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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
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4年連続の志の輔らくご@ACTシアターです。何といっても千人の観客にガッテンさせるわかりやすさ、そしてACTシアターという演劇空間に合った演出力(パルコ劇場、本多劇場とそれぞれ劇場の特性に合わせて趣向を変えている)。

赤坂ACTシアタープロデュース 恒例「志の輔らくご」

[第一部] 大忠臣蔵~仮名手本忠臣蔵のすべて
 お値段外のサービス(苦笑)。
 史実の赤穂事件と仮名手本忠臣蔵の違いを中心に、史実をもとにしたフィクションである仮名手本忠臣蔵の見どころを全幕通して解説。鉄板。

[第二部] 落語 中村仲蔵
 中村仲蔵が稲荷町出身の役者としては異例中の異例な出世を遂げて名代となるも、最初の興行は忠臣蔵五段目の斧定九郎だけ一役。苦しみながらも役柄を革新する演出を行い、後世に残る。
 今年は特に、仲蔵の葛藤や驚きなどの表現がひとり演劇を強調するように感じた。

 又、来年もチケット取れますように。
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この三人が出るホール落語って、素晴らしすぎる人選。よくやった、地元きゅりあん@品川区。そして、よみうりホール並みの約1000席が満杯。年齢層は60代以上が多いかな。

手紙無筆/はまぐり
 白酒さんのお弟子さん。師匠からでなければ、文左衞門師から稽古つけてもらったのかな。
 この噺をかけられるぐらいには前座さんとして経験値は積んでいるのだけど、あまり笑い処がないというぐらい、まだまだ。そして前座は笑いを取る以前にメロディとリズムで噺を自分のものにしなければならない、その点はしっかりしているように感じた。

宿屋の仇討/白酒
 あれ、最初は落語界のカーストからいって一之輔さんが最初かなと思っていたのに、白酒さん? でも、よく聞くと、浅い出番をこなして浅草でトリを取る予定だったそうだし、中入前のポジションだと思えば、ここでもおかしくはない。
 そして、一番手としては、「宿屋の仇討」なんてトリねた、楽しすぎる。修学旅行で一緒の部屋に泊まる組で、怪談や恋バナ話に花が咲くような青春時代とは無縁だったので、疑似体験と思って、楽しみます。

中入り
 え、もう中入り? ま、確かに7時開演で9時終演だと、このタイミングで中入りなんだな。。

鰻の幇間/一之輔
 やっぱり笑点で歌丸さんが司会引退して昇太さんが司会を引き継いだ後の座布団利権が話題に。芸協枠とはいえ、瀧川鯉昇さんが候補って高齢過ぎないか、とか。いくら地方での興行のギャラが上がる座布団利権の魅力があるとはいっても、あのキャラわけの中に入って演じきることを死ぬまでやる気はない、悪魔に魂は売らない、とか。新メンバー発表の29日には青森興行なので多分自分は入っていないけど、中継って手段はある、とか。
 いいですね、一之輔さん味にすっかり消化された「鰻の幇間」。鰻屋に勤続25年の店員さんが、客を小馬鹿にしたように笑うところが。

井戸の茶碗/喬太郎
 キョン師は大井町にはJRのウルトラ怪獣スタンプラリーで下車したことしかないそうです。笑
 一之輔さんと同様、29日は地方巡業中だそうです。
 そして「井戸の茶碗」。この人数の観客のせいか、地方巡業という位置づけだからか、正直言って、かなりクサイ演じ方です。そして、キョン師ナイズされています。正直清兵衛さんが、自分の欲望に「正直」清兵衛さんになってます。
 キョン師には美空ひばりメドレーの「歌う井戸の茶碗」もありますので、その日のお客さんによって自在に演じられるし、古典を古典通りに演じることも現代のテーストをどの程度ブレンドするかも自在ですね。みんなよく笑いました。
 ただ、私の好みからすると、崩したところがちょっと「地方巡業のお客様向きに変えました」的なところが鼻についた感じです。うーむ、もっとキョン師の冒険を生暖かい目で見られるようにならないといけませんね。
以下、引用は歌舞伎美人の團菊祭五月大歌舞伎「みどころ」より。
【昼の部】
一、鵺退治(ぬえたいじ)

伝説を元に描かれた時代狂言
 時の帝が、毎夜物の怪に悩まされていることから、源頼政にこれを退治する勅命が下ります。頼政が、邪気を払うために弓の弦を鳴らす鳴弦の法を行うと、凄まじい響きとともに現れたのは、頭は猿、躰は狸、尾は蛇、手足は虎に似た鵺でした。激しい闘いの末、見事鵺を退治した頼政に対し、九条関白はその武勇を愛で、勘当の身となっていた頼政を許したうえ、恋仲であった宮中の美女菖蒲の前を妻とすることを許します。そして恩賞として、皇室に伝わる宝刀を授けるのでした。
 54年ぶりの上演となる新歌舞伎をお楽しみください。
 NHK大河ドラマ史上初の続編、『新選組!!土方歳三最期の一日』で試衛館時代の土方歳三が仲間と「この世で一番強い生き物は何か」という談義でにぎわっていた時に「一番強いのは鵺だ」と結構自信たっぷりに言っていました。箱館で市村鉄之助を土方の故郷の日野に落とす際にも言っていましたが、ここでは薩長土肥を初めとする、時代の勢いで膨れあがった討幕勢力を鵺にたとえてました。「頭は猿、躰は狸、尾は蛇、手足は虎に似た鵺」を見ながら思いを巡らせてました(つなみに原田左之助は虎を退治した加藤清正が一番強いと主張してましたが、今年の大河ドラマ『真田丸』で三谷さんは加藤清正を真田信繁の大坂時代におけるキーパーソンのひとりとして描いてます……かつて土方を演じた山本耕史さんが演じる石田三成とバチバチ火花を散らす加藤清正を新井浩文さんが演じ、毎週の楽しみになっています)。

 作品を書いたのは福地桜痴なんですね。語学のスペシャリストとして幕府役人にとりたてられ、明治維新後はジャーナリストとして活躍した人です。明治になってから、かつて市谷にあった試衛館を訪ねた時の思い出話を書き残してますが、本当に面識があったのかどうかは他の資料や証言など裏付けがないのでなんとも……いずれにしても、福地桜痴作なら、史実の土方歳三がこの作品を見ることはなかったのですね。

 おっと、つい新選組絡みの話に脱線してしまいます(^_^;)。そして、本編に関していえば、スペクタクルではあるけれど、伝説のまんまやん(^_^;)。
二、寺子屋(てらこや)

忠義に苦悩する夫婦の姿
 武部源蔵は、妻戸浪と寺子屋を営みながら、菅丞相の子・菅秀才を匿っています。このことが敵の時平方に発覚し、菅秀才の首を差し出すよう命じられた源蔵は、悩んだ末、その日寺入りしたばかりの小太郎という子どもの首を検分役の松王丸に差し出します。なんとか窮地を切り抜け安堵する源蔵夫婦のもとに、小太郎の母千代が迎えに現れ、源蔵が千代に斬りかかるところに、最前の松王丸も姿を見せます。すると、松王丸は、自らが検分した菅秀才の首について語り始め…。
 重厚な義太夫狂言の一幕にご期待ください。
 海老蔵の松王丸、松緑の源蔵、菊之助の千代と、かつての「三之助」揃い踏み。歌舞伎の名作だそうですが私は初見。時代感覚の違いか、『先代萩』といい『寺子屋』といい主君のために我が子を犠牲にする価値観がしっくりしない……3人の中では、比較的に菊之助にリアリティを感じたのだけど。
三、十六夜清心(いざよいせいしん)

