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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
 江戸における蕎麦の歴史について勉強したくなって、この一冊。

『江戸っ子はなぜ蕎麦なのか?』岩崎信也(光文社新書)


 一番楽しんだのは、蕎麦屋の品書き「ざる」「天ぷら」「花巻」などの由来の紹介ですね。

 「そらしなそば」の紹介で、太田蜀山人こと幕臣太田南畝が公務で多摩の日野宿に逗留した際、名主の佐藤家に蕎麦を振舞われ(ご存知、佐藤彦五郎さんのところですね。文化6年の頃ですから、彦五郎さんではないですが)て書いた「蕎麦の記」からの引用が一部掲載されています。
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『江戸の遺伝子 いまこそ見直されるべき日本人の知恵』徳川恒孝(PHP研究所)

 著者の徳川恒孝氏は、何と徳川宗家第18代当主。しかも、「会津松平の分家から母親の実家である徳川の家に養子に入って、十七代の当主だった祖父の家正の跡を継いだ」という経歴なんだそうです。

 会津松平家から、徳川宗家当主に……会津藩祖の保科正之公と幕末の会津藩に多少なりとも思い入れのある白牡丹、この経歴を見ただけでウルウルきちゃいそうでした。



 江戸時代全体を俯瞰し、特に戦のない「徳川の平和(パクス・トクガワーナ)」がどのように生まれてきたのか、その結果どのような文化が花開いたのか、ということを中心に書かれています。

 しかし、著者の徳川氏が勤め先の日本郵船で50カ国も諸外国で仕事をされてきた経験もあり(中でも、日本郵船で一時期、加賀藩の前田氏のご子孫と同じ部署に配属されていたことがあり、上司の副部長が「『前田!徳川!ちょっと来い!』と呼びつけたのは太閤様以来俺だけだ」と言ったというエピソード、にやっと笑えます)、たとえば鎖国に至った当時の日本に対して、ヨーロッパでは何が起きていたかということも、わかりやすく解説されています。
 
 明日、ある会議でアジア太平洋地域の事業部長たちに英語で日本の歴史とビジネス文化に与えた影響の話をするのですが、アンチョコに持っていきます。そして、時間があれば、著者が徳川宗家の子孫であることも紹介したいです……日本史においてもそうですが、中国史でも西欧史でも、崩壊した政権のトップのご子孫が健在であるということは滅多にないと思うので。
 江戸時代、特に幕末に興味がある訳ですが、人々の価値観を理解しようと思うとこんな本にも手を出してみたりします。



 「江戸時代の女性は、現代と違って貞淑だったのか?」という疑問を持ちながら、筆者は様々な藩の様々な事件史を読み、紹介していきます。

 ……うわー、出奔する人妻の多いこと(滝汗)。

 鎌倉時代の武士の伝統から残る「妻敵討ち(めがたきうち)」の慣習も残っていて、妻と間男を惨殺してもお咎めなしというご沙汰の事例も数多く(汗)、しかも武士階級に限らず、町衆や百姓にもそれが適用された事例もあります。中には、夫ではなく父親に成敗されるケースもありました。

 しかし江戸時代後期になると、次第に金銭で内々に片をつけるようになってきて、江戸では7両2分、関西では5両が不倫の代償になってきます(庶民にとっては大金ですが……)。

 一方、『女大学』に代表される、女性は結婚前は両親に、嫁いでは舅・姑・夫に服従するように説く教えのおかげで江戸時代の女性はとても抑圧されていたと思いがちですが、夫にあらぬ疑いをかけられて離縁を迫られても、あらぬ疑いに屈しないと突っぱねる強い女性像も見られたりして。

 しかし、一番興味を抱いたのは、明治を経て、さらに下って戦後の1947年、姦通罪の維持か廃止をめぐっての国会論戦でした。ひとたび別の男と情を通じた人妻は、たとえ夫の子をやどしたとしても、その子の中に間男の遺伝子が混じるのではないかということを、本気で専門家に質問していたりするのです……(汗)。わずか50-60年前というのに、隔世の感がします。
『シリーズ日本近現代史2 民権と憲法』牧原憲夫(岩波新書)


