やっと『オトコタチノ狂』鑑賞

　風邪引いて休養のため一日休みを取ってます。そして、半日寝てだいぶ収まってきたので、ごそごそ起き出してきて、ようやくDVD『オトコタチノ狂』を鑑賞。



　この映画を知ってから約1年。



映画『オトコタチノ狂』……見たいなぁ

『オトコタチノ狂』DVD化



　映画の内容については公式サイトをご参照ください。現代の東京に住む平凡な青年・桜井君のマンションに、ある日飛び込んできたのが幕末の時代からタイムスリップしてきた中岡慎太郎・久坂玄瑞・中村半次郎・土方歳三だった、というシチュエーションの中で展開される、ある意味密室劇。



　そして、ドラマの主人公である桜井君と同様、四人の幕末の志士たちに、次第に魅せられてしまうこと請け合い。強烈だなぁ……自然と調停役に回る中岡さん、この四人の中でも一番無骨で男っぽい中村さん、詩吟する秀才・久坂さん、一番冷静でどこか斜に構えた土方さん、とそれぞれの個性が現代のマンションの八畳間で激突する(爆)のがスゴイ。



　桜井青年がインターネットからプリントアウトした各々の生涯と事績との関わり方が面白い。真っ先に読んで、歴史に名を残したと無邪気に喜んだかと思うと、暗殺されることを知って落ち込む中岡慎太郎。禁門の変における割腹死と知って「そっか……それでええ」と粛然とする久坂玄瑞。落ち込む中岡を慰め、久坂の死に様を知って自分の情報を読まないと決める中村半次郎。そして、最初から情報には目もくれない土方歳三(笑)……あまりに「らしい」ので笑ってしまう。



　中村半次郎の野太い薩摩弁ヴォイスにうっとりしてしまう私って、声フェチだろうか(笑)。ひとりだけ着流しってのも、なんかツボだし。中村どんが「女買いは？　廓は？　島原は、廓は、どげんでごわす？」と桜井君に訊いた時の残りの幕末男たちの微妙な表情がまた笑えた……まったくもぉ(苦笑)。



　でもやっぱり、この作品の中でも、冷静で(訊問得意だし、何かちょこちょこと周囲のモノを調べていたりするし、最後まで状況を観察しているし)、どこか斜に構えていて策士で(喧嘩をけしかけるし^_^;)、四人の中では最後まで周りに心を開かない土方さんが一番好きだ(演じた田久保さんも史実の土方ファンだそうだし)。ひっそりと「気持ちの悪いくらい意見が合うねぇ」と中岡に応じるところが可愛い過ぎる(爆)。さらに、ヤカンをかけたレンジに火を点ける時の腰の引けっぷりに、ノックアウトされる……みんなが車座になって酒飲んでる時にも、半分背中向けてタクワン食ってるところが、またツボにはまるし(笑)。最後の最後で幕末男たちに心を開くところも土方さんらしいんだよなぁ。



　で、映画のタイトル『オトコタチノ狂』に関連する台詞を土方さんが持って行ったりするところが、やんや、だったりする。



　自分たちのよって立っていた時代から切り離され、同じ時代から来た者たちは敵同士、という状況の中で、ぶつかり合い、刃を向け合い、しかしやがて奇妙な連帯感を紡ぎ出す四人の男たち。自分たちが生きた時代よりも140年後の日本の姿に「おそろしく場違いなところに来てしまった」という感覚を持つ……そりゃそうだろうなぁ。



　終盤は、何かもぉ切なかった。



　結局、続けて2度見た。



　……インターナショナル版の英語字幕、なかなか面白かった。中村どんの「わかりもはん」が「I don't know」って、正しい訳語だけど身も蓋もないねぇ^_^;。