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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
 昨日の記事「立川談春独演会@横浜にぎわい座 六月公演」が簡単な感想に終わってしまったので、以下、もう少し詳しく。

開口一番 「出来心」立川春樹
 ちょこちょこっと笑いを取る。自分も時々「ぷっ」と吹き出す。


「首提灯」立川談春

 今まで談春師はマクラはあまり長くないと思っていたし、あまりマクラねたを沢山出すという印象もなかったのだけど……今回はナゼか、「ま・く・ら」の談春。いつもと違うので、どきどきしちゃった(苦笑)。妙にノリノリで、どっかんどっかん笑わせてくれたし。

 「鞍馬」とともに登場。「にぎわい座のお客様は優しくていいですね。前座が登場した時に拍手してくれるような会場は他にありません。それどころか、前座の噺には笑ってはいけないものだと思っている……地方はいまだにそうです。東京も都下だと。面白いと思ったら笑ってもいいんです、現に私も今日の春樹はところどころ面白いと思いましたし」。
 そこから、笑わせるのが一番難しい客は京都だという話に。はじめて京都公演した時に、上方落語家が楽屋に挨拶に来てくれて、「京都の客が一番笑わせにくい」と教えてくれた。それも、その会場が一番むずかしいんだとか。

 そこから、前日の志の輔さんも鳩山さんのマクラだったけど(鳩山さんは落語が好きで寝る前に志の輔らくごを聴いていたとらしいとか、パルコ公演の最終日を見に来る予定で駐車場を10台分確保するように言われて用意していたのだが開演15分前にドタキャンだったとか)、談春さんも鳩山さんネタ。鳩山さんが北海道で初出馬した時に、鳩山さんと幸夫人だけでは選挙区を廻りきれないから、談志師匠に応援の依頼が来た。談志師匠は行けなかったので「代わりに若いのを四人送る」と送り出されたのが、談々、関西(後の文都)、談春、志らくの前座四人。ちなみに、談春さんは当時19才か20才で選挙権なかった歳だったらしい(苦笑)。
 その四人は鳩山さん選挙対策チームメンバーの運転する車で、特別養護老人ホームを一日四ヶ所も慰問するような苛酷なスケジュールをこなした(一箇所から次の場所に行くのに二時間半かかるとか、その間に信号がふたつしかないとか)。しかも、志らくさんが前の会場で靴に履き替えるのを忘れてスリッパで車に乗り込んでいたことを1時間後に思い出したので、引き返すはめになり、戻ったホームのスタッフに「いいですね皆さんは靴を履けて。ここにいる方々は一度入所したら滅多に靴を履くことがないんですよ」なんて嫌みをいわれた……とか、談春さん刻銘に語る語る(これでもはしょって書いてます)。
 苛酷な慰問日程ながら、鳩山選挙事務所の計らいで登別温泉のホテルに一泊できた。それが、登別温泉で一番大きな旅館で、廊下の左右に仲居さんが20人ずら~っと並んで「いらっしゃいませ~」とお辞儀するようなところ。
 若い前座たちは舞い上がったが、一番若いけど妙にひねている自分は「おかしいな」と思った。で、ご挨拶の方々がこそっと自分に「……で、師匠は?」と訊く。「四人だけですが」と答えると、怪訝な表情。もしやと思って、旅館の入り口に戻って表示板を見たら「立川談志様ご一行様」になっていた。
 ……で、天皇陛下が宿泊された部屋(昭和天皇がご在位の時)に通された。
 師匠が来ないとわかっても今さらグレードダウンできないということで、そのまま豪華な夕食を出された。毛ガニと花咲ガニがひとり一杯ずつで、タラバガニがふたりで一杯。しかも料理人さんが部屋について、その場で調理してくれる。料理人さんは相手の客が誰かってことは見てなくてカニをいかに美味しく出すかということしか考えてないから、ぼろぼろのジーンズをはいた若者四人なんて気にしていない。もちろん、三食食べられれば御の字という若い前座たちのことなので、むさぼるようにカニを食べた。確かにうまかった。
 四人で入ってもまだ余裕がある部屋付きの風呂に入ったりしてはしゃいでいると、女将があいさつに来た。でも師匠がいないとわかっているので、たった一言でぴしゃりと襖を閉めて帰っていった。
 最終日は幸夫人が仕切る、千人以上収容する豪華なホールでの公演。前座四人では前座噺しかできないので、相談して大喜利形式にした。ステージが大きい上に司会者ひとりに回答者が三人しかいない大喜利なので、回答者と回答者の間が5メートルぐらい離れている。手を挙げても、司会者から一番遠い回答者が見えないというぐらいで、さんざんな出来だった。
 でも、そんな調子での応援だったので「まさか当選するはずがない」と思っていた鳩山候補が初当選して……首相にまでなるとは思ってもなかった。
 ただ……あの時から、おかしいとは思ってました(金遣いが良すぎる、という意味でしょうか)。

