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新選組・土方歳三を中心に取り上げるブログ。2004年大河ドラマ『新選組!』・2006正月時代劇『新選組!! 土方歳三最期の一日』……脚本家・制作演出スタッフ・俳優陣の愛がこもった作品を今でも愛し続けています。幕末関係のニュースと歴史紀行(土方さんに加えて第36代江川太郎左衛門英龍、またの名を坦庵公も好き)、たまにグルメねた。今いちばん好きな言葉は「碧血丹心」です。
8月以来。寄席も観客の平均年齢は高いと思うのだが、この落語会については私が確実に平均年齢を下げていると言える(汗)……しかも年間の定連席として購入して長年聴き続けている落語ファンが多いのだから、凄いよなぁ。
 ただ、寄席や落語会をいろいろ回るようになって、必ずしも落語家のベストパフォーマンスを聴ける場でもないのよねと思い始めている。テレビ収録も兼ねているので、とちったりするところも放送されてしまうかも知れないという緊張感があるし、芸術作品として鑑賞しましょうという態度で臨む観客は寄席のいい加減さ緩さとはまとう空気がちがう。
 勤め先から出そびれて、中入り前の花緑さんが「真二つ」をかけている途中だったのでロビーで聴いていたが、担当スタッフの雑談とか聞こえてくるので集中できない。花緑さんの声質もスピーカーを通してロビーで聴くにはちょっと辛いものがある。

三年目/圓太郎
 ご夫婦の縁を経験している方にこそ味わい深い噺なんでしょうね……。

試し酒/市馬
 今日は歌いませんでした。しかも「人前で歌う人の気が知れない」とか何とか、師匠自身のことを笑わせる一言で爆笑を誘いました。
 からっと明るい師匠の高座は、心のビタミン剤です。
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シリーズ初の平日夜だそうで。私は土日に出向いてゆったりとした気分で豪華出演陣を全部楽しむのがいいなぁ。

市助/金明竹
 かなりこなれた感じの高座でした。特に、仲買の弥一さんの使いで来た人の関西弁はゆっくり喋っても違和感がないし、早口の言い立てもいい感じ(関西人ネイティブではないですが、関西在住14年なので、ちょっとは耳が慣れているつもり)。
 おかみさんの表現が課題でしょうか。松公と同じく関西弁に振り回される役どころとはいえ、ちょっと子供っぽく見えました。道具七品を買い付ける骨董商のおかみさんですから、最初に出てくるところに風格を感じさせる演技演出が必要では……だからこそ、関西弁ちんぷんかんで、戻ってきた主人にしどろもどろで説明するくだりが笑えるわけで。

尿瓶/白酒
 お得意の時事ネタにちょっと毒舌をかませて。某ホテルの偽装/誤表示問題に絡ませて落語会の「○○名人会」は誤表示だと言って笑わせました……その後に上がった三三さんが、白酒さんが浅い出番だったのはこの後に高円寺の秋の名人会に出るためだったと引き取って、また爆笑を買うのですが。
 骨董屋と道具屋の違いを説明して、道具屋のゆるさを強調して、江戸勤番を終えて明日帰郷する侍に尿瓶を五両で売りつける「しびん」に。ストーリーは知っていたけど、録音でもライブでも初めて聴いたかも。
 落語には多いんですよね、「家見舞」「肥瓶」とか、「汲み立て」とか、糞尿ネタ。まぁ江戸の庶民が笑えるネタとしてはひとつのジャンルと言っていいんじゃないでしょうか。
 白酒さんの場合、人品家柄よろしい侍が純粋で可愛いのがいいんじゃないでしょうか。

笠碁/三三
 秋雨の季節、「笠碁」はいいですね。「笠碁」は何度かライブで聴いてますが、三三さんで聴くのは初めてです。老人Aと老人Bのどちらも軽みがあって無理に爆笑させない諧謔調なのが三三さんですかね……って、花緑さんとか文左衞門さんとかとの違いを分析しようとしたのですが。
 小三治師匠の「笠碁」を聴いていないのだけど、仕草に小三治師匠の影を感じました。菅笠をかぶって、雨に濡れないように肩をすぼめて笠地蔵のようになるところなんて、三三さんの体型ならなではなんだけど。
 あと、サゲも三三さん以外では聴いたことなかったのでたぶんオリジナル。普通は、店に上がるなり碁に夢中で、菅笠を脱ぐのも忘れて碁盤に笠から雫が垂れるのに気づいて、笠かぶったままだで終わるんだけど。そこに一言、地口をからませる感じ。

