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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
はい、もののおりにいろいろ考えるのですが、やっぱ夫には向きません。

夫には向かない職業 ――女性視点の新選組小説
7月といえば池田屋事件。幕末好き・新選組好きの女子がコンチキチンのリズムに胸躍らせ、お店に入るたびに心の中で「御用改めである!」と叫び、来客があるたびに心の中で「お二階のお客様、旅客改めでございます!」と叫ぶ季節の到来です。私だけですかそうですか。
 歴史上の人物というよりもキャラクターとして一人歩きしている部分はあるにせよ、新選組は女性人気が高い。負けゆく者の美学と並んで、「いい男各種あり〼」的キャラの豊富さが乙女心にロックオン。カリスマ、クール、天真爛漫、猪突猛進、知的、ミステリアス……どんな読者にもストライクど真ん中のメンバーが必ず一人はいる、それが新選組なのだ。
 まだ歴女なんつー言葉のなかった頃、幕末好き女子高生だった私は同好の士と「沖田くーん♡」「いややっぱり土方さんが」などとはしゃいでいたものだが、そんなミーハー女子高生に頭から水をぶっかけたのが北原亞以子『降りしきる』(講談社文庫)だった。芹沢鴨の情婦・お梅の視点で書かれた表題作には、それまでセクシー・ウエポンのイメージしかなかったお梅のまったく違った面が描かれていたのだ。

 お梅、可愛い! と思ったのが、新選組屯所となった八木家の女中・お清との会話。「うちの睨んだとこでは、土方はんも、お梅はんに気があるな」「うちはいやや、あんな男はん」とまあ、女子高生がクラスの男子の噂をしているのと変わらないのである。でも当然だよなあ。だって京の田舎にいきなり若い男たちが大勢来たんだもの、そりゃ騒ぐよ。
 でも呑気に騒いでもいられなくなる。土方とお梅がなんとなく互いを意識してるという状況で、お梅ははからずも芹沢の情婦にさせられる。そして新選組が暴れ始めたとき、北原亞以子はお梅にこう独白させるのだ。

「志」を言い訳に、人に迷惑をかけるな

「ほんまに、何が尊王攘夷や、何が佐幕や。偉そうなことを言うんやったら、人の金をあてにせんといて欲しいわ。うちらは異人さんが来はったかてかまへん。将軍さんがいはったかてかまへんのえ。そやのに、何でうちらを巻き添えにせんならんの」
 女の本音である。おそらくは、あの時代の京都に暮らしていたすべての女たちの本音でもあったろう。男たちの勝手な「志」とやらに、なぜ女が巻き込まれねばならないのか。それをさらに複数の女性の視点で描いたのが浅田次郎『輪違屋糸里』上下巻(文春文庫)だ。

『輪違屋糸里』でのお梅は切ないし、輪違屋の太夫・糸里はとことんかっこいい。その中でも、八木家の主婦であるまさの視点が印象的だ。いきなり見知らぬ男たちを団体で預かってくれと言われ、2~3ヶ月のはずがすっかり居座り、こいつらいつまでおんねん、とウンザリする。しかも人の家で斬り合いをしようとしている。母がいて子どもがいる、平和で平凡な家族の家の中で。
 芹沢粛清の夜、まさは敢えて芹沢のいる隣の座敷に子どもたちを寝かせる。ここは私の家ですよ、と言わんばかりに。そして世間話のついでのように、言うのだ。「どないな悪人にも産んだ母親はいてます。(中略)よろしおすか、沖田はん。誰それの命も、うっとこの二人の倅の命も、母にしてみれば同じもんやと思うとくりゃす」
 それを聞いた原田左之助が「どうやら女というのは、剣を持たずに斬り合いができるらしい」と呟く。蓋し名言ではあるが、そうさせたのはあんたらだ。『輪違屋糸里』は、糸里が、お梅が、まさが――振り回されるばかりのこの時代の女たちが、そろって勝負に出た夜の物語なのである。