 首相交代の次の時の話題といえば、ワールドカップ……って。心の中で「まだマクラやるつもりなんですか、談春師匠っ(汗)。今日はまさか、小三治師匠ばりにマクラだけで一席終えちゃうつもりなんでしょうか、いつ芸風を替えたんですかっ(滝汗)」と怒濤のツッコミいれてましたよ自分。
 南アフリカ、治安悪いですね。日本のテレビ局が女性レポーターを派遣しないって決めたので相当だと思ってたけど、トイレに入っていたら途端に複数人に襲われてぼこぼこにされたとか、自動車に乗っていて信号で停止したらガラス窓を割られて襲われたとか、聞きしにまさりますね。警察だか軍だかのライフルが5千丁なくなったとか、こっちのその道の人がびっくりするような状況ですよ。
 そういえば師匠がJAL寄席でナイジェリアのラゴスに行った時の話ですが、空港に迎えに来た車が時速200キロぐらいで飛ばすんだそうです。停めるとあちこちからライフル抱えた一団が飛び出してくるとかで。ところどころ道の途中にタイヤが山ほど積まれているんですが、そういうところに陣取っていると。
 で、会場の邸宅が凄いんです。塀と厳重な扉があって、ライフル持った警備員がいるんです。さらに二重の塀と扉がある。なんで三重になっているかというと、その警備員が中に押し入れないようにしているんです。
 そういうアフリカでワールドカップ。そういえば、自分の友人でサッカーの応援に命かけているやつがいるんだけど、フランスのワールドカップの時、会社を休みにして社員たちを招待して6人でフランスに応援に行った。社員たちは感激しました。で、試合5分前、会場で「社長、今回はチケット空売り騒ぎもあってたいへんだったでしょう」「確かに大変だった……すまん、実は会社は倒産した。せめてもと思って、招待した」という展開。そんな大事なことを試合5分前にきかされて、人間どうなると思います? ぼうぜんとしてしまうだろうと思うでしょ、でも彼らは失うものがなくなって、応援に熱が入ったそうです。その社長だった男が、今回の南アフリカにも行ってるんです。「ホテルがとても安かった」と行っていたんで、生きて帰ってこられないかも知れません……帰ってきたら、話を聴くつもりです。

 一言一句覚えているわけではないのですが、こんな感じ。自分は、人の話を要約して記憶するタイプなので一言一句覚えているわけではないのでずか、談春さんの話は思い出して文字にするとかなり正確に思い出せるみたいです。たぶん、談春さんがその場で言葉を選ぶ能力が高くて、もの覚えの悪い自分にもかななりディテールまでインプットしてしまうということなんだと思います。

 談春さんにし長いマクラ(爆笑の連続ですっかり場内が沸騰してます)。なぜアフリカの話を振ったかというと、幕末の治安から明治の世になってちょっと落ち着いた頃、刀の試し切りをしたいという辻斬りが出没したというネタにつなげたかったのでした。

 刀の切れ味と自分の剣腕を試し買った(元)武士が辻斬りをしようとする。いろいろためらった挙げ句、橋のたもとの乞食を斬る。ずばっと斬ったという感触。
 その話を自慢げに友人にした。すると友人も腕が試したくなって、橋の乞食を見つけて斬りかかる。がばっと起きあがった乞食が「この野郎、毎晩俺を棒で殴りつけるのはお前かっ!」という小咄。

 おっと思ったら、次は「胴斬り」。
 腕のいい人が斬るとすぐにぱかっと割れなくて、しばらくするとふたつに割れる(『北斗の拳』の「お前はすでに死んでいる」「ははは、馬鹿なことを。俺は生きてるぞっ……ぐあばっ」って感じでしょうか?)。
 凄い腕の立つ侍がある町人を胴からまっぷたつに斬った……ら、上半身と下半身が生きていた(シュールだ……)。上半身は風呂屋の番台になって、下半身は蒟蒻屋で蒟蒻を踏む職人に奉公した。
 上半身が風呂屋の客とぱぁぱぁ世間話をして、その客が下半身(通称「脚」)の様子を見に行ってくれることになった。上半身が「脚」に伝言。「最近、頭がのぼせる。三里に灸してくれ」
 その伝言を聴いた「脚」も上半身に伝言があるそうだ。「番台で茶をがぶがぶ呑むんじゃねぇ。便所が近くなって困る」