夫婦で乾杯/喬太郎
 このメンバーでこの出番だったら新作かませるだろうなぁと思った通り、新作でした。学校寄席での苦労話をいくつか。特に面白かったのは、紙切りの二楽さんの実のお兄さん桂小南治師匠が学校寄席で「死神」をかけた時に、主人公が自殺しようかと迷う場面で、最前列の女子高生から言われた一言で心が折れまくりだったというエピソード。40分以上の大ネタをかけるには、そこでそのツッコミ台詞はあんまり……合掌。
 このネタも初めてだったので楽しめました。キョンキョンならではの会話のライブ感(一方でステレオタイプ感があるから多様な客層を同時に笑わせられるんだろうなぁ)。

三十石/市馬
 市馬師匠は「三十石舟 夢の通い路」と最後にネタ名を言われてました。元は上方落語、旅噺の「東の旅」の一部ですね。うち、京都の自慢話の部分は、独立させて「祇園祭」というネタにもなっています。
 私は先代の圓生師が得意にしていたので「圓生特選ライブ」というCD音源で聴いてました。圓生師は父親から継いだネタだったそうですが、子供義太夫出身で歌が得意でしたから、自慢の喉も聴かせたようです。市馬師匠も、いい喉を披露してくれます……船内でのエピソードでは、おばあさんが尿瓶を持ち込んだり、用を足そうとする女性客のお尻を見ようとして船頭が川に落ちたり、下っぽいところにネタがちょっとついてないかな……ま、そこはONE DAYスペシャル寄席なんで、目くじら立てないでおきましょう。

昼の部、トリから見ました。立ち見だと言われて覚悟しましたが、まさか客席入り口のドア半開きのところにも人が群がっているとは思いませんでした。さすがキョンキョンです。

竹の水仙/喬太郎
 マクラはNHK朝ドラ『あまちゃん』終了に伴う「あまロス」について。
  キョン師の『竹の水仙』は何度もライブで聴いていたような気がしてブログを掘ってみたら、実は初めて。市馬さんと歌之介さんでは聴いたことがあるのだけど、キョン師のを聴いたことがあるつもりになっていたのは、どうやらTBS落語研究会の放送を録画してけっこうヘビロテしていたかららしいです。
 ぎっしり詰まった観客へのサービスに、最前列のお客様にも見えるようにいつもより座布団ひとつ分ぐらいせり出して高座ぎりぎりで演じたり、オーバーアクションで笑わせたり。
 甚五郎、爽やかな・人を食った、貧乏神・福の神の二面性を持つキャラが立っている。宿屋の主人の小物ぶりと好対照。普通の人なのに途中でキレる宿場名主と毛利大膳守の使い。そして、ガミガミうるさい宿屋のおかみさん。
 宿屋の主人、「竹の団子?」と思っていた竹っぺらが三百両で売れて、経営難から首をくくろうと思っていたところを救われたのはよかったが、欲が出て甚五郎にさらに竹細工をつくらせようとしたところ……甚五郎は袖にしてまた旅に出る。設定がとてもよく似ている『抜け雀』と、最後の場面が違うので印象が変わるんだなぁ。

 夜の部は、女性陣が白鳥作品をかけたので白鳥ナイトって感じでした。

道具屋/扇兵衛

目薬/文左衞門
 えっ、こんな浅い出番で文師が? 後で出てくる方々の証言から察するに、どうやら文師に用事ができたらしく、順番を変わってもらったらしいです。
 昔は文字の読めない人が特に職人に多かった……んー、また『手紙無筆』かと思ったら、何と『目薬』でした。艶笑噺で下ネタですが、笑っちゃいました。

ナースコール/美るく
 白鳥さん作品。みどりちゃんの馬鹿っぷりを笑えるかどうかが、この作品を笑えるかどうかの分水嶺ですね。美るくさんのみどりちゃんは、かわいらしさがありました。

