10月15日～16日の幕末ニュース

　記事の数はあまり多くありませんが、ご紹介します。

滋賀
「老中奉書」水害から復活──素顔の歴史（２）

　彦根井伊藩は徳川政権下で30万石超の領地を得た譜代の筆頭格だ。彦根城博物館（彦根市）には、江戸幕府から井伊家にあてた老中奉書が約5000点残るが、約1000点は損傷が激しく読めない状態だった。1896年の琵琶湖大洪水が原因と考えられる。1998年度から最新技術を使った修理が始まり、約660点の奉書が甦（よみがえ）った。儀礼的な内容が大半だが、幕府との関係がうかがえる興味深い奉書も含まれる。
(中略)
　井伊家に残る老中奉書は江戸中期から幕末にかけて書かれた。
(中略)
　老中奉書の内容は明確で分かりやすい。この時期は文書主義が徹底しており、幕府が返書を出す場合は、まず井伊家から出された書状の内容を簡潔に記した上で、幕府側の回答を伝えているからだ。例えば1743年6月18日の奉書には「石垣3カ所が崩れたことについて、築き直すのは絵図に朱色で記した通りだという文書をもらった。願いの通り修理しなさい」と、くどいくらい丁寧な返答が記されている。ちなみに、奉書には当時の老中4人全員の署名がある。通常は1人なので、城郭の修築が幕府にとって最重要事項だったことが読み取れる。
　1815年正月13日の前藩主井伊直中にあてた奉書も興味深い。「今もって病状が変わらず、回復してから参勤したいという願いを幕府に聞き入れられてありがたいという考えを承った」という内容だ。直中は隠居の身にもかかわらず江戸参勤を命じられていたことが分かる。大名は隠居しても楽ではなかったようだ。ただ「直中の病は仮病で、国元で悠々自適に生活していた可能性もある」と野田学芸員は指摘する。

香川
狼煙場跡で幕末期の海防学ぶ－東かがわ未来塾生

　次代を担う幼児や児童生徒の健やかな成長を目指す「東かがわ市少年少女未来塾」が十四日、香川県東かがわ市松原で開かれ、幕末期の海防を知る上で貴重な史跡の狼煙（のろし）場跡を見学した。
(中略)
周囲を石垣状の割り石で積み重ねた穴は外周約八メートル、深さ約一・五メートルほど。近くの浦番所や遠見番所とともに、黒船が来航した幕末期の播磨灘の海防を物語る貴重な史跡を目の当たりにした。

広島
個性派だんじり　力作集まる

　福山市松永町の潮崎神社で14日、秋祭りの「だんじりコンテスト」があった。
(中略)
　神社前に、タイを釣り上げる恵比寿（えびす）や刀を持った新選組の近藤勇など、各町内会が約２カ月かけて手作りした力作が集まった。

佐賀
「鍋島大砲」山中で密造？　幕末の武雄領、幕府に隠れ…　動力水車の排水路遺構か　市教委調査

　幕末に国内で洋式大砲製造の先駆けとなった佐賀・鍋島藩武雄領で、幕府に隠れて大砲を製造した“秘密工場”の跡とみられる遺構が、佐賀県武雄市の山中で出土した。発掘した市教委は、大砲を仕上げるための旋盤加工の動力源となった地下水車の排水路ではないかと分析。「鍋島藩の先進性を物語る貴重な発見」としている。