新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
『11月9日~15日の幕末ニュース その1』にご紹介したニュースに、江川太郎左衛門の評伝が出版されたというものがありました。
即、アマゾンで買っちゃいました……出版されたばかりなのに中古があったので、つい中古で^_^;。
すぐに配送されてきたので、即読みました……盟友斎藤弥九郎先生の評伝を読みさしたままだというに(^^ゞ。
坦庵先生こと第36代江川太郎左衛門英龍に関する本、あまり、ないんですよ。比較的に入手しやすい本でいうと、下記でしょうか。
なので、今回の出版はとても嬉しいのです。腰帯の惹句が「幕末沸騰前夜、日本陸海軍の礎を築いた幕臣の軌跡」とあって、歴史的な功績を正しく表現していると思いますし。
ただ、坦庵公の生涯に丸々一冊割いていることを期待して読み始めると、ちょっとがっかりするかも知れません。
3分の1ぐらいは、保元・平治の乱をきっかけとする武家の台頭と鎌倉政権の成立にちょっと登場する江川家の話とか、源頼朝が住んでいた蛭が小島は韮山のすぐそばだとか、下克上の世を切り開いた(後)北条氏、織田・豊臣・徳川と天下の覇権争いが展開する中で滅亡した北条氏と江川家のつながりとか、徳川の世になぜ江川家が世襲代官として生き残ったのかとか、延々と江川家の解説が入ります。自分はそういうバックグラウンドにも興味があったので、OKでしたが。
『風雲児たち』『風雲児たち幕末編』を読んでいる方には、バックグラウンドの解説も頭に入りやすいですね……みなもとキャラで浮かんでしまうのが欠点といえば欠点ですが(笑)。参考文献リストに入ってはいませんが、著者は読んでらっしゃるような気がします。当時の西洋列強と日本の関わりを描く時にベニョブスキー事件(「はんべんごろ」事件)から入っていくところなんか、ツボツボでした(^^)。
坦庵先生に関するちょっとしたエピソードも紹介されており(自分は戦前に出版されていた本で読んでましたが)、多面的な人物像が紹介されているのもいいと思います……ただ、坦庵公といい斎藤弥九郎先生といい、食生活は質素だし睡眠時間は少ないし、冬でも薄着で火の気にもほとんど当たらず身体鍛錬しまくりだし、なかなか真似できませんわ^_^;。
砲術師範の高島秋帆が投獄された事件に際して釈放されるまで支援を惜しまなかったとか、釈放後も師匠として手厚く迎えたとか、義に篤いところも魅力です。押しかけて勝手に弟子になった末に自分で卒業してしまった佐久間象山とは性格が合わなかった(笑)のも無理ありません。
ペリーやプチャーチンと幕府の交渉過程がけっこう詳しいのも嬉しいです。川路聖謨とか、ジョン万次郎とか、坦庵公人脈の人物が具体的に紹介される点もいいです……が、やっぱり中島三郎助さんは直接の面識がないから出てこないのね、とか、桂小五郎もちょこっとだけだなぁ、とか、言い出すときりがないでしょう。
『秋の金魚』の読者には、長くはないですが肥田浜五郎が紹介されているのが嬉しいかも……松岡磐吉は浜五郎に比べると、ここでも影が薄いです(苦笑)。
ただ、ディープな坦庵公ファンだけに、ちょっと物足りない気がしました。坦庵先生と水戸藩徳川斉昭公との交流はよく出てくるのですが、その間を仲介しているはずの斎藤弥九郎先生が出てこないとか……。高野長英が逃亡の過程で相模に滞在して著作を残しているのだけど、おそらくは坦庵公の支援があったと思われる(確か、柏木総蔵の出身地の名主の別宅ではなかったかと)こととか、取り上げて欲しかったことは他にもいくつかあります。
☆★☆★
以上、とりとめのない感想です。
坦庵先生が亡くなった後、鳥羽伏見の戦いの直後、京都政権に恭順を申し入れた江川家の立場を決めたのは斎藤弥九郎・柏木総蔵・望月大象らだったとか、その辺りの話を掘り下げたいと思ってますので、まずは斎藤弥九郎先生の評伝に戻って読了しようと思います。
拙ブログ内 関連記事
『幕末之偉人江川坦庵』矢田七太郎 読書メモ 上記著作の参考文献リストには入ってませんが、本文にこの書からの引用があります。
『江川太郎左衛門』古見一夫 読書メモ 参考文献リストに入ってます。
☆★☆★
補足 『風雲児たち 幕末編』ファンの自分にツボった豆知識。ロシアのプチャーチン、実は蒸気船が苦手だった(笑)……帆船はいいけど蒸気船は苦手って、揺れには強いけどスピードには弱いってことでしょうかねぇ。
即、アマゾンで買っちゃいました……出版されたばかりなのに中古があったので、つい中古で^_^;。
すぐに配送されてきたので、即読みました……盟友斎藤弥九郎先生の評伝を読みさしたままだというに(^^ゞ。
坦庵先生こと第36代江川太郎左衛門英龍に関する本、あまり、ないんですよ。比較的に入手しやすい本でいうと、下記でしょうか。