太神楽/勝丸
 Twitterでつぶやかないでくださいと頼まれましたので、書かないでおきます。

船越くん/百栄
 また『船越くん』に当たっちゃいました。そんな馬鹿な、とツッコミ入れながら笑っちゃう。

大発生/丈二
 ツボにはまりました。マクラの、刑事ものでよくある取り調べの場面で出てくる、あの丼ものに関する蘊蓄もよかったし。
 とある島で、とんでもないものが大発生。駆除しようと試行錯誤する知事と側近。ワナや駆除薬、さらに天敵。

漫才/ホンキートンク
 久しぶりに聴いたかしら。歌舞伎ネタ満載で新鮮。

橋場の夢/三三
 若旦那が炬燵で温まりながらうとうとして見た夢。その夢の話を聴いて悋気から泣く若女将のお花が、大旦那や定吉を巻き込んで大騒動。若旦那の話を聴くにつれて、悋気から顔半分がぴくぴく
始める、お花の表情を描くあたりがなかなか楽しい。

山奥カフェ/粋歌
 白鳥さん作品『山奥寿司』を女子向けにアレンジした作品だそう。山奥にハワイアンカフェを訪ねに獣道を五時間、絶壁を三百メートル上るファイトは、私にはありません……(^_^;)。

長島の満月/彦いち
 マクラに、二十代の頃に白鳥さんとミクロネシアを旅行した時のエピソード。それで彦いちさんは、兄さんである白鳥さんを「白鳥」と呼ぶのね……無理もない(^_^;)。
 彦いち師匠が国士舘大学の学生でコンパに参加した時の体験談? 田舎の島に育ったせいか、話題を振られてもことごとく都会の人と共有できない思い出が浮かんでくる……大変ですなぁ。

キセル漫談/ひびきわたる

隅田川母娘/白鳥
 先月リリースしたばかりのネタだそうですが、故郷の上越高田で酔っ払ったお爺さんにからまれた悔しさからこんな名品が生まれるんですね。白鳥さん公式サイトを見る限り、国立演芸場とか鈴本でかけても受けたようですが、落語ファンの秘密結社風な池袋演芸場ならではの受けっぷりだったのではないでしょうか。
 愛子ちゃんというお嬢さんが主人公……というところで止めておきます。おちょくっているのでもなく、揶揄しているのでもなく、愛ある取り上げ方がいいと思います。

☆★☆★

 文師が早く上がったのは、ぺぺ桜井さん生誕77年記念「ぺぺ祭り」ご出演のためでありました。




今年はデリバリー談春企画で都内の高座が多く、機会が多くて嬉しい。秋に談春さんの高座を聴くとなると、思い出すのは2010年10月15日に神奈川県立音楽堂で聴いた談春独演会の「居残り佐平次」。「紅葉坂の『佐平次』」と自分で名付けて、落語の神様が降りた高座とはこういうものかと落語ビギナーなりに感動した……2010年1月に志の輔らくごを初めて生で聴いて、3年と10ヶ月で通った落語会・寄席は180を超えている(汗)中でいろいろな落語家を好きになったが、やはり志の輔・談春は自分にとって特別。