隊士の妻たち、恋人たち

 北原亞以子『埋もれ火』(文春文庫)は、幕末を駆けた男たちの妻や思い人を主人公にした短編集である。中でも近藤勇の妻ツネを描いた「武士の妻」がいい。百姓の出で町道場の主に過ぎなかったはずの夫が家を出て帰ってこず、武士になったと思ったら罪人になり、斬首。自死して勇の後を追った妾・おさわは「武士の妻らしい立派な最期」と褒められた。
「ツネは、町道場の主に嫁いできたのである。その道場主が、新選組局長となり、幕臣となってしまったのだ。ツネは、いったいどうすればよかったのだろう。/『おさわさんが自害したから、わたしもそうせよだなんて』/わたしは、町道場の主の女房だった」
 たまったもんじゃない。たとえば自分の夫を殺した松原忠司に、そうとは知らずほだされるお茂代(司馬遼太郎「壬生狂言の夜」・講談社文庫『アームストロング砲』所収)。山南敬助に夢だけ見させられて勝手に切腹された遊女・明里(徳永真一郎「新選組異聞 悲恋の明里」・徳間文庫『江戸妖女伝』所収)。正式に結婚したのに鳥羽伏見で負けたら妻子を残して江戸へ行ってしまった原田左之助の妻・まさ(池波正太郎「ごろんぼ左之助」・文春文庫『剣客群像』所収)。やたらと感動話に仕立てられるが、彼女たちにしてみれば「はあ?」と言うしかない話ばかりだ。
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映画版『るろうに剣心』京都大火編と伝説の最期編を二ヶ月連続で鑑賞して楽しんだのと並行して、アニメ『幕末Rock』にすっかりはまってしまいました。

 アニメ『幕末Rock』公式

「絶叫《クライ》!熱狂《マックス》!超絶頂《エクスタシー》! 」というアオリ文句のルビにセンスがあらわれてます。

 アニメ版のオフィシャルプレリュードブックより。
 時はのちに幕末と呼ばれた時代。
 徳川幕府の天歌《ヘブンズソング》によって国と民は支配され、
天歌《ヘブンズソング》以外の歌を歌うことは
許されない時代——。

 そんな世の中に一石を投じるべく、
志士《ロッカー》たちが立ち上がる。

 坂本龍馬ら志士《ロッカー》は、
魂《ソウル》と情熱《パッション》の音楽であるRockによって
幕府へと対抗することとなる。

 一方、徳川幕府もまた
最高愛獲《トップアイドル》・新選組を率いて
志士《ロッカー》たちに立ち向かう。

 ここに、自由を求める
熱い志士《ロッカー》たちの戦いが幕を開ける!

 アニメ版で印象に残る場面をいくつか思い出すと……

 第2話では、イケダヤンという雷舞小屋《ライブハウス》でコンサートをしている新選組。その舞台に坂本龍馬が「お前たちの音は間違っているぜよ!」と異議を唱え、土方歳三・沖田総司にロックで話しかける。龍馬に加わった桂小五郎・高杉晋作のロック勢と、新選組のふたりの愛獲《アイドル》ソング勢が音楽で掛け合う。ロックを取り締まる幕府の捕方が騒ぎ出したところを、新選組局長で現在はプロデューサーとなっている近藤勇が龍馬たちを舞台裏から逃がしてやる。

 ……えーと、史実の池田屋事件とはまったく関係がありません(苦笑)。歌で張り合う感じが面白かったです。

 第4話では、幕府のロック統制が京都に及んで雷舞《ライブ》できなくなった龍馬たちが風呂屋でロック雷舞を開く話。たまたま屯所の風呂が使えなくて風呂屋に来ていた土方・沖田が、彼らを弾圧するというよりは挑発するような言動をとったせいか、龍馬たちの風呂屋雷舞は盛り上がる。

