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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
 7月22日付記事「『黒猫 沖田総司の死線』中場利一」を書いた翌日、本屋で買って、貪るように読みました。



 タイトルがタイトルなだけに予感はありましたが、終盤、うるうるしっ放しでした。

 前作『バラガキ』は土方歳三を主人公に、多摩でブイブイいわせてた頃から池田屋事件の夜までを描いてました。そして「もうバラガキじゃねぇんだよ」とトシさんにバラガキ卒業を宣言させて終わる、ある意味爽快な読後感でした。



 『黒猫』は、沖田総司が主人公。芹澤鴨らを一掃した後の新選組から始まってます。内部に潜り込んだ間者の始末、内山彦次郎暗殺、池田屋事件、禁門の変、局長批判事件、伊東甲子太郎ら加入、山南敬助脱走、伊東甲子太郎ら分離、と、京都での新選組を描いています。

 前作『バラガキ』と時間軸がちょっとずれただけだというのに、その時間軸のズレと主人公の違いが、中盤以降、こんなにも違う印象になるものかと……新選組の歴史を知っている自分でも、前作との違いに慄然とします。

 (以下、ネタばれを含みますので、畳みます)

 伊東甲子太郎らの分離で終わっているため、坂本龍馬暗殺も油小路も鳥羽伏見の戦いも出てこないのですが、この辺りで止めているというところがミソかも知れません。特に、沖田を主人公にしていることもあって、幕末の政局全体はほとんど見えません。

 山南敬助ファン(特に『新選組!』で山南敬助ファンになった人)にはあまりお勧めできない山南像ですが、切腹の日の土方さんとのやりとりには、「……やられたっ(涙)」と思いました。性格対照的で嫌い合っているのに、誰よりもわかりあってるってのが、やっぱし泣けるじゃないですか。

 沖田総司の唯一にして最愛の女性となるおミズは、最初「えー、『バラガキ』の千世さん(土方さんが京都で出会う恋人)と同じパターンの女性じゃん……(苦笑)」という印象でした。しかし、労咳の進行とともにいろいろなものが見えてきて苦悩を抱え込む沖田とすべてを共有しつつ、一足先にこの世を去る、最期の日々の透明感が素晴らしいです。

 おミズとの愛を知ったことで、無条件に信じてきた近藤勇・土方歳三との絆が……というところも、終盤、涙ものです。『黒猫』とは何なのか、前作を読んでいる人にはタイトルを見ていただけでわかるようにはなっているのですが、土方さんのことだけじゃなかったのね……それゆえに、黒猫を「斬れない」という沖田が、ますます切なくなる読後です。


 (なお、伊東甲子太郎・藤堂平助がまったくの小物扱いですので、そのふたりのファンには、あまりお勧めはしません)





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