情緒あふれる清元と清心の名せりふ
 鎌倉極楽寺の僧である清心は、遊女の十六夜と深い仲になったため、女犯の罪で寺を追われてしまいます。清心と十六夜は心中を決意し、手を取り合って入水しますが、十六夜は舟遊びをしていた俳諧師白蓮に助け上げられてしまいます。一方の清心も、水練に堪能であったために死に損ないます。川から上がった清心が再び入水すべきかどうか思案するところへ、寺小姓の恋塚求女が通りかかり、癪を起こして苦しみます。介抱した拍子に求女の懐にある大金に触れた清心は、抵抗する求女と揉み合ううちに、はずみで求女を殺めてしまい…。
 名せりふにあふれる河竹黙阿弥の世話物をご覧ください。
 河竹黙阿弥作品って七五調の美しさもあるのだけど、市井の犯罪をリアルに描いてぐっと引きつけられる。心中を図った僧侶と遊女が死にきれなくて共に悪の道に……というのは、死んだはずだよお富さんのパターンだよね。
 菊之助さんの清心が寺小姓の松也さん演じる求女と絡む場面は美しかったです。
四、楼門五三桐(さんもんごさんのきり)

絢爛さと豪快さにあふれる一幕
 桜の咲き誇る南禅寺の山門の楼上。天下の大盗賊石川五右衛門が煙管をくゆらせながら景色を眺めていると、一羽の白鷹が血染の遺書を咥えて飛んできます。これは、大明国の宋蘇卿の遺書で、これを読んだ五右衛門は、実は自分が宋蘇卿の遺児で、宋蘇卿と、大恩ある武智光秀がともに真柴久吉のために命を落としたことを知ります。そこへ楼門の下を一人の巡礼が通りかかり、五右衛門に声をかけてきます。実はこの巡礼こそ真柴久吉で…。
 歌舞伎らしい色彩美と様式美満載の舞台をお楽しみください。
 吉右衛門の石川五右衛門、菊五郎の真柴久吉。最新入院したばかりの菊五郎さんがこの一役と夜の部の一役だけなのは仕方ないですよね。

【夜の部】
一、勢獅子音羽花籠(きおいじしおとわのはなかご)

初お目見得を祝う華やかな舞踊
 江戸庶民の憧憬の的である鳶頭や芸者たちが勢揃いし、祭りの華やかな雰囲気の中で変化に富んだ舞踊が繰り広げられます。
 尾上菊之助の長男、寺嶋和史が初お目見得し、豪華な顔ぶれが揃う賑やかな一幕です。
 豪華です。「じゅふたん」こと寺島和史くんの初お目見え。祖父が菊五郎と吉右衛門という人間国宝なんてすごい家系。
 2才6ヶ月なんで、こんなものでしょう。パパ菊之助に抱かれて花道を行き、吉右衛門さんに手伝ってもらったけど舞台で正座はできず、眩しいのか両手で両目を覆って、嫌々モード。挨拶は菊之助さんと祖父ズが仕切る。でも、三三一拍子の後、手を振ってくれました。いつか、それなりの役者となって舞台に立った時に、この場面を思い出すのが楽しみです。
二、三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)

黙阿弥の名せりふで知られる江戸情緒あふれる一幕
 節分の夜更け、大川端にやって来た夜鷹のおとせに、美しい娘姿の盗賊、お嬢吉三が近づき、おとせの懐から百両を奪い取ったうえ、大川へ突き落とします。その様子を駕籠の中から見ていたお坊吉三は、その百両を巻き上げようとしてお嬢と争い始め、そこへ通りかかった和尚吉三が、二人を仲裁します。お嬢とお坊は百両を和尚に預けることにし、互いに同じ吉三の名前を名のる三人は、この出会いをきっかけとして、義兄弟の契りを交わすのでした。
 季節感あふれる言葉が散りばめられた七五調の名せりふをお楽しみください。
 これが今日一番の楽しみだったかも知れません。菊之助のお嬢吉三の台詞。
「月も朧(おぼろ)に白魚の篝(かがり)も霞む春の空、冷てえ風も微酔(ほろよい)に心持よくうかうかと、浮かれ烏(うかれがらす)のただ一羽塒(ねぐら)へ帰る川端(かわばた)で、棹(さお)の雫(しずく)か濡手で粟、思いがけなく手に入(い)る百両、[御厄(おんやく)払いましょか、厄落し(やくおとし)、という厄払いの声]ほんに今夜は節分か、西の海より川の中、落ちた夜鷹(よたか)は厄落し、豆沢山(まめだくさん)に一文の銭と違って金包み、こいつぁ春から縁起がいいわえ」
 やはり河竹黙阿弥の七五調は素晴らしいです。たぶん私は落語を音で捉えるタイプ(とは言え、一度聴いたら覚えるという特技があるわけではありません)なので、河竹黙阿弥がはまるのでしょう。
 菊之助のお嬢吉三、海老蔵のお坊吉三、松緑の和尚吉三、全幕見たいキャストです。
三、時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)

暴君春永の恥辱に堪える光秀の忍耐と執念
 中国の毛利討伐のため出陣した小田春永は、本能寺に陣を構えています。春永をもてなすため、真柴久吉から馬盥(ばだらい)に轡(くつわ)で留めて活けた錦木が献上されていますが、春永は、武智光秀にこの馬盥で酒を呑めと突きつけます。屈辱に耐え、馬盥で酒を呑み干す光秀ですが、春永に、満座の中で生活苦にあえいでいた頃の辛い過去を暴かれ、密かに意を決して本能寺を去ります。愛宕山へ戻った光秀は、上使から切腹を申し渡され、覚悟の白装束に着替えますが…。
 重厚かつスケールの大きな時代物の舞台をご堪能ください。
 ……えーと、名作だと思うけど、ひたすら虐めに耐える光秀がつらかった(; ;)。空気が重い〜。
四、男女道成寺(めおとどうじょうじ)

大曲『道成寺』を男女二人で踊る趣向の舞踊
 かつて恋に狂った清姫が焼き尽くして以来、久しぶりに鐘が再興されることとなった道成寺。その鐘の供養に、美しい白拍子の花子と桜子が現れます。二人が奉納の舞いを舞ううちに、桜子の烏帽子が取れ、女性と見えたのが実は左近という男性の狂言師であることがわかります。そして、花子が一人踊るところへ左近が加わり、恋仲の男女の様子を艶やかに描きます。その後、二人は…。
 長唄と常磐津の掛け合いの演奏で踊る華やかな舞踊です。
 今日の出色は三人吉三と男女道成寺かな。海老菊の華やかコンビがひたすら美しかった。
歌舞伎美人 明治座 四月花形歌舞伎

 昼の部見ました。
一、芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)

葛の葉 
女房葛の葉/葛の葉姫 中村 七之助
安倍保名 中村 梅枝
柵 中村 歌女之丞
信田庄司 片岡 亀蔵
 安倍保名に一命を助けられた白狐が、保名の許嫁の葛の葉に化け、子をもうけます。しかし本物の葛の葉姫が現れ…。人を愛してしまった狐の悲しみや子別れの愁嘆など、親子の情愛あふれる名作『葛の葉』。
 七之助さんのお姫様と女房それも狐の変化という二役が見どころ。葦手書きを左手で鏡文字で書いたり、最後は子供を抱きながら口にくわえた筆で書いたり、なかなかすごい。

