新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
『日本の近代 (上) 教養としての歴史』福田和也(新潮選書)
かつては「明治維新=日本の夜明け」「江戸時代=日本の暗黒時代」という図式で語られてきた日本の近代史観。が、最近は、鎖国は国交や貿易をも完全に閉ざしていたわけではないし海外事情は伝わっていたから「鎖国」という表現は適切なのかという問題提起がなされたり(ちなみに「鎖国」という言葉は欧米で出版された日本の歴史を記述する本を翻訳する時に造られた造語で、徳川幕府が自ら用いた言葉ではない)、鎖国時代に発達した交通網や地場産業が明治維新以降の近代化の基礎になったという指摘がなされたり、明治維新前後の近代化を評価する視点が変わってきているようだ。
私自身も、90年代初め、ニューヨークに滞在していた時に、当時リビジョニスト(対日関係見直し論者)のひとりであったジェームズ・ファローズ氏の講演を聴きに行った時に、明治維新前後の歴史への視点で目から鱗だったことがある。日本人の歴史の知識の「常識」といえば、近代から現代においては明治維新と太平洋戦争(呼び方は歴史観によっていろいろとあると思うが)における敗戦が日本の歴史の大きな転換点だというものだと思う。自分もそう思っていたのだが、ファローズ氏は、明治維新は政体の変化があったとしても経済的な発展についてはドラスチックな変化ではなかったのではないかというコメントをしてて、自分には目から鱗だった。近代化というテーマで日本の歴史を見た時、明治維新は大きな断絶・変革ではなく、日本が欧米の近代国家の標準に近づくことによって日本の独立を守ろうとするプロセスにおいては、漸進的な変化のひとつだったと捉えることもできるのではないかと、その時に気づかされた。
その経験が、幕末の歴史好き、どっちかといえば旧幕府側好きという今の立ち位置につながっているようだが……そうでなくとも江戸に近い武蔵国荏原郡に生まれ育ったから幕府側に親近感があるわけで。
個人語りはこのぐらいにしておいて、幕末から明治維新の歴史に強い関心を覚えるのは、つまるところ、日本の近代化の歴史に興味があるからだ。
あとがきの冒頭で、著者は「日本における近代という時代は、『好むと好まざるとにかかわらず、西欧の圧倒的な力に直面させられ、自身の独立と尊厳を守ることを選択し、その苦闘の過程で、常に新しいものを求めて変貌しつつ変わることのない自分と出会う経験』」と表現している。
近代化を構成する要素が何かという点ではまだ異論はあると思うが、ともあれ日本は幕末までに独自のやり方で近代化に追いつくインフラを備えることができた。だが、明治維新以降、近代化を推進していく経済力が追いつかなかったために、日清戦争・日露戦争・第一次大戦といった戦争を通じて経済力を伸ばしていった。一方で、その近代化のために誰が犠牲になったのかも問われなければならない……という感じの一冊。
下巻も読みたい。日本の近代化とは何かという問いを、割とわかりやすく説明してくれていると思うので。ただ、下巻はさらに重苦しくなると思うので、読み切れるかな……?
かつては「明治維新=日本の夜明け」「江戸時代=日本の暗黒時代」という図式で語られてきた日本の近代史観。が、最近は、鎖国は国交や貿易をも完全に閉ざしていたわけではないし海外事情は伝わっていたから「鎖国」という表現は適切なのかという問題提起がなされたり(ちなみに「鎖国」という言葉は欧米で出版された日本の歴史を記述する本を翻訳する時に造られた造語で、徳川幕府が自ら用いた言葉ではない)、鎖国時代に発達した交通網や地場産業が明治維新以降の近代化の基礎になったという指摘がなされたり、明治維新前後の近代化を評価する視点が変わってきているようだ。
私自身も、90年代初め、ニューヨークに滞在していた時に、当時リビジョニスト(対日関係見直し論者)のひとりであったジェームズ・ファローズ氏の講演を聴きに行った時に、明治維新前後の歴史への視点で目から鱗だったことがある。日本人の歴史の知識の「常識」といえば、近代から現代においては明治維新と太平洋戦争(呼び方は歴史観によっていろいろとあると思うが)における敗戦が日本の歴史の大きな転換点だというものだと思う。自分もそう思っていたのだが、ファローズ氏は、明治維新は政体の変化があったとしても経済的な発展についてはドラスチックな変化ではなかったのではないかというコメントをしてて、自分には目から鱗だった。近代化というテーマで日本の歴史を見た時、明治維新は大きな断絶・変革ではなく、日本が欧米の近代国家の標準に近づくことによって日本の独立を守ろうとするプロセスにおいては、漸進的な変化のひとつだったと捉えることもできるのではないかと、その時に気づかされた。
その経験が、幕末の歴史好き、どっちかといえば旧幕府側好きという今の立ち位置につながっているようだが……そうでなくとも江戸に近い武蔵国荏原郡に生まれ育ったから幕府側に親近感があるわけで。
個人語りはこのぐらいにしておいて、幕末から明治維新の歴史に強い関心を覚えるのは、つまるところ、日本の近代化の歴史に興味があるからだ。
あとがきの冒頭で、著者は「日本における近代という時代は、『好むと好まざるとにかかわらず、西欧の圧倒的な力に直面させられ、自身の独立と尊厳を守ることを選択し、その苦闘の過程で、常に新しいものを求めて変貌しつつ変わることのない自分と出会う経験』」と表現している。
近代化を構成する要素が何かという点ではまだ異論はあると思うが、ともあれ日本は幕末までに独自のやり方で近代化に追いつくインフラを備えることができた。だが、明治維新以降、近代化を推進していく経済力が追いつかなかったために、日清戦争・日露戦争・第一次大戦といった戦争を通じて経済力を伸ばしていった。一方で、その近代化のために誰が犠牲になったのかも問われなければならない……という感じの一冊。
下巻も読みたい。日本の近代化とは何かという問いを、割とわかりやすく説明してくれていると思うので。ただ、下巻はさらに重苦しくなると思うので、読み切れるかな……?
PR
この記事にコメントする
この記事へのトラックバック
トラックバックURL:
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
最新記事
(08/11)
(05/19)
(05/15)
(02/12)
(08/11)
最新コメント
[11/27 ร้านดอกไม้ จตุจักร]
[11/26 พวงหรีดราคา 500 บาท นนทบุรี]
[11/25 ร้านดอกไม้ราคาถูก]
[11/24 ร้านดอกไม้ใกล้ห้าง]
[11/24 ดอกไม้ไว้อาลัย สีดำ]
[11/24 จัดดอกไม้งานขาว ดํา ราคา]
[11/23 ช่อดอกไม้งานศพ]
[11/22 iqos มีกี่รุ่น]
[12/14 白牡丹(管理人)]
[12/14 ゆーじあむ]
最新TB
ブログ内検索
アーカイブ
最古記事
カウンター
プロフィール
HN:
白牡丹
性別:
非公開
自己紹介:
幕末、特に新選組や旧幕府関係者の歴史を追っかけています。連絡先はmariachi*dream.com(*印を@に置き換えてください)にて。
リンク
アクセス解析
Livedoor BlogRoll
本棚