厩火事/談春
 開口一番、最初は昨日とアナウンスとしていた高座が手違いで今日となって、チケット発売が通常より2週間短い2週前となったことをお詫び。昨日はお客さんを呼ばずに練習で使ったそうです、観客は弟子と関係者のみ10人ほどだったとか……豪気ですねぇ。そして、ライバル志らく師匠の弟子が勉強のために袖に来ていたそうで、そろそろ志らく師匠に昨日は10人しか入らなかったと報告されているだろうと、相変わらずの志らくネタ(^_^;)。
 青山劇場はサウンド的にも申し分ないばかりか、観客席のつくりがよいそうで、談春師は座席についたら5分で熟睡できると断言。一席目は眠らせないものの、二席目は安眠確実だとか……いえいえ、そんな、もったいない。
 このブログで自分が「厩火事」を聴いたかどうか検索してみたら、複数聴いているのはやはり柳亭市馬師匠で、これが自分のスタンダード。今年に入って小三治師匠の「厩火事」も聴いていて、これまたおかしかった。
 そして、談春さんの「厩火事」は初めてだったのですが……ええっ、談春さんってこんなに爆笑させる「厩火事」を持っていたのか〜と、びっくり。
 おさきさんの相談相手になるのはご隠居じゃなくて近所の兄ぃってところが、やはり談春さんらしい。そして、おさきさんがまず話題にしたのは、仕事の早出のために朝食で焼きざましの鮭をお茶漬けで食べていたところに起きてきた八っつぁんが芋の煮たのを食べたいと駄々をこねることだった……あ、新しい(^_^;)。談春さんが、強烈にカリカチュアライズされたおさきさんと八っつぁんを仕込んでいたとは。
 説教してその場をまとめようとする兄ぃに、何かとちゃちゃをいれるおさきさんがおかしくって、爆笑しまくりました。特におかしかったのは、唐土の孔子をモデルにしたエピソードで、孔子の留守に火事が出て愛馬を焼死させてしまった弟子たちを責めなかったというのがキモなんだけど……おさきさんの妄想はとどまることを知らず、弟子たちを鞭で叩いたり石を抱かせたり水責めにしたりして亡くなった弟子がうらめしやと化けて出ることを想像。一を聞いて百ぐらい想像を膨らませるおさきさんに、町内のもめ事解決を得意とする兄ぃも四苦八苦。
 兄ぃに知恵をつけられて帰宅したおさきさんが打った一芝居も、談春さん版というより、あれ談笑さん版かしらと思うようなデフォルメがありました……サゲはとてもクラシックでしたが、談春さん版でこんなに爆笑させられるとは思っておりませんでした(苦笑)。

たちきり/談春
 正直、あまり好きなネタではありません。最初から泣かせることを意図してつくられている噺なので、あざといというか。厚生年金ホールの談笑師の「たちきり」も聴いているのですが、何か共感していないと感じていました。
 はからずも、厚生年金ホール以来の「たちきり」。その時から再演する気持ちがなかったところを、さだまさしさんの「かささぎ」という曲を知って、演じたくなったそうです。
 その心は「『たちきり』はバラードではなく、ロック」と感じたことだそうです。そうですね、私はそんなに詳しく知っているわけではないのですが、談春師の「たちきり」を聴きながら、なぜかこれはシェークスピアに通じる話なのだという気がしていました。たぶん「ロミオとジュリエット」の、若者が情熱と恋心によって死に急ぐということに近いのかな、と。
 そして、百日蔵を遂げた若旦那が柳橋に走って、再会したのはこひさの位牌。涙ながらに手を合わせる若旦那の耳に聞こえる、三味線……おかみの「悪縁だったんですよ」の一言でとぎれる。
 あれ、厚生年金ホールの「たちきり」は、こんな感じだったかな……と新しい噺を聴いた感覚で、気がつけば手元のチケットに涙の染み跡がいくつか。なるほど、尾崎豊がうたっていたらさまになる、若者たちが情熱を燃やした挙げ句に追い詰められて死を選ぶような「たちきり」でした。

この公演で今年50回(昼夜公演は2回と数えます。諸般の都合で1席しか見ない公演もありますが)、昨年の49回を超えました(汗)。寄席に通う回数が増えたことに加えて、今年はデリバリー談春で都内の公演回数が増えたためにチケット取れていることがあるかも……志の輔師匠も産経新聞社創立80周年@池袋とか去年よりチケット取れる機会がありましたし。
 今日がお誕生日なので、客席からおめでとうの拍手……照れてらっさいました。

イラサリマケー/談笑
 鉄板ネタ。銀座という立地か、ゲラゲラという反応ではなかった気がします……師匠も銀座で演じるのを照れたのか、メニューの途中を声落としてましたし(苦笑)。談笑師はいつものように談春師と間違えてチケット買った人は今席を立つチャンスみたいなことを言ってましたが、立つ人はいませんでした。
 マクラ、『ダウンタウンDX』出演と、なぜか偶然TBSドラマ『半沢直樹』最終回に関する街頭インタビューに声をかけられてしまって放映されたというネタでした。

天災/談笑
 ライブで聴いた気がしていたのですが、後で調べると談笑師では初めてのネタでした……たぶん文左衞門師匠の『天災』の印象と重なっているのだと思います。
 八五郎の喧嘩っ早さは文師の八五郎以上。女房は殴るし、老母も足蹴にするし、さいてー。
 手を焼いた隠居が紹介した紅屋のご隠居、八五郎に他人の論を紹介しているだけで腹から話していないとどっきりするような反論をされ、ぼこ殴りにされますが……殴った痛みは忘れない、絶対に許さないながら、絶対に暴力を返さない。一度苦い経験をしたから、と……え、ひょっとして、日本国憲法の比喩ですか(汗)。