 12月14日付記事「『シリーズ日本近現代史1  幕末・維新』井上勝生」にて紹介した新書の続刊が出ていたので、購入しました。幕末から明治初期にかけてが関心の中心なので少し不案内な時代に入っていきますが、著者は交替してもこのシリーズの歴史を見る視点がなかなか面白そうなので。

腰帯の表。
〈現代の原点〉の時代! 政府、民権派、民衆の三極構造で描く


腰帯の裏。
本書が対象とした一八八〇年代は、こうした国家と社会の枠組が基本的にできあがった時期でもあった。もとより、民権運動や議会が国民統合や戦争遂行に大きな役割を果たしたからといって、その歴史的意義がなくなるわけではない。(中略)人は「経験」から学ぶことができる。そして、現代のわれわれもまた、国民国家と競争社会のなかで、「欲望喚起」の仕掛けにとらわれながら生きている。とすれば、この枠組の形成期を生きた人びとの歴史的経験は、たんなる過去の物語でも他人事でもないはずである。(「おわりに」より)


 最近の教育基本法改正論議を遠巻きに見ながら、明治のこの時代に確立した中央集権型の近代産業を推進する教育の功罪について考えていたところです。

『シリーズ日本近現代史1  幕末・維新』井上勝生(岩波新書)


 腰帯の裏側に書かれていた言葉が、この本に託された思いだと思います。

 日本開国期に、日本中が攘夷で沸きたち、そうした世論の中心に天皇・朝廷の攘夷論があったという維新当初から強調された、日本開国の物語こそが、事実と違うという点を、本文をくり返さないが、あらためて想起しておきたい。
(中略)
 その物語は、近代日本がつくり出した、あたらしい天皇制近代国家の国家創世「神話」にほかならなかった。


 明治維新の前にあった江戸幕府は旧弊たる封建主義国家だったという従来の歴史観からではない、東アジアの対西欧外交を中心に明治維新を評価し直した新書です。新選組は池田屋騒動でしか出てこないし、函館戦争は1ページぐらいしか割かれてませんでしたが、私は、とても面白く読めました。

☆★☆★

11/29の交換日記より。

昨日買った『幕末・維新 シリーズ日本近現代史?@』井上勝生(岩波新書)を詠み始めています。どういう趣旨の本か、帯の裏側に掲載された後書きの一部が伝えています。

「日本開国期に、日本中が攘夷で沸きたち、そうした世論の中心に天皇・朝廷の攘夷論があったという維新当初から強調された、日本開国の物語こそが、事実と違うという点を、本文をくり返さないが、あらためて想起しておきたい。(中略)その物語は、近代日本がつくり出した、あたらしい天皇制近代国家の国家創世『神話』にほかならなかった。」

まだ冒頭の10数ページしか読んでいませんが、ペリー率いる4隻のアメリカ船が浦賀に入港した当時、久里浜では下曾根金三郎らが西洋式の砲術訓練をしていたことに始まります。そして、ペリー艦隊の応接に、中島三郎助さんが早速登場します。「将来の洋式軍制改革の指導者、与力中島三郎助」「西洋銃陣隊の指揮官、下曾根」として紹介されています。

さらに当時の時代背景の解説に「江戸後期の経済学者佐藤信淵」が紹介されます……『風雲児たち』でのキャラ描写が強烈だった人ね^^;。

というわけで、内容に期待が持てそうです。
 昨日の記事で『仁―JIN―』に沖田君が登場したことを紹介したが、実は他にも注目している連載マンガで新選組が登場していた。月刊誌『乱TWINS』に連載されている、木村直巳の『天涯の武士』だ。

 『天涯の武士』については、既に一回紹介している。
『天涯の武士―幕臣小栗上野介』木村直巳

 主人公・小栗上野介に対してライバル意識むきだしの勝海舟が楽しい(笑)わ、暗躍する西郷どん・大久保どんが黒くてワクワクするわ、という読み方ができれば、この作品はとっても面白いです。



