信じてよろしいな」という迫り方は、近藤さんにはこたえるなぁ……「実は、我々が殺りました」とは口が裂けても言えないし。

 また、新人隊士の相次ぐ脱走というところは描かれていないものの、新たに集まってきた隊士たちは、近藤さんの人柄に惚れてここまで来た古参幹部たちとは違う動機で集まってきたことが明らか。軍師の経歴を引っさげて、手柄を鬱陶しいほどにアピールする武田観柳斎。家柄の良さをアピールして末弟を近藤さんの養子にすることで成り上がろうとする谷三十郎。気持ちはまっすぐらしいが体育会系で近藤ヨイショが過ぎる松原忠司。剣はまったくダメなのにソロバンが得意なために採用されてしまった河合耆三郎。投げやりで、なぜ採用されたのかがよくわからない葛山武八郎(汗)。



 だが、古参幹部の中で内外の環境が一番見える山南さんが自信をもって近藤さんを励ましている。山南さんが任された「総長」という役割が何なのか、今回は余り明確ではない。内山暗殺については、どうも後で知らされたらしく、近藤さんが内山暗殺に言及しても、そんなに動揺した節はない。ただ、幹部会議には集合するが、古高俊太郎の拷問を決意した土方さんを止めることはできず、近藤さんを呼んでくれと総司くんに依頼する辺りで、新選組内部を誰が実質的に仕切っているのか、間接的に描かれるのみ。



 ……実は、この時点での新選組のあり方について一番悩んでいるのは山南さんだと思っていたのだが、当てが外れてしまった(爆)。そうか、一番悩んでいるのは近藤さんで、山南さんは、近藤さんに期待しているのか。



 というわけで、「総長の謎」は殆ど解けなかった(^^ゞ。でも、この当時の新選組の逡巡が描かれたことには満足している白牡丹である。解けなかった謎は、次回以降で(爆)。
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