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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
 ビジネス誌『PRESIDENT』1999年6月号に掲載された、吉岡忍の高田屋嘉兵衛に関するエッセイをネット上で発見。



『菜の花の沖』
函館に嘉兵衛の開拓魂を求めて




 函館の街や嘉兵衛に関する記述も面白いが、目を引いたのは以下の部分。
司馬はこう言っている。

《本当の日本は江戸時代の文明、江戸文明にあったのではないか。江戸中期以後のリアリズムを中心とする、技術とものを見続けて思想をつくりあげた代表者たちとわれわれは結びつく》

「技術好き、職人好きの民族」こそ、われわれ日本人の本質なのだ、と。



 そのあとで、さらにこうも言う。

《とにかく明治政府というものは江戸期を否定し、そして明治以後の知識人は、軍人を含めて、江戸的な合理主義を持たなかった。それはやはり、何か昭和の大陥没とつながるのではないでしょうか》



 さりげなく語られた一節を見て、司馬ファンなら、ちょっと待てよ、という気にならないだろうか。
 このとき彼はもう幕末から明治という近代日本を舞台にした作品の数々を書き終えている。『竜馬がゆく』や『坂の上の雲』などの成功は、彼を明治という時代のオーソリティーにしていたはずだった。その司馬遼太郎が、じつは明治を全体としては非合理で、ついには昭和前期の侵略と敗戦を準備した時代だった、と突き放している。



 司馬はこの時期、みずからの歴史観を変えようとしていたのではなかったか、と私は邪推する。少なくとも、迷っていたにちがいない、と思う。作家の足もとを揺るがすのはつねに彼(彼女)自身の作品であるとすれば、司馬を揺さぶったのは一連の明治モノのあとに書かれた『菜の花の沖』ではなかったか。先の発言は、『菜の花の沖』全6巻を書き終えて数年後になされたものである。

 明治という時代をどう位置づけるか、という点について考えさせられる指摘だと思う。
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