 ここからは今月号のネタばれになるので、たたみます。

 新ブログに移って、amazon.co.jpのアフィリエイトを使えるようになりました。画像つきで書籍を紹介できるのが嬉しいです……といっても、初めて紹介する本は画像が入ってませんが^_^;。



 野口武彦氏の幕末ものは、けっこう読んでいます。『幕末気分』『幕府歩兵隊』『新選組の遠景』が、マイベスト3です。

 今回は腰帯の惹句「明治政権がタブーとした七つの事件の実相を炙りだす!」と黒鉄ヒロシさんの表紙イラスト・挿画もポイント高でした。

 まだ半分しか読んでませんが、見出しをご紹介。()内はクローズアップされている人物です。
・ 麻布一之橋の暗殺 (清河八郎)
・ 天誅組と幕末国学 (伴林光平)
・ 玉を抱いて罪あり (孝明天皇)
・ 御所のいちばん長い夜 (山内容堂)
・ 赤報隊哀歌 (相楽総三)
・ 空っ風赤城山 (小栗上野介)
・ 江戸無血開城秘話 (勝海舟)

 感想は改めて読了した時にアップする予定ですが、とりあえずご紹介まで。

 

<訃報>吉村昭さん79歳=作家 
「戦艦武蔵」や「関東大震災」などの記録文学から「長英逃亡」「ポーツマスの旗」などの史実を重んじる歴史小説まで赤裸々な人間の姿を追求した数々の秀作で知られる作家の吉村昭(よしむら・あきら)さんが7月31日午前2時38分、膵臓(すいぞう)がんのため東京都内の自宅で死去した。79歳。


 私は高松凌雲を描いた『夜明けの雷鳴』でお世話になった。松本良順を描いた『暁の旅人』は手元にあるがまだ手をつけていない。『長英逃亡』とか『ふぉん・しいほるとの娘』も面白そうだなぁ。

 合掌。
『幕臣たちと技術立国――江川英龍・中島三郎介・榎本武揚が追った夢』佐々木譲(集英社新書) リンク先はamazon.co.jp



 出張のために移動中、本屋で発見。「ビバ・世直し江川大明神!」という江川英龍ファンですからすぐに飛びつき、昼食の時間にも本片手で貪るように読んでます^^;。



 佐々木譲さんがエッセイというか論考『幕末・技術官僚の系譜』をネット上に掲載されていたのを読んでいたので(「江川英龍」でいろいろ検索していた時に発見)知っていました。この三人に着目するところがいいなーと思ってました。今回の出版は、どうやらこの連載記事をベースにしたもののようですね。



 そして、先日、windowheadさんがトラックバックを送って下さった記事で、小説『くろふね』出版を知ったわけですが、購入したものの分厚くて(^^;)まだ手がついていません。重くて厚い単行本を読める日時と場所が限定されるため、『幕末の桑名』バーバラ寺岡の次に読む予定になっています。



 しかし、出張時に読める新書も刊行とは、嬉しいです。早速今日の日帰り出張中に読みきってしまいそうです。



 まだ3分の1ほどしか読んでませんが、『風雲児たち』ファンにはお馴染みの名前が続々と登場しています。「江川英龍・川路聖謨・羽倉外記」の三人をあわせて「幕府三兄弟」と呼ばれたそうな(「三羽ガラス」って感覚でしょうか)。蛮社の獄事件を経て、高島秋帆先生が「妖怪」鳥居耀蔵に讒訴を受けた辺りです……『風雲児たち』で耀蔵を思いっきり困らせた(笑)秋帆先生のあのセリフが出てくるかどうか、ドキドキしています。