 第6話では、近藤勇・土方歳三に内緒で井伊直弼に通じていた沖田総司の歌声にかかった呪いが最高潮に達して人々をどんどん泰平化(この作品独特の用語で、幕府側に洗脳されることを称する)していってしまう。その呪いを一身に受けて浄化した近藤勇は命を落とす。

 第7話では、近藤勇を失った土方歳三と沖田総司が新選組を離れる(残りの新選組メンバーは、幕府によって近藤勇が土方・沖田と坂本龍馬らに暗殺されたと信じ込まされている)。高杉・桂の恩師であり、行方不明だった吉田松陰が雷舞を開くという布告がなされ、坂本たちが駆けつけると、かつてロックの先駆者だった松陰先生(この回で登場した勝海舟によれば、かつてはShowとKaiと呼ばれ、共にロックを追求する仲だった)は、天歌をまき散らす存在に。松陰先生はこの世のものではなく、井伊に魂を操られた悪霊になっていたことがわかり、坂本・高杉・桂は先生の魂を浄化させるためにロックを演奏する。ロックを聴くと「泰平化」された新選組隊士たちが「泰平化を解かれる」ことに気づいた土方が、沖田とともに坂本たちに加わり、ロックを演奏することでロック勢のパワーが高まり、松陰先生は成仏。新選組はじめ会場の人々は「泰平化を解かれた」状態に。

 なんと、土方歳三・沖田総司が、坂本龍馬・高杉晋作・桂小五郎と一緒にロックしちゃうという展開に。第7話では、沖田総司が白馬に乗って羽根を背負って飛んでくる(馬を吊っているワイヤーが描かれているんだけど、どんな仕掛けで飛んでいるのかは不明・汗)とか、超展開で爆笑。この辺りから、アニメ編独自らしいノリがパワーアップ。

 第10話と第11話では、バンドの方向性をめぐって分裂……じゃなくて、井伊暗殺を思い詰めるまでに過激化した高杉が超魂団《ウルトラソウルズ》を脱退し、井伊と対峙し、あえなく井伊の術中にはまって天歌《ヘブンズソング》側の一員としてバンドデビュー(ユニット名が「ザ・晋作&奇兵隊)」……ださっ)。高杉に「もうお前とはやれねぇ!」と言われてふぬけとなった龍馬が、幕府側に取り締まられる少年たちが自分のロックを口ずさんで抵抗する姿に自分を取り戻し、高杉と桂・土方・沖田が対峙する江戸の大江戸ヘブンズソングフェスティバル会場に、京都から桂小五郎発明のロケットで襲来するとか……そして最終回では、井伊直弼が心を売った徳川代々の天歌の呪術がこもった霊の塊から徳川慶喜を救うために、ロックのソウルを発動して闘う桂・土方・沖田・高杉が順に散っていくのは幕末版「リンかけ」方式……坂本龍馬がソウルを振り絞って慶喜の心を解放すると共に、仲間達のソウルは回復して生き返り、民衆がロックを歌い出して超魂《ウルトラソウルズ》が発現されて大団円……って、作品見たことのない人には私の要約ではきっとわからないだろうなぁ、私も何度かアニメ見返したけど、何度見てもぶっ飛んだ作品としかいいようがない。

 ゲーム版では、この続きとして、マシュー・カルブレイス・ペリーJrが日本に開国を求めて来襲(ただし彼の言う「開国」とは女性がシルクのすけすけドレスを着ること)し、本場のロックで日本の民衆を圧倒するところに、超魂団《ウルトラソウルズ》5人が対峙するという展開があるのだが……アニメ2期は無理としてもOVAでいいから、見たい。

 作中で使用されるロック・天歌とも音楽がいい。声優さん達みずからが歌っているのだけど、本格的に音楽活動している声優さんたちが起用されているので、プロ級。作曲・作詞も作品世界によく合っていて、聴き応えがある。
『劇場版 薄桜鬼 第一章 京都乱舞』さっそく見てきました。テレビ版の再編集ではなく、脚本からアニメ画から一新したそうで、『薄桜鬼』ファンにはどきどきものでした。
 多少ネタバレもありますので、以下ご注意ください。

