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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。

八王子から見る幕末 市郷土資料館で特別展
 黒船来航により江戸幕府の体制が揺らいだ幕末、八王子の人たちが国内外の情報を積極的に集め、激動の時代を乗り切ろうとした足跡をたどる特別展「幕末の八王子-西洋との接触」が、八王子市郷土資料館(上野町)で開かれている。展示された古文書など約百点の資料は、大きく変わろうとしていた時代や社会を物語る。十一月二十四日まで。 (村松権主麿)
 「鎖国をしていた江戸時代は閉鎖的なイメージが強いが、幕末の八王子の人たちはさまざまな情報を集め、恐怖を感じると同時に興味を持って学び、どう対処するべきかを考えていた」と説明するのは、郷土資料館の加藤典子学芸員(26)。
 情報収集などで重要な役割を果たしたのが、八王子を拠点に徳川家に仕えた半士半農の集団「千人同心(せんにんどうしん)」だ。日光東照宮を警備する「火の番」を務め、幕末の混乱期には各地に派遣されて国防や治安を担った。
 特別展は、中国でのアヘン戦争(一八四〇年)を機に国防の意識が高まった幕末直前から、明治維新までの時代が対象。八王子に伝わる古文書や絵図、千人同心が使った近代的な「ミニエー銃」などを展示する。
 幕府作成の世界地図を写した「両半球世界図」は、貿易で主導権を握る国防論を唱えた千人同心の松本斗機蔵(ときぞう)がつくった。やはり千人同心で、高野長英らと交流した秋山佐蔵(さぞう)が活版印刷で出版したドイツの医学書や、西洋の軍事研究をした河野仲次郎(なかじろう)が残した大砲の絵や縮尺図も並ぶ。
 このほか、黒船を描いた絵やペリーの似顔絵、大阪湾にロシア船が来航した際の海岸警備図、桜田門外の変の状況を詳しく知らせる手紙もあり、各地の情報が集まっていたことをうかがわせる。維新期の資料は、新政府軍に兵士や食料を差し出すよう命じた「大急達状(おおいそぎたっしじょう)」、新政府への恭順を誓った千人同心の「血判誓詞(せいし)」もある。
 加藤学芸員は「初公開の資料も交え、幕末の八王子の様子を網羅的に紹介する初めての試み。地域史の観点から幕末を考えてほしい」と話す。古文書などを解説した図録は五百円で販売している。入館無料。休館日は月曜だが、祝日の月曜は開館し、翌日休館。問い合わせは郷土資料館=電042(622)8939=へ。
 時間があったらいきたいと呟いたら、歴友の野間みつねさんが提案してくれたので、台風19号の影響で交通機関が止まらないうちに……という半日観光コース、絶妙のタイミングでした。
 自ブログで検索すると、私が八王子市郷土資料館を訪れたのは大河ドラマ『新選組!』放映翌年の2005年9月。当時は開発途上でぽっかり開いていた南口ロータリーにビルが建っていて驚きました。

 展示は、松本斗機蔵と秋山佐蔵を忠臣とした幕末の八王子千人同心メインの人物たちが、江川太郎左衛門(「目玉」こと英龍だけでなく、英敏や英武とも?)とのやりとり、日野の佐藤非小五郎や小野の小島鹿之助とかとのやりとりも……。
 『武術英名録』のコピーに「土方歳蔵」の名前があるだけでも、もう嬉しくて。

 入場無料だけど常設展もけっこう楽しくて、特別展の資料がカラー図版で500円というのは素晴らしい。


 八王子千人同心関係。千人同心の住んでいたところが武州のかなり広範囲に住んでいることがわかる地図が、とても興味深い。

 お台場築造関係。勘定吟味役兼鉄砲方に登用された代官江川太郎左衛門英龍は、台場建設に関して96万3967両1分1朱を幕府領内の豪農などから献納させ、うち75万296両が建設に使われた。このお台場築造の功績に対して幕府が息子英敏(英龍が死去したため)に下賜したのは金7枚……まぁ、幕府の報奨は名誉であって金額ではないとはいえ。
 ただ、資料解説に追加して欲しかったのは、同時に芝新銭座の敷地を下賜され、江川家は英龍の代から高島流砲術を韮山代官屋敷などで旗本の子弟や諸藩の希望者に教えていたところ、芝新銭座に縄武館を設けて教授するようになったこと。英龍の代から江戸幕府瓦解の時まで、西洋式砲術を習ったのは全国でおよそ三千人。この中には長州や薩摩の側で戊辰戦争の指揮官として活躍した山田顕義や大山巌もいて、明治政府が陸軍を創設するにあたって江川塾の果たした役割は大きいと思う。箱館戦争で負けた側の大鳥圭介も縄武館で教授経験あったし。

 江川英龍は松本斗機蔵と交流があった。松本斗機蔵は八王子千人同心組頭の家柄出身で、父の後を継いで千人同心を勤めながら海外研究を行っていた。最上徳内とも交流があった。海防論を水戸藩主徳川斉昭に提出していた。斗機蔵は渡辺崋山の紹介で江戸の江川役所(当時は本所にあった)を訪ね、書簡を通じて英龍と交流したようだ。

 開国以降、八王子は絹糸や蚕紙の集積地として「絹の道」経由で横浜との結びつきを強める。最新の西洋事情を知ることのできる都市だった。
 商人が英語とオランダ語をカタカナで学んだ会話帳、面白かった。現代人の私達は、カタカナの英語で内容を理解してから、文語体の日本語の内容を推測するという読み方になるからだ(汗)。「アイ、ハブ、モニー、エナフ」→「私は金を十分に持っています」とか「チウジ、コロー、ワユー、ライキ、ベスト」→「好みの色を選んでください」とか。

 八王子千人同心も幕府の西洋軍事技術の導入に対応。組頭級が芝新銭座で西洋砲術を学んで持ち帰る。安政六年に江川塾で着発弾の免許皆伝を得た河野仲次郎の免許は筆致的に江川英龍の直筆かと思ったが……英龍は安政二年没なので息子の英敏の署名かな。

 農兵隊設立関係の史料もあり、日野の名主佐藤彦五郎が日野農兵隊を率いて武州の一揆鎮圧に貢献したことを知っている自分にはちょっと興味引かれる展示。

 一階二階の通常展示もみつねさんと楽しんで見た(彼女が一番受けたのは、昭和の電化製品などいくつかある中で、黒電話も混ざっていたこと。彼女にとっても私にとっても、つい最近まで使用していたものだからね)。

おまけコメント。江川英龍の功績についてうまくまとめてくださっているブログ記事は下記。新選組のマンガ付き。
幕末多摩・ひがしやまと 江川太郎左衛門英龍(大河ドラマの主役にぜひ!)
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