中入り

源平盛衰記/談笑
 ネタ出ししていた談笑版・源平盛衰記。談志版はその当時のギャグや時事ネタを盛り込んであるので、誰も同じようにかけられないし、かけても同じようには受けないでしょう。それをどうアレンジするかが見せどころ。
 談笑版は、そもそもなんで平氏と源氏が勃興して全面戦争になったかに時間の半分をかけました。全面戦争になって以降は、なんか広域暴力団の抗争みたいな雰囲気です(^_^;)。
 歴史解説に慣れたあたりで急に屋島の戦いで那須与一の名場面になるのでちょっととまどいました。壇ノ浦はあっさり……平知盛が出てこないと寂しいのはNHK大河ドラマで阿部ちゃんが知盛役を頑張ってくれたのをかすかに覚えているせいかしら(苦笑)。
 そのぐらいだったら談笑版としてどうかなと思っていたのだけど、何とオチは「憲法九条」。談笑さんって、あの元国会議員(ついでにいうなら元沖縄開発長官)立川談志の弟子だし、北朝鮮や中国をいじるネタが多いので、てっきり「そっち」系だと思っていたのですが……考えてみたら司法試験でしっかり憲法論をやっている方なんですよね。家元の三回忌がそろそろという時期になって、家元カラーから自分色を出し始めている
のかなと感じました。


人生初ライブ落語が2010志の輔らくご@PARCOで、トリネタが「中村仲蔵」だった。
 大ネタなので、志の輔さん以外には小満ん師匠しか聴いていない。
 また志の輔さんで「中村仲蔵」を聴ける、嬉しい。

「仮名手本忠臣蔵ダイジェスト」志の輔
 浴衣で見台を置いてリラックスモード……いやいや、50分も語るのは大変だと思う。左足を痛めてらっしゃるという噂もあるし。背景は国芳の絵をもとにした衝立(去年のACTでも使ったそうだが、すばらしい)。
 マクラはリニアモーターカーと一昨日の満月(次に完璧な満月を見るのは2021年だそう)。
 全12段をプロジェクターで浮世絵と登場人物名リストを投影しながら解説。志の輔らくごだからわかりやすく、途中でちょっと小芝居がはいったり。討ち入りの概要は知っていたけど、勘平おかるとかよく知ってなかったのでガッテンしました。

「中村仲蔵」志の輔
 たぶん最初に見た時と演出が変わっていたと思う。生い立ちから青年時代のエピソードは初めて聴くような。
 斧定九郎を演じる場面はスポットライトが花道に当たって再現ドラマ風。それまでの斧定九郎像をちゃんと解説しているし、妙見様への三×七=二十一日の願掛けの後で出会う無頼の浪人像もきっちり描かれているので、仲蔵が定九郎を演じているのが目に浮かぶよう。
 公演は失敗したと思い込んで大坂に出奔しようとする仲蔵が裏道で芝居を見た町方のリアルな感想に触れる場面で泣き笑い。やっぱり志の輔らくごは普通の人々を描くのがうまい。
 今日もまた3時間近い熱演をありがとうございました。
今の住まいに越してきてもう4年ほどになるのだが、そこから徒歩数分のホールに初めて足を踏み入れた……まぁ住民税払っているんだから、もうちょっと利用しなければ(苦笑)。

お菊の皿/ろべえ
 羽織を着ているので二つ目。小三治師匠の弟子である喜多八師匠の弟子で、小三治師匠から見たら孫弟子。

金明竹/小三治
 あがった途端に、ろべえの師匠である弟子の喜多八が陰気なことをぼやくぼやく(苦笑)。喜多八に似ずにうるさい、というのは褒め言葉らしい。
 喜多八がいかに陰気かということを説明するついでに、「火事息子」を教えてくれる圓生師匠が土蔵の折れっ釘に手をかける角度の解説をこと細かにするのとは対照的に、小さん師匠は「了見になればよい」と一言の教えだったとか。
 そのマクラで始めたのは、「金明竹」。小三治師匠のは松公なんだな。ホールの大きさのせいか音響のせいか、かなり聞きづらかった上に、小三治師匠もちょっと喉がよくなかったのか言い立てのところは聴いててちょいと辛かった。
 でも中入り前を「金明竹」で満足できる、数少ない噺家だと思う。

