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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
友人の紹介で、理化学研究所で伝染病の予防・対策を専門にしている加藤茂孝先生(著書にリンク貼っておきます)が標題のツアーをガイドしてくれるので、幕末歴史ファンとして参加した。参加された方の多くは60年代に大学間ネットワークで親交を深められた理系文系を越えた方々プラスのそ知人友人、総勢12名。

1. 太田姫稲荷神社

 御茶ノ水駅前で集合して、池田坂を下りて太田姫稲荷神社へ。今は小さな神社だが、もとは太田道灌が娘の天然痘の快癒を祈って京都の一口稲荷神社(いもあらいいなり)に願をかけて通じたことにより、江戸時代には天然痘よけの神社として大いに信仰を集めたそうだ。
 日本でも天然痘は30年ほどの周期で大流行しており、古くは「もがさ」と呼ばれた。天然痘は飛沫感染する伝染病で死亡率は20~50%で、特効薬はない。運良く快癒できたとしても顔にあばたが残った(「痘瘡は器量定め はしかは命定め」と呼ばれた。幕末から明治にかけてあばたが残る有名人は吉田松陰、夏目漱石)。一口稲荷神社の「いもあらい」も、顔にできる瘡「いも」を洗う=快癒する、という祈りが語源らしい。
 平安時代には藤原不比等の息子達で栄華を極めた四兄弟(武智麻呂・房前・宇合・麻呂)が天然痘でバタバタと亡くなっている(伝染病の知識がなかった当時、藤原家と対立したために一族ともども自死に追い込まれた長屋王の祟りとも囁かれた)。
 太田姫稲荷神社は徳川時代を通じて痘瘡よけの神社として信仰を集めた(逆にいえば、疫学の知識がなかった当時は願掛け・祈願する以外に感染発病を防ぐことができなかった)。

2. 神田お玉が池・初代種痘所跡

 江戸時代、西洋の学問知識は「蛮学」とされ、18世紀後半にイギリスでジェンナーが開発した種痘法は安政5年(1858)伊藤玄朴や大槻俊斎ら江戸の蘭学者たち82名が資金を出し合って「種痘所」を開設することでやっと認められた。初代種痘所は洋楽に理解のある幕臣川路聖謨《かわじよしあきら》(最後には勘定奉行、江戸無血開城の折に拳銃自殺した)。
 ただ種痘所は半年後に火事で焼失。
 種痘所は日本の近代医学の研究治療センターのはじまりで後に東大医学部に発展した医学所のルーツでもあるのだけど、私有地のビルの一角にはめられたプレートと碑にその姿を残すだけで、見つけにくいこともあり、ちょっと寂しい。

3. 三井記念病院

 神田和泉町、幕末には津藩藤堂家の下屋敷があったところ。明治42年に三井財閥が下谷和泉橋通り(現・東京都千代田区神田和泉町)の東京帝国大学医科大学附属第二医院跡地に開院した。

4. 神田和泉町 種痘所跡


 神田和泉町、三井病院のそばにある二代目種痘所、後に幕府医学所。伊東玄朴の後は大槻俊齊、緒方洪庵、松本良順が頭取を務めた。
 種痘とは関係ないが、鳥羽伏見の戦いで敗れた旧幕府軍に加わっていた新選組の近藤勇と沖田総司が、船で品川に入港した後に神田泉町の医学所で治療を受けたことになっているので、ここで近藤は銃創の、沖田は結核の治療を受けたのだろう。神田川にほど近く、近藤たちは品川から舟でこちらに移動してきたと思われるし、近藤が幕臣として初めて登城したのもここから舟か馬で移動したのだろうな。

 種痘所の開設には箕作阮甫はじめ82人の医学洋学者が関わった。私の好きな幕臣にして代官江川太郎左衛門(第36代英龍)は種痘普及のために自分の子供達に積極的に接種させた。岩本町の隣は小伝馬町で、小伝馬町の牢には蛮社の獄に連座した高野長英が入牢し、牢獄の火災に乗じて脱走し、全国を逃亡した。

 ……大河歴史マンガ『風雲児たち』ファンにはおなじみの面々の名前を挙げた。疱瘡のあばたの残る吉田松陰はじめ、みなもとキャラが脳内を駆け巡った楽しい半日ツアーでした。
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