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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
 過日、憲政記念館にて特別展示『激動の明治国家建設』を見てきましたので、簡単に報告。

 趣旨と主な展示内容はリンク先を参照してください。自分的には明治史はあまり詳しくないので、明治期における議会政治の成立までを俯瞰するのにいい展示かなと思って見てきました。

 あいかわらず、その時代を解説したビデオがわかりやすく、20分で時代を俯瞰できてしまう点がいいです……NHKサービスセンター製作でした(苦笑)。

 でも幕末維新期への興味が強いので、やはり維新の終焉となる西南戦争・三傑の死というひとつの区切りまでについついエネルギーを注いで見てしまいました。ここで一番印象に残ったのは別府晋介の佩刀ですね……朱色の鞘と脇差しでした。脇差しなので西郷さんを介錯した刀ではないと思いますが、朱色が目にも鮮やかでした。

 民権運動の各地での展開も興味深いものでした。ひとつひとつの憲法草案を丁寧に読むエネルギーがなかったのでざっと眺めただけですが、有名な五日市の憲法草案だけは目を通してきました。国民の権利について丁寧に書いているという点で興味深かったです。

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 先日読んだ『幕末維新消された歴史』(リンク先は拙サイト感想記事)のエピローグに興味深いエピソードが紹介されていました。

 概略は以下の通りです。

 大久保利通の孫で日本近代史家である大久保利謙が戦後まもなく、国立国会図書館に新設された憲政資料室の主任に任命された。大久保は仕事をはじめるに際して衆参両院議長に挨拶に行った。当時の参議院議長は松平恒雄という人物で、松平容保の子だった。

 私が議長室に入って、しかじかの仕事を始めますからよろしく願いますというと、松平議長は、無愛想げに「それは結構なことであるが、歴史を書くのなら公平にやってもらいたい」という意味のことをもらされた。私はそのとき、はっとしたことを覚えている。
 松平議長は旧会津藩主松平容保の子である。まさか、私が薩長派の子孫であることを意識されたわけではあるまいが、とにかく国会図書館で、公的にそういう仕事を始めるということを耳にすると、そういう言葉がつい口にでてしまったのであろう。


 ……このエピソードで、そうだ憲政記念館のあの特別展示を見てこようと思った自分でした(苦笑)。

 「公平」というのは難しいことですが(何をもって「公平」というのは難しいと思いますが、ひとつの見方だけをよしとするのではないという意味に理解したいと思います)、大日本帝国憲法成立までにいろいろな意見があったこと、政府が言論規制を行ったことなど、時の政府の立場だけをよしとする視点ではなかった点がよかったと思います。

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 入場無料の割に見応えがあるし、展示物を解説した小冊子もいただけるし、ビデオがいい出来だし、見物客が少なくてゆったり見られるし(苦笑)、また興味を引かれる展示があったら見に行こうと思います。





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 かねてから受けたいと思っていたので、挑戦してきました……7月に2級用の新テキストができて、ちょっと目を通したぐらいで、ばたばたしてしまい、結局受験勉強はしてません(苦笑)。

江戸文化歴史検定 公式サイト

 今年は3級と2級をダブル受験。3級は一発合格する自信はありましたが、2級は受験勉強なしでは全然自信ありません……今年のお題である東海道五十三次も、宿場も覚えてないし(苦笑)。

 3級も2級もヤマカンを発揮しまくり、どちらも開始30分後しばらくして真っ先に提出して教室を出てしまいました……だって考えたって正解率が上がりそうもない(苦笑)。

 問題用紙にメモした回答を提出後にもらった正解と答え合わせした範囲(解答用紙にマークシートの記入間違いとかしていなければ、ね^_^;)では……

 3級 出題100問 正答率90%89%(12/17訂正)