大沼信之 作
二、末広がり(すえひろがり)

太郎冠者 中村 勘九郎
万商人 中村 国生
宝斉娘福子 中村 鶴松
分限者宝斉 片岡 亀蔵
 続いては、末広がり(末広の扇子)を買い求めるよう命じられた太郎冠者が、商人の口車に騙されて傘を売りつけられたことから起こる大騒動。賑やかで軽妙洒脱な舞踊『末広がり』。
 勘九郎さんの太郎冠者が愛らしい。お嬢様に振られて(´・ω・`)としたり、商人の口上にごまかされて唐傘を買ってしまったり。
近松門左衛門 作
片岡仁左衛門 監修
三、女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)

河内屋与兵衛 尾上 菊之助
お吉 中村 七之助
豊嶋屋七左衛門 中村 勘九郎
太兵衛 坂東 亀寿
芸者小菊 中村 梅枝
小栗八弥 中村 萬太郎
おかち 坂東 新悟
白稲荷法印 市村 橘太郎
綿屋小兵衛 片岡 松之助
河内屋徳兵衛 嵐 橘三郎
おさわ 上村 吉弥
山本森右衛門 河原崎権十郎
 放蕩三昧で親にも勘当された河内屋与兵衛は、金の工面に困り、同業の油屋の女房お吉を訪れますが…。実際に起きた事件を題材にした近松門左衛門の名作『女殺油地獄』。刹那的に生きる青年が引き起こす悲劇をご覧いただきます。
 片岡孝夫時代のニザ様で与兵衛見たかったなぁ。

(評・舞台)明治座四月花形歌舞伎 「浮かれ心中」役者生き生き
 2011年に復活した明治座での歌舞伎公演も8回目。中村勘九郎・七之助兄弟に尾上菊之助の珍しい顔合わせと初役揃(ぞろ)いに魅力があり、劇場の客層を見込んだ演目が功を奏した盛況。昔は三代目市川猿之助(現猿翁)が数々の実験を繰り広げた劇場だけに、さらなる冒険も望んでみたくなる。

 昼は七之助の「葛の葉」ログイン前の続きからで、研ぎ澄まされた美しさだが、子別れの愁嘆には母性の温(ぬく)もりもほしい。障子への曲書きは普段が出るところだが、筆をくわえて書く難所が最もうまい。中村梅枝の保名が古風な雰囲気。

 勘九郎の「末広がり」は父中村勘三郎が自主公演で試演した作品で、本興行ではこれが初演。太神楽の毬(まり)の芸を鮮やかに見せる。もう少し表情を抑えるとおおらかさが増すだろう。

 菊之助の「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」は、家の芸系にない挑戦で注目される。近世の新作風演出を、古典のように受け継ぐ真摯(しんし)な姿勢はいいが、明晰(めいせき)で理性的な持ち味は、不条理な不良の行跡とは少し遠い。七之助のお吉、勘九郎の七左衛門で3人が顔を揃えるのはいい。

 夜は勘九郎が父の衣鉢を継ぐ「浮かれ心中」。井上ひさしの「手鎖心中」を43年前に東京宝塚劇場で劇化、歌舞伎版は1997年に初演された。戯作(げさく)の道に生きようとする若者群像の狂騒物語は少々古めかしく、そこを客席を巻き込んだ熱量でカバーしてきた作品である。無邪気な父とは異なる篤実な資質を秘めた勘九郎がいま受け継ぐべきなのか、考えさせるが、俳優陣は、昼夜を通して最も生き生きとしている。父そっくりに見せる勘九郎はもちろん、菊之助の女房が可愛らしい。坂東亀三郎や片岡亀蔵ら、周囲も揃う。

 静と動の対照も劇的な舞踊「二人椀久(ににんわんきゅう)」は菊之助と七之助で、今が盛りの美しさだが、ゆったりしたものに変わった。(児玉竜一・早稲田大学教授)

 26日まで。
 明治座は座席にエアーウィーブ配られているので腰に負担が少なく、ありがたい。。
ここのところ歌舞伎が増えてその分落語にかける時間が割を食います。仕事で忙しくしてチケットを買ってたのに断念したイベントが続き、何と3ヶ月ぶりの落語。

【昼の部】
真田小僧/はまぐり
 すみません、爆睡してました。

人形買い/一之輔
 不覚にも一之輔師匠のお話なのに記憶が無い……(汗)。

青春残酷物語/白鳥
 わりと初期の作品だそうです。貧乏な若者が3人で歌舞伎町で無銭飲食やらかそうとして、さまざまな偶然から組関係者と見られるという噺。けっこうよくできてると白鳥師は自称されてましたが、うーん、『トキそば』とか『チバ浜』から白鳥ファンになった私にはちょっと安易かなぁ。

フェルナンド/百栄
 『露出さん』と『船越くん』は聴き飽きてしまったので別の作品でよかった。
 うーん、『大工調べ』の因業大家がイタリアセリエAの審判に、八五郎がフェルナンドに、与太郎がガルシアになった設定で、オフサイドを巡る喧嘩といったらいいでしょうか。ただ、『大工調べ』のパロディを期待していたら、啖呵がなかったんで、ちょっと違ったかなと。

幾代餅/白酒
 新作が2作続いたせいか、ちょっとグダグダになった空気を締める古典。白酒師の『幾代餅』は古今亭の本寸法なのか、搗き米屋の主人とおかみさんがかなりデフォルメされていたり、清蔵さんがデレたりイケボ化したり、しっとり聴く噺ではなく爆笑噺に。

【夜の部】
金明竹/市丸
 すみません、爆睡して意識なかったです。

元犬/三三 ○
 前座もかける『元犬』を真打ちがかけるとこんなに面白くなるというお手本のような。とても犬らしいアクションが随所にあって、「お手」してあげたくなる可愛いところもあり。爆笑しつつ、タダシロウくんの変人ぶりが可愛くて可愛くて。
 そして、おもとさんの設定がまさかの伏線回収で、これは初めての目からウロコ。

締め込み/兼好 ◎
 この会ではサラ口で出ることが多い兼好師が中入り前のポジションで。そして、たっぷり聴かせてくれました。「うんか、出刃か、うん出刃か」、すごくよかったです。

粗忽の使者/市馬 ○
 小さん師匠の粗忽ぶりをちょこっと。そして、市馬さんも粗忽ものはとことんおかしい。

へっつい幽霊/喬太郎 ○
 マクラは小さん師匠の粗忽な留守番電話メッセージ。談志師匠で録音で何度か聴いていた『へっつい幽霊』を喬太郎版で初聴きとは。ちょっとおかまっぽい若旦那がいいアクセントになってる。
アニメ「昭和元禄落語心中」第2期制作決定!舞台は現代へ
雲田はるこ原作によるアニメ「昭和元禄落語心中」の第2期制作が決定した。

1月より放送され、4月1日にオンエアされた第13話にて最終回を迎えた「昭和元禄落語心中」。石田彰演じる菊比古と山寺宏一演じる助六、落語のために生きた2人の過去を中心にこれまで描かれてきたが、2期では舞台をいよいよ現代に移し展開していく。放送時期などは続報に期待しよう。

