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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
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 観劇の感想を書く前に、こぼれ話。シアターBRAVAに向かう途中、ある駅の構内でカバンを売っていました。そして、カバンの陳列棚に、ビジネスカジュアルを略して「ビジカジ」という札が貼られていました。その札に目が釘付けになって、足が止まってしまいました……だって「ヒジカタ」にしか見えなかったもんで(滝汗)。

 以下、ちょっとストーリーのネタばれを含みます。明日の楽日に初めて観劇するという方は、見ない方がいいかも。


☆★☆★

 楽日の前日ということで、シアターBRAVAはほぼ満員。前回よりも空席が目立ちませんでした。

 2度目の観劇ということで、大筋のストーリーがわかってしまうと、見方も変わりますね。

 自分が鈍いのかも知れないのですが、前回は気づかなかったことのひとつに、登場人物たちが互いを何と呼び合うかというところがあります。たとえば、シュフネッケル@相澤さんは基本的に「スーラ」「ゴーギャン」「ゴッホ」と苗字で呼んでました。シュフネッケルが共同アトリエのリーダー格であるからという面もある一方で、本人が自覚していない距離感が呼び方にあるように思います。苗字で呼ばれる後の名画家たちは、シュフネッケルを「エミール」と呼ぶスーラ以外、ゴーギャンもゴッホも「シュフネッケル」と呼んでました。シュフネッケルの才能のなさに同じ芸術家として認めていない3人の中でも自分の気持ちを隠すことにエネルギーを注いでいるスーラだけは、ファーストネームで呼んだのかな、と理解しました。シュフネッケル以外の3人の関係は、基本的に、ファーストネーム呼びでした。ゴッホはフランス語読みでヴァンサン、スーラはジョルジュ、ゴーギャンはポールというように。ただ、記録を取っていたわけではないので、例外的な呼び方があったかも知れません。そういう場面があれば、それはそれで、登場人物それぞれが互いに抱く特殊な感情を表している場面ではないかと思うのですが。

 今回は、ゴッホ@生瀬さんの傑作を闇に葬ってしまうスーラ@中井さんが、その結果ゴッホが自ら切り裂いた未完成の絵を抱きながら号泣するシーンに涙が止まりませんでした。なまじ才能があるだけに、天才と自分の差がわかってしまう、そして、その才能に打ちのめされ嫉妬して完成途上の傑作を潰してしまう……1回目の観劇の時には、スーラのそのやり方が受け容れられなかった気持ちが強くて涙が出なかったのですが、今回は、自分のプライベートや弱みを人にさらけ出せないスーラがなりふり構わず名作を闇に葬ってしまうダークな衝動に、全面的に共感はできないまでも、人間の弱さだなぁと泣けました。

 そして、シュフネッケル@相澤さん。3人の天才に囲まれて自分の才能のなさに気づかないほどの凡人……その凡人が抱いた夢がこのアトリエをもっと多くの芸術が集まるサロンにすること。3人の画家たちとの関係を友情だと強く信じていた彼。ところが、第2幕の冒頭でその夢を楽しそうに語ったシュフネッケルが、3人の天才に自分の画才のなさを「同じ画家と思ったことはない」という言葉で思い知らされただけでなく、自分が信じていた芸術家同士の友情も打算と憐憫であったことも思い知らされ、さらに4人の関係の破綻によって共同アトリエも瓦解してしまったという大暗転。彼が、自分は画面の中に入っていないことを知りつつも、ゴッホとスーラとゴーギャンという3人の画家とルイーズを描く作品を完成させるシーンに、また涙ぼろぼろ。

 前回は停電による30分遅れということがあって、逆に役者さん達がお客さんにいいものを見せようと熱演した芝居だったと思います。今回は、そこまで気合いが入ってはいなかったけど、逆に楽日直前、究極まで熟成されたものを拝見したという感じ。

 ゴッホ@生瀬さん、ゴーギャン@寺脇さん、ルイーズ@堀内さんも素晴らしかったです。前回と同じ2階席ながら、中央寄りの席だったので全体をよく見渡せたことと、前回は持ってくるのを忘れたオペラグラスのおかげで役者さん達の顔の表情を時々アップで見ることができて、とても満足です。

 舞台挨拶は4回。2回目は自分を含めて「ブラボー」と共に立ち上がる観客が1割ほど、3回目はスタンディングオベーション。ピアノの軽いアンコールもありました。寺脇さんのお茶目なアクションが楽しかったです。拍手は、自分の主観的な評価では、生瀬さんと相澤さんに特に多かった気がします。

 そうそう、今回はシアターでサントラCDを発売していたので、つい買ってしまいました。観劇歴のほとんどない自分が言っても説得力はないのですが、数ある三谷脚本の舞台で名作と評価される作品の中でも、この作品は指折りの作品と評価されるような気がして。

 再び、こぼれ話。自分は雨女なんですが、傘(特に長傘)を持ち歩くと雨が降らないというジンクスがありまして。前回は舞台が終わったら大雨で帰るのに往生しましたが、今回は長傘を持ち歩いていたせいで、シアターに入る前に傘を広げた程度の雨も観劇後には止んでました。そのせいか、舞台の後の余韻に浸る時間が今回の方が長かったと思います。
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無題
by たるみ URL 2007/05/31 15:36 編集
こんにちは。またしても来てしまいました(汗)。
ワタシも三谷作品の舞台は生ではそんなに観ていないのですが、この舞台は指折りの名作っ!!!と思っています。今思い出すだけでも切なくてジーンとしてしまう、ホント素敵な舞台でした。
WOWOWでも放送するとは思うんですけど、DVDが出たら買っちゃいそうな勢いの自分が怖いです(笑)。
    
名作の予感
by 白牡丹 2007/05/31 17:39 編集
たるみさん、またお書き込みくださいまして、ありがとうございます。

> ワタシも三谷作品の舞台は生ではそんなに観ていないのですが、この舞台は指折りの名作っ!!!と思っています。

自分も三谷作品を生で見たのは3作品めですが、質的な変化を感じました。お得意のドタバタで笑わせるところはあるのですが、人間の弱さや卑小さの描き方が、ほろ苦さと「大丈夫だよ」と包み込んでくれる暖かさを感じさせました。もともと持っている味のひとつが深まったという意味で。

私もDVDを買うことは間違いないです(^^)。
    
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