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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
勘違いして新橋演舞場に向かってしまい、明治座までタクシー飛ばしてもらいました(汗)。
 「男の花道」が見たかったのです。みなもと太郎『風雲児たち』第14巻に出てくる、長崎でシーボルトから医学を学んだ眼科医・土生玄硯(史実の土生玄碩をモデルにしたフィクションの人物)と、歌舞伎俳優・第三代加賀屋歌右衛門の友情を描く物語なので。

一、歌舞伎十八番の内 矢の根(やのね)
曽我五郎 市川 右近
大薩摩文太夫 中村 亀鶴
馬士畑右衛門 市川 猿弥
曽我十郎 市川 笑也

一、歌舞伎十八番の内 矢の根(やのね)
 新年を迎えて紅白の梅の花も咲きそろったある日。家の中で矢の根を砥いでいるのは、曽我五郎。そこへ大薩摩文太夫が年始の挨拶にやってきて、宝船を描いた縁起のいい絵を五郎に渡す。これを喜ぶ五郎は、枕に見立てた砥石の下にその宝船の絵を敷くと、初夢を見ようとうたた寝をする。それというのも五郎には、長年抱いてきた父の仇の工藤祐経の首を討つという大願成就があり、その初夢を見たいと思ったからである。
 やがて、夢の中に兄の曽我十郎が現れ、工藤の館で捕まっている自分を助けて欲しいと訴える。夢から覚めた五郎は、兄の念力が通じたものだと悟り、兄の危機を救うため工藤の館へ出かけようと勇み立つ。そこで、通りかかった馬士の畑右衛門に馬を貸してほしいと願い出るのだが…。
 この作品は、享保14(1729)年の正月に江戸中村座で初演され、後に歌舞伎十八番の一つに加えられた荒事狂言です。主人公の曽我五郎は、角前髪に黒鬢、筋隈を取り黒綸子の揚羽折に仁王襷を懸けた勇壮な扮装です。まるで五月人形のような出で立ちの五郎が、大きな矢の根を砥ぐという古風な趣向に面白みがあります。みどころは、随所に現れる五郎の豪快な荒事で、背ギバや柱巻の見得、元禄見得をはじめ馬に乗っての引込みなど、溌剌として力強い五郎の姿に注目です。のどかな風景の中、荒事の豪快さを楽しむことができる明るくて華やかな舞台です。


 事前知識なし、イヤフォンガイドなしで見ました。荒事の所作を楽しむ舞台でした。生身の人間がとても大きく見える衣装とアクション。花道を、人ふたりが演じる馬に乗って去るという幕切れ。

二、男の花道(おとこのはなみち)
加賀屋歌右衛門 市川 猿之助
土生玄碩 市川 中車
田辺嘉右衛門 片岡 愛之助
山田春庵 市川 男女蔵
加賀屋歌助 中村 壱太郎
山崎順之助 市川 猿弥
按摩杢の市 市川 弘太郎
松屋忠兵衛 市川 寿猿
富枝妹雪乃 市川 笑也
加賀屋歌五郎 中村 亀鶴
加賀屋東蔵 坂東 竹三郎
田辺妻富枝 市川 門之助
万八の女将お時 片岡 秀太郎

二、男の花道(おとこのはなみち)
 文化5年の春、大阪道頓堀の中の芝居では、女方の加賀谷歌右衛門の芝居が大当たり。歌右衛門を見ようと見物人たちで賑わうところ、小屋の中からから土生玄碩が追い出される。シーボルトからオランダ医学を学んだ玄碩は、歌右衛門の芝居を見て、彼の眼の悪さを指摘したので、贔屓客と争いとなり、追い出されたのだった。
 その1カ月後、東海道金谷宿にある旅籠松屋では、江戸へ下る歌右衛門一座が宿泊している。実は、歌右衛門の眼の患いは本当で、彼は命を絶とうとまで思い詰めていた。それを救ったのは、同宿していた玄碩。眼科医の玄碩は命を懸けて手術を行い、歌右衛門の眼病は完治した。歌右衛門は謝礼を出すが、玄碩は受け取らず、二人は江戸で大成することを誓うと、刎頸の交わりだと言って別れるのだった。
 4年後、江戸中村座では、歌右衛門の舞台が大評判。他方、玄碩も実直な眼科医として大成していた。あるとき、広島浅野家の侍田辺嘉右衛門から言いがかりをつけられた玄碩は、窮地に陥り、歌右衛門へすぐに来てほしいと手紙を出す。しかし、歌右衛門は『櫓のお七』の舞台中。手紙を受け取った歌右衛門は…。
 この作品は、昭和16(1941)年公開の長谷川一夫主演映画(小國秀雄脚本、マキノ雅弘監督)で大ヒットとなり、その後、舞台化されました。歌右衛門と玄碩の交流を中心に、前半では歌右衛門を失明の危機から救う玄碩の姿、後半では玄碩の危急を知り、“男の約束”を守る歌右衛門の姿がみどころです。劇中劇の『櫓のお七』など、随所に見せ場を工夫しながら、二人のかけがえのない友情を描いた心温まる作品です。


 空気読まない一本気な蘭方医の玄碩を中車に演じさせたところが配役の妙。歌舞伎役者としてデビューして3年の中車だけど、歌舞伎見てまだ半年の私にも、所作や台詞回しが周りと違うと見える。その浮いた感を、世渡り下手で空気読まない玄碩の役作りに活かしている。そして、たぶん、本格歌舞伎も新派も現代劇もありな明治座だから、歌舞伎だけど新作であるこの作品に中車の演技でもありだと思わせるのだと思う。
 歌右衛門と玄碩の友情がテーマだし……猿之助が歌舞伎に苦労している中車に配慮してこの役に当ててくれたんだなぁ、きっと。
 猿之助は女形っぽくないけど、歌右衛門として舞うところに説得力がある。劇中劇のお七、そして老松の舞は素晴らしい。
 愛之助演じる広島浅野家の侍田辺嘉右衛門も、玄碩に切腹を迫る敵役ではあるけど、歌右衛門の見事な舞に機嫌をよくしてあっぱれと褒める結末に後味のよさがある。

猿之助、愛之助、中車、右近が語る「明治座 五月花形歌舞伎」
〈速報〉市川猿之助ら明治座「五月花形歌舞伎」の公開稽古
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市川中車 歌舞伎は「きつい世界」
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