なお4月25日には東京・池袋演芸場にて、「昭和元禄落語心中寄席~作中の根多を聴く~」と題した落語会を開催。劇中に登場した根多(ネタ)の数々を、プロの落語家が実演する。「落語心中」で落語に興味を持ったが寄席にはまだ行ったことがないという人は、この機会に足を運んでみては。

 特に第1期はエキサイトのレビューが面白かったです。下記は第11話の「野ざらし」解説つき。
「昭和元禄落語心中」11話。これは見事な「野ざらし」
「助六さん。後生です。八雲を継いで落語をなさい」

「昭和元禄落語心中」、前回の11話は姿を消した助六とみよ吉を追って旅に出た有楽亭菊比古が、二人の間の子である小夏に会う場面で終わっていた。その小夏から家を聞き出し、ついに助六との再会を果たす。
助六の背中をずっと追い続けてきた菊比古は自分のために落語をやるのだと割り切った。対する助六は、客がいなければ落語などできたものではないという考えの持ち主だ。にもかかわらず、今は客の顔が見えないのだという。その助六に対して、他の誰でもなく自分、有楽亭菊比古のためにもう一度落語をやれ、と菊比古は迫った。両者の落語観、そして芸に対して自信を喪った者と逆に貪欲にそれを極めようと決意した者との違いが浮き彫りにされた、いい場面である。

雲田はるこの原作は今回で4巻分が終了。どうやらシーズン1は、5巻半ば、第2部「八雲と助六編」の終わりまでは続くようである。

今回の噺
第2話、七代目八雲に2人の少年が入門を願った日に初太郎(のちの助六)が最初に口演したのも「野ざらし」だった。第10話で菊比古が小夏に出会ったとき、彼女は父・助六から教わった噺を蕎麦屋で披露していた。その噺も「野ざらし」である。
そして今回、小夏にせがまれた菊比古はうろ覚えで怪しい「野ざらし」を語り始める。案の定つっかえると、割って入った助六が後を続ける。途中からはまるで夫婦漫才のように2人の合作となり、他にはない素敵な「野ざらし」が出来上がった。
以前も書いたが「野ざらし」は昭和の落語家・三代目春風亭柳好の得意根多であった。半ばで入るサイサイ節などを歌い調子で演じたのである。その賑やかな部分を助六、噺が本来持つ怪談の要素と、妖艶な幽霊のキャラクターを菊比古が分担することで、水と油が乳化して1つになるように、バラバラな要素がまとまったのだった。「昭和元禄落語心中」きっての名演である。

寄席という場所
シーズン1も終わりに近づいてきたので、これまで触れなかったことも書いておきたい。

現在東京には落語の定席が5つある。上野・鈴本演芸場、浅草演芸ホール、新宿末廣亭、池袋演芸場、そして唯一の公的施設である国立演芸場だ。このほかに二ツ目による落語会を平日はほぼ毎日行っている神田連雀亭など、常設に近い会場がさらに両手に余るほどある。場だけを見れば、20年前からすれば考えられないほどに恵まれている。番組を観て気になった人が1人でも多く足を運んで落語を聴いてもらえれば幸いである。

ちなみに、東京に寄席がもっとも多かったのは大正時代だったと思われる。そのころの状況を豊かに伝えのが、六代目三遊亭圓生の『寄席切絵図』だ。
圓生はわずか6歳にして義太夫の豊竹豆仮名太夫として寄席に出演、さらに10歳で落語家に転身して橘家圓童を名乗った。明治の末から昭和にかけて寄席芸人として生きた人であり、『寄席切絵図』はその記憶を現在の地図と照らし合わせるような形で綴った1冊だ。浅草、入谷、神田といった現在も定席や落語を聴ける場所がある土地だけではなく、京橋、芝、赤坂など、そんなイメージが無くなってしまった街にもかつては寄席があったことに驚かされる。地域寄席や個人主催の落語会が増えたことで、状況はそれに近づきつつあるわけだ。

さらに興味深いのは戦前の寄席の構造が克明に描写されていることである。アニメ「昭和元禄落語心中」に登場する寄席は、現在の新宿末廣亭をモデルにしている。末廣亭は戦前からある寄席だが、戦争で焼け、1946年に現在の場所に再建された。木造建築で一部桟敷席に畳敷きもあるが、椅子席が基本になっている。
『寄席切絵図』を読むと、戦前の寄席は畳敷きが主だったことがわかる。一階が経営者宅で二階に客席、という構造も多かったが、その階段は梯子であったりした。
以下は1970年に閉場されるまで東京の演芸の中心であった人形町末広の描写である。ここもやはり畳敷きだった。

──入口の左手にテケツ(入場券売場)があって、はいると土間になっていて、右手のほうが下足をあずかるところになっている。(中略)なくなるまでずっと、客席は畳のままでした。それで、左右の両側に、二階桟敷というんではなく、二尺ほど高くなった桟敷があって、そのうしろ側は戸があって、更にその外が両側とも廊下になっていました。(後略)

地方寄席はまだまだ可能性がある
東京の寄席は空襲でも焼かれたが、それ以前に関東大震災でも甚大な被害を受けた。有名どころの寄席の多くも焼けてしまい、そのために落語家たちも仕事を失った。名古屋を拠点として活動していた雷門福助によれば、彼が東京から移住したのもやはり、震災の影響で仕事が減少したためだという。地方のほうがむしろ食える時代だったのだ。

──たまに寄席へ出たところで、一軒か二軒。七十人か八十人ぐらいしか客がこないんですからね。七厘五毛の割りィもらったって三十銭ぐらいなもんでしょ。商売になんかなっりゃァしません。
 ところが名古屋へ行ってみると、一日の給金が二円!! 一カ月で六十円になったン。しかも別に”乗金”として十円札をくれたんです。こっちァうれしくて飛び上がりましたね。(後略)(川戸貞吉編『初代福助楽屋話』冬青社)

前述の『寄席切絵図』にも東京だけではなく、圓生がかつて巡業で訪れた地方都市、静岡、博多、金沢、高崎などの寄席の様子が活写されている。
第10話で、助六を探しに旅に出た菊比古が街の人に、このへんに落語を聴ける場所はないか、と訊ねる場面があった。地方の繁華街などにそうした演芸を見せる小屋が設けられていた時代も、かつては存在したのだろう。
現在では落語芸術協会が草津温泉に若手落語家を派遣し、毎日温泉寄席を開いている。そうした場所がもっと増えることを期待したい。「昭和元禄落語心中」ゆかりの噺を持って落語家が各都市を回り、その土地に地方寄席の芽が吹くのを助けるのもいい試みだと思うのだが。

さて、今夜放送の第12回では、ついに助六が高座に復帰し、菊比古との兄弟会を実現させる。その模様と、みよ吉を交えた関係の行きつく先が描かれるはずだ。最終回まであと2話。どうかお見逃しなく。
(杉江松恋)

おまけ
本稿筆者の杉江松恋も、落語会をお手伝いさせていただいております。
よろしければお立ちよりください。場所はすべて新宿5丁目・CAFE LIVE WIRE。
3/31(火)午後6時半(開演午後7時)「笑福亭羽光単独ライブ3〜私小説落語家族編」
4/8(金)午後6時半(開演午後7時)「立川談慶独演会 談慶の意見だ#10」
4/17(日)時間 午前0時半(開演午前1時)「立川談四楼独演会 オールナイトで談四楼#14」
4/20(水)午後6時半(開演午後7時)「ぼくらのあにさんが帰ってきた! 瀧川鯉八独演会#2」
 柳好の「野ざらし」か、「野ざらし」の柳好か。助六の「野ざらし」もこんな陽気な調子だったんでしょうね。
 「野ざらし」は小三治もお勧めです。