☆★☆★



 ……うう、あのセリフは出てきませんでした、残念。



 全体にはするする読めましたが、一カ所だけ引っかかりました。199ページ。「四月十一日の江戸城明け渡しの直後、大鳥圭介率いる陸軍部隊は江戸を脱走する。北関東で戦う土方歳三たちに合流するためであった」……いくら白牡丹が土方ファンでも、これは逆だろうと思います。流山で近藤勇が投降して以降、新選組の本隊はすでに会津方面に向かっており、土方さんは島田魁さんら数名で大鳥圭介さんが率いていた幕府歩兵隊らが集結していた国府台に合流したはず。北関東での主将は大鳥さんで、土方さんは参謀格で前軍を指揮したということですので、土方さんたちに大鳥さんたちが合流したというのは逆だろうとツッコミ入れたくなりますわ^_^;。



 さくさく読めて満足感も高いのですが、明治期の榎本さんの活躍については端折られています。榎本さんが「二君にまみえず」という武士道の精神からしたら裏切り行為をしたという批判に対して、榎本さんが仕えたのは「日本の近代化」であって、その点では首尾一貫しているという主張には頷くのですが、もう少し明治期の活躍についても解説して欲しかったなぁ……。



☆★☆★



5月19日追記。技術系といえば、ケースケこと大鳥圭介も仲間に入れて欲しかった……と、今思い出す私って(爆)。



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同日、さらに追記。64ページに「幕閣や諸藩からの求めに応じて、英龍は大量の雷管銃を製造したが、親友の川路聖謨には特製の護身用短銃を製作、これを送っている」とある。



江戸城明け渡しの日、川路さんは(おそらくは)日本で初めてのピストル自殺を遂げる(いったん腹を浅く切って、晒で腹を巻いてからピストル自殺したらしい。一説に中風で利き手が不自由だったとどこかで見聞きした覚えがあるが)。そのピストルをどこで入手したのか気になっていたのだが、もしかして、親友の坦庵先生製作のだったのだろうか……。



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同日、またまた追記。中島三郎助の辞世の句といえば「ほととぎす 我も血を吐く 思いかな」が有名なのだが、晩年の句(一部には同じく箱館で詠まれた辞世の句として紹介されている)に「われもまた 死士とよばれん 白牡丹」があると知って、「白牡丹」の名を土方さんの句からお借りしている自分としてはさらに粛然とした。



Wikipedia 中島三郎助



 蝦夷の地では牡丹は見られなかっただろうと思うのだが、「われもまた 死士とよばれん 白牡丹」とは、中島先生……ううう、合掌〜。
『長州戦争――幕府瓦解への岐路』野口武彦(中公新書) リンク先はamazon.cojp



 野口武彦の幕末モノは、大抵「見ず転」で買ってしまう(^^ゞ。しかし、後悔したことはない。



 今回の『長州戦争』も面白かった。腰帯の惹句「幕府はなぜ《やらなければよかった戦争》を始めてしまったのか」が本の内容のすべてを言い表しているのだけど、幕府側長州側の記録を両方もとにしてこの戦争の前後を書いている本は余りないと思うので……というのは、敗者にありがちなことだけど、幕府側がきちんと敗因を総括しないままに瓦解に突入してしまって、ろくな記録がないのだ。それを、様々な記録で補完しながら再現してくれている。



 一番印象に残ったのは、188ページ。銃で近代化した長州の銃砲になすすべもない幕府軍側について述べたところ。



 「こちらの弾丸は届かないのに、自軍は敵の着弾距離に入って命中弾を浴びる。ミニエー銃は戦闘の様相を一変させ、これまでの常識をくつがえした。生きるか死ぬかの戦闘ではリアリズムしか通用しない。戦場で生き残るための知恵がさっそく口から口へと伝えられた。槍・刀は無用である。そればかりか、具足・籠手・脛当の類は役に立たないばかりでなく、かえって有害だという情報である」。



 ……後の鳥羽伏見の戦いでもまったく同じことの繰り返しなのだな(嘆息)。



 そして、鳥羽伏見の戦いを振り返って土方歳三が依田学海に語った言葉が「戎器(武器)、砲にあらざれば不可。僕、剣を佩【は】き(おび)槍を執る。一に用いるところなし」……上記の記述を読んでいて、すぐに蘇った。
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