なので、今回の出版はとても嬉しいのです。腰帯の惹句が「幕末沸騰前夜、日本陸海軍の礎を築いた幕臣の軌跡」とあって、歴史的な功績を正しく表現していると思いますし。
ただ、坦庵公の生涯に丸々一冊割いていることを期待して読み始めると、ちょっとがっかりするかも知れません。
3分の1ぐらいは、保元・平治の乱をきっかけとする武家の台頭と鎌倉政権の成立にちょっと登場する江川家の話とか、源頼朝が住んでいた蛭が小島は韮山のすぐそばだとか、下克上の世を切り開いた(後)北条氏、織田・豊臣・徳川と天下の覇権争いが展開する中で滅亡した北条氏と江川家のつながりとか、徳川の世になぜ江川家が世襲代官として生き残ったのかとか、延々と江川家の解説が入ります。自分はそういうバックグラウンドにも興味があったので、OKでしたが。
『風雲児たち』『風雲児たち幕末編』を読んでいる方には、バックグラウンドの解説も頭に入りやすいですね……みなもとキャラで浮かんでしまうのが欠点といえば欠点ですが(笑)。参考文献リストに入ってはいませんが、著者は読んでらっしゃるような気がします。当時の西洋列強と日本の関わりを描く時にベニョブスキー事件(「はんべんごろ」事件)から入っていくところなんか、ツボツボでした(^^)。
坦庵先生に関するちょっとしたエピソードも紹介されており(自分は戦前に出版されていた本で読んでましたが)、多面的な人物像が紹介されているのもいいと思います……ただ、坦庵公といい斎藤弥九郎先生といい、食生活は質素だし睡眠時間は少ないし、冬でも薄着で火の気にもほとんど当たらず身体鍛錬しまくりだし、なかなか真似できませんわ^_^;。
砲術師範の高島秋帆が投獄された事件に際して釈放されるまで支援を惜しまなかったとか、釈放後も師匠として手厚く迎えたとか、義に篤いところも魅力です。押しかけて勝手に弟子になった末に自分で卒業してしまった佐久間象山とは性格が合わなかった(笑)のも無理ありません。
ペリーやプチャーチンと幕府の交渉過程がけっこう詳しいのも嬉しいです。川路聖謨とか、ジョン万次郎とか、坦庵公人脈の人物が具体的に紹介される点もいいです……が、やっぱり中島三郎助さんは直接の面識がないから出てこないのね、とか、桂小五郎もちょこっとだけだなぁ、とか、言い出すときりがないでしょう。
『秋の金魚』の読者には、長くはないですが肥田浜五郎が紹介されているのが嬉しいかも……松岡磐吉は浜五郎に比べると、ここでも影が薄いです(苦笑)。
ただ、ディープな坦庵公ファンだけに、ちょっと物足りない気がしました。坦庵先生と水戸藩徳川斉昭公との交流はよく出てくるのですが、その間を仲介しているはずの斎藤弥九郎先生が出てこないとか……。高野長英が逃亡の過程で相模に滞在して著作を残しているのだけど、おそらくは坦庵公の支援があったと思われる(確か、柏木総蔵の出身地の名主の別宅ではなかったかと)こととか、取り上げて欲しかったことは他にもいくつかあります。
☆★☆★
以上、とりとめのない感想です。
坦庵先生が亡くなった後、鳥羽伏見の戦いの直後、京都政権に恭順を申し入れた江川家の立場を決めたのは斎藤弥九郎・柏木総蔵・望月大象らだったとか、その辺りの話を掘り下げたいと思ってますので、まずは斎藤弥九郎先生の評伝に戻って読了しようと思います。
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『幕末之偉人江川坦庵』矢田七太郎 読書メモ 上記著作の参考文献リストには入ってませんが、本文にこの書からの引用があります。
『江川太郎左衛門』古見一夫 読書メモ 参考文献リストに入ってます。
☆★☆★
補足 『風雲児たち 幕末編』ファンの自分にツボった豆知識。ロシアのプチャーチン、実は蒸気船が苦手だった(笑)……帆船はいいけど蒸気船は苦手って、揺れには強いけどスピードには弱いってことでしょうかねぇ。
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五周年を機会に『日野宿本陣文書検討會』に改名、彦五郎日記を読むと石田散薬販売先「村順帳」調査を二本柱に活動しています。
JIN-仁が好評なので未完の多摩共和国の医師、名主、江川関係を掘り下げる予定です。
> JIN-仁が好評なので未完の多摩共和国の医師、名主、江川関係を掘り下げる予定です。
ぜひ。1月の佐藤氏の講演会でも種痘ネットワークの蘭方医や出版を手がけた多摩の文化人が紹介されていましたが、この辺りの人的交流についてさらに知りたいと思いました。
また、佐藤彦五郎さんをはじめとする名主層に対する代官家の支援(特に農兵隊関係)についても掘り下げていただけたら嬉しいです。