 『昭和元禄落語心中』の影響らしく、若い人に落語がブームになっているらしいのですよ。
「昭和元禄落語心中」がブームの火付け!シブラクこと「渋谷らくご」4月公演案内と関連動画
ジワジワとクチコミで観客が増えてきたシブラクこと「渋谷らくご」!キュレーターのサンキュータツオによるベストセレクション!ニューウェーブな若手二つ目から熟練した真打までたっぷり楽しめる5日間!4月は8日(金)、9日(土)、10日(日)、11日(月)開催!関連動画はWOWOWプラストにて配信中。

現在放送中、人気アニメ「昭和元禄落語心中」が火付け役となっているのか、ちかごろ若い世代に落語が来ているらしい。東京には新宿末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、上野鈴本演芸場、国立演芸場という「寄席」がある。ここではほぼ、毎日落語や漫才、コント、マジックが披露されている。

しかし、今注目されているのはこれらの寄席ではなく、渋谷。渋谷のミニシアターを牽引してきたユーロスペースが、毎月第2金曜日から5日間、劇場で落語会を開催中。2014年スタート時には客席もガラガラ…ということも多々あったが、今では人気落語家が出演する会はSOLD OUT。客層も20代、30代と若い人たちが中心である。

特に注目なのが、落語芸術協会の若手落語家10名と講談師1名で構成されたユニット「成金」。メンバーは柳亭小痴楽、昔昔亭A太郎、瀧川鯉八、春雨や雷太、三遊亭小笑、春風亭昇々、笑福亭羽光、桂宮治、春風亭柳若、春風亭昇也、そして講談師の神田松之丞。特に神田松之丞、柳亭小痴楽、はそのイケメンぶりから若い女性のファンが急増。シブラクでも、両名が出演の会はチケット入手困難になるほどである。

YouTubeはニコ動で古いものから新しいものまで落語の動画はアップされているが、ぜひ一度「生(なま)」の落語を聞いていただきたい。落語なんて、おじいちゃん、おばあちゃんが聞くものでしょ? 落語って「笑点」みたいなもんでしょ? と思っているアナタ! その固定観念がガラガラと音を立てて崩れ落ちること間違いなし! お笑い芸人、サブカルチャー好きの方なら、なおさら「生」の落語に触れてみてほしい。

■シブラク
毎月5日間公演されるシブラクには、6つのスタイルがある。

・渋谷らくご:3、4人の実力派真打から二つ目の落語家が登場。
・ひとりらくご:1人の落語家に小一時間、たっぷり語ってもらう。ご贔屓の落語家ができたら、その人の独演会でたっぷり楽しむのも満足度が高い。
・ふたりらくご:2人の落語家が30分ずつ語る。
・創作らくご:落語家がつくった新作落語の会。
・しゃべっちゃいなよ:林家彦いち主催、創作らくごのネタおろし(初上演)
・まくら王:「まくら」とは本題の前に披露される軽い小咄など。面白い落語家はまくらからして面白い。4人の落語家がまくらだけを披露し、最後に落語を一席披露。

■4月出演者
4/8:立川志ら乃、桂春蝶、春風亭昇々、古今亭志ん八、立川生志、神田松之丞(講談)
4/9:瀧川鯉八、立川吉笑、橘家文左衛門、柳亭小痴楽、瀧川鯉斗、隅田川馬石、入船亭扇里、柳家喜多八
4/10:桂三木男、春風亭百栄、入船亭小辰、橘屋圓太郎、笑福亭羽光、柳家わさび、玉川大福(浪曲)、春風亭一之輔
4/11:入船亭扇里、立川こしら、瀧川鯉八、柳家ろべえ、神田松之丞(講談)、立川左談次
4/12:入船亭扇辰、隅田川馬石、桂三四郎、昔昔亭A太郎、三遊亭粋歌、春風亭昇々、林家彦いち

毎月第2金曜日から5日間、渋谷ユーロスペースで開催、シブラクこと「渋谷らくご」。4月は8日(金)、9日(土)、10日(日)、11日(月)、12日(火)。タイムテーブルは「渋谷らくご」公式サイトを参照。WOWOWプラストにてサンキュータツオ、立川吉笑が「古典落語」について熱く語る動画配信中。
 嬉しいですね、若い落語家さんたちも知られるようになるのは。私も落語行きたい。
前月夜の部「籠鶴瓶」の評判がよかったので見逃して残念。

【昼の部】

一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)

 曽我十郎を勘九郎。松緑の五郎が血気にはやるのを押さえる、優男で賢いお兄ちゃんが合ってた。
 橋之助の工藤祐経が、鎌倉幕府の重鎮として巻き狩りの責任者としての大役を終えるまでは討たれるわけにはいかないこと、曽我兄弟に討たれる覚悟をして巻き狩りの通行証を渡すこと、の重みをよく伝えていた。

二、女戻駕(おんなもどりかご)
  俄獅子(にわかじし)

三、鎌倉三代記(かまくらさんだいき)

 「三姫」のうち時姫。難しい役どころだなぁ。菊五郎さんの三浦之助義村の瀕死の落ち武者ぶりが美しかった。

四、 団子売(だんごうり)
 昼の部はこれで幸せ一杯。仁左さまと孝太郎さんが夫婦の団子売りになって舞う。これだけで幸せ。

【夜の部】
一、双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)
 角力場

橋之助さんの濡髪と菊之助さんが山崎屋与五郎と放駒長吉の二役早変わり。

二、五代目中村雀右衛門襲名披露 口上(こうじょう)

 豪華な口上。あいにく菊五郎さんが休演してしまったけど、仁左さま、藤十郎さん、吉右衛門さんと人間国宝が三人も。出演しているのに幹部口上に出られない勘九郎さんはまだまだ若手なんだなぁ。
 立役を引き立てる女形という雀右衛門さん。

三、祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)
  金閣寺

 雀右衛門さんの雪姫も美しいのだけど、仁左さまの此下東吉(木下藤吉郎)と幸四郎さんの松永大膳(松永弾正)の対決だけでご飯三杯食べられそうな、豪華な舞台。

四、関三奴(せきさんやっこ)

 鴈治郎さんの駒平、勘九郎さんの勘平、松緑さんの松平。微妙に踊りがずれたりするところがご愛敬。勘九郎さん、股関節柔らかいなぁ。
よってたかってシリーズは、好みの落語家さんばかり出てくる上、まったりした寄席とはちょっと違う、少し暴走気味なところが好き。

【昼の部】

牛ほめ/三遊亭あおもり
 白鳥さんのお弟子さんですね。間の取り方にフラがあります。
 途中で眠くなって意識なくなってしまいましたが……(^_^;)。

新聞記事/一之輔
 何度か寄席で聴いているネタなんだけど、一之輔さんにかかると普通じゃない。ご隠居に「天ぷら屋だけに、あげられた」のオチ部分もよくわかっていない与太郎っぽい八五郎が、しどろもどろな二番煎じの講釈するところのキレっぷりが、やはり一之輔。
 そして、オチは、話している相手がやっぱりだった。