 ここで一旦オチた時に、小ねた解説。以前は「脚」を演じた時に、上半身を意識させないように、目をつぶって無表情に演じたのだとか。しかし、客から「胴体から下だけの下半身が目に浮かんできて気持ちが悪い」と言われ、普通に演じるようになったのだとか。

 笑わせておいて、決まりわるそうにちょっと口ごもって、さらに展開。品川の女郎に呼び出された町人が酔っぱらっ上機嫌で品川に向かう……って、おお「首提灯」もくっつけてくれるのね。

 その町人を呼び止めて麻布への道を聞いた浪人に、調子に乗った町人が悪口雑言を浴びせた上に、唾をはきかける。その唾が、殿から拝領した羽織の紋にかかったということで、武士の対面を汚された浪人が一閃。

 ここからが真骨頂。談春さん、歩いてくるうちに頭が首の切口でずれて回ってしまうところとか、頭がだんだん重くなって首にめり込んでいくところとか、仕草や表情も抜群にうまい。グロでシュールな展開なのに、会場どっかんどっかん。

 頭がずれて落ちそうで難儀しているところ、火事に出会う。鳶に突き当たられ、自分の首を差し出して「へえごめんよ」……あれ、ではなかった? 微妙に違うオチだったような気がする。

中入り

「宿屋の富」立川談春

 あれ?「中の舞」とともに登場した談春師、羽織なしですね。真打ちでトリで羽織なしって初めて見たかも。
 マクラは「談春版 宿屋の富ものがたり」みたいな。舟券を買うバクチで、人生で2回フロー体験をしたというその2回を微に入り細に入り、描いてくれました。フロー体験というのは、スポーツ選手が最高の記録やパフォーマンスを出した時に脳内物質が出まくって時間が止まったように感じる状態。
 ひとつは、1万円で100万円以上当てた時。
 さらに手元の金を全部賭ければ2000万円にもなる最終レース。「4-6」という組み合わせがオッズの中から浮き上がってみえたとか、トイレで用を足していたら老婆の声で「4-6」を囁きかけてきたとか。
 果ては談志師匠が「芸人は賭けごとをしてはダメだ。芸にも一攫千金を求めるようになる」という声が聞こえてきて、他の券を買ってしまった。
 そのおかげで、落語家としての自分がある、という流れで、予告されていた「宿屋の富」へ。

 神田馬喰町の安宿に宿泊した客。見かけはぼろぼろだが、田舎言葉で話し始めた身の上が実はとてつもないお大尽という。人にかしづかれる生活に飽き、貧乏な旅人に身をやつして楽しんでいるという。
 眉唾もののバカ話に載せられた宿の主、売れ残りの富くじを「当たるはずがない」からと伏しておがむ。調子のよい旅人「当たったら半分やる」と約束。
 ひとりになって化けの皮を脱いだ旅人、お大尽とは嘘八百、これで一文無しに。
 翌日、富くじの抽選会場である湯島の境内に。二番くじが絶対に当たると信じているヤツが、馴染みの女郎を身請けしてふたりきり差しつ差されつする妄想劇場を繰り広げたり。
 当たるわけがないと思っていた一番くじを引きあてた偽お大尽動転して宿るに戻ってくると、風邪と称して布団に潜り込む。一番くじが当たったと知って半分の五百両がもらえるとあって、駆け込んでくる宿の主人。

 ばくち話のせいか、マクラの談春物語からしてノリノリ。田舎もののお大尽を騙る旅人ののバカっ話も面白いが、一番受けたのは二番くじが当たると確信している通りすがりが、馴染みの女を身請けしてしっぽりする場面の妄想劇場。自分は賭け事をしないのでその辺りの心理はよくわからないけど、永遠の片思い相手の土方さんをあれこれ想像してでれでれする気持ちと似てます?

 いったんサゲて、挨拶の口上。宮崎の畜産農家が口蹄疫対策で大変なので義捐金一口100円を募るとか。帰りがけに私も一口協力しました。多くの人がハコに100円入れて帰った模様。

☆★☆★

 前日の志の輔師匠に続き、談春師匠も奇跡のようなライブ。これだから、にぎわい座ははずせないのです。感謝。






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