(中入り)

かんしゃく/小三治
 2020オリンピックが東京に決まったことについて、言いたいことを口に出してくださって、自分的には「王様の耳はロバの耳」的に聞こえました。
 ダイバーシティを尊重する企業社会に暮らす身としては、どなり散らす主人公を温かく見守れないのですが、「アイスクリーム、好きだ」の一言で針がマイナスからプラスにゴゴゴッと振り変わって、嫌いだった社長が好きになります。
よみうりホールを出て、東海道線で横浜へ。京浜急行に乗り継いで日ノ出町で降り、降り出した雨にビニ傘を差して急坂を上り、贔屓にしている蕎麦屋さんで早めの夕食。坂を下りて野毛を歩き、久しぶりのにぎわい座。

ご挨拶/一門。
 談春師以下、こはる、春吾、春樹、春来。春吾と春来はしょうゆ顔のしゅっとした二枚目で似てる。
 談春師から促されて、それぞれ趣味を告白。
 こはるはネオンテトラ7匹を飼っている……確か1匹300円、人工餌で育てられ、コンビニ袋のガサガサ音で餌を期待して集まってくるのがかわいいとか。それに対して、春師は、小さすぎて三枚におろせないとか、実用的な話題に向けていたのだけどかみあわず。
 春吾はセミの羽化に詳しい。羽化して上半身(といって春師に突っ込まれていた)を出して、いったん殻から離れかけて、下半身を空気にさらして馴染ませるために殻にしがみつくのが面白いというようなことをいったと思う。
 春樹は酒が好き……昼の出番だったせいか、春師のツッコミはなし。
 春来は水木しげるの妖怪が好きらしい。「おとろし」だったか「おどろし」だったか、鳥居の上にいて、不信心者の上にどーんと落ちるのが好きだそうだ。なぜ好きかを春師につっこまれて「90%が頭」……春師「俺の顔がでかいって言いてぇのかよ」爆笑。
 それぞれにオタクな趣味のお弟子さんたちが楽屋でどんな会話をしているのか心配だそうな。と、いいながら、志の輔・談々・関西(文都)・談春・志らくの五人が前座だった頃の思い出話。亡くなった談々と文都を「常識人だったから」と、苦労をねぎらう感じ。

寄合酒/春来
 前座さんの割には口跡がきれいな気がする。談春師の弟子は立川流の中でも条件が厳しいだけ、鍛えられているんだろうなぁ。

長短/談春
 お得意のネタではあるのだけど、キセルを持っての仕草とか、いろいろとくすぐりが増えている感。しびれを切らすぐらいの長さんがいて、短さんが生きるんだろうなぁ。

お化けの気持ち/春吾
 新作だそうですが、長屋の八っつぁんと息子の金坊とご隠居の三人の会話で成り立つストーリーだし、果たしてお化けは実際に存在するのかどうか、いい子と悪い子を見分けるのかどうかという金坊の鋭い疑問によってご隠居とハッつぁんが振り回されるのは古典落語では「真田小僧」に通じるところがあるが、お化けに扮装するご隠居とか、今まで聴いたことのない展開が新作で楽しい。

紺屋高尾/談春
 生でも何回か聴いているのだけど私の記憶のベースはCDの「来年三月十五日」。大きくは違わないけど、会話がちょっと違うと、それだけでわくわくしてしまう。特に、三浦屋での高尾と久蔵のやりとりは、今まで聴いたよりもディテールが増えて、高尾が紺屋職人の久蔵に惚れたところの説得性がちょっと増えた。
 最後にひとこと「実話」と付け加えた春師に、どきっとした。うん、モデルになった高尾太夫は実在するらしいのだけど、「実話」って言い切るとちょっとどうかなぁ……(^_^;)。