そば清/喬太郎
 一之輔さんがかなり湧かせたせいか、キョン師も盛り上げる。コロッケそばの話題になって、あのコロッケがそばの上に浸される時の「え?」というのが出るかと思ったら、そうじゃなかった。コロッケそばは、コロッケと称するもののジャガイモ成分まったくない粉の塊と、蕎麦と称するけど蕎麦粉より小麦粉の方が多い何かがお互いに支え合って美味しくなるものらしい。だけど、よみうりホールのすぐ傍にある新角という立ち食い蕎麦屋にある「コロッケラーメン」は、コロッケとラーメンがやや緊張感のある関係らしく、今いちらしい……が、そのことを語るだけで、持ち時間使っちゃった感じ(^_^;)。
 おまけで「そば清」。さん喬師匠の清兵衛さんの「ど〜も〜」が受け継がれている。

船越くん/百栄
 鉄板で面白いネタなんだけど、「よってたかって」シリーズでかけてますよね、2013年8月に。「露出さん」もそうなんだけど、同じ落語会シリーズで同じネタって、飽きるんですよね。お客さんの多くは笑ってましたが。
 「天使と悪魔」か、猫好きとしては聴いてみたい「バイオレンス・スコ」なら何回か続けて聴いてもいいかなって思っちゃうんだけど。

落語の仮面第2話 嵐の初天神/白鳥
 鈴本で第2話の回に行き損なってとても口惜しい思いをしたので、ここで聴けてハッピー。しかも白鳥さん、「よってたかって」よみうりホールの1000人のお客さんを爆笑させ、満足させて返すトリとしても素晴らしい。もう三遊亭園鳥を名乗ってもいいです、園朝にはあちこちから異論が出ると思いますが。
 いろいろ落語界にとって差し障りのあるような爆弾が仕込まれてますが、「ガラスの仮面」美内すずえ先生が太鼓判押しただけあって、ちゃんと原作テーストが入ってます……第2話は北島マヤならぬ三遊亭花が、終生のライバルとなる姫川亜弓ならぬ立川亜弓(立川談志に弟子入りするも、家元が亡くなった後は立川談春の寄り弟子って、どんだけ武闘派? しかも、実は父が市馬師匠で母が○○師匠という、落語界のサラブレッドという設定。で、きょーれつな関西弁って???)。
 今回は、紫のイモの君は出て来ません。落語協会会長(さあ、誰でしょう)が、大都芸能社長にへこへこする場面も笑えます。

【夜の部】

たらちね/市丸
 市馬さん、やっぱり小さんの直弟子だけあって弟子を沢山取るんですね。そして、ちゃんと育てていると思います。

紙入れ/兼好
 昼の部のフリーダムというかどこに行くかわからない危ない感じと違って、夜の部は古典派尽くし。しかも、圓楽一門きっての愛され真打ちの兼好さんは、軽いけど巧いので浅い場面でいい仕事します。

二十四孝/三三
 三三さんにしては八五郎が破壊的(爆)。

四段目/白酒
 最近、歌舞伎にも手を出しているので、芝居噺の意味がわかるようになり、ますます面白みを感じます。商家で丁稚の定吉が芝居狂いで、お遣いのついでに芝居小屋に入り浸っていたことがわかり、旦那に蔵に閉じ込められる……けど(^^)。

淀五郎/市馬
 寄席だったら白酒さんの「四段目」とは「ネタがつく」と言われるのでしょうが、仮名手本忠臣蔵の塩冶判官に抜擢された澤村淀五郎が大星蔵之介役の市川團蔵に課題をつきつけられて、課題を乗り越えて成長するお噺です。「中村仲蔵」で主役を張る仲蔵がメンター兼コーチ(教え方はティーチャーですが)としていい味を出しています。
 寄席だったら聴けないネタの組み合わせ。し
 白酒さんのは芝居好きの丁稚さんが芝居を思い出すという設定なので、歌舞伎に通じてなくても、できるんじゃないかと思います。でも「淀五郎」は塩冶判官切腹の場を核にした役者の成長話なので、やっぱり場面を演じられないとできない。
 その点で、市馬さんは安心して見られました。最近になって歌舞伎づいた自分には、仮名手本忠臣蔵を全段通しで見たくなりました。
初めての千穐楽。とりあえずメモ。観客は九分の入り(2階)、歌舞伎座より若いのは若手中心の芝居だからか。
 松也さんご挨拶。見得と大向こうの練習つき。
 毛抜は半分ウトウトしてて全然頭に入らず(; ;)。可憐な米吉ちゃんが女形でなく若侍で出てて、衆道好みのおっさん侍にセクハラされていた場面だけは覚えている(爆)。
 義経千本桜は、「川連法眼館の場」でようやく落語の「猫の忠信(猫忠)」のコンテクストがわかる。松也が佐藤忠信と狐の二役を演じ分けていた。狐は若くて体力があるうちにやった方がいいけど、佐藤忠信の威厳や忠臣ぶりの方が難しそう。


新春浅草歌舞伎 美しく愛らしい米吉のお富
 昭和55年の復活以来、34回目を数える「新春浅草歌舞伎」。今年は中村錦之助を上置きに、尾上(おのえ)松也の昭和60年生まれを除くと、主要キャスト全員が平成生まれという布陣だ。

 第1部は、「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)」の大川端(おおかわばた)庚申塚の場から。お嬢の中村隼人は女と男の切り替えに惑ったまま「月も朧(おぼろ)に…」へ至るので声が上ずる。お坊の坂東巳之助(みのすけ)も声がとぶ。河竹黙阿弥の七五調に全神経をとがらせるから身心が硬くなる。錦之助が和尚でまとめる。

 次に、不破伴左衛門(ばんざえもん)(巳之助)と名古屋山三(さんざ)(中村国生)の傾城采女(けいせいうねめ)(坂東新悟)をめぐる恋の達引き舞踊「土佐絵」があり、「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」。色気不足もこれほど美しく愛らしい「源氏店(げんじだな)」は初めて見た。中村米吉は万端にお富の研究成果を見せるが、顔立ち、所作が修羅の過去を感じさせない清潔さで、まだお富ちゃんである。彼女と気づいて、「イヤサ、お富」と始まる与三郎の名場面も松也、明晰(めいせき)な発声ながら台詞(せりふ)に艶(つや)がない。愛を確かめ合う2人立ちの幕切れはきれいだ。錦之助が和泉屋多左衛門。

 昭和55年の復活以来、34回目を数える「新春浅草歌舞伎」。今年は中村錦之助を上置きに、尾上(おのえ)松也の昭和60年生まれを除くと、主要キャスト全員が平成生まれという布陣だ。

 第1部は、「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)」の大川端(おおかわばた)庚申塚の場から。お嬢の中村隼人は女と男の切り替えに惑ったまま「月も朧(おぼろ)に…」へ至るので声が上ずる。お坊の坂東巳之助(みのすけ)も声がとぶ。河竹黙阿弥の七五調に全神経をとがらせるから身心が硬くなる。錦之助が和尚でまとめる。

 次に、不破伴左衛門(ばんざえもん)(巳之助)と名古屋山三(さんざ)(中村国生)の傾城采女(けいせいうねめ)(坂東新悟)をめぐる恋の達引き舞踊「土佐絵」があり、「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」。色気不足もこれほど美しく愛らしい「源氏店(げんじだな)」は初めて見た。中村米吉は万端にお富の研究成果を見せるが、顔立ち、所作が修羅の過去を感じさせない清潔さで、まだお富ちゃんである。彼女と気づいて、「イヤサ、お富」と始まる与三郎の名場面も松也、明晰(めいせき)な発声ながら台詞(せりふ)に艶(つや)がない。愛を確かめ合う2人立ちの幕切れはきれいだ。錦之助が和泉屋多左衛門。

