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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
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 最初にこの本の存在を知ったのは、かよこさんのブログ「黄昏どきに…第二章」の記事「五十嵐貴久著『相棒』」でしたか。その直後、共同ブログの万年貸切部屋で、野間みつねさんが毎日新聞の書評から見つけてきたのですが、みつねさんの幕末の人物への距離感から感じるに、この作品は読めないとという直感。

 自分は大丈夫そうだったので、読んでみました。



 8割ぐらいは、とても楽しんで読めました。絶対にコンビを組みそうもない土方歳三と坂本龍馬が、何のために、いつ、コンビを組むかという設定が、幕末の史実ファンとしては興味があるじゃないですか。

 土方さんはこの時期に京都にいないのですが、無理矢理にでも呼び寄せてこういう状況をつくってしまうという設定そのものも、なかなか楽しかったです。

 そして、絶対に価値観の面では合うはずのないふたりが、どう折り合いをつけていくか、そして一度タッグを組んだら、白牡丹の見立てでは「どちらかというと、直感で結論を出し、それを後から裏付けていく思考パターン」「頭の回転が速い」「抽象的な理論には興味が薄く、空理空論を嫌う」「すぐに行動に移したがる」というところですごく似ているように感じますので、状況を限定すれば実はうまく行くと思った通り、すごくうまく機能するわけですよ。

 そして、共同ブログに書いた通り、面白くないわけがないプロットですよね。
 まだ4分の1しか読んでませんが、ワクワクしながら読んでます。だって、史実的には一緒に行動するはずのなかったふたりがタッグを組むという話ですからね(史実的には、この当時すでに坂本龍馬は寺田屋で幕府の捕り方に発砲して殺してしまっていたから、土佐藩による政治的な判断による赦免がなければ新選組にとっては捕縛対象でしょう)。

 もっとも、この組み合わせが面白いかどうかは、読者が持っている坂本龍馬像・土方歳三像によりますね。私は、性格的に相容れないからこそ一緒に行動しなければならないという状況にふたりがどう対応するかが面白いと思いました。


 ただ、合わない人もいると思います。

・御陵衛士たちが好きな人、特に伊東甲子太郎と篠原泰之進に史実以上の悪い役回りが来るのを受け容れられない人。この時節を舞台として、土方・坂本コンビを成立させようとすると、悪役にされてしまう、割の合わない立場にいらっしゃる……(汗)。
・司馬遼太郎の『燃えよ剣』が合わない人(自分も最初はこの小説や他の創作作品によって土方さんファンになったのですが、史実を知るにつれて違和感を感じるようになったので、そういう人もいると思っています)。特に最終章で、蝦夷にいるはずのない新選組隊士が蝦夷にいると知ったら、この創作のタネ本がわかっちゃうじゃないですか(汗)。

 最初から7割5分までは、結構楽しんで読めてたのですが(大河ドラマ『新選組!』のキャストをイメージしていたのですが、途中から、土方・沖田はマンガ『無頼』の土方・沖田の方が近い感じになりました^_^;)、最後の2割5分の辺りで「自分はこのまま読めるけど近しい人でこの設定に憤慨する人もいるな~」とか「こ、これはっ、史実にもとづく小説だからいくら創作ありといっても、史実を知っている身としては司馬遼太郎作品に典拠しているのはバレバレになってしまうのではっ」などと余計な煩悩が噴出して(汗)、読了したのですが今いち完全燃焼できませんでした。

 ただ、残り2割5分の中にも史実では考えられないどんでん返しがあり、歴史エンターテインメントとしてはよくできていると思います。
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コメント
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リンクありがとうございました
by かよこ URL 2008/02/04 15:52 編集
白牡丹さん、ご無沙汰しております。
リンクをありがとうございました。
確かに私も最後の方は、余計な煩悩が噴出しましたね~。(苦笑)
伊東先生ファンの皆様に、申し訳ない気持ちにもなったし。
時代小説というよりは娯楽小説として、楽しんだもん勝ちという作品でしょうか。
    
ご挨拶ありがとうございます
by 白牡丹 URL 2008/02/04 21:19 編集
かよこさん、こちらこそご無沙汰しております。

トラックバックを飛ばすにはちょっとアレな感想(汗)なので、リンクのみにさせていただきました。ご寛恕いただきましてありがとうございます。

> 確かに私も最後の方は、余計な煩悩が噴出しましたね~。(苦笑)
> 伊東先生ファンの皆様に、申し訳ない気持ちにもなったし。

同じ思いを持つのは、やはり『新選組!』という共通の体験があるからだと思います。薄っぺらい「悪役」はほとんど存在せず(例外は内山彦次郎でしょうか^_^;)、敵対する人物や小物と扱われがちな人物にもそれなりの必然性と人物像がきちんと描かれてましたから……まぁ新選組という存在自体が、『鞍馬天狗』のように多くの作品ではやられ役・憎まれ役ですからねぇ(苦笑)。

今後ともよろしくお願いします。
    
これは「幕末小説」ではなく
by 青空百景 URL 2008/02/05 11:38 編集
「素材として幕末を扱っているミステリ」なんですね。
作者も歴史・時代小説の方ではありませんし。
歴史上の実在の人物に「探偵」役をふる、というのはミステリではよくある手法なんですよ。なるべく軽く受け流して頂けるとミステリ好きとしては幸いに存じます(平伏)。
    
わかっているつもりですが
by 白牡丹 URL 2008/02/05 11:48 編集
青空百景さん、お書き込みありがとうございます。

> 歴史上の実在の人物に「探偵」役をふる、というのはミステリではよくある手法なんですよ。なるべく軽く受け流して頂けるとミステリ好きとしては幸いに存じます(平伏)。

はい、わかってはおります。歴史上のある時代を舞台にしたエンターテインメントの一ジャンルであるという捉え方をしています。

ただ、これはミステリーに限りませんが、悪役とされる人物の描き方や行動の動機がが薄っぺらく処理されてしまうと、作品としての厚みや深みも……と思うのです。同じ設定でも、犯人が追い詰められて止むにやまれずという状況がもっと表現されていれば、もっと深みがあったろうにという感想です。
    
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