注目映画紹介 : 「劇場版 薄桜鬼 第一章 京都乱舞」 新選組の活躍と共に生きる少女の姿を描く
『劇場版 薄桜鬼』キャスト勢揃いの舞台挨拶、第二章の公開日も発表

桑島法子&三木眞一郎ら、劇場版『薄桜鬼』に自信!「第二章」は来年3月に公開決定


 冒頭は千鶴が生まれ育った村を焼かれて薫と逃げ惑う場面。そこから上京した千鶴が浪人達に目をつけられて追われ、新選組と出会う展開に。
 劇場版は画面が大きいので背景も凝ってますね。暗い画面がテレビ版以上にダークファンタジー色を強く出しています。尺の関係で新選組をめぐるエピソードも厳選され、ほのぼのした日常が削られ、次から次へと時代の波に乗り、潮に流される新選組メンバーの壮絶な戦いに焦点が置かれています。
 また、千鶴ちゃんも女鬼としてパワーアップし、神秘的な力が表現される感じ。

 土方ファンというか土千ファンには嬉しい演出です……特に鳥羽伏見の戦いにおける源さんの戦死(涙)・土方さんの羅刹化・土方さんちー様の一対一・ちー様ご一行が消えた後に長州藩に取り囲まれた土方さんと千鶴ちゃんが手に手を取って囲みを破りに突き進む後ろ姿でのエンディングは圧巻。さらに、エンドロールの後に第二章の予告で土方さん洋装カットが一枚出てくるサービスに、どきっ。

 終わった瞬間、劇場のあちこちから「土方、ヤバいwww」と呟く声が聞こえました……はい、確かにさざ波のようにあちこちから聞こえました(爆)。

 第二章はさらに土方成分がパワーアップしていると思われますので、来年3月8日公開を楽しみに、待ちたいと思います。
 ただいま、ケーブルテレビTBSチャンネルで放送中です。

12時~13時。
新選組始末記「鳥羽・伏見の戦い-前編・後編-」
 昭和36年10月から翌年12月まで全63回にわたってTBS(当時・KRT)で放送された、子母沢寛原作・中村竹弥主演の娯楽時代劇「新選組始末記」。その中から、第55・56回の「鳥羽・伏見の戦い」前編・後編を放送する。この回は、中村版「新選組始末記」では唯一映像が残っている貴重なもの。


 近藤勇: 中村竹弥
 沖田総司: 明智十三郎
 土方歳三: 戸浦六宏

 モノクロですが、ロケをふんだんに使った淀川の戦いの場面はいいなぁ。誠の旗を掲げて突貫しようとする源さん始め隊士たちが……涙。

 今ではすっかり時代劇ドラマ作品から消えてしまった東映時代劇の香りがしますなぁ。

13時~14時
大型時代劇スペシャル「新選組・池田屋の血闘」
「水戸黄門」をはじめ多くの作品に出演している里見浩太朗が主演の大型時代劇「新選組・池田屋の血闘」。この作品は、里見演じる近藤勇が新選組の実権を握ってから池田屋襲撃に至るまで、新選組の最も華やかだった頃に焦点をあてる。新選組を題材にした作品がこれまでに数多く存在する中で、今作は理屈抜きに楽しめる時代劇としての“新選組”の物語を徹底的に追求。


 近藤勇: 里見浩太朗
沖田総司: 野村宏伸
 土方歳三: 地井武男

 これも未見だったので楽しみです。

☆★☆★

 追記。「池田屋の血闘」、冒頭で芹沢鴨が指揮する大和屋焼き打ちに使われる大砲が爆裂弾だった(爆)ところからして、時代劇スペシャルだなーと^_^;。










 ニュース検索してヒットしたら「え~っ、え~っ、え~っ!?」って三回叫んでしまいました(汗)。

人気コミック『PEACE MAKER 鐵』が連続ドラマ化! 出演者オーディションを開催
 黒乃奈々絵原作のコミックで、アニメ化もされ高い人気を誇る『PEACE MAKER 鐵(くろがね)』(『コミックブレイド』連載)が、2010年1月より連続ドラマ化(TBS・MBS系)決定。現在このドラマの出演者をプロ・アマ不問で募集中だ。