尾上松也「新春浅草歌舞伎」熱い思いで若手をけん引
 新年は尾上松也(30)の登場から始まります。「新春浅草歌舞伎」(26日まで、東京・浅草公会堂)では、若手たちを引っ張る立場として奮闘中。これまでの経験を糧に、さらなる進化を誓いました。

 浅草歌舞伎には、いろんな思いがある。市川亀治郎(現猿之助)、中村獅童、中村勘太郎(現勘九郎)、中村七之助らが出演していたころから憧れていた。若手が大きな役に挑戦できるチャンスだ。

 「僕もずっと出たかったんです。『ああ、なんでここに入れてくれないんだろう。一緒にやりたいな』と思ってました。そんな思いを抱えて、それをエネルギーにしてました」 初めての出演は09年。2度目は13年。しかし、レギュラーメンバーに定着までにはいかなかった。

 「2度出させてもらって、そのつど、これで浅草レギュラーになれると思ったら、また翌年外れて…というのを繰り返してるんです。複雑な思いが交錯してました。だから毎年、浅草の動向は気になってましたし、常に目標でした」

 昨年、ついに松也が若手たちを引っ張る立場として公演を任された。2年連続となった今年も無事に幕が開いた。責任感も強い。メンバーが日替わりで、素顔で登場する「お年玉あいさつ」では、花道も使い歌舞伎初心者に解説するなど、サービス精神満点だ。

 「去年は1年通じて、どの公演でもチラシに大きく載って、一座の看板役者として出させてもらいました。自分が担う責任や影響を考えるようになりました。特に浅草は、真ん中にいさせてもらえるわけですから、気にすべきところはほかの公演に比べてあります」 夜の部「義経千本桜 川連法眼館の場」では、佐藤忠信、忠信に化けていた源九郎狐の2役に初めて挑んでいる。

 「大変だろうとは想像してました。ある意味、想像通りに大変です(笑い)。本当の忠信の場面と、狐忠信の場面、ざっくり2つに分かれます。楽なように見えて大変なのは、前半、本当の忠信の場面です。少ない時間と少ないせりふ、少ない動きの中で、表現しなくてはいけない。逆に、狐忠信の場面は、自分の思いを存分に語りますから、どれだけ深くたっぷり演じられるか、です」。

 狐忠信になってからは、登場仕方や体の動き、せりふ回しなど、楽しませてくれる。

 「柔らかさプラス、俊敏さ、機敏さがないと、動物っぽくならないので、難しいんです。とにかく体を慣らすしかないですね。考えたり、戸惑わなくてもできるようにしたい」 昨年はミュージカル「エリザベート」にも出演し、大きな経験になった。

 「今年もミュージカルをやる予定です。毎年1本はやりたいです。やりがいを感じてます。昨年は、責任の多い仕事、やりたい仕事をたくさんさせてもらって、役者、人として成長させてもらえました。この経験をきちんと蓄えて、もうひとつレベルアップしたい」 プライベートの目標を色紙にお願いすると、迷わず「自炊」。

 「一時期、母親に教えてもらいながらですけど、料理、スイーツ作りにハマったんです。和洋中、一通りやりましたけど、今は全然。飽きちゃうと一切やらないので、今度は続けたいですね。僕の中で難しい最高峰はアップルパイ。いつか作りたいな」

 手作りのアップルパイが出てきたら女性は狂喜乱舞です、と言うと「でしょう?」とにっこり。

 ◆尾上松也(おのえ・まつや)1985年(昭60)1月30日、東京生まれ。6代目尾上松助の長男。音羽屋。90年、歌舞伎座「伽羅先代萩」で初舞台。歌舞伎以外にも、ミュージカル、映像作品など幅広く活躍。血液型O。新春浅草歌舞伎はほかに、坂東巳之助、中村米吉、中村隼人、坂東新悟、中村国生、中村錦之助らが出演し、1部は「三人吉三巴白浪」「土佐絵」「与話情浮名横櫛」、2部は「毛抜」「義経千本桜」。

中村米吉が大人の女形 熱い言葉で芝居を語る
 今回は「新春浅草歌舞伎」(26日まで、東京・浅草公会堂)に出演中の中村米吉(22)です。抜群のかわいらしさ、可憐さが魅力的ですが、今月は今までにない大人の女を演じています。やわらかな雰囲気とは反対に、熱い言葉で芝居を語ってくれました。

 スヌーピーのネクタイが目に留まった。

 「母がクリスマスに、父(中村歌六)とおそろいで買ってくれたんです。父とスヌーピーは同い年なんですよ」

 ふわっとした笑みと対照的な役に挑んでいる。「新春浅草歌舞伎」の第1部「与話情浮名横櫛」では、色っぽさ、つやっぽさが魅力のお富を演じている。将来を誓い合った与三郎と離れ離れになり、江戸の商人に囲われて暮らす女性だ。

 「僕と同じくらいの年齢か、もうちょっと上でしょうか。年齢よりも、お富のバックボーン、人間を大事にしようと思っています」

 演じるに当たり、中村時蔵に教わった。

 「時蔵のおじがおっしゃったのは『世話物は、そこに暮らしてるにおいがないと何にもおもしろくないから』と。自然に、段取りにならないように気を付けています」

 たばこを吸ったり、うちわを使ったり、生活の中での行為、しぐさがさまざま出てくる。いかに自然に見せるかが大事なのだという。

 「精いっぱいやるしかないですね。初日の映像は時蔵のおじに見てもらいました。ダメ出しのお電話もいただきました。全部言ったらとても長い時間かかります(笑い)。時蔵のおじに教わったことを丁寧にやっていけば間違いはないと思ってますので、崩れていかないよう、確認しながらやっています」

 いつかまた、という思いもある。

 「2度、3度と務めさせていただきたいので、最初の一歩になれば、と思っています。お役はご縁ですけど、いつか務めさせていただける時にまた、ランクアップしてお見せできればなと思います。昨日より今日、今日より明日です」

 「新春浅草歌舞伎」出演は5年連続。市川猿之助、片岡愛之助、市川海老蔵ら、現在一線を走る先輩たちと出演してきた。昨年から尾上松也が若手を引っ張る立場になり、メンバーの若さが鮮明に。浅草への思いは一層強くなった。

 「昨年、尻上がりにお客さまにたくさん来ていただいて、その勢いで今年も入っていると思うんです。でも、この現状に満足してはいけないんです。3年目も大丈夫だと思っちゃいけない。来年こそ大事だと思っています。一生懸命、がむしゃらにやるのが浅草の魅力。『若さあふれる姿を見てください』というのは簡単です。だって若いんですもん。若さあふれるプラス何か、です。先輩たちもがむしゃらにやってるんですから、僕たちは、よりがむしゃらにやらないといけないんです」

 今はまだ「歌舞伎役者」への途上だと話す。

 「まだまだ『歌舞伎をやっている人』です。先輩方は何をやっても歌舞伎のにおいがあります。けいこ事、舞台での経験、いろいろなものが積み重なって「歌舞伎役者」になれると思うんです。遠い道ですね」