市馬さんの独演会は行ったことあるけど、三三さんとの二人会は初めて。若手真打ちの中では指折りの実力を持つ三三さんとの二人会、行って後悔するはずがない。

子ほめ/市助

五貫裁き/三三
 割と長いマクラだった……今朝の2020東京オリンピック決定が一瞬ネタとなったかな。東京で定席となっている鈴本、末廣亭、浅草、池袋の比較で、池袋演芸場でお客さんと一対一になった話。学校寄席や老人ホームでの苦労話。
 噺に入ったんだけど、家元の『五貫裁き』をCDで1〜2回聴いたぐらいだったので、すぐにネタに気づかず……その分、噺の展開がわからず、わくわくして聴けた。
 大岡裁きの妙で、先日聴いた志の輔の『帯久』と同じく、お裁きの後で悪役が悲鳴を上げるのがカタルシス。

(中入り)

らくだ/市馬
 最近は寄席サイズの作品に慣れているので長い落語会ネタが負担になることもあるのだけど、さすがに三三さんと市馬さんの長講一席はだれることもなく、楽しいの一言。
 2020東京オリンピックが決まったということで、マクラに一言「東京五輪音頭」が出ただけで会場全体から拍手……嬉しそうに「東京五輪音頭」を披露する市馬師匠。これは2020東京五輪でも何かテーマソングを歌っていただかないといけませんね(「君が代」はLe Velvetsのアカペラを希望するのだけど、2020東京五輪音頭を市馬師匠にお願いしたい)。
 そして、「らくだ」。市馬師匠のは暗くならないのがありがたい。途中でケータイの着信音がしつこく鳴っていたアクシデントも、丁の目の半次と屑屋の久さんの会話に「何か呼んでいるんじゃない?」の一言で、すっと作品世界に戻してくれた。普段は肩身を狭くして商売している屑屋の久さんが途中から状況を楽しみ始めて後半はすっかり主導権握ってしまうところに眼目を置く市馬師匠版「らくだ」を見ながら、フローティングリーダーシップだなと分析しそうになるのは、職業柄か。
特別企画「ほほえみ残暑見舞い 白酒の裏切り 〜おはよう新作、おやすみ古典〜」は新作しばりと決まっていて、白酒師、9月3日が「ドラえもんの日」だったのにちなんで「メルヘンもう半分」をかけたと。貸切公演で休演の昨日を飛ばして今日も「メルヘンもう半分」をかけるとわかっていたので、飛んでいった。
 中入り過ぎてチケットボックスは閉まっていたが、諦めずに自動ドアを開けて受付のおねえさんに訊いてよかった……中入り過ぎても2000円払えば入れてもらえるのだ。

子ほめ/龍玉
 ご隠居に知恵つけられて横丁を飛び出したところから。

紙切り/正楽
 「稲刈り」に手こずる正楽師がかわいい。でも出来は素晴らしかった。

メルヘンもう半分/白酒
 白鳥版「メルヘンもう半分」はポッドキャストで購入できる。「もう半分」をムーミンのキャラクターに置き換え、スナフキンとミーがムーミンワールドを逃げて江戸の片隅で安い居酒屋をやっているところへ、ムーミンが追いかけてくるという噺(^^)。元ネタが殺人と不気味な生まれ変わりを含む怪談ネタなのだが、それをメルヘンチックなアニメなんだけど何故か昔から不気味だと思っていたムーミン(絵に陰りがあるところが苦手)に結びつけたところが秀逸だ。
 白鳥師にだまされて(苦笑)ネタだしをした白酒師、白鳥師から借りた音源で聴いたネタのあまりのひどさにカセットテープを叩き割ったらしい……でもネタ出しした以上きっちりやると、ムーミンをドラえもんに改作した……と伝えられているが、白鳥さんと白酒さんの合作で脚色したエピソードに違いない。だって、ドラえもんワールドをマニアックにギャグとパロディとグロを混ぜたつくりはやっぱり白鳥さんの臭いがするもの。
 でも体型が白鳥さん以上にドラえもんに近い白酒さんだからこそ。そしてドラえもんの声は大山のぶ代さんパージョンで、他の登場人物はしっかり古典なのは、白鳥さんにはできない(苦笑)……おしずことしずかちゃんが腹黒で高笑いするところが、素晴らしく本格古典的でいてマンガのようにドラマチック(爆)。
 すっかり笑い転げて、満足感たっぷりのトリねたでした。感謝。

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