 『PEACE MAKER 鐵』は、両親の仇討ちのために新撰組に入隊した少年・市村鉄之助を主人公に、幕末の動乱を駆け抜ける若者たちの生き様を描く物語。史実をベースにしつつ、現代風にアレンジされた美形のキャラクターやドラマチックなストーリーが人気を集めている。

 この作品が2010年1月より連続ドラマ化(TBS・MBS系)されることが決定。現在同番組の出演者を募集中。求めるのはプロ・アマ不問で15~29の新鮮な魅力を持った男女。なお、ドラマ終了後、TVドラマのキャストを中心に舞台化も予定している。

 合格者はドラマ『PEACE MAKER 鐵』に出演の後、アマチュアの場合は、同ドラマを製作する株式会社ジョリー・ロジャーのプロダクション部への所属を検討。所属者は芸能活動を全面的にバックアップする。

 応募方法は現在発売中の情報誌『月刊デ☆ビュー』12月号(10月31日発売)、および公式WEBサイト『WEBデ☆ビュー』、携帯サイト『デビューしようよ』で公開中。


 ま、本気《まじ》っすか……原作、油小路で連載中断されたままなのに連続ドラマ化って(爆)。




 演劇集団キャラメルボックス『風を継ぐ者』は自分も2回見ていますので、ご紹介します。

キャラメルボックス記念すべき100本目の公演は、若手俳優陣の熱演が光る人気幕末青春群像劇
キャラメル、若手俳優陣の熱演光る100本目の公演!
演劇集団キャラメルボックスのサマーツアー公演『風を継ぐ者』が、7月11日、東京・サンシャイン劇場にて開幕した。ファンの間でも人気の高い幕末青春群像劇で、1996年に初演、2001年の再演を経て、今回が8年ぶり3度目の上演だ。

ファンタジーの印象が強いキャラメルボックスだが、もうひとつの柱は“幕末劇”。その中でも圧倒的な支持を得ているのが、幕末期の動乱を駆け抜けた新選組を描く本作だ。土方歳三や沖田総司らも登場するが、メインとなるのは架空の人物である平隊士たち。剣術も学問もまるでダメ、足が速いことがとりえの立川迅助と、学も剣の腕もあるが、何か熱中できることを探している小金井兵庫。新選組に入隊したふたりが、正義と正義がぶつかる戦いの中で、必死に生きた軌跡が紡がれていく。

初演、再演では、物語のメインキャラクターに劇団の中核を担う俳優を配していたが、今回は若手を中心に据える思い切ったキャスティング。主役の迅助は入団7年目の左東広之が演じる。真面目かつ純朴そうな風貌が役柄にぴったりで、全力でこの役にぶつかっている左東のひたむきさが、そのまま迅助のひたむきさにシンクロする。沖田役の畑中智行もキレのある動きと明るい笑顔が魅力的。土方役の三浦剛、三鷹銀太夫役の阿部丈二らも好演。それぞれ、役柄に役者自身の魅力がにじみ出ており好感が持てる。そして狂言回し的役回りでもある小金井を任されたベテラン大内厚雄が、しっかりと物語を支えながらも、傍観者的冷静さの中に若手に負けない熱を時折噴出させるのも面白い。