 ◆中村米吉(なかむら・よねきち)1993年(平5)3月8日、東京生まれ。5代目中村歌六の長男。00年7月、歌舞伎座「宇和島騒動」の武右衛門悴武之助で5代目米吉を名乗り初舞台。屋号は播磨屋。昨年は市川染五郎とともにラスベガス公演「鯉つかみ」にも出演した。来月2月は歌舞伎座で「籠釣瓶花街酔醒」に出演する。【小林千穂】

「隼人は華がある」“二枚目の系譜”未完の大器 歌舞伎俳優、中村隼人
 黒のロングコートが長身に映える。カメラのシャッター音が鳴るたびにポーズを変えるしぐさは、まるでモデルのよう。

 「この前、ある大先輩が、『隼人は華がある』と言ってくださったのを人づてにうかがったんです。最高にうれしくって」

 笑うと、美少年時代の面影が顔をのぞかせる。

 歌舞伎には、圧倒的な美貌でファンを魅了する“二枚目の系譜”がある。戦前なら十五世市村羽(う)左(ざ)衛(え)門(もん)、戦後は十一世市川團十郎、今なら、片岡仁左衛門であろうか。その系譜に連なる未完の大器である。

 昨夏、歌舞伎座で演じた「おちくぼ物語」の左近少将は、将来の光源氏を予感させる美しさで女性客のため息を誘った。今月は浅草公会堂の新春浅草歌舞伎「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)」のお嬢吉三で、女装の盗賊の妖しい色香を振りまいている。

 「今は、歌舞伎の基本を体に染みこませる時期。いただいたお役をしっかりやることしかありません」

   □  □

 曽祖父は、歌舞伎史に残る名女形、三世中村時蔵。インタビューした東京・国立劇場の一室には、三世時蔵の「女暫(おんなしばらく)」の絵画がかけられていた。

 「僕の曾(ひい)おじいさんです」。笑顔がはじけた。
 近年、そのイケメンぶりが評判を呼び、テレビドラマにも出演、写真集「中村隼人 FIRST PHOTO BOOK HAYATO」(双葉社)も出した。親しみやすい素顔から歌舞伎の拵(こしら)えをしているショット、「フィルム・ノワール」と題したページからは大人の色香漂う役者・隼人の可能性が見えてくる。「今しかない自分を発信したい」

 そんな隼人にとって、昨秋、出演したスーパー歌舞伎II「ワンピース」は、大きな挑戦になった。

 海賊のサンジは金髪のニヒルなキャラクターであり、革命戦士イナズマでは大量の本水(ほんみず)(本当の水)が流れ落ちる大滝に打たれながらの大立ち廻(まわ)りで客席を沸かせた。

 その際、忘れられない出来事があった。自身のブログに、〈認知症の父と見に行った〉とのコメントが寄せられた。〈父は昨日のことはほとんど覚えていないのに、翌日になっても『水のシーン、おもしろかったね』と話していた〉と。

 「そのとき思ったんです。病気の壁を乗り越えるほど心に残ることを僕らはやっているんだと」
   ×

 20カ月以上、休みがない日々が続いている。

 「ありがたいことです。やらなければならないことが次々ありますから」

 もし、休みができたら?

 「旅をしてみたいなあ。まだ外国に行ったことがないんですよ。どこがいいですか?」。22歳の若者の顔になった。

  文・亀岡典子

 なかむら・はやと 平成5年11月30日、東京生まれ。父は中村錦之助。14年、東京・歌舞伎座「寺子屋」の小太郎で初代中村隼人を名乗って初舞台。歌舞伎以外に、NHK大河ドラマ「八重の桜」の松平定敬などを演じ、NHK-FM「邦楽ジョッキー」のパーソナリティーも。新春浅草歌舞伎は26日まで。スーパー歌舞伎II「ワンピース」の大阪公演は、3月1日から25日まで松竹座で。チケットホン松竹(電)0570・000・489。

力込めて書いたレビューが消えてしまったので、ちょっと挫折感。

 赤坂の神社の鳥居上での捕り物が素晴らしかったです。

尾上菊之助、初春歌舞伎に意気込み「色男風にかっこよく」
 歌舞伎俳優の尾上菊之助(38)が18日、東京・赤坂の日枝神社で初春歌舞伎公演「通し狂言 小春穏沖津白浪(こはるなぎおきつしらなみ)」(来年1月3~27日、国立劇場大劇場)の安全祈願を行った。

 来年生誕200年の歌舞伎作者・河竹黙阿弥の作品で、2002年初春歌舞伎公演で大歌舞伎での通し狂言として138年ぶりに復活した演目を14年ぶりに再演。当時、父の尾上菊五郎(73)が演じた美男の盗賊・小狐礼三(れいざ)を演じる菊之助は「父に負けないように色男風にかっこよく務めたい」と意気込んだ。

 菊之助は、観客がさまざまな分野のトップレベルの映像に触れられる「ボーダレス」な時代として「お客様も羽生結弦さんのようなレベルの高い体使いや演技をお求めになると思う」とフィギュアのトップスケーターに刺激を受けており、「理屈抜きに素晴らしいと思ってもらえる舞台にしなければならない」と気を引き締めた。

 また、今年の自分を表す漢字1文字を問われると、7月に第2子の長女・知世(ともよ)ちゃんが誕生したことなどから「世の中は色々ありましたが、私は幸せでした」と「幸」を選んだ。
『小狐礼三』国立劇場初春歌舞伎 Togetterまとめ

<評>絶品の菊之助・小狐礼三 国立劇場「小春穏-」など
 河竹黙阿弥生誕二百年と銘打った国立劇場「小春穏沖津白浪(こはるなぎおきつしらなみ)」。平成十四(二〇〇二)年に復活上演された作品の再演だが、やはり復活狂言は再演され洗練されていってこそ意義がある。
 盗賊小狐礼三(こぎつねれいざ)が尾上菊五郎から尾上菊之助にバトンタッチされるなど、配役が前回から一世代順送りになったが、若手まで含めてよくバランスが取れている。礼三の妖術で季節が次々に変わる「雪月花のだんまり」、廻(まわ)り舞台も駆使する鳥居前の大立ち廻りは見ごたえ十分。中間と遣手(やりて)を演じる市村橘太郎(きつたろう)が、せりふも動きも歌舞伎のフレームにぴたりとはまって素晴らしい。「一つ家の場」「花月部屋の場」で礼三と中村時蔵の船玉お才が互いの肚(はら)を探り合う場面はもう一息突っ込んだ芝居っ気がほしいが、全体としては手際よく刈り込んだ台本によってすっきりした娯楽作品に仕上がった。二十七日まで。
 浅草公会堂は中村錦之助を上置きにした新春浅草歌舞伎。「源氏店(だな)(与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし))」の与三郎、「四(し)の切(きり)(義経千本桜)」の忠信を尾上松也が熱演する。表情で芝居をしがちな分、愁いや陰影に乏しいのが惜しいが、本物の佐藤忠信が立派で爽やか。坂東新悟の役者ぶりが上がり、「土佐絵」の傾城(けいせい)、「毛抜(けぬき)」の巻絹(まきぎぬ)、「四の切」の静御前の三役でしっとりとした風情を見せる。
 他に「三人吉三(さんにんきちさ)」大川端の場。どの演目も若手花形らしい意気込みが伝わってくるが、熱が入るあまりか、七五調を意識しすぎるのか、総じてせりふが間延びしている。詰めるところはキビキビとたたみこむ、メリハリのきいた芝居を見たい。二十六日まで。  (矢内賢二=歌舞伎研究家)
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