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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
以下、引用は歌舞伎美人の團菊祭五月大歌舞伎「みどころ」より。
【昼の部】
一、鵺退治(ぬえたいじ)

伝説を元に描かれた時代狂言
 時の帝が、毎夜物の怪に悩まされていることから、源頼政にこれを退治する勅命が下ります。頼政が、邪気を払うために弓の弦を鳴らす鳴弦の法を行うと、凄まじい響きとともに現れたのは、頭は猿、躰は狸、尾は蛇、手足は虎に似た鵺でした。激しい闘いの末、見事鵺を退治した頼政に対し、九条関白はその武勇を愛で、勘当の身となっていた頼政を許したうえ、恋仲であった宮中の美女菖蒲の前を妻とすることを許します。そして恩賞として、皇室に伝わる宝刀を授けるのでした。
 54年ぶりの上演となる新歌舞伎をお楽しみください。
 NHK大河ドラマ史上初の続編、『新選組!!土方歳三最期の一日』で試衛館時代の土方歳三が仲間と「この世で一番強い生き物は何か」という談義でにぎわっていた時に「一番強いのは鵺だ」と結構自信たっぷりに言っていました。箱館で市村鉄之助を土方の故郷の日野に落とす際にも言っていましたが、ここでは薩長土肥を初めとする、時代の勢いで膨れあがった討幕勢力を鵺にたとえてました。「頭は猿、躰は狸、尾は蛇、手足は虎に似た鵺」を見ながら思いを巡らせてました(つなみに原田左之助は虎を退治した加藤清正が一番強いと主張してましたが、今年の大河ドラマ『真田丸』で三谷さんは加藤清正を真田信繁の大坂時代におけるキーパーソンのひとりとして描いてます……かつて土方を演じた山本耕史さんが演じる石田三成とバチバチ火花を散らす加藤清正を新井浩文さんが演じ、毎週の楽しみになっています)。

 作品を書いたのは福地桜痴なんですね。語学のスペシャリストとして幕府役人にとりたてられ、明治維新後はジャーナリストとして活躍した人です。明治になってから、かつて市谷にあった試衛館を訪ねた時の思い出話を書き残してますが、本当に面識があったのかどうかは他の資料や証言など裏付けがないのでなんとも……いずれにしても、福地桜痴作なら、史実の土方歳三がこの作品を見ることはなかったのですね。

 おっと、つい新選組絡みの話に脱線してしまいます(^_^;)。そして、本編に関していえば、スペクタクルではあるけれど、伝説のまんまやん(^_^;)。
二、寺子屋(てらこや)

忠義に苦悩する夫婦の姿
 武部源蔵は、妻戸浪と寺子屋を営みながら、菅丞相の子・菅秀才を匿っています。このことが敵の時平方に発覚し、菅秀才の首を差し出すよう命じられた源蔵は、悩んだ末、その日寺入りしたばかりの小太郎という子どもの首を検分役の松王丸に差し出します。なんとか窮地を切り抜け安堵する源蔵夫婦のもとに、小太郎の母千代が迎えに現れ、源蔵が千代に斬りかかるところに、最前の松王丸も姿を見せます。すると、松王丸は、自らが検分した菅秀才の首について語り始め…。
 重厚な義太夫狂言の一幕にご期待ください。
 海老蔵の松王丸、松緑の源蔵、菊之助の千代と、かつての「三之助」揃い踏み。歌舞伎の名作だそうですが私は初見。時代感覚の違いか、『先代萩』といい『寺子屋』といい主君のために我が子を犠牲にする価値観がしっくりしない……3人の中では、比較的に菊之助にリアリティを感じたのだけど。
三、十六夜清心(いざよいせいしん)

情緒あふれる清元と清心の名せりふ
 鎌倉極楽寺の僧である清心は、遊女の十六夜と深い仲になったため、女犯の罪で寺を追われてしまいます。清心と十六夜は心中を決意し、手を取り合って入水しますが、十六夜は舟遊びをしていた俳諧師白蓮に助け上げられてしまいます。一方の清心も、水練に堪能であったために死に損ないます。川から上がった清心が再び入水すべきかどうか思案するところへ、寺小姓の恋塚求女が通りかかり、癪を起こして苦しみます。介抱した拍子に求女の懐にある大金に触れた清心は、抵抗する求女と揉み合ううちに、はずみで求女を殺めてしまい…。
 名せりふにあふれる河竹黙阿弥の世話物をご覧ください。
 河竹黙阿弥作品って七五調の美しさもあるのだけど、市井の犯罪をリアルに描いてぐっと引きつけられる。心中を図った僧侶と遊女が死にきれなくて共に悪の道に……というのは、死んだはずだよお富さんのパターンだよね。
 菊之助さんの清心が寺小姓の松也さん演じる求女と絡む場面は美しかったです。
四、楼門五三桐(さんもんごさんのきり)