劇中では、池田屋騒動や蛤御門の変といった有名な事件も語られるが、物語のクライマックスとなるのは、新選組と長州藩士がぶつかる、ある争いだ。信念と私情が絡まり起こるそれは、歴史には残されていない小さな事件。だがどちら側にも正義が確かにあり、彼らは命をかけて戦う。けして格好よくはないが、悩みもがきながら戦うその姿から立ちのぼるのはまぎれもない“生”の輝きだ。その羨ましいほどにひたむきな“生”は観る者の胸を熱くする。フレッシュなキャストによる小手先ではない体当たりの熱演が、そのひたむきさをリアルなものにした。思い半ばで命を落とした人、成就しなかった恋など、彼らのままならぬ青春が切なく胸に突き刺さるが、終わってみれば、なぜか底抜けに楽しそうな笑顔が心に残る。爽やかな風が舞台から客席に届いた。

なお本作は今年で結成24周年を迎えるキャラメルボックスの、100本目の公演となる。節目の公演での若手陣の熱演は心強く、俳優の層の厚さが感じられ、劇団のこれからの活動にも期待が募る。公演は8月9日(日)まで同所にて。その後、8月14日(金)から16日(日)に愛知・名鉄ホール、8月20日(木)から25日(火)に大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA! でも上演される。

 私は2回見てます……土方歳三を上川隆也さんが演じたバージョンと大内厚雄さんが演じたバージョンと。

 主人公は架空の隊士ふたりですが、ストーリーがよくできていて楽しめる舞台でした。今からじゃチケット取れないかな……?
『壬生義士伝 1』浅田次郎・原作 ながやす巧・漫画(角川書店)


 角川書店の隔月刊『コミックチャージ』で連載されている作品のコミックス化第1弾です。自分の記憶では『週刊モーニング』に連載予告が掲載されていたのですが、いつまで経っても連載が始まらず、なぜか角川書店から発行された『コミックチャージ』の看板になっていた作品です……おそらくはながやす氏と編集者が移籍されたという大人の事情があったのではないかと想像しているのですが。

 さて作品。私は浅田次郎作品とはあまり相性がよくないのです(どうも「こういう作品を書けば泣くだろ、さあ泣け」という作者目線を作品に感じてしまうのです……汗)が、『壬生義士伝』は原作も読み、テレビドラマも映画も見ています。テレビドラマ・映画と比べると、原作をより忠実に画像化しているという印象を持ちました。

 『愛と誠』をリアルタイムで読んでいた往年のマンガ読み(爆)としては画力と描き込みの細やかさには定評があるながやす氏なのですが、この作品は本当に力を入れているなぁと感じます。慶応四年正月の大阪と大正3年の東京でのエピソードで第1巻は終わるのですが、ぜひ完結まで読みたいという気になりました。

 登場人物では、絵や写真が現代に残っている近藤勇・土方歳三・伊東甲子太郎がよく似ています(^^)。沖田総司はよくある爽やかそうな美青年です(性格的にはちょっとブラックなところもあるんですよね^_^;)。永倉新八は私の知っている像(写真?絵?)に比べると精悍そうな感じで耳がDr.スポックなのがなぜ(爆)。原田左之助は美男という巷説なのですが、この作品ではやや「むさい」です。斎藤一は、自分的にはこの作品の斎藤像にぴったりです……早く独白場面を見たいなぁ。
 昨日は土方さんの誕生日(旧暦と新暦の違いはありますが)でしたが、それを狙い澄ましたかのニュースが入ってきましたね。土方ファン・幕末ファンのブログさんで既に取り上げられてらっしゃるところもありますが、こちらでもご紹介します。

「カラテカ」矢部太郎が土方歳三に挑戦
 劇作家つかこうへい氏(60)がお笑いコンビ「カラテカ」矢部太郎(30)を土方歳三役に指名! 石原さとみが沖田総司、真琴つばさが坂本竜馬で主演、つか氏が演出する東京・新橋演舞場8月公演「幕末純情伝」(13~27日)で沖田、坂本と三角関係になる大役の土方役に矢部が抜てきされたことが4日、分かった。

 「幕末純情伝」は89年に初演され、映画化もされたつか氏の傑作舞台。演舞場公演はつか氏にとって初の大劇場進出となる重要な舞台だが、バラエティー番組などでみせる自信なさそうなオドオドした矢部の姿に「面白い。土方役にぴったりだ」と即決した。