 2級 出題100問 正答率75%

 2級も正答率7割以上で合格したようです……開始前30分間に読んだ部分から出題されたりして、ラッキーラッキー(苦笑)。

 3級の問題にひとつ、八王子千人に関する問題があり、自信をもって答えられたのが嬉しいです(笑)。また、最後の問題の答えは「箱館」でした。そして、2級の最後の問題は五稜郭を設計した人は誰かです……2級は自信をもって答えられた問題が少なかった(つまりヤマカンで答えたものが多かった・爆)ので、最後の回答には自信をもって答えられたのが嬉しいです。

 今日の手応え通りに2級を取得できていたら、来年は1級に挑戦します……1級は難問揃いなので、来年は準1級取得を目指します(1級受験で100問中70~79問正解すると準1級認定、80問以上正解すると1級認定)。

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 ちなみに2010年のお題は「幕末維新(箱館戦争まで)」だそうで、挑戦しがいのあるお題です(笑)。今年より点が取りやすそうなので、上級を目指すにはよい機会です。


 六本木ミッドタウン周辺を散策してきました。

檜町公園

 某芸能人が泥酔して服を脱いだ現場として有名なのですが(汗)、長州藩毛利家下屋敷だったところです。江戸時代にも庭は「清水園」という名園として有名だったそうです。



 高層ビル街の一角ながら、とても風情のある公園です。





 メモメモ。

6月24日(水)NHK総合 20:00~20:45
『歴史秘話ヒストリア』
「俺たちは"負け組"じゃない!~奮闘!坂本龍馬と亀山社中」

6月25日(木)放送大学 16:00~16:45
『歴史と人間('08)』
第12回「山川健次郎~旧会津藩士の東京帝国大学総長~」

 放送大学がたまたま入る環境でラッキー。

6月29日(月)NHK教育 19:40~19:55
『見える歴史』再放送
「織田信長~戦国時代・天下統一への"夢"」

6月30日(火)NHK教育 10:15~10:30
『見える歴史』
「豊臣秀吉~天下統一の実現~」





 今日夜と来週月~金の午前中、BS hiにて、歴史好きが見たくなりそうな番組が目白押し。

NHK BS ハイビジョン特集
●ハイビジョン特集 フロンティア
「逃亡の24時間~ルイ16世とマリー・アントワネット~」
[BShi]6/19(金) 後11:00-翌0:30
近代社会の出発点とされるフランス革命。その最大の転換点が、国王ルイ16世とマリー・アントワネットの逃亡事件だった。革命を決定づけた24時間をドラマで描く。

 これは再放送。先週の本放送を見逃したので。
 かつて『ベルばら』をリアルタイムで読んでいた世代(古っ!)には、マンガの画面が目に浮かんできそうなエピソードです。

●ハイビジョンスペシャル 城 王たちの物語
[BShi]6/22(月)~6/24(水) 前9:00-10:50
6/22(月)「太陽の宮殿ベルサイユ~ルイ14世」
黄金に彩られた部屋、天井を覆うフレスコ画。17世紀、自ら太陽王と名乗るルイ14世が築いたフランス、ベルサイユ宮殿。華麗な宮廷文化と王の野望。
【出演】小林十市

6/23(火)「トルコ・トプカプ宮殿の光と影」-スルタンとハレムの女たち-
トルコ・イスタンブールにそびえるトプカプ宮殿。その城にはスルタンだけが立ち入る事ができたハレムがあった。そこに生きた女たちのくらしを探る。
【出演】小池昌代

6/24(水)「千年の王宮 プラハ城」-刻まれた民族の記憶-
中世の香り漂う街、チェコ共和国の首都プラハ。千年もの昔かこの街を見下ろしてきたプラハ城。城に刻まれたチェコの人々の苦難の歴史をたどる。
【出演】ペトラ・トウショパー

●ハイビジョン特集 城 王たちの物語
[BShi]6/25(木)、6/26(金) 前9:00-10:50
6/25(木)
「女王イサベル 終(つい)の楽園~アルハンブラ宮殿~」
アルハンブラ宮殿に魅せられ、そこに葬られた女王イサベルの生涯をたどりながら、アルハンブラ宮殿の魅力をたっぷりと紹介する。セゴビア城、セビリア城も紹介。