絢爛さと豪快さにあふれる一幕
 桜の咲き誇る南禅寺の山門の楼上。天下の大盗賊石川五右衛門が煙管をくゆらせながら景色を眺めていると、一羽の白鷹が血染の遺書を咥えて飛んできます。これは、大明国の宋蘇卿の遺書で、これを読んだ五右衛門は、実は自分が宋蘇卿の遺児で、宋蘇卿と、大恩ある武智光秀がともに真柴久吉のために命を落としたことを知ります。そこへ楼門の下を一人の巡礼が通りかかり、五右衛門に声をかけてきます。実はこの巡礼こそ真柴久吉で…。
 歌舞伎らしい色彩美と様式美満載の舞台をお楽しみください。
 吉右衛門の石川五右衛門、菊五郎の真柴久吉。最新入院したばかりの菊五郎さんがこの一役と夜の部の一役だけなのは仕方ないですよね。

【夜の部】
一、勢獅子音羽花籠(きおいじしおとわのはなかご)

初お目見得を祝う華やかな舞踊
 江戸庶民の憧憬の的である鳶頭や芸者たちが勢揃いし、祭りの華やかな雰囲気の中で変化に富んだ舞踊が繰り広げられます。
 尾上菊之助の長男、寺嶋和史が初お目見得し、豪華な顔ぶれが揃う賑やかな一幕です。
 豪華です。「じゅふたん」こと寺島和史くんの初お目見え。祖父が菊五郎と吉右衛門という人間国宝なんてすごい家系。
 2才6ヶ月なんで、こんなものでしょう。パパ菊之助に抱かれて花道を行き、吉右衛門さんに手伝ってもらったけど舞台で正座はできず、眩しいのか両手で両目を覆って、嫌々モード。挨拶は菊之助さんと祖父ズが仕切る。でも、三三一拍子の後、手を振ってくれました。いつか、それなりの役者となって舞台に立った時に、この場面を思い出すのが楽しみです。
二、三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)

黙阿弥の名せりふで知られる江戸情緒あふれる一幕
 節分の夜更け、大川端にやって来た夜鷹のおとせに、美しい娘姿の盗賊、お嬢吉三が近づき、おとせの懐から百両を奪い取ったうえ、大川へ突き落とします。その様子を駕籠の中から見ていたお坊吉三は、その百両を巻き上げようとしてお嬢と争い始め、そこへ通りかかった和尚吉三が、二人を仲裁します。お嬢とお坊は百両を和尚に預けることにし、互いに同じ吉三の名前を名のる三人は、この出会いをきっかけとして、義兄弟の契りを交わすのでした。
 季節感あふれる言葉が散りばめられた七五調の名せりふをお楽しみください。
 これが今日一番の楽しみだったかも知れません。菊之助のお嬢吉三の台詞。
「月も朧(おぼろ)に白魚の篝(かがり)も霞む春の空、冷てえ風も微酔(ほろよい)に心持よくうかうかと、浮かれ烏(うかれがらす)のただ一羽塒(ねぐら)へ帰る川端(かわばた)で、棹(さお)の雫(しずく)か濡手で粟、思いがけなく手に入(い)る百両、[御厄(おんやく)払いましょか、厄落し(やくおとし)、という厄払いの声]ほんに今夜は節分か、西の海より川の中、落ちた夜鷹(よたか)は厄落し、豆沢山(まめだくさん)に一文の銭と違って金包み、こいつぁ春から縁起がいいわえ」
 やはり河竹黙阿弥の七五調は素晴らしいです。たぶん私は落語を音で捉えるタイプ(とは言え、一度聴いたら覚えるという特技があるわけではありません)なので、河竹黙阿弥がはまるのでしょう。
 菊之助のお嬢吉三、海老蔵のお坊吉三、松緑の和尚吉三、全幕見たいキャストです。
三、時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)

暴君春永の恥辱に堪える光秀の忍耐と執念
 中国の毛利討伐のため出陣した小田春永は、本能寺に陣を構えています。春永をもてなすため、真柴久吉から馬盥(ばだらい)に轡(くつわ)で留めて活けた錦木が献上されていますが、春永は、武智光秀にこの馬盥で酒を呑めと突きつけます。屈辱に耐え、馬盥で酒を呑み干す光秀ですが、春永に、満座の中で生活苦にあえいでいた頃の辛い過去を暴かれ、密かに意を決して本能寺を去ります。愛宕山へ戻った光秀は、上使から切腹を申し渡され、覚悟の白装束に着替えますが…。
 重厚かつスケールの大きな時代物の舞台をご堪能ください。
 ……えーと、名作だと思うけど、ひたすら虐めに耐える光秀がつらかった(; ;)。空気が重い〜。
四、男女道成寺(めおとどうじょうじ)

大曲『道成寺』を男女二人で踊る趣向の舞踊
 かつて恋に狂った清姫が焼き尽くして以来、久しぶりに鐘が再興されることとなった道成寺。その鐘の供養に、美しい白拍子の花子と桜子が現れます。二人が奉納の舞いを舞ううちに、桜子の烏帽子が取れ、女性と見えたのが実は左近という男性の狂言師であることがわかります。そして、花子が一人踊るところへ左近が加わり、恋仲の男女の様子を艶やかに描きます。その後、二人は…。
 長唄と常磐津の掛け合いの演奏で踊る華やかな舞踊です。
 今日の出色は三人吉三と男女道成寺かな。海老菊の華やかコンビがひたすら美しかった。
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