「カラテカ」矢部太郎が土方歳三に挑戦
「カラテカ」矢部太郎が土方歳三に挑戦

(中略)
 新選組副隊長の土方は美男といわれ、これまでも三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ「新選組!」で山本耕史が演じるなど二枚目俳優が多かった。しかし、今回はつか流解釈による土方の設定となり、恋人役のかわらちゃんを矢部のために新たに創作。かわらちゃん役の一般公募も始めた。当初は「僕にできるんでしょうか」と不安げだった矢部も、スチール撮りも行って徐々に役作りに集中。「つか先生のもとで僕なりの土方を演じたい」と気合も入っている。


 矢部太郎さんも『新選組!』に出演しているんですよね、新選組に関した創作作品に登場することが滅多にない(汗)阿比留鋭三郞の役で。史実では入隊直後にすぐ亡くなって壬生寺に埋葬されているのですが、『新選組!』では病を得て近くの親戚に身を寄せるために除隊するという設定でした。

 そして、ヘキサゴンのスペシャル番組で、山本耕史さん演じる土方歳三にフジテレビ局の玄関前で斬られてました(爆)。

 そんな矢部さんが、何と土方歳三……『幕末純情伝』の土方なんで、なるほどと思ってしまいましたが。私は生の舞台は見ていませんが、初演分を小説版と映画版で、再演分を戯曲版(だったと思います)で見ています。そして、再演版の土方さんは初演版の土方さんに輪をかけて、剣が弱くて、ヘタレで、ネチネチしてて、情けない人物像になっていることを知っているので、今回の舞台版はさらにヘタレ度が増すのではないかと予想しています(苦笑)。

 そういう土方像を見るのは悲しいので私は舞台を見には行きませんが、矢部さんにはご健闘をお祈りします。

☆★☆★

5/8追記。追加記事がありましたので貼っておきます。

【エンタがビタミン♪】土方歳三にお笑い「カラテカ」矢部太郎が抜擢!
 劇作家つかこうへい氏(60)演出の舞台「幕末純情伝」(主演石原さとみ、8月より上演予定)の土方歳三役にお笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎(30)が指名された。
 幕末純情伝といえば、劇作家つかこうへい氏の傑作舞台として有名だ。1989年の初演以来、映画化も含め数々の役者が幕末の志士を演じてきた。
 映画「幕末純情伝」のCMは”沖田総司はBカップ”とうふれこみだったことからも想像できるが、この物語かなりはちゃめちゃで、(三谷幸喜の大河「新撰組!」もなかなかシャレのきいた場面があったが)まず設定が”沖田総司が女”というところでよくある幕末物語ではないと覚悟できる。
 坂本龍馬と沖田のラブシーンがあったり、土方が沖田を斬ったりと史実は二の次でとにかくエネルギッシュな舞台なのである。
 今回の舞台にふさわしい、とつか氏が抜擢した土方歳三役はお笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎である。坊主頭にガリガリの体、おどおどした自信なさそうなキャラクターに「面白い。土方役にぴったりだ」と即決したという。
 これまでも主演の沖田総司を演じる女優と坂本龍馬、土方歳三の役は個性的なキャストで話題になってきた。
 次のようなキャストが印象に深い。