6/26(金)
「悲劇の女王メアリー・スチュアート ~エジンバラ城とスコットランドの諸城~」
エリザベス一世に対抗してイングランドの王位を狙い、愛と陰謀の渦巻くなかで波乱の生涯を送ったメアリー・スチュアートとエジンバラ城の物語。

 どれもこれも、面白そう。特に「女王イサベル」の回は、大昔ながら実物を見たスペインの城をハイビジョン画像で見られるのが嬉しい。

 今週のハプスブルク家特集は流し見してしまった(汗)のだけど、来週はちゃんと見たい。






 先日、友人たちとヤネセン(谷中・根津・千駄木)を散歩しました。昭和の商店街の匂いが残る谷中商店街、あちこちに下町の長屋がある千駄木、明治の文豪たちに縁のある根津、とそれぞれに趣の違う町が面白かったです。
 その中から、特に印象に残った根津神社(根津権現)と、徳川最後の将軍慶喜の墓所について、ちょこっと書き残しておきます。備忘録のようなもので、整理されていませんがご容赦ください。

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根津神社
根津神社は今から千九百年余の昔、日本武尊が千駄木の地に創祀したと伝えられる古社で、文明年間には太田道灌が社殿を奉建している。
江戸時代五代将軍徳川綱吉は世継が定まった際に現在の社殿を奉建、千駄木の旧社地より御遷座した。
明治維新には、明治天皇御東幸にあたり勅使を遣わされ、国家安泰の御祈願を修められる等、古来御神威高い名社である。


 あまりよく知らずに行ったのですが、境内に足を踏み入れた途端にすうっと気持ちが落ち着く清浄な空気を感じました。規模の割に緑が深く感じられるのも、由緒と歴史がある神社ならではでしょうか。

根津神社ー東京建築遺産
根津神社は、由緒書きには日本武尊の創建と伝えられるほど旧い神社で、もと千駄木の台地上にありました。宝永2年、徳川五代将軍綱吉のとき、兄綱重の子家宣を継嗣に定めた記念として、その産土神であった当社を現在地に移転の上大規模な造営を行いました。

家宣は将軍になると、当社をことのほか保護し、正徳4年には江戸全町より山車を出させ、天下祭と称される壮大な祭を催しました。その祭は、現代においても権現祭として受け継がれています。


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 神社の案内板では、この土地は綱吉の下屋敷の一角だったと書かれていたように思います。

 ここで綱吉の兄綱重(徳川家光の三男)が登場しますが、徳川綱重は甲斐国25万石を与えられ、独立した大名となったため、別名を「甲府宰相」とも。江戸の西の守りの要地である甲府を治めたのですね。
徳川綱重 Wikipedia

 しかし、甲府松平家は2代で絶え、甲府藩は綱吉の側用人であった柳沢吉保に与えられてしまうんですなぁ……吉宗の代に柳沢家は大和国郡山藩の藩主となり、甲府は幕臣である甲府勤番(幕末・慶応2年には「甲府城代」)が治めるところとなるんですね。

 江戸~甲府城(甲州街道)への関心から、「甲府宰相」というキーワードが気になって帰宅しました。元禄期にはそういう事情があったのかと、ひとつ勉強になりました。

 綱吉の時代に関心が向くのはフジテレビのドラマ『大奥』とよしながふみのマンガ『大奥』の影響かな^_^;。

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 根津神社に話を戻すと、つつじと秋の例大祭が有名です。

 例大祭といえば。「江戸の三大祭り」、神田明神、赤坂・溜池山王にある日枝神社のふたつは確定、みっつめを何にするか諸説あるようで……浅草の三社祭、深川富岡八幡宮の深川祭りと並んで、根津や鳥越のお祭りも三つ目のひとつに名乗りを上げているようです。
FRaU東京コンシェルジュ #17 「江戸三大祭り」って、何と何と何?




 NHKが歴史をもとにした娯楽番組を何本か製作・放送している。その中で気に入っているものをリスト。

タイムスクープハンター再放送!
タイムスクープ社広報部から再放送決定
6月6日(土)午後1時半~ BS2 第1回~第4回
6月9日(火)深夜2時(10日午前2時)~ 総合 第5回~第8回

 前半がBS2で後半が総合放送というチャンネルの使い方は今いちだと思いますが(BSチャンネル見られない環境の視聴者がいるでしょうから)、自分は見逃していた第1回「"忍者"その真の姿とは」を楽しみにしています。
 好評なら第2シリーズもあるんじゃないかと期待してます。ただ、続けてみると、再現ドラマの登場人物のセリフ回しがあまりにも「今っぽい」ので、もうちっとどうにかならんかなと思いますけど(たとえば、一人称が身分にかかわらずみな「俺」だったりするとちょっと萎えます・苦笑)。

名将の采配
<新>「ハンニバル・歴史に残る包囲戦」
チャンネル :総合/デジタル総合
放送日 :2009年 6月 2日(火)
放送時間 :翌日午前0:10~翌日午前0:40(30分)
ジャンル :ドキュメンタリー/教養>歴史・紀行
地中海の覇権をめぐって7万6千のローマ軍に5万のカルタゴ軍が勝利したポエニ戦争のカンネーの戦い。指揮官ハンニバルの采配の妙に迫る。

 これ面白かったです。ハンニバルが数の少ない自軍をどう使ってローマ軍を包囲殲滅してしまうか、解説者からヒントをもらいながらゲスト2名がジオラマに挑戦するという、テレビならではの画像のつくりかたがよかったです。
 次回は毛利元就・厳島の戦いを取り上げるそうです。
名将の采配「厳島の戦い」
チャンネル :総合/デジタル総合
放送日 :2009年 6月 9日(火)
放送時間 :翌日午前0:10~翌日午前0:40(30分)
ジャンル :ドキュメンタリー/教養>歴史・紀行
戦国時代に毛利元就は厳島の戦いで陶(すえ)氏率いる相手の戦力1万に対し、巧妙な手法で挟み撃ちにした。相手の裏をかく知将、元就の作戦に迫る。


プレミアム8 文化・芸術
<世界史発掘! 「時空タイムス編集部」>

BS hi 毎週火曜 午後8:00~9:30
 6月2日に放送された「アラビアのロレンス」面白かったです(以下、再放送の予定あり)。
6月9日(火)午後2:00~3:30(再放送)
世界史発掘!時空タイムス編集部▽アラビアのロレンス(再放送)
6月9日(火)午後8:00~9:30
世界史発掘!時空タイムス編集部▽アリVSフレイジャー
6月16日(火)午後8:00~9:30
世界史発掘!時空タイムス編集部 第3回 知られざる奇跡の行進 ~ベルリンの壁はこうして崩壊した~
6月23日(火)午後8:00~9:30
世界史発掘!時空タイムス編集部 第4回 “神”になった大統領 ~リンカーン暗殺の真実~
6月30日(火)午後8:00~9:30
シリーズ 皇帝たちの野望 第一回 始皇帝 ~中国を作った男の伝説~
7月7日(火)午後8:00~9:30
シリーズ 皇帝たちの野望 第2回 ヘンリー8世 中世からの脱却
7月14日(火)午後8:00~9:30
シリーズ 皇帝たちの野望 第3回 ピョートル1世 大国ロシアへの道
7月21日(火)午後8:00~9:30
シリーズ 皇帝たちの野望 第4回 ルイ14世 ベルサイユの輝き
7月28日(火)午後8:00~9:30
シリーズ 皇帝たちの野望 第5回 ナポレオン  最後の戦い

 「シリーズ 皇帝たちの野望」が面白そう!

歴史秘話ヒストリア』ももちろん見てはいるのですが……新選組の回以外、身を乗り出して見るほど気が入っていない現状です(苦笑)。
 しかし、次回は面白いかも知れません。
「親父! いい加減にしてくれよ! 信長に振り回された家族たち」6月10日(水)総合夜10時~
 こういう視点なら、前作『その時歴史が動いた』とは違う味を出せると思います。ちょっと期待して録画予約しておこう。




 特別展の開催日程が明日いっぱいなので(汗)、駆け込み鑑賞してきました。

 特別展の内容を知ったのは、いつもお世話になっている、かよこさんのブログ「黄昏どきに…第二章」にて。
旗本御家人展 その1
旗本御家人展 その2
 地下鉄電車の吊り広告でも気になっていたのですが、趣味傾向の似ている方によるご推奨というのが一番の動機付けになりますわ(^^ゞ。展示は明日までということで、夏日になるという天気予報を気にしつつ、日傘を持って行きました。

国立公文書館『旗本御家人~江戸を彩った異才たち~』 
 入場無料、しかもカラー写真入りの図録が付いてくる。入り口手前のロッカーも無料(100円を入れて鍵をかけ、鍵をあける時に返金されるタイプ)。
 これだけでも嬉しいのに、何と、音声ガイドが無料なんですよ! (嬉し涙) 館内に入場して、受付でパンフレットをもらった後に、もう一歩奥の受付&インフォメーションカウンターにて、用紙に氏名と住所を書いて音声ガイド機を借りる必要がありますが、たいていの展示で500円ぐらい取られる音声ガイドが無料というのは、声を大にして言いたいポイントです(笑)。

 パンフレットを参照しながら展示物を見ても同じぐらいの情報量なのですが、視覚をなるべく展示物に使いたいと思えば、耳で解説をインプットするというのは視神経だけに負担を集中させないだけ楽なのです……特に、このところパソコンの使いすぎか、目の疲れで肩凝りや頭痛が悪化している身としては(苦笑)。

 平日の昼間ということで、同じ時間帯に来ているお客さんは20人前後でしたが、趣味に時間をたっぷり使えるシルバー世代以外には、やはり「レキジョ」がひとつの流行語になっている最近のトレンドを反映してか(にしては、この特別展はマニアックな趣味だと思いますが^_^;)、20代の女性がちらほらおられたのは心強い限り。

 個別の展示については、かよこさんが詳しく書かれてらっしゃるのを拝見して自分が見に行こうと思ったぐらいですので、今さら解説しても……をいをい^_^;。

 『風雲児たち』を愛読しているおかげで、江戸時代を通じて、異色の幕臣については結構知っているつもりです。幕末直前から幕末期を取っても、太田南畝、間宮林蔵、長谷川平蔵、遠山左衛門尉(ご存じ遠山の金さんこと遠山景元だけでなく、お父さんの景晋も)、矢部定謙、川路聖謨、栗本鋤雲、勝海舟、榎本武揚、などなど。でも今日は、さらに多くの異色の幕臣の存在を知ることができたのが嬉しかったです。

 たとえば勘定奉行大橋近江守親義。勘定奉行まで昇進したということは相当に有能な幕臣だったことは疑いないのですが、江戸城に勤める幕臣や出入りする大名にとって有り難いことこの上ない、幕府の職制やら年中行事の解説、江戸城内の案内図などを懐に入れられる大きさのポケットガイドブックとして発行したわけですよ。限定300部だったそうですが、こりゃ現代のマニュアル本にも増して重宝されたと思います(ちなみに、今日の展示では幕府の役職と在職者について解説したマニュアル本のベストセラー『新板改正弘化武鑑』もありました)。ところが、この出版によって「幕府の秘密を漏らした」という咎めを受け、現在の京都府綾部市に流され、そこで亡くなってしまう(今日の展示の解説を見る限り、変死の可能性もあるようで……追い詰められて自死ってことでしょうか・汗?)。

 案外に色彩をほどこした資料が多かったので、目で楽しみました。たとえば、幕臣が行事の時に着て登城した装束図。太田何畝が上方に左遷された時に銅山の発掘から精錬を取材した(当時、延べ板状にした銅は貴重な輸出品目だったそうな)レポの図録。地方の行事や遊びを活写した図版。間宮林蔵の北方民族の生活習慣を描いた図絵。動植物に造詣が深い幕臣が描いた、珍しいインコや魚介の鮮やかな図画。色彩が豊かなまま保存されているので、見るだけで楽しかったです。

 そういえば、河童を見たという人の証言を記録したメモでは、その証言にもとづく河童のイラストもありました(笑)。

 でも、幕末スキーとしては、幕末関係の展示に一番燃えるわけですわ(^^ゞ。
「岩倉具視関係文書」勝安房等ノ動静探索書。
「榎本釜次郎脱艦一件書並仏人ブリユウネ等所罰方(公文別録)」。
 特に、釜ちゃんが薩長を中心とした新政府のやりようを批判する文書の写しは、これだけのために見に来た甲斐があったと思うほど、見てわくわくしました。

 このあたりに来て、音声ガイドで、栗本鋤雲が、福澤諭吉が『痩せ我慢の説』において勝海舟を批判したことに涙を流して喜んだというエピソードを聞いて、感慨深いものが……栗本さん、勝海舟とは政敵だった小栗上野介忠順の親友だったものなぁ(涙)。

 ……そして、特別展の展示物ではないけど、大日本帝国憲法(の複写)が展示されていて、その当時の政府関係者が署名している中に、「榎本武揚」の名があったことにもまた、感慨深い思いが。白牡丹は旧幕臣で新政府に仕えた人たちの生き方もまた、ありだと思っていますもので(でもチーム箱館の面々には、特別な思いがあるのも確か)。

 眼福でした、ありがとうございました。




 定期購読しているビジネス雑誌『WO$KS』(リクルート)最新号のある対談で、江戸時代の奉公人制度について言及されていました。

 大店《おおだな》の奉公人制度、少年期にいとう松坂屋に奉公したと伝わる土方さんのファンにはご存じのことも多いかと思いますが……うまく整理されているので、自分用のメモも兼ね、一部引用して紹介します。

対談「江戸~昭和恐慌 : 時代に必要な変化を不況が否応なしに促す」
斎藤 修氏(一橋大学経済研究所 教授)× 大久保幸夫(ワークス研究所 所長)

大久保: (中略) そこで改めて押さえておきたいのは、戦後に発達した日本の雇用システムの原型が、いつの時代に生まれたのか、という点です。先生は、その原型が江戸時代の商家が持っていた奉公人制度にある、というお考えですね。

斎藤: ええ。江戸時代に多くの人材を雇用していた企業は非常に少ないのですが、それでも、「三井家」(呉服商)、「鴻池家」(両替商)などは、現代の中堅企業に匹敵するほどの規模があったと言われています。しかも、世界のほとんどの製造業が一工場一企業というシンプルな構造をとっていたにもかかわらず、複数の支店を持つ多店舗構造であったということです。

大久保: そうした企業構造は、雇用の仕組みにも影響していますね。

斎藤: 当時の採用はおおまかに言うと、長期雇用を前提とするキャリア組と下男・下女などノンキャリア組に分かれていました。10代前半で丁稚に入るキャリア組は、17、8歳で手代に昇進します。そこからさらに優秀な人材が選抜されて、30代~40歳にかけて番頭になる仕組みです。興味深いのは、当時からキャリア組は現地採用せず、すべて本店で採用していたことです。つまり、多店舗といっても、店舗ごとに独自に採用する仕組みではなく、中央集権的な人材の採用とジョブローテーションによる育成の仕組みが存在していた。

大久保: 出世競争も非常に厳しかったようですね。

斎藤: 記録を読むと、丁稚から手代に昇進するまでに約半数が脱落。番頭にまで上り詰めるのは、現代の大企業に入社した新入社員が役員になる以上に難しかったと思います。

大久保: 江戸の後期には、度重なる飢饉が起こり、経済も停滞していきます。不況の時期、奉公人制度はどのように変化したのでしょうか。

斎藤: 経営判断としてまず、拡大路線から既存の店舗だけでどうやりくりするのかという戦略の転換があったように思います。その結果、年季奉公が明けて10年すると許されていた「のれん分け」も、次第に許されなくなっていきます。

大久保: つまり、不況をきっかけに独立ではなく、内部昇進して番頭になることが最終目標になっていくわけですね。当時、解雇された人々はどこに吸収されたのでしょうか?

斎藤: 資料がないので想像するほかないのですが、おそらく親元に帰って家業を手伝ったりしていたのではないか、と考えられます。

大久保: 当時、中途採用は非常に少なかったですからね。

斎藤: ええ。「中年者」と呼ばれて、あまり重要な仕事は任せてもらえませんでした。ただし、中には例外もいます。例えば、三井家の重鎮として知られた三野村利左衛門。幕末から明治にかけて、江戸時代に隆盛を誇った大店が次々と潰れ、あるいは吸収されていきますが、三井が生き残ったのは、この三野村の功績が大きかったと言われています。危機の時代には、新しいアイディアを入れるという意味で、中途採用は重要なのかも知れません。

大久保: なるほど。丁稚奉公による内部昇進型のシステムで組織は安定したけれども、環境変化への適応力は弱まった。その幕末の危機を救ったのはが、数少ない中途採用者だった、ということですね。


 土方家に伝わる伝承では、土方さんは二度奉公(いとう松坂屋、大伝馬町の木綿問屋)を経験したことになってましたね。上記の記事を読んだ感想は、以下(思いついたまま、つらつら書いてますので、独り言モードです)。

・基本的に「本店採用」なんですよね、松坂屋の場合、やはりキャリア組の主流の出身は名古屋~伊勢方面となるのかな? キャリア採用となると人物への信用も重要となるから縁故重視(親戚筋の紹介となると悪いことをしたら親戚筋に迷惑がかかる、と心理的に歯止めがかかる……ってところでしょうか)。いとう松坂屋の場合、上野広小路の店(リンク先は松坂屋の歴史のページ)は江戸の店を買収したという経緯がありますが、だからこそキャリア組は本店採用の人材を送り込むことが多かったと思うのですよ。

・その中で、土方さん(リンク先は松坂屋の歴史のページ)は数少ない現地採用のキャリア組だったんじゃないでしょうか。「入社」できるだけでも、縁故関係に相当強力なルートがあったのでは。直感的には、日野寄場名主の佐藤家、小野路の小島家などの親戚筋に加えて、他にも縁故があったんじゃないかと感じます……うーん、八王子が関東の生糸の集積地であったことが土方さんの親戚筋につながれば、全国的な呉服商にもコネになりそうな気がするのですが、八王子近辺では親戚筋の話は今までないよね(汗)。

・いずれにしても、土方さんが10歳でいとう松坂屋に奉公に出たというエピソードは、現代の感覚でとらえる以上に、大きくて近代的・合理的な組織に身を置いた経験と置き換えた方がいいのかも(というのは、対談で触れられている通り、当時は製造業も家内工業で、大店のような規模がなかった)。新選組を組織するに当たって土方さんが発揮した組織力って、時代の先を行くものだったんじゃないかという直感は前からあったのだけど、すぐに脱落したとはいえ、やはり商家への奉公経験は大きかったのかなぁ。

・奉公人は手代になるまでに「半数が脱落」とあるけど、今まで読んだ本のどれかのどこかに、脱落者の理由の第一が病気、その次が素行不良だったという記憶(汗)。土方さんは原因不明ながら結果的に「脱走」したってことになるんでしょうか……でも、この記事によると、江戸末期は優秀な番頭に「のれん分け」が許されなくなった不況期で番頭になることが最終目標となったという縮小気味な商家において、出世や生き残りのために内部競争が一層激しくなったり、立場の弱い者に対していじめがあったり、という職場環境になりやすい経済環境であっただろうとは、現在の経済環境からでも想像できるなぁ。

・ふと、松坂屋の歴史ページを見ていたら、「江戸大伝馬町に木綿問屋亀店を開業」って項目……人別帳の記録をもとに4歳~24歳の10年間に奉公に出ていたと近年推定されているそうですが(リンク先はwikipedia「土方歳三」の項)、この記事の中に「17歳の時には松坂屋上野店の支店である江戸伝馬町の木綿問屋(上野店の鶴店に対し、亀店(かめだな)と称された)に奉公に出され」とあるではないですか(汗)。となると、いとう松坂屋の上野広小路店でなく、伝馬町の亀店のキャリア組(ただし現地採用)ってことになるんでしょうか。この辺りについては、今後の史料発見があるといいなぁ……いずれにしても上記の記事でいう「中年者」で採用されたというのは、土方さんの人物や能力以前に、店に対する強力な縁故があったんだろうと想像されますね(うーん、木綿問屋となると、上に書いた八王子を始めとする多摩の「絹の道」ネットワークはあまり関係ないのかも……^_^;)。

・土方さんのその後の人生を考えると、商人として大店の内部競争を勝ち抜いて番頭になることが人生の最終目標にはなり得なかったんだろうなと思う。でも一方で、現代の言葉でいう組織感覚の鋭さって、やっぱり、その時代にしては大規模な組織に身を置いた経験があったからじゃないかな。商家での奉公経験、もっと肯定的に評価してもいいと思う。




 昨日か一昨日ニュース検索に引っかかってたんですが、話題にするのを忘れていた演劇関係の記事です。

イケメン俳優らによる“歴史モノ”舞台が4月より公演
 男性のみならず、女性の間でもブームとなっている“歴史モノ”。そんな中、イケメン俳優らによる激動の明治時代を題材とした舞台『暁の誓い』が、今春から公演される。美形の戦国武将が数多く登場するゲームや、俳優・妻夫木聡が主演のNHK大河ドラマ『天地人』の人気に続き、今回の舞台も歴史好きの女性を中心に話題を集めそうだ。
 同作は、幕末から明治維新を駆け抜け、明治の礎を築いた4人の政治家・大鳥圭介、榎本武揚、陸奥宗光、山縣有朋と、元・新撰組隊士で警視官の斎藤一を中心に繰り広げられる歴史群像劇。若手俳優の登竜門と言われる『仮面ライダーシリーズ』の映画版『仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』でイケメン俳優の仲間入りを果たした萩野崇をはじめとし、お笑いコンビ・平成ノブシコブシの吉村崇と徳井健太らが出演。また、作・演出は『スッキリ!!』『世界!弾丸トラベラー』(日本テレビ系)などの番組構成を手がける放送作家・カニリカが務める。
 舞台『暁の誓い』は、4月15日(水)から19日(日)まで、東京・あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)で公演。


 「幕末から明治維新を駆け抜け、明治の礎を築いた4人の政治家・大鳥圭介、榎本武揚、陸奥宗光、山縣有朋と、元・新撰組隊士で警視官の斎藤一を中心に繰り広げられる歴史群像劇」という登場人物の組み合わせ(しかもケースケが筆頭だし・笑)がむちゃくちゃ気になります。

 しかも『暁の誓い』公式ブログに飛んでみたら、ストーリーはさらに気になる内容でした。

【ストーリー】
幕末から明治維新を駆け抜け
”偉大なる明治”の礎を作った
四人の政治家、大鳥圭介、榎本武揚、陸奥宗光、山縣有朋、
そして元新撰組隊士で警視官の斎藤一。
彼ら五人が一堂に集められた謎の二日間があった。
それは、明治九年三月、廃刀令の施行直前。
五稜郭に出るという「土方歳三の亡霊を退治せよ」という命が下されたのだ・・・。


 土方さんの亡霊退治@五稜郭ですか(苦笑)!

 うーむ、見たいような、自分が見ると細かい設定で引っかかってしまいそうな、微妙なストーリーですねぇ……演劇ファンのどなたか、見に行って感想をアップしてくれませんか?(爆)




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