    1991年(映画)  98年      2003年     2008年   
沖田総司 牧瀬里穂   藤谷美和子   広末涼子    石原さとみ

土方歳三 杉本哲太   山崎銀之城   吉田智則    矢部太郎

坂本龍馬 渡辺謙    筧 利夫    筧 利夫    真琴つばさ
 
 土方歳三役といえば、杉本哲太は今年のNHKドラマ「鞍馬天狗」でも土方役だった。前述の三谷幸喜版「新撰組!」では山本耕史が熱演していたし、1981年のドラマ「鞍馬天狗」(草刈正雄主演)では土方歳三は細川 俊之が演じた。ちなみにこの時の近藤勇役は財津 一郎でこの2人があまりにはまり役で主演を完全に食っていた。
 歴代の二枚目ぞろいの土方役をみても矢部太郎が異色であることがわかるというものだ。
 今回、つか氏は原作、脚本に加え18年ぶりに演出も担当。「最近、変わってきたので、本来の『幕末純情伝』に戻したかった。ちゃんとした台本を残したかった」と意気込みを語っており、坂本龍馬役にも初めて女性を指名、土方役にお笑い芸人を指名したことも意気込みの現れと言えそうだ。
 抜擢されて一番驚いているのは矢部なのだが、当初は「僕にできるんでしょうか」と不安げだったものの、スチール撮りも終えて徐々に役作りに集中してきた。
「つか先生のもとで僕なりの土方を演じたい」と気合十分である。
 新たな土方歳三伝説をつくってくれるかもしれない。

「幕末純情伝」は新橋演舞場にて、  
 平成20年8月13日(水)~27日(水)上演
料金(税込)
1等席・桟敷席:9,000円
2等席:6,800円
3階:3,500円
 ネットを徘徊していたら、声優の鈴置洋孝氏が8月6日に逝去されていたというニュースに出くわした。

俳優・竹尾一真氏のブログ「ほとがら日記」より『逝去』

はてな:鈴置洋孝とは

 このブログ的には、アニメ『るろうに剣心』の斎藤一(藤田五郎)役の声優として、多くの名セリフから、やはり決め台詞「悪・即・斬」を挙げて追悼させていただきたい。

 白牡丹のアニメファン歴においては、この他にも『機動戦士ガンダム』のブライト・ノア艦長、『戦国魔神ゴーショーグン』の北条真吾、『キャプテン翼』の日向小次郎の声を当てていたことが記憶に残る。

 歴史の長~いアニメファンとしては、富山敬氏、山田康雄氏、塩沢兼人氏らとともに、鬼籍に入られてしまったのが悲しい声優のリストに鈴置氏が加わった……合掌。

☆★☆★

追記。ある方に、朝日新聞の訃報記事を教えていただいた。感謝。
声優の鈴置洋孝さん死去 「ガンダム」のブライト艦長役

☆★☆★

『るろうに剣心』DVD-BOX&コミックス完全版発売記念特集

声優・鈴置洋孝さん死去 「ガンダム」ブライト・ノア役(産経)
ブライト艦長の声優鈴置洋孝さん死去(日刊スポーツ)
(訃報)鈴置洋孝さんが死去(證券新報)
鈴置洋孝氏死去/声優(四国新聞社)
 MyBlogListに入れている複数のブログさんでも記事が上がっていたが、木曜日発売の『週刊ヤングサンデー』に連載されていた『月明星稀 さよなら新選組』盛田賢司が連載終了となった。



 打ち切りの気配はその前の号にあった。私は読んでいないが、巻末の目次に掲載される作者の一言に、新しい企画を募集中というような内容があったということを、ネット上で見かけていたからだ。そういう情報が入っていたから今週号を読んで終了を知った方々よりはショックは和らいでいたのだが……。



 私はこの作品について、好きな部分と好きになれない部分があった。



 好きな部分は新見切腹〜鴨暗殺の辺りで、ちょうど大河ドラマ『新選組!』で同じ部分が描かれての直後、大河ドラマとはやや違った展開で、しかしこれもまた壮絶で心に残る描き方をしてくれた。鴨暗殺の直後、自室で法度をつくる土方さんの涙顔が、またよかった。



 また、坂本龍馬と土方さんが思想は違っていても友人という設定は、私には面白かった。新選組の中を描くとどうしても描ききれない歴史のうねりも見えてくるし。



 好きになれない部分は……(コミックス派で最近の展開を読んでいない方のために、また、作品批判がお嫌いな方のためにも折ります)。
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幕末、特に新選組や旧幕府関係者の歴史を追っかけています。連絡先はmariachi*dream.com(*印を@に